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本日より、Rogue One: A Star Wars Storyが公開されます。
それにあわせて進めていたStar Warsの新三部作(The Prequel Trilogy)の翻訳もどうにか終え、『エピソード I ファントム・メナス』『エピソードII クローンの攻撃』、そして『エピソードIII シスの復讐』の3冊を、昨年の旧三部作に続いて、刊行することができました。このスター・ウォーズのオリジナル・ノベライゼーションを多くの読者にお楽しみいただけますよう、関係者一同、願っております。
『エピソード I ファントム・メナス』
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935036
『エピソードII クローンの攻撃』
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935265
『エピソードIII シスの復讐』
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062935647
GetUpEnglishでは、本日から6日間、新三部作を翻訳するうえで気になった表現をご紹介したいと思います。
まず、1日目はtwilightという表現です。
twilightは「(日没後の)薄明、薄暮、たそがれ」です。
Episode Iの第4章にこの表現がありました。
A twilight that was misty and seemed perpetual lay in silvery gray layers over the green lushness of Naboo as the Federation landing ships descended out of the black infinity of space to settle
情報量が多く、A twilight that was misty and seemed perpetualが主語でlayが本動詞なのですが、文全体の情報力が多く、なかなかうまい日本語にできません。
そして、辞書にはtwilightの定義の一部に「たそがれ(時)」という表現があることから、「たそがれ時、夕暮れ時、夜明け前」などとしてしまうと、ちょっとおかしな訳になってしまいます。たとえば、以下のように訳すとどうでしょうか?
「夜明け前、辺りには靄が立ち込め、時が止まったように感じられた。銀色がかった灰色の雲が幾つもの層をなして、ナブーの豊かな緑の上に広がっている。通商連合の上陸艇が漆黒の宇宙空間からこの星へ向かってゆっくりと高度を下げてくる」
A twilight that was misty and seemed perpetual lay in silvery gray layers over the green lushness of Nabooの部分の意味が正確に表現されていませんし、そして何と言いましても、Star Warsならではのスピード感が伝わってきません。
ここはtwilightをその通りに訳し、
「もやのようにいつ果てるともない薄明りが、ナブーの豊かな緑の大地の上に、灰色から銀色へと移りゆく層となって広がっていた。その中を、宇宙の無限の漆黒から抜け出した通商連合の上陸艇団が、この星に向かってゆっくりと高度を下げてきた」
としてみました。
『スター・ウォーズ』のオリジナル・ノベライズを訳させていただけるという身に余る光栄なチャンスを与えていただけたことに深く感謝しつつ、1年以上必死に仕事をこなしてきましたが、その中で『スター・ウォーズ』の面白さを何度も確認できました。映画に描かれてない劇的な描写や、キャラクターたちの心の機微など、オリジナル・ノベルには新しい発見がたくさんあります。
ぜひ現在公開中の『ローグ・ワン』とあわせて、「新三部作」「旧三部作」をオリジナル・ノベルでお楽しみいただけますと、訳者としてこんなにうれしいことはありません。
明日のGetUpEnglishもお楽しみに!