明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



蘭渓道隆像は、生前に描かれ、本人の賛まで書かれているものが残されているのなら、それが実像に近いだろう、私は素直にそう思うが、様々な時代に作られた像は、顔もそれぞれである。しかし私とは解釈の違いがあり気が付かなかったのだが、私と同じ試みをしている先達に気がついた。 あの人の顔は◯◯だ、という時、意見の相違が生じるのは、その人物のどこを見ているかによるだろう。陰影のない肖像画は、解釈の幅がある。 浮世絵の役者絵や美人画は、陰影のある肖像を見慣れた現代人からすると、皆んな同じような顔に見える。しかし陰影のない肖像が当たり前の時代には、人物の個性がちゃんと描かれているように見え、ファンはこぞって買い求めた。 先達といっても、ご本人にお会いしたことがない、という意味においては私と条件は一緒である。私も平面の画像からずっと人物を立体化して来た。譲る気はない。よって、あの像の作者の正体は調べないでおきたい。

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