12月のはじめ頃に、修理を依頼されたFFヒーター で、とても珍しい eberspacher の B2L
なんでも、まともに動作しないらしい・・・
ただ、車のエンジンをかけると点火するらしく、ところがバッテリーだけでヒーターを運転していると、間違いなく止まってしまうというもの。
出来るだけやってみますね と引き受けましたけど、
なんせ約30年前の代物なのと、構造的に 丈夫=重い のもの有って、取り外しは大変でした。
さて、実際の故障診断。
はじめに疑ったのは燃料ポンプですが、 念のために**してみたら、 なるほど・・・ という感じ。
どうしたか?は企業?秘密。
早速それを処理してと、これで直ったかな?とテストしたら、ダメ。
で、その次に本体内部の保護安全部品のテストをしましたが、これも問題ない。
コントロールモジュールも疑いましたが、時々起動した際のシークェンスに問題ないので、それがダメという可能性はあまり無い。
「まてよ!」 このヒーター、ガソリン仕様ですから、可能性が有るとすると点火系統かも。
そこでプラグをはずして通電テスト、グローはOK 、スパークも飛ぶ。
何だろうな~・・・
念のために、むき出し(この当時はそうでした)のモーター回転系統をしらべたけど、ブラシはOKだし、特段、電圧を低下させる様な状態でも無い。
等々、修理に行き詰まって、そこで故障点を整理してみることにした。
点火出来るとき、出来ないとき、 その違いは、 エンジンをかけた際には点火して、 バッテリーだけになると失敗する点でして、ダイレクトにこれに関連するのは、電圧だけ。
そこで、念のためにスパークジェネレーターを外してみると、裏面に亀裂が入っていて、中の液が漏れていた。 あちゃ~!!
*こわれていた部品(高圧コードは再利用するのでカットしてあります)
原因は、いわゆるスパークジェネレーター内部のコンデンサー破裂、 そして漏れた酸性の液体が内部を腐食させていた可能性が大きい。
電圧が高いと、”なんとか動く”という状態の半死にというやつです。
この時点で、ほぼ間違いなくスパークジェネレーターで有る事が判明。
そこで、多分高価なので、ヒーターを交換*した方がいいですよ! とオーナーに連絡したら、持ち主はどうしても原型をとどめたいという意思が強固。
*ベバストの稼働中古品を持っている話を聞いていましたので。
ウェストファリア製のバナゴンべースのキャンピングカーで、純正のFFヒーターなので
出来るだけ原型のまま使用したいみたいなんですね。
オーナーさん、これまで、あちこちのキャンピングカー屋さん、 ワーゲン関連専門店にあたって、
でも、どこも修理できずだった。
簡単に言うと、この国ではその専門店も、誰も修理できなかったわけです。
で、なんとしても直す意思をオーナーに確認して、逝かれかけたスパークジェネレーターを交換しようかと、 エバスペッヒャードイツに連絡したら、 すでにサポート打ち切り、部品も無いとの返答。
「それかよ!」 くっそ~!
仕方なしに、世界中の関連フォーラムを廻って情報を集めたけど、 修理用として厳しい条件をクリアする代替え品の紹介も、話しすら無く。
もっぱら「中古で出てくるのを待つ」くらいしか打つ手が無いことが判明。
修理情報呼びかけの問いに対して、どこもそれくらいしか回答が無いわけです。
あ~世界も直せない訳ね・・・・・・
で、次にベバストとeberspacherの部品を扱っている歴史の長い専門店(欧州)に問い合わせたところ、 すでに生産は行われていないとの回答。
24V用があるけど、B3L用なので、保証もないし、 大体にして価格が4万オーバー。
しかも12V用だし、こわれたのは。
さて困った・・・・
代替え品を考えるけど、半端なく難しい。
スイッチを入れたら適度な間隔でスパークが飛び、
車体下に取り付ける物ですから真夏の高温度に耐え、 真冬の低温で確実に動作して、 なおかつ防水、耐水仕様。
そして何より、ヒーターの内部にきちんと収まらねばならない。ん~~~~
更には、スパークが 「ビビビビビ」と連続して飛ぶのは、高価な特殊グロー&スパークプラグの寿命を大きく縮めるのでボツ。
パチ パチ パチと適度にスパークして、さらにその放電電圧が強すぎてもダメ(車の電子機器に悪影響を与えるから)で、 弱すぎると今度はヒーターが点火しない。
さんざん悩み、ありとあらゆるスパークジェネレーターを探しまわり、やっと見つけたぞい。
与えられた条件と動作環境が馬鹿みたいに厳しい物だから、滅多なことでは見つからないんですね。これが
海外の製品技術資料を読みすぎて、しばらくドライアイやってました(爆笑)
で、早速取り寄せて、 取り付けを行って簡易テストしたら、 全く元のスパークジェネレーターと同じ動作をしてくれる。
そこで、早速ヒーター内に組み込んでみましたけど、驚くほど素直に収まり。
涙が出るほどでした。
全部配線を終わらせ、 実際に全コントロール配線をつなぎ燃料を供給してのテスト運転開始。
何の問題も無く、バッチリです!
この瞬間、ウエストファリア製 バナゴンベース車のキャンピングカーのFFヒーターを修理できるのは、
世界でたった一人、僕だけになった ぎゃははははは!
ちなみに、どんな部品を使って尚したか?に関しては、絶対にここであかしません。
さんざん苦労しましたので
技術のばかげた安売りだけは決してしませんので。
後は数日間、点火テストを行い問題なければ、修理完了です。
後日、連続テストを行った結果問題なしと判りました。