柴田元幸選・訳、きたむらさとし絵『アイスクリームの皇帝』を読んでいますが、とても面白いし、すごく英語の勉強になります。
GetUpEnglishでも詩の訳し方をみなさんと一緒に考えてみたいとずっと思っていましたが、この本を紹介することで、ようやくそれができるように思います。
ということで、GetUpEnglishでは、今日から3日間、『アイスクリームの皇帝』に収録されている詩を紹介しながら、気になる英語表現、そして英詩を日本語にする上で注意すべきことを考えてみましょう。
まず、1日目は、Russell Edson の“The Family Monkey”を読んでみよう。
これはEdsonのThe Clam Theatre(1973)に収録されている。
http://www.amazon.com/The-Clam-Theater-Russell-Edson/dp/B000UDC6R2
ある家族が祖父の代からコツコツためてきたお金をつぎ込んで、an electric monkey(電気猿)を買うという話である。
なんだか、Star Warsの主人公たちがドロイド商人からドロイドを買うような話だ。
この詩の最初の一節はこうなっている。
We bought an electric monkey, experimenting rather recklessly with funds carefully gathered since grandfather's time for the purchase of a steam monkey.
翻訳は本書の柴田先生のすばらしい訳を確認していただくとして、ここに出てくるrecklesslyの使い方を見てみよう。
この形容詞形のrecklessは「無謀な」という訳をついあててしまいがちだが、「無茶な、無謀な」(rash, thoughtless)という意味もあり、状況によっては「思い切って」とか、「大胆に」といった意味で訳してもよいだろう。
このrecklessを使った用例を一つあげる。
○Practical Example
"Trying to deregulate everything at once is reckless."
"No. Change everything now."
「一挙に規制緩和を図ろうとするのは大胆すぎます」
「いや、今すべて変えるんだ」
●Extra Point
この詩にgrandfather clockが出てくるのだが、その使い方が実に面白い。
◎Extra Example
"Is that like the grandfather clock being replaced by the grandchild clock?"
「それっておじいさんの時計が孫の時計に替わるようなもの?」
というように、この詩はポストモダン小説が隆盛を迎えつつあった1973年に書かれたこともあって、SF的要素も盛り込みつつ、なんとも言えないコミカルな味付がされていて、実に面白い。
きたむらさとしの絵もまた愉快だ(写真でおわかりでしょうか?)。
『アイスクリームの皇帝』収録のラッセル・エドソンのThe Family Monkey(わが家の猿)、ぜひお楽しみください!