FIPと診断された猫のPちゃんと、
看護中のねーさんの陣中見舞いに行った。
FIPは猫が持っているウイルスが突然変異する病気で、
治療法が確立されていない。
ねーさんは、免疫力を上げるための努力や、
Pちゃんのいる環境を清潔で快適に保つこと、
Pちゃんと一緒に過ごすこと、
他の猫たちにウイルスがうつらないようにすることなど、
できることを、すべてしている。
Pちゃんは、風通しがよく、
日も差し込み、
気温もちょうどいい和室で、
気持ちよさそうにお昼寝していた。
人の病院の個室と比べたって、
十分に広くて快適なのに、
ねーさんは
「閉じ込められてると思ってほしくない」
といって、ときどき部屋から出してあげている。
14歳になるPちゃんは、
ねーさんがビーを保護する前から、
ねーさんちにいた最古参の猫で、
子猫のビーと少しの間一緒に暮らしていた。
かわいいお顔と、
つやつやの毛はそのままだけど、
痩せてしまって、
腹水で少しお腹がふくらんでいた。
部屋に入ると、
ねーさんの次に
私のところにも来てくれて、
お刺身盛り合わせや、
カリカリを少しずつ食べて、
お水を飲んでいた。
何でもないみたいに、
ご飯を食べるPちゃんを見てたら、
この痩せて小さな身体で病気と闘っているのかと、
胸がつまって涙が出そうになったけど、
元気を分けたくて来てるのに、
泣いたらあかん。
手のひらから、
いい気を送るようなイメージを送った。
本当に、年をとっても、
病気になっても、
家の子でなくても、
猫はとてつもなくかわいくて、
みんな大好き。
リビングにいると、
殿と同じ名前のGちゃんが、
私をスッポンディフェンス。
テーブルにデーンと、
おっきなおちりを私に向けて座る。
先輩でビーと同い年のAくんが、
オモンナイ!という顔をするので、
Aくんのそばに行くと、
Gちゃんがついてくる。KY猫。
ビーと同じ名前のビーちゃんは、
Aちゃん、Gちゃんがお外に行くと、
ねーさんの膝に来た。
兄キたちに遠慮がちで、かわいい子。
耳を蚊にやられてるところまで、
顔以外はビーにそっくり。
他の猫たちも、
外猫ちゃんたちも、
みんな夏の午睡をむさぼり、
元気にご飯を食べていた。
河原に出てみると、
つい最近骨折の手術をしたという
Sくんが無事に生きてるのを見て、
ねーさんはほっとしていた。
うちの近くの河原は
バカ工事のために立ち入り禁止なので、
多摩川の風を浴びるのは久しぶり。
黄色の花やあざみ、
緑が風に波うつ。
河原で誰かがご飯をやるのを止めて、
黒猫軍団がねーさんの家に現れた。
それから、
「こんなことが続いてる」
といいながらねーさんは、
黒猫軍団も同じように世話をして、
姿が見えないと心配している。
2月には、
外猫のKちゃんを老衰で送ったそう。
旅立つ寸前にKちゃんが聞かせてくれた、
かわいい声のまねをしてくれた。
人間のいい記憶を残して、
旅立ってほしい、とねーさん。
次にこの世界に来たときに、
いい人と出会えるように。