6年前のゴールデンウィーク、江戸深川資料館で『深川の人形作家石塚公昭の世界』を開催。写る所しか作っていない作品を会期中も控え室で作り足し、展示出来る物はできるだけ出品した。この時会場で、2つの発見があった。一つは、初めて長辺2メートル以上に引き伸ばした作品を初めて見て、細密でなもなく、粘土丸出しの作風なのに関わらず、アラが目立つどころか拡大する程リアルに見える。連中にこんな意志があるとは私自身思わなかった。 もう一つは、初めて私の作品を観た人には、どの作品が古く、どれが新作か判らないかもしれない、と思った。作り方も、初個展からほとんど変わっていない。独学我流のくせに、必要のないものは一切身に付けないよう守った。一度入ったものは出て行かない。学べば良いという物ではないだろう。この展覧は私の中締めとなったが、その直後からだろう。図書館に行っては浮世絵、日本画を眺めては、西洋画、写真に無い自由さを羨ましがっていた。そして江戸川乱歩いうところの〝現世は夢夜の夢こそまこと”にまた一歩踏み出すこととなり、その旅路の最突端が、今の所寒山拾得ということになる。
『深川の人形作家 石塚公昭の世界』