出張で、塩尻市(長野県。ぶどうの産地でワインの醸造場があります。)に行ってきました。昼食になったので、同僚と小さな喫茶店に入りました。入ったところ、近所のおばさん4人が話しているテーブルの近くに置かれたスピーカーからは、小音量ながら紛れもなくジョン・コルトレーンの「ジャイアント・ステップス」が流れていました。そのあともAtlanticのコルトレーンもので、ちょっとびっくりでした。他のお客さんは全く気にしていないので、BGMとしてずっと使われているのかもしれません。
JOHN COLTRENE (ジョン・コルトレーン)
CRESCENT (Impulse 1964年録音)
あまり手にとることがない日頃の無沙汰をお詫びして、今夜はコルトレーンのアルバムです。とはいっても、夜も更けているので、やや静かめのものにしてみました。1964年録音の「クレッセント」ですが、この年は「至上の愛」も吹きこんでいて、コルトレーン(ts)、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)というカルテットの成熟した姿をみることができます。
バラード・タイプの曲が多くて、そういう意味では異色ですが、アドリブ部分などは複雑なフレーズを吹いていてややハードです。でも、決してフリーとかそういうものではなくて、ちょとメタリックでブルーな音色で美しい旋律も味わえます。収録された5曲は全てコルトレーンの作曲になるもので、「Crescent」、「Wise One」、「Bessie's Blues」、「Lonnie's Lament」、「The Drum Thing」です。
コルトレーンの作曲能力はもっと評価されてもいいのではないかと昔から漠然とそんな気がしていました。いい曲を書いていますが、ただ、彼の演奏と結び付いてこそ曲の真価が発揮されることも間違いないので、他の人が演奏をして、コルトレーンのアルバムのそれを乗り越えるのは難しいとは思います。
ここでも、「Wise One」とか「Crescent」など静謐ななかに力強さを秘めたいい曲が入っています。演奏に瞑想的な感じがするのも特徴です。他の曲では、ジミー・ギャリソン、エルヴィン・ジョーンズもソロをとっていますが、ロングソロの割に目立ちません。アルバム全体にわたり、コルトレーンの存在感が圧倒的です。