明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



アダージョ次号用のロケハンに某所へ。本日は編集長以下総勢5人。学芸員の説明を受けながらゴージャスな館内を回る。次号はこの場所と人物の組み合わせで充分面白いと考え、シンプルに行こうと思っていた。表紙となると、やはり出掛ける前から考えていた場所しかない。しかし学芸員さんが「ここはよく使われますから」。そういわれると私の性格上、ただで済ませたくなくなってくる。案の定、いきなりよけいなことを思いついてしまうが、私の今の技術では無理な気もする。昼食に蕎麦屋に入る。冷やし月見を注文するが、冷やし蕎麦の上に目玉焼きが乗っていた。隅田川をたまに超えると、こんな目にあう。 帰りに久しぶりに麻布十番の田村写真による。田村さん、何を嬉しそうにしているかと思ったら、両凸の単レンズ。つまり虫眼鏡レンズ状の一枚玉。最初期のレンズを入手したと、先ほどから電話をくれていたらしい。覗いてみると、なるほどカメラオブスキュラはまさにこうだっただろうという描写である。時代的に印象派の時代のレンズだが、こういう物を見るたび、印象派とは、収差の取れていない当時のレンズを覗いた描写を、ただ描いただけじゃないかと、いいたくなる。特に貢献しているのは古いレンズの色収差である。色が分離した描写を、そのまま描いちゃった。のであろう。ちなみに、私は印象派は大の苦手で、なかでもルノワールは大嫌いで、あの茫洋としたヌードなど蛇蝎の如くである。原因は学校の美術教育であろう。人に何かを嫌わせようとするなら、学校教育は実によくできたシステムである。そもそも子供に堂々と見せられる裸など、ろくなもののはずがない。 ebayで落札しておいてもらったカール・ストラス撮影の『ベン・ハー』(1925’)のスチール写真と、ハリウッドから投函されたサイン入り封筒を受け取り、隅田川の向うへ帰る。

01/07~06/10の雑記
HOME

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )