検察のあり方について(その1) 2012年04月10日 15:30
相原史乃
2010年9月に大阪地裁において無罪判決が出された村木事件など一連の事件により、検察に対する社会の信頼は失墜し、特に特捜部の在り方に対して世間から厳しい批判が寄せられています。
民主党の法務部門では、「検察のあり方ワーキングチーム」を設置し、法務省・最高裁・有識者からヒアリングを行い、検察改革、検察組織や人事のあり方等について議論を重ねてきました。
ワーキングチームでは、主に以下の問題点が指摘されました。
1.判検交流
「判検交流」とは裁判所の裁判官である「判」事と検察庁の「検」察官との人事交流のことを指します。
裁判官から検察官、検察官から裁判官への異動はそれぞれ年間50名前後であり、ほとんどは裁判官が検察官になり一定期間後に裁判官に戻るというものです。
中立性・公平性の観点等から問題があるといわれます。
2.幹部人事制度
法務省本省課長職以上の64名のうち、46名が検事(検察官出身26名裁判官出身20名)であるように、現在の法務省の幹部の大多数が検察官または裁判官出身の検事であることから、
政治的応答性やマネジメント能力の欠如、震災等の有事への対応について積極性に欠けることが指摘されています。
省庁横断的な人事異動や公募制の活用により検事以外の外部人材による組織活性化を図る必要性があります。
3.特捜部
警察から送致を受け、さらに検察からチェックを受けるというダブルチェックを受ける形になっている通常の事件と違って、特捜部は独自の捜査を行い、
チェックを受けることなく、検察のみで逮捕・捜査したうえで起訴を決めるという構造になっています。そのなかで独善的な捜査が横行し、
外部、内部のチェック機能も十分ではなかったという指摘があります。村木事件においても、検察の過度のエリート意識や証拠や証言をもとに捜査が進められるのではなく、
ストーリーを先に作り、そのストーリーをもとに捜査が進められる手法が問題とされました。
4.情報漏えい問題
検察からの情報漏えいは情報内容が捜査の秘密にかかわるものであることから、そもそも刑事訴訟法47条及び国家公務員法違反の行為です。
しかしながら、捜査中の事件について検察関係者や供述した本人以外は知らない情報が数多く報道されている、ということは村木氏が国会で証言をしている通りです。
世論誘導をするためにマスコミに対して意図的に情報をリークすることに対しては厳正に対処すべきです。
5.取り調べの全過程の可視化
検察庁で行われていた取り調べの一部可視化は供述調書を作成後に読み聞かせて署名の場面だけを録音録画するという限定的なもので、
誘導尋問や取調官に迎合した供述が録画された場合、冤罪防止にかえって有害であるという指摘があります。検察官だけではなく警察官による取り調べについても
録音・録画が冤罪の防止には不可欠であり、可視化にあたっては、先ほど述べた理由から全過程の録画録音が必要です。
6.検察審査会
各地方裁判所に設置されている検察審査会は検察官が不起訴処分を行った際に、それを不服とするものの求めに応じて判断の妥当性を審査する機関です。
プロの検察官が下した判断にたいして異議を唱え、2回議決した場合には強制的に起訴するという強い権限を与えられていながら、
実際の運営については明らかにされていない部分が多すぎるという問題が指摘されます。
以上のような数々の検察に関する問題点につきまして、今後このブログにおいて、シリーズで取り上げて皆さんと一緒に考えていきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。 引用先
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