認知症の老老介護を撮り続けた娘が、「両親は被写体として魅力的だな」と感じた理由
『ぼけますから、よろしくお願いします』が奇跡のドキュメンタリーになるまで
「包丁持ってきてくれ! 死にたい、邪魔になるけん、死にたい!」
髪を振り乱し、泣きながら87歳の妻が叫ぶ。その言葉に対し、95歳の夫は「ばかたれ! 何をぬかすんか!」と怒鳴る。認知症を患った妻を、献身的に支えてきた夫。この老夫婦の壮絶な修羅場を撮影しているのは、実の娘である。
「これこそ、映画にすべきだ」
『ぼけますから、よろしくお願いします。』
広島県呉市に住む、どこにでもありそうな家族の日々を記録したドキュメンタリー映画が、異例のヒットを続けている。2018年11月に都内1館でスタートしたこの映画は、2019年2月末現在で全国70館を超える劇場での上映が決定している。観客動員数は、1万人を超えれば大ヒットというドキュメンタリー映画にもかかわらず、すでに7万人を超えた。