安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ハワード・ラムゼイ LIGHTHOUSE ALL-STARS Volume 4

2008-01-16 23:16:52 | ベース・ドラムス

今週は新年会が多く、火、水、金と3回もあります。仕事がらみなので、気軽に飲んでいるわけにもいきませんが、ピッチが上がればすぐ酩酊状態になり、お酒分解酵素の不足を感じています。今夜も寒い中、自宅にやっとたどり着きました。温かくて静かめな室内楽風アルバムにしてみました。

HOWARD RUMUSEY (ハワード・ラムゼイ)
Howard Rumsey's LIGHTHOUSE ALL-STARS Volume 4 (ハワード・ラムゼイとライトハウス・オールスターズ VOL.4) (Contemporary 1954、1956年録音)

 Oboe_flute

オーボエの使用例で有名なのは、ドボルザークの交響曲第9番「新世界」の家路メロディですが、ジャズでオーボエが使われることは珍しいと思います。1950年代の西海岸では、オーボエ、フルートなど多彩な響きがジャズに持ち込まれました。

2つのセッションを収録してありますが、メンバーはウェスト・コーストの一流どころが中心です。54年録音はハワード・ラムゼイ(b)、ボブ・クーパー(Oboe、Engirish Horn)、バド・シャンク(Fl)、クロード・ウィリアムソン(p)、マックス・ローチ(ds)です。56年録音は、フルートがバディ・コレット、ピアノがソニー・クラーク(p)、ドラムスがスタン・レヴィとそれぞれ代わって務めています。

サウンドがどう面白いか、あるいはオーボエの音色効果がどうかなどが興味の中心になりました。期待に背かない色彩感と軽いスイングで密かに楽しむアルバムとなっています。「チュニジアの夜」はオーボエにぴったりのアレンジでした。「ブルー・サンズ」は特に2本の木管楽器が彩り鮮やかでさわやかです。「バッグズ・グルーヴ」は、ミディアムテンポで、マックス・ローチのドラムが面白い効果をあげています。

他の曲も室内楽のような味わいがあり、たまに聴くと気分転換にもなります。全12曲。


ザ・ダイアモンド・ファイヴ BRILLIANT!

2008-01-14 21:37:21 | ピアノ

安曇野市から長野へ戻ってきたところです。往き帰りの車の中では、最近購入したCDをかけていました。今日は天気がよかったので道路が乾いていて比較的快適にドライブできました。そんな気分もあったので、欧州(オランダ)のハード・バップが心地よく聴けたので、自宅で再び聴いてみました。

THE DIAMOND FIVE (ザ・ダイアモンド・ファイヴ)
BRILLIANT! (FONTANA 1964年録音)

 Thediamondfive

オランダのグループですが、このあたりはよく知らないので、はじめレコード店でグループ名を見たときにはピンときませんでした。しかし、メンバーを見ると、名前に覚えのあるCees Slinger(シーズ・スリンガー、P)がリーダーでした。そこで購入したものです。

このグループは、もともと1958年に、スリンガーがクラブのオーナーの要請によって結成したものです。名前をダイアモンドとつけたのですから、ひかり輝きたいという願望があったことと思います。62年にクラブが閉鎖された後は、たまに活動が行われただけのようですが、64年録音のこのアルバムにおける演奏は、ダイアモンドのように輝いています。

他のメンバーは、Cees Smal(シーズ・スモール、tp,flh,vtb)、Harry Verbeke(ハリー・ヴァーベク、ts)、Jacques Schols(ジャック・スコールス、b)、John Engels(ジョン・エンゲルス、ds)です。それぞれ、マイルスやコルトレーンらの影がみえますが、なかなか爽快な演奏をしています。曲目は、多分このグループに所属したメンバーのオリジナルばかりだと思われます。

「Johnny's Birthday」は、小気味のいいテンポの曲。スコールスのベースは、音を重めに出していてたいへん好感が持てます。僕の趣味にあいます。「Lutuli」におけるテナーのロング・ソロがかっこいいです。ソノリティ(音色、共鳴)がその時代らしくてぐっときます。他のメンバーのソロもよくて、アルバム中最も気に入りました。「New Born」も、トランペットなどのソロにおいて哀愁メロディーが出てきてなかなか聞かせます。全6曲です。

このようなアルバムが再発されるのは、ヨーロッパ・ハードバップの愛好者が増えているからかもしれません。

ホーム・ページにベティ・セント・クレア(ヴォーカル)とトニー・フルッセラ(トランペット)を掲載しました。時間があればご覧ください。
http://www6.ocn.ne.jp/~jazzvo/
 


アイリーン・クラール ANGEL EYES

2008-01-12 21:18:21 | ヴォーカル(E~K)

題名につられて借りてきた米映画「Angel Eyes」を見ました。あらすじは、交通事故で妻子を亡くした男性が、記憶を封じ込めて記憶喪失気味で生活をしていました。ある日、その交通事故の処理をした婦人警官(ジェファニー・ロペス)をみかけて、犯罪者から彼女の命を救うことになり交際が始まります。男の身元が明らかになり立ち直っていくというものです。たんたんと進みますが、見終わるとほっとしたいい映画だったと思えました。

実はその男性は、元ジャズ・トランペッターで、デート途中でジャズクラブの音色に誘われて入店します。そのとき演奏されていたのが「Someone to Watch Over Me」で、彼が演奏に加わり吹いたのが「Nature Boy」です。この2曲はスタンダードですが、主題歌は新たに作られたものでした。アール・ブレント詞、マット・デニス曲の「Angel Eyes」の方を聴きたくなりました。

IRENE KRAL (アイリーン・クラール)
ANGEL EYES (TRIO 1977年録音)

  Angel_eyes_live_in_tokyo

ライブ・イン・東京とあるように、1977年7月の日本公演の際録音されたライブ盤です。アイリーン・クラールは、1940年代から活躍している有名歌手ですが、64年から10年ほどは引退状態でした。74年にカムバックしてからは、アラン・ブロードべンド(ピアノ)と組んで活動をし、アルバム「恋の行方」を出した後の日本公演だったので注目度が高かったことと思います。

東京公演を2回録音していますが、ドラムだけが公演により異なっています。アラン・ブロードベント(p)、稲葉国光(b)、ドナルド・ベイリー(ds)、石松 元(ds)です。ピアノ・トリオの伴奏がうれしいです。アイリーン・クラールは、くせのないすっきりとした声、フレージングで歌っています。

「Angel Eyes」では、やるせない気分を醸し出しながら美しく歌います。「Everytime We Say Goodbye」、「Star Eyes」もバラードで、特に前者はアルバム中最も印象深いもの。「On a Clear Day You Can See Forever」、「Misty Roses」はボッサで、スティーヴィー・ワンダーの「You are The Sunshine of My Life」も収録されており、レパートリーが豊富です。

持っているのは日本盤LPです。ジャケットはK.ABEのデザインで、写真は東京のホテルで日没時に撮影されたものだそうです。


キャノンボール・アダレイ SOPHISTICATED SWING

2008-01-10 22:33:00 | アルト・サックス

私の愛車は、トヨタのアリオンです。「アリオン」→「有り音(音楽がある)」で語呂が良かったので、3年前に購入したものです。そういう動機は信じられんと家人はあきれていましたが、なかなか調子がいいです。今日はじめての車検に出したところ、定期部品の交換で済みました。若い人の車離れが進んでいるようですが、田舎では必需品です。車ジャケットの定番を久しぶりに聴いてみます。

CANNONBALL ADDERLEY (キャノンボール・アダレイ)
SOPHISTICATED SWING (EMARCY 1957年録音)

  Sophisticated_swing_cannonball

赤いベンツ・300Sと美女のいずれもお尻が写っています。私は車のことはよくわからないのですが、周りに某有名大学自動車部(クラブです)卒業の歩く車事典、なおかつ車修理すべて自前の人がいます。彼に言わせるとリア・トランクの曲線が最高とのことです。持っているのは日本盤LPですが、私が見てもそう思います。

このアルバムはキャノンボール・アダレイが自分のバンドを率いて行ったはじめての録音に当たります。メンバーが素晴らしくて、キャノンボール(as)の他に、ナット・アダレイ(tp)、ジュニア・マンス(p)、サム・ジョーンズ(b)、ジミー・コブ(ds)という豪華メンバーです。レギュラー・クインテットをこのメンバーで組織していますが、1年あまりの活動の後解散してしまいました。

意気込みが伝わってくるような、熱いプレイが続きます。パーカーから出発したアダレイですが、すでにファンキーな味わいを出しています。例えば、「Edie Mclin」におけるフレーズを聴いてみてください。また、「Miss Jackie's Delight」におけるベースだけをバックとしたキャノンボール、ナットの両アダレイの吹奏は見事です。スタンダードの「Spirng is Here」では美しいアルトの音が切々と訴えてきます。

ジャケットで今夜のアルバムを選びましたが、内容も文句なしのハード・バップややファンキー路線の一枚です。


ト二ー・フラッセラ TONY FRUSCELLA

2008-01-08 22:08:16 | トランペット・トロンボーン

「ショパン知られざる歌曲」(小坂裕子著 集英社)という本を読みました。ショパンに歌曲があるのを初めて知りました。その生涯や主要な曲と絡めて記述してあり、魅力的な作品の数々を思い浮かべ、ヴラド・ペルルミュテール(フランスのピアニスト)のLPを聴いてみました。ショパンはピアノの詩人と形容されます。ジャズの方も、トランペットの詩人としばしば言われるト二ー・フラッセラのアルバムを聴いてみました。

TONY FRUSCELLA (トニー・フラッセラ)
TONY FRUSCELLA (ATLANTIC
 1955年録音

  Tony_fruscella

ト二ー・フラッセラは、麻薬のために42年という短い生涯でしたが、ハード・バップ期のニューヨークにあって、ソフトな演奏をした稀有なトランペット奏者です。録音が少なく、正式にレコーディングされたのはこの一作だけなので、本作品は貴重なものになっています。

メンバーは、フラッセラのほかアレン・イーガー(テナー・サックス)、ビル・トリグリア(ピアノ)らで、曲により編成を変えていますが、最大ホーン4人とリズムの7人編成です。なお。フィル・サンケルが全曲のアレンジを担当すると同時に、スタンダードの「I'll be Seeing You」と「Blue Serenade」を除く7曲を提供しています。

美しい中音域の音を使って、抒情を醸すプレイをフラッセラが行っています。「I'll be Seeing You」では、ワンホーンでリリカルなプレイをしていますが、アドリブの連続でちょっと聞いていると何の曲かわからないかもしれません。「Metropolitan Blues」は、テーマが魅力的で、フラッセラに加えてイーガーがゆったりとしたソロをとり、このアルバム中最大の聴きものです。「His Master's Voice」でもフラッセラの美しい音色が冴えわたります。

ホームページに、ドナ・フラー(ヴォーカル)と、レイ・ブライアント(ピアノ)を掲載しました。よろしければご覧ください。
http://www6.ocn.ne.jp/~jazzvo/