明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


実家に帰り、母が私の幼馴染のお袋さんと良く行く、実家近くの店の話を聞いた。若者が集まる店なのだが、80過ぎの婆さん二人を店の人も常連客も大事にしてくれるという。一度私も覗いてみたが、料理も美味しく、厨房と接客係の兄妹が若いながらに感じが良い。何かあったらすぐ来てくれるかもしれないから、携帯番号でも聞いておいたら?と冗談半分でいったら、ある時家で妙な音がする、と母が電話をしたら、勿論営業時間中だが、夜中に飛んで来てくれたという。奇特な人達である。テレビでサッカーや野球を流していて、スポーツファンも集まるらしく、Wカップの何戦目かの時は、婆さん二人が帰宅したのは朝の5時過ぎだという。いい加減にしろ、といいながらも楽しそうなので放っているが、近いうちに常連客に青山の『ブルーノート東京』に二人して連れて行ってもらうらしい。私は亡くなった父がまだ元気な頃、外人=悪役の図式が崩れて久しいのに、それでもプロレスファンだった昭和2年生まれの父と武道館のプロレス観戦に、何回か付き合ったことがある。見渡す限りこんな年寄りは見当たらなかったが、父とジャイアント馬場対スタン・ハンセンならともかく、母をブルーノートに連れて行って、ジャズ・ファンクを聴く気にはなれない。連れて行ってくれるというなら、楽しんでくればいいだろう。 そんなこともあり、昨晩も店にお邪魔したのだが、モニターでは大きな音で観客聡立ちのライブ映像が流れていた。母は、こんなのも一度観て見たいという。「冗談じゃない。80過ぎの婆さんが行ったら、踏み潰されて即ペッタンコだよ」。いくらなんでも『モッズ』は無茶である。

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