![]() | 或阿呆の一生・侏儒の言葉 (角川文庫) |
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角川書店 |
【一口紹介】
◆内容紹介◆
自ら三十五年の生涯を絶った最晩年、昭和二年に書かれた小説や感想、特に遺稿を中心にして編纂されたもの。表題作の他、「たね子の憂鬱」「古千屋」「冬」「手紙」「三つの窓」「歯車」等を収録。
【読んだ理由】
高校時代、著書と著者を記憶させられた時からなぜか気になっていた。
「侏儒の言葉」の「侏儒」が引っかかったまま四十年余が過ぎてしまった。
【印象に残った一行】
宇宙の大に比べれば、太陽も一点の燐火に過ぎない。いわんや我々の地球をやである。しかし遠い宇宙の極、銀河のほとりに起こっていることも。実はこの泥団の上にに起こっていることと変わりない。生死は運動の法則のもとに、たえず循環しているのである。そういうことを考えると、天井に存在する無数の星にも多少の同情を禁じ得ない。いや、明滅すする星の光は我々と同じ感情を表しているようにも思われるのである。この点でも詩人は何ものよりも先に高々と心理をうたいあ上げた。
「真砂なす数なき星のその中に吾に向かひて光る星あり」
しかし星も我々のように流転を閲するということはーーとにかく退屈でないことはあるまい。
創作は常に冒険である。所詮は人力を尽くしたのち、天命に委せるより仕方。
少時学時苦難円 唯道工夫未全
到老始知非力取 三分人事七分天
恋愛の兆候の一つは彼女に過去に何人の男を愛したか、あるいはどういう男を愛したかを考え、その架空の何人かに漠然とした嫉妬を感ずることである。
又
また恋愛の兆候の一つは彼女に似た顔を発見することに鋭敏になることである。
【コメント】
「侏儒」とは体の小さい人、また知識のない人の蔑称。また俳優の異称でもある。

