安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ミルト・ジャクソン BAGS MEETS WES!

2016-02-21 09:45:01 | ヴァイブ、オルガン他

神戸へ観光に行ってきた同僚から、お土産に「神戸プリン」をいただきました。神戸は初めて訪れたそうですが、お洒落な街並み、異人館、港などの見どころに加え、美味しい食事など満足した旅行だったようです。お土産品の一番人気は、いただいた「神戸プリン」だそうですが、パッケージ、味ともにお洒落な逸品でした。逸品といっていいアルバム。

MILT JACKSON(ミルト・ジャクソン)
BAGS MEETS WES!(Riverside 1961年録音)

   

夜の遅い時間にブルージーな演奏を聴きたいとなった時に、手が伸びるのはミルト・ジャクソン(vib)やウェス・モンゴメリー(g)、ケニー・バレル(g)などのアルバムです。これはその二人が共演したもので、僕にとってはいつ聴いても期待通りの効能を発揮してくれる最高の一作です。

メンバーはミルト・ジャクソン(vib)、ウェス・モンゴメリー(g)、ウィントン・ケリー(p)、サム・ジョーンズ(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。メンバーを見ただけで音が聴こえてきそうですが、とりわけ、サム・ジョーンズ(b)のふくよかな音色と音の運びには聴くたびに感心しています。ケリーが入っているし、フィリー・ジョーだしで、ハードバップファンには文句なしのメンバーです。

曲はミルトの自作が「S.K.J」と「Sam Sack」、ウェスの自作が「Blue Roz」と「Jingles」、ベニー・ゴルソン作の「Stablemates」、スタンダードの「Stairway to The Stars」(星へのきざはし)と「Delilah」の7曲収録がオリジナルで、僕の持っているCDの方では、「Stairwaw to The Stars」、「Jingles」、「Delilah」の別テイクがそれぞれ追加されています。この3曲のボーナストラックは、無くてもいいのですが、「Delilah」がもう一回聴けるは嬉しい。

ハードバップアルバムですが、室内楽的で繊細な面もあり、ヴァイブとギターによるサウンドも面白い。「S.K.J」では、ベースとピアノによるリラックスした前奏に続くミルト(vib)とウェス(g)のユニゾンによるテーマ演奏にしびれ、続くウェス、ケリー、ミルトのソロがご機嫌。「Stablemates」は、意表をついたフィリー・ジョー(ds)のドラムスから入り、ミルト、ウェスとテーマを分け合ったのち、ウェス、ミルト、ケリーのソロが続き、ハードにスイングしています。バラードの「Stairway to The Stars」は優美で格調高く、ブルージーでエキサイティングな「Sam Sack」、エキゾチックな「Delilah」と秀逸で、繰り返して聴きました。

【神戸プリン】

神戸プリンホームページ:kobepudding

   

   

   


大植英次指揮群馬交響楽団第515回定期演奏会

2016-02-19 19:04:26 | 演奏会・ライブ

群馬交響楽団の1月の定期演奏会に引き続き、2月13日(土)に行われた第515回定期演奏会を聴きに行ってきました。

指揮:大植英次
管弦楽:群馬交響楽団
会場:群馬音楽センター(高崎市)

レナード・バーンスタイン作曲(チャーリー・ハーモン編) キャンディード組曲
リヒャルト・シュトラウス作曲 バラの騎士組曲
ブラームス作曲 交響曲第1番 ハ短調 作品68

指揮者の大植英次さんは、バーンスタインの弟子で、ミネソタ管弦楽団やハノーファー北ドイツフィルハーモニー、大阪フィルハーモニー交響楽団の音楽監督などを歴任した方で、活躍中の方だそうです。大植さんの名前だけは聞いたことがありますが、その指揮ぶりを観たいのと、特にブラームスの交響曲第1番が聴きたくて、出かけていきました。

   

キャンディード組曲は、ミュージカル「キャンディード」の中から、作曲者バーンスタイン承認のもと、彼の個人アシスタントだったチャーリー・ハーモンが8曲を抽出して大オーケストラ用にアレンジしたもの。1999年に大植英次指揮ミネソタ管弦楽団により初演されたもので、当夜の指揮者の大植さんの得意曲といっていいものです。

しかし、映画の場面にあわせて編曲されたかのような曲で、まとまりが感じられませんでした。演奏の方も、きらびやかに木管、金管が鳴りますが、弦楽合奏もあわせて、せかせかした感じがしました。よく演奏されるのは、キャンディードの序曲(約4分)の方で、僕もCD(マリス・ヤンソンス指揮オスロ・フィル)を持っているのですが、派手な部分と弦楽などの部分の調和がとれていて、そちらはさすがに世界中でよく演奏される名曲です。

プログラムを読んで1曲目がバーンスタインの作品でないことがよくわかったのですが、2曲目の「ばらの騎士」組曲もリヒャルト・シュトラウスの作品ではありませんでした。オペラ「ばらの騎士」に出てくる動機やメロディーを筋の進行とは無関係に再編集し、新たな単一楽章の交響詩のようにした音楽だそうです。しかも、再構成作業を行ったのは、無署名の別人との見方が有力だそうです。僕の好きなワルツも、その断片が適当に顔を見せるくらいでした。僕が演奏曲目を作曲者自身のものと、誤解していたこともいけませんでした。

後半はお待ちかねのブラームス。誰が演奏しようが、さすがにブラームスの交響曲第1番は曲自体が素晴らしい。第1楽章が少し進んでいくと、オーケストラの響きが、分厚くて、幾分くすんだような音色のいかにもドイツ音楽といった部分が現れ、その音を聴けただけで満足しました。第2楽章におけるコンサートマスターの伊藤文乃さんの独奏部分もよかったし、全体にまずまず楽しめました。ただ、第1楽章のはじめは静かに出ていって終わりに近づくにつれて第4楽章で盛り上げるのが大植さんの構成のような気がしたのですが、第4楽章が目立ってうるさすぎるように感じました。

予習で聴いたシャルル・ミュンシュ指揮のものは初めから力感にあふれていて、クラシックも演奏する人によってずいぶん違うものだと思わされました。でも、オーケストラ曲は演奏会が一番ですね。いろいろな曲を聴ける群響の定期演奏会にまた長野市から出かけてしまいそうです。

【あらかじめ聴いていったCD】

   

マリス・ヤンソンス指揮オスロ・フィルハーモニー 「ワールド・アンコール」。アンコールでよく演奏される曲を集めて収録したもの。一番初めが、レナード・バーンスタイン作曲「キャンディード序曲」

   

シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団「ブラームス 交響曲第1番」。


マイク・ノック IN OUT AND AROUND

2016-02-17 21:50:09 | ピアノ

日は少しずつ長くなってきて午後5時くらいでも明るさが感じられるようになりましたが、先週は寒さの厳しい日があり、雪も降って長野市ではまだ春は先の感じです。2月9日(火)は、空気が冷え冷えとして、街路樹の枝には雪がくっついて花が咲いたように見える真冬の朝になりました。クールな感じのするアルバムです。

MIKE NOCK (マイク・ノック)
IN OUT AND AROUND (TIMELESS 1978年録音)

   

マイク・ノック(p,1940年生まれ)は、ニュージーランド出身ですが、バークリー音楽院に学びアメリカで演奏活動を行ったのち、1986年からはオーストラリアに住んでいます。僕が知ったのは、クラシックレーベルのNAXOSがジャズの録音を行った際のプロデューサーとして起用され、同レーベルでリーダー作も作ったからです。また、ハクエイ・キム(p)が師事した先生として昨今その名前を聞きます。ノックには、多くの録音がありますが、これはマイケル・ブレッカーが参加して注目されたアルバムです。

メンバーは、マイク・ノック(p)、マイケル・ブレッカー(ts)、ジョージ・ムラーツ(b)、アル・フォスター(ds)。1978年というと、マイケルは兄のランディと組んだブレッカー・ブラザーズで活躍した時に当たるので、こういうフォービート主体のものを残したのは異例なことでした。かつて僕は横浜で行われた東芝オーレックスジャズフェスティバルで、ジョー・ヘンダーソン(ts)らと並んでステージに立ったマイケル・ブレッカーを聴きましたが、ブレッカーの演奏が群を抜いていたのに衝撃を受けたことを今でも覚えています。

曲は、マイク・ノックのオリジナル6曲です。「Break Time」、「Dark Light」、「Shadows of Forgotten Love」、「The Gift」、「Hadrians Wall」、「In Out and Around」。曲想はポストハードバップといった感じの新しめのもので、テンポが変化するなど刺激的なところもあります。「The Gift」は、バラードでアップテンポばかりでなくマイケルやノックのスローな演奏が楽しめます。

スリルに富んだ新しめのプレイが詰まっています。さすがに年齢のせいもあってか、いつも聴きたいわけではありませんが、余裕のある日曜日などにたまに聴くとかなり面白く、いいアルバムです。「Break Time」は、タイトルどおりテンポや音の響きが変化しますが、ブレッカー(ts)のとるソロがとりわけ新鮮です。「The Gift」では、ブレッカーやノック(p)のソロに乾いた抒情が漂っていて、彼らの懐の深さがわかります。アップテンポの「In Out and Around」も、4人のコラボやそれぞれのソロにくぎ付けになる演奏。また、全体にムラーツ(b)の地鳴りのするようなベースが効いています。

【2月9日朝の長野市内の樹木】

   

歩道には消雪用のパイプが埋めてあるので雪は溶けています。

   


ADLIB (宮城県仙台市)

2016-02-15 21:31:29 | ジャズ喫茶

先月、仙台に行った際にジャズバーの「ADLIB」を訪れました。僕が学生時代に通っていた仙台のジャズ喫茶で、形態はともあれ現在も残っているのは、「カウント」、「KABO」、そしてこの「ADLIB」です。いずれのお店も懐かしさと同時に頑張っている姿には力づけられるものがあります。

   

ADLIBが入居している、ルナパーク一番町ビル。

   

「ADLIB」は、1971年から営業していた「SWING(スイング)」から、2005年にオーナーが変わりましたが、同じ場所で営業が続けられています。1970年代は、昼間から開いていて、僕の友達がアルバイトをしていたこともあって、一時は頻繁に通っていました。現在は、夕方からのジャズバー的な営業になっていて、月曜日から水曜日までは、ライブが行われています。

   

   

   

お店の場所は、繁華街の国分町の一角にあって、昔と全く変わっていなくて、店内のカウンターも当時のままでした。照明が暗いのは昔からですが、その空間に大きな音量でジャズが流れてくるのは快感です。お店に滞在中に聴いたのは、リー・モーガンの「 Live at The Lighthouse」(Blue Note)とビル・エバンスの「What's New」(Verve)でした。

   

   

オーディオですが、「カウント」がアルテックのスピーカーを使っているのに対して、こちらの「ADLIB」(当時はSWING)は、JBLを使っていて、低音から高音まで隅々まで明瞭な音を出していたように記憶しています。この対比は、かなりくっきりとわかり、オーディオ装置によって、再生の傾向は随分と変わるものだとその当時思ったのを覚えています。ADLIBは現在もそのような傾向です。

   

午後8時半ごろに入ったのですが、ぼつぼつとお客さんが増え始め、出るころには5~6人の方が店内にいました。土曜日なので、仕事帰りの方はあまりいないはずなので、まずまず賑わっているのではないでしょうか。仙台に泊まることがあったら、また寄ってみたいお店です。

【ADLIB】

住所:宮城県仙台市青葉区国分町1-6-1 ルナパーク一番町ビル4F
電話: 022-227-5137
営業: 
月曜~木曜 PM6:00~翌AM2:00、金曜~土曜 PM6:00~翌AM3:00、日曜・祝日 PM6:00~AM0:00  不定休
ホームページ:jazzbar-adlib 


ハービー・ステュワード ONE MORNING IN MAY

2016-02-14 09:35:01 | テナー・サックス

先日、飯田市(長野県)に単身赴任をしていた時の同僚が集まり僕の送別会を開いてくれました。この3月に定年を迎えるので、激励の意味を込めて開催してくれたものです。当時の思い出話などで話が弾みましたが、記念品やきれいな花束の贈呈もいただき、皆さんに深く感謝しました。「あなたの思い出」も収録された格調高いアルバム。

HERBIE STEWARD (ハービー・ステュワード)
ONE MORNING IN MAY (Marshmallow 1992年録音)

   

ハービー・ステュワード(ts,cl)は、1926年生まれのリード奏者ですが、僕の記憶にあったのは、ウディ・ハーマン楽団のサックスセクションで、スタン・ゲッツ、ズート・シムズ、サージ・チャロフと並んで演奏をしたミュージシャンだということくらいでした。ところが、このアルバムを聴くと、もっと評価されて録音があっても不思議ではないプレイヤーでした。じっくりと一人で愛聴したいプレイが収録されています。

メンバーは、ハービー・ステュワード(ts,cl)、ジーン・ディノヴィ(p)、デイブ・ヤング(b)、木村由紀夫(ds)。この4人は、来日公演の際のメンバーで、この時山形市の公演を収録したライブアルバムも作っています。ステュワードは、寡作なので、この来日時を捉えたマシュマロレーベルの作品は本当に貴重なものになりました。同レーベルでおなじみのディノヴィや、オスカー・ピーターソンとの共演で知られるデイブ・ヤング、そしてディノヴィのお気に入りの木村由紀夫といいメンバーが揃いました。

曲は有名スタンダードです。「One Morning In May」(5月のある朝、ホーギー・カーマイケル作曲)、「Charade」(シャレード)、「What's New」、「Witchcraft」、「Memories of You」(貴方の思い出)、「Yesterdays」、「All The Things You Are」の7曲。この選曲を見てみると、慈しみたい曲ばかりが選ばれていて、レスター・ヤング系の演奏者であるステュワードに相応しい選曲です。

しみじみとして心豊かになるアルバムです。ディノヴィ(p)の前奏が繊細で、ステュワード(ts)の音色もよくてまず驚かされる「One Morning In May」からスタートします。ステュワードのクラリネットで演奏される「Charade」や「Memories of You」は落ち着いたテンポで、味わい深い。やや早いテンポで演奏される「Witchcraft」など、ステュワードとディノヴィの演奏に、レスター・ヤング(ts)とテディ・ウィルソン(p)の「Pres and Teddy」における共演を思い浮かべました。それぞれの曲でジョー・ジョーンズ(ds)張りにプレイする木村由紀夫さんや、重厚なデイブ・ヤング(b)も素晴らしく、僕のお宝盤になりました。

【いただいた花を飾りました】

家の中が華やかで賑やかになりました。皆さんありがとう。

   

玄関

   

キッチンの出窓

   

テーブルの上

【One Morning In Mayのメンバー】