昨日、買い物に出たついでに「人間国宝美術館」に寄ってきた。今月の一点は鈴木蔵(おさむ)のまな板皿だった。黒地に青系の色が浮かぶ、うねりのある曲線が掘り込まれた大きなまな板皿。力強いが美しい。この皿に何を盛ったらいいかな、などと考えている。
展示は模様替えをしてあった。加藤卓男のラスターの作品の展示が増えている。2階では、平山郁夫、上村敦などの絵の展示もある。
静かないい空間だ。下に降りて抹茶を頂く。入場券には、人間国宝が作った茶碗で抹茶のサービスがついている。お茶碗は私は清水卯一さんの天目茶碗、Papasanは浜田庄司だ。茶碗としては手にすっぽり入り、温かみのある浜田庄司の方が私は好きなんだが、天目の茶碗は見た目に美しいのでこれを選んだ。清水卯一さんは石黒宗磨に師事したのだった。石黒宗磨も好きな作家である。
ちょうど二人の女性といっしょになった。お抹茶をいただきながら、二人が 「こんなお茶碗でお茶を頂くことはないから」と言ったたので、「そうですねぇ」と相槌をうった。そこから会話が始まった。横浜から梅林を訪ねてきて、この美術館に気がついたのだそうだ。「よくいらっしゃっているようですね」「ええ、隣町に住んでいるので買い物ついでに寄るんですよ」「私達もお茶をやっているのですが」「そうですか。ここにはいいものがあるでしょう。またおいでください」と毎度のことながら余計なお節介をした。
BGMにベートーベンが流れている。調べは知っているのだが、曲名が出てこない。「ほら、皇帝じゃなくて、それに近いの・・・ピアノ トリオ・・」なんてやたらと騒いで、やっと「大公」という名を思い出した。すると今度はピアノソナタに代わっている。「このソナタ、悲愴だっけ?熱情だっけ?」またまたわめいている。思い出したころは曲は代わっている。やだねぇ。