明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



日影丈吉の少ない写真を見ると、不機嫌そうなカットばかりで、そんな人物だろうと作っていたが、家族が撮った写真を見ると、ブスッとしながらも、カメラの方を見ず、ポーズを取っているように見える。そのポーズがぎこちなく、そこにサービス心のような物を感じた。本当は機嫌が悪くないんじゃないか?文学館の学芸員に日影の人となりを伺ってみると、寡黙な人物で、人とは友人といえど一定の距離を保つ。しかし、探偵作家クラブの書記や幹事を歴任し、パーティー会場を手配し、と実務もバランスよくこなした人物。だそうで納得した。 そろそろ身体に取りかからないとならない。 知人が定年で郷へ帰るので、自分を作れないか、といわれている。考えて見ると存命中の人物は数えるほどしか作ったことがない。柳ジョージ、スティービー・ワンダー、BBキング、シュガー・ブルー、高橋幸宏、伊集院静、大崎洋。くらいではないか。こう見ると脈絡がない。一般人という意味でいえば、昔、某企業会長の亡き母を作ったことがある。以前書いたので詳しくは書かないが、戦災で写真も残っていない、というので老会長の想い出話を聞くことになったが、どうも変だ、と思ったら、記憶にもなく、空想話を聞かされていたのであった。それならそれで、と会長の好みであろう豊満な女性を作った。さらに骨壺の蓋に座らせて欲しい、といわれたが、そこまでは、と退散した。今思うと、足ならぬ尻に敷かれて眠りたい。谷崎潤一郎的趣味の人物だったのであろう。

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