【原文】
子華使於齊、冉子爲其母請粟、子曰、與之釜、請益、曰與之ユ*、冉子與之粟五秉、子曰、赤之適齊也、乘肥馬、衣輕裘、吾聞之也、君子周急不繼富、
【通釈】
子華、斉(せい)に使いす。冉子(ぜんし)、其の母の為めに粟(ぞく)を請う。子の曰わく、これに釜(ふ)を与えよ。益さんことを請う。曰わく、これにユ*を与えよ。冉子、これに五秉(へい)を与う。子の曰わく、赤の斉に適(ゆ)くや、肥馬に乗りて軽裘(けいきゅう)を衣(き)たり。吾れこれを聞く、君子は急を周(すく)うて富めるに継がずと。
【読み下し】
子華が[先生の用事で]斉に使いに行った。冉子はその[留守宅の]母親のために米を欲しいと願った。先生は「釜の分量だけあげなさい」と言われたので、増やして欲しいと願うと「ユの分量だけあげなさい」と言われた。冉子は[独断で]五秉の米を届けた。先生は言われた、「赤が斉へ出かけたときは、立派な馬に乗って軽やかな毛皮を着ていた。私の聞くところでは、君子は困っている者を助けるが金持ちに足しまえはしないものだ」
【English】
Tsze-hwa being employed on a mission to Ch'i, the disciple Zan requested grain for his mother. The Master said, "Give her a fu." Yen requested more. "Give her a yi," said the Master. Yen gave her five ping.
The Master said, "When Ch'ih was proceeding to Ch'i, he had fat horses to his carriage, and wore light furs. I have heard that a superior man helps the distressed, but does not add to the wealth of the rich."
『論語』とは、読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。