先週の日曜日、ジャズ喫茶「M-Gate」(長野県北安曇郡松川村)に今年初めて寄りました。マスターの池原さんと「今年もよろしく」という遅い新年の挨拶を交わし、椅子に腰かけました。お店の中を見渡すと、3か月ほど前に来た時とスピーカーのセッティングが異なっていて、下に石の板を置いて、床から少し持ち上げていました。以前に比べて低音が出て、中音や高音はすっきりとした感じがあるように思えました。訊いたら昨年の11月中に変えたとのことですが、音の印象が異なったので驚きました。変幻自在に音が変化するフルートのアルバム。
JEREMY STEIG (ジェレミー・スタイグ)
FLUTE FEVER (Columbia 1963年録音)
ジェレミー・スタイグ(1942~)は、フルート奏者として日本のジャズファンには知られていますが、それはひとえにビル・エヴァンス(p)のアルバム「What's New」(Verve)に起用され、エヴァンスとの共演歴があるせいでしょう。70年代以降はフュージョン系統にいっていたこともあって、僕は関心を持てないでいましたが、初期のものには今回取り上げたようなフレッシュなリーダー作があります。
メンバーは、ジェレミー・スタイグ(fl)、デニ—・ザイトリン(p)、ベン・タッカー(b)、ベン・ライリー(ds)。スタイグの父は、エピックレーベルの猫ジャケシリーズのジャケットを描いた漫画家のウィリアム・スタイグです。したがって、スタイグがジャズに親しんだのも自然なことと思われます。ザイトリン(p)ですが、タッチやハーモニーに新しさがうかがえ、この作品のフレッシュさに一役買っています。
曲は、ジャズオリジナルとスタンダードです。ソニー・ロリンズ作「Oleo」と「Blue Seven」、セロニアス・モンク作「Well You Needn't」、マイルス・デイビス作「So What」。スタンダードの「Lover Man」、「What is This Thing Called Love」、「Willow Weep Fro Me」、「What is This Thing Called Love(Take1)」の全8曲。本CDでは、LPでは短縮されていた「Lover Man」が完全ヴァージョンで収録され、「What is This Thing Called Love」の別テイクが追加されています。有名ジャズオリジナルの演奏に興味が湧きます。
クラシックのフルート曲しか聴いたことがなかったので、ビル・エヴァンスのアルバムでスタイグの演奏を初めて聴いた時には、同じフルートとは信じられませんでした。グロウル(声出し)奏法や、鋭いアタックなど、斬新でした。ここでもそのような特徴がよく出ていて、「Oleo」や「So What」はアグレッシブで表現を極めようとするかのようで、ことに後者のロングソロが格好いいです。一方、「Lover Man」では、中低音を生かしたバラード演奏が訴えかけてきます。ザイトリン(p)も「Blue Seven」におけるソロなどアイデアが豊かで好演しています。
【2016年1月のM-Gate】
スピーカーの下に石の台を設置してあります。
このあと女性の二人連れが入ってきました。普通の喫茶店としての利用のようでしたが、お客さんが入るのはよいですね。
レコードもかなり増えてきました。マスターはまだ足りないといっていましたが。
最初にかけてくれたのは、ソニー・ロリンズのプラス4(Prestige)でした。
雪が残っていました。
コーヒーとシフォンケーキをいただきました。
【M-Gate】
住所:長野県北安曇郡松川村85-28
電話:0261-62-2384
営業:11:00~20:00 (定休日 火曜日と水曜日)