明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



初日。暑くならない午前中に出かけようと思いながら、グズグズしていて猛暑の中出かけることに。邪魔にならない間に記録に写真を撮っておくためである。終るまでに、といっているうち残せなかった展覧がいくつかある。  乱歩展の方には、ウィンドウに『帝都上空』の気球の乱歩に、撮影に使用した乱歩像が並べてある。撮影効果だけを考えて、撮影専用の像を作るというきっかけには、この乱歩像と、もう一つ、渋澤龍彦の背景用に作った、クラナッハのヌードがある。画のように写るように作ると、とんでもないものになった。ヘソは真ん中に付いていないわ、脚はへんな方向に開いているわ、解剖学的に滅茶苦茶であった。しかし、でなければ、あの魅力は演出できない。立体には無い、絵画の良いところである。アトムの角は、いったいどっちを向いているのだ、という話である。今では撮影用と割り切り、時間短縮のためもあって、写らないところは作らない場合も多いが、これは私が昔長い期間、コタツで寝起きし、制作していたことが貢献している。狭い部屋でコタツから出ずに制作していたので、彫刻家がやるように離れてバランスを見たりなど、一切しない。一方向だけ数時間作り、次に別方向を作るなどという妙な作り方をしていたが、面倒くさがりで独学者の私は、重要なこととは思い至らなかったのである。試しに正面しか見ずに正面を作り、今度は後だけを作ったら、特に問題は見当たらなかった。グウタラしていて身についた芸当といえるだろう。 『甦る江戸川乱歩の世界展展』は来月4日までだが、できることなら同じ会場で併設されている『私とミステリ』展が開催されている28日までに行かれたら良いだろう。

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