"A family, consisting of a father, mother, and two children, are out on a walk, and sitting together in a wood." by Nathaniel Hawthorne
柴田元幸選・訳、きたむらさとし絵『アイスクリームの皇帝』から、今日も一篇詩を読んでみましょう。
今日はNathaniel Hawthorne(1804-64)の詩から。
柴田元幸先生の収録作家紹介に、ナサニエル・ホーソーンは、「過去の呪縛、罪の影を意識しつづけ、何冊かの長篇と、すぐれた短篇小説を数多く書いた作家。大量のノートブックスを遺しており、ここで訳した一節は、1853年3月9日の記述」とあるように、この詩は特に題名がなく書かれたものです(したがって、本日のGetUpEnglishのタイトルはこの一節の最初の文にしました)。しかし、そこはさすがホーソーン、この短い一節で、一つの物語を作り上げています。
では、気になる英語表現を。
〇Practical Example
”The little girl rambles away into the woods―they call for her―within a brief time, she comes back.”
「妹の方がふらふらと森の奥へ入っていき、皆が彼女を呼び、じきに彼女は戻ってくる」
この動詞rambleの使い方に注意。rambleは「ぶらぶら歩く、散策する」。『リーダーズ英和辞典』が、こうした訳語をあてていることからもわかるように、このrambleは擬音語・擬態語のニュアンスがあり、訳語にも、不自然でなければ、柴田訳のように「ふらふらと森の奥へ入っていき…」といった表現を入れて訳すと効果的になることがある(特に物語の小説など)。
●Extra Point
この動詞を使った例をもう一つ挙げる。
◎Extra Example
"Madoka is fond of rambling among the woods by the river."
「まどかは川岸の林の中をぶらぶら歩きまわるのが好きだ」
☆Extra Extra Point
rambleには、「とりとめのないことを話す[書く]」という意味もある。こちらも「だらだらと話す、書く」といったイメージがある。
★Extra Extra Example
"Mr. K rambled on about the old days."
"It is usual with him."
「K先生は昔のことをとりとめもなくだらだらしゃべり続けた」
「いつものことだ」
そして、Practical Exampleであげた例文の英語のダーシ(―)にも注目。これもcase by caseだが、ダーシが原文に出てきたら、常に訳文もダーシをあてなければならないということはまったくない。この柴田先生の処理の仕方のように、原文の順序を考えつつ、「、」でうまくつなぐとうまく訳せることがある。
そして、ここで紹介した詩にきたむらさとしさんがつけたイラストが実にすばらしい!
『アイスクリームの皇帝』、英語の味わいだけでなく、柴田先生の訳ときたむらさんの絵も存分に楽しめる。ぜひお試しあれ!