地震のたびに繰返される断水と給水車からの補給

2007-07-18 05:40:15 | Weblog

 ガス・電気が不通になったとしても、どうにか代用が効く。ガスがつかなければ、パンとかインスタント食品で間に合わせることができるだろうし、ボンベ式の卓上コンロを購入すれば、ある程度代わりを果たしてくれるし、照明はローソクや懐中電灯等でどうにか間に合わせることができる。

 しかし水道の場合、飲用水は自販機等で購入すれば、いつもしていることだろうから、間に合わせることができるにしても、手や顔を洗ったり、身体を拭いたり、あるいはトイレの水に使うには、水は水でなければならないはずで、他に代用は効かないだろう。効かない分、必要とすることになる。

 今回の中越沖地震でも、避難所を含めて多くの被災者が水道が出なくて困っていると口々に言っていたし、昨日(7.17)の昼のNHKニュースでも、「一番困っているのは水だ」と被災者の一人が言っていた。蛇口をひねれば水の用を足すことができる便利さから比べれば、給水車を煩わせなければならない不便さは格別なのだろう。

 新聞は、柏崎市など6市町村の6万世帯以上で断水したと報じていた。給水車が到着するのを待って持参したポリタンクに水を受け、重そうにして持ち帰るテレビが映し出す光景は大型の地震が起きるたびに順番を踏んだように目にするお馴染みの光景となっている。

 とにかくも給水車から水を補給できるようになって、水が全然ないわけではない段階にありながら、「一番困っているのは水」という被災者の水に対する緊急の要求が自治体の給水車だけではなく自衛隊の給水車も活動しているにも関わらず、給水車に長蛇の列をつくらしめることになっているのだろう。ポリタンクを複数用意したとしても、給水車から補給できる水の量は用意したポリタンクの数に限られるから、一つ底がつけば、用心のために給水車まで出かけて満タンにしておくといったことをするのではないだろうか。時にはそのために列を作って時間待ちしなければならず、不便で忍耐を払わなければならないが、並ばなければ水は手に入らない。

 多分こういった水に対する不便が解消されるのは電気やガスに対する欲求が解決されるよりも後回しにされるに違いない。発電所が倒壊したということなら話は別だが、電柱が倒れたり架線が破断したといった障害なら、架線は空中に這わせているのだから復旧は早いが、ガス・水道は管が地中に埋設してある関係で電気に比べて復旧には時間がかかる。電気が復旧しさえすれば、電子レンジといった電気を使用する調理器具は大抵の家庭で備えているだろうから、ガスの代用がある程度効くようになる。

 つまり、最後まで不便を強いられるのは水というパターンが大型地震が起きるたびに繰返されることになる。2004年(平成16)10月23日の同じ新潟で起きた中越地震でもお馴染みの光景をテレビで見て、このパターンを少しでも解消する方策として、私自身のHP「市民ひとりひとり」に「第71弾 井戸の活用による地震後の避難生活の改善」と題した一文を04年4月11日にアップロードし、その内容を内閣府にメールで送って宣伝に努めたのだが、役に立たないと見たのだろう、覚悟していたことだが、関係省庁に紹介して今後の政策に役立てたいといった紋切り型の返信が来たきりでおしまいとなった。

 中越地震のときは老人ホームでも水不足が生じて、入居老人の排泄後などに身体を拭く水が満足に使えなくて、かぶれ等が生じているとテレビで報道していた。老人ホームのためにと仮に給水車を玄関先に常時1台デンと用意したとしても、ぎりぎりの人数で介護していることだろうから、そこまでポリタンクで水を補給しにいくこと自体大変に違いない。今回は病院で人工透析で何に水を使うのか、水が不足して透析機が使えず、患者を他の病院に回すと言っていた。

 大地震の場合、ガス・電気・水道が使えなくなるのはほぼ決定事項なのだから、その中でも最も必要不可欠とする水を緊急の場合、井戸水に替えることができるように日本全国どこでも準備しておくべきではないだろうか。日本全国というのは、日本列島自体が地震列島で、どこで地震が起きてもおかしくはないからだなのは断るまでもない。

 容量の関係で既に抹消してしまって、「案内にページに」題名のみを残しているHPを一部分紹介してみるが、「避難場所となる体育館やその他の施設に井戸を掘っておく。井戸掘り専門の業者に工事を依頼すると高くつくが、個人の技術で掘れないことはない。以前土木作業員をしていた頃、工事現場が水道が敷設されていない場所だったために、水道工事会社の人間が来て、足場に使う鋼管パイプで高さ3メートル程、平面が60センチ角程の長方形の簡単なやぐらを組んで、中心に長さ2メートルか2.5メートルで直径4~5センチかそこらと記憶しているが、地面に突き立てる方の先端に円錐形の鉄矢尻を取付けた鉄パイプを立て、反対の小口に100ボルトの電気で作動可能なコンクリートを破砕するハンマードリルを、その先端に取付けた鑿の部分だけを差込んで、倒れずに下降していく仕掛けにして固定してから電源を入れた状態にしておくと、ハンマードリルが鉄パイプに振動を与えて、少しずつ打ち付ける形となって、徐々に地面を穿っていき、場所がよかったかどうか分からなかったが、時間はそんなにかからなかったように記憶している、水を出すことに成功した。
 ほんの少々指導を受けたら、見よう見まねでできない作業ではない。但し、岩盤に当たったなら、掘削場所を変えなければならないのは当然なことであるが。あるいは地震の地殻変動で水が出なくなる井戸が出てくる場合に備えて、予備の井戸を何本か掘っておく必要がある。揚水パイプをフレキシブルのしておく工夫も必要になるかもしれない。」

 HPでは掘削場所を「避難場所となる体育館やその他の施設」としているが、その他に公園や各地域の公民館、あるいは幼稚園、老人ホーム、あるいは庭のある個人の住宅内等々が考えられる。具体的な掘削方法を紹介するHPがないかとインターネットで調べたところ、<臨時増ページ>と題したHPに井戸掘削の経験がなくても、水道工事や土木工事の経験者なら十分に理解できる内容が簡単に記してあった。

 道具はハンマードリルを含めて、一式10万円前後で購入できると思うから、地域で一揃い用意して、使い回せば全体としてコストは安く済むはずである。ハンマードリルはコンクリートを破砕する役目だけではなく、螺旋状の錐を取り付けると自動的に錐が回転して、コンクリートを錐の太さに応じて1センチ程度から最大10センチ程度の穴まで開けることができるようになっているから、掘削パイプの先端に取り付ける鉄矢尻(「鏃(やじり)」)の先端が螺旋状になっている、鉄よりも硬い真鍮製かチタン製の特注品を前以て取り付けておけば、大きな石に当たって進まなくなったなら、パイプの上端の小口に突き刺したハンマードリルの錐(ピット)を穿孔用に替えてパイプに固定するようにすれば、パイプ自体と先端の鉄矢尻(「鏃」)が回転して、場所を替えなくても石を穿つことができるかもしれない。

 上記HPには書いてなく、私のHPに書き漏らしたことだが、パイプを突き立てる前にその場所をバケツ1個分が入るほどにお椀状にスコップで掘り、中心を後でパイプが通るように穴あき状にして掘ったなりのお椀状に10センチほどの厚さでコンクリートを打つか、あるいは底の中心にやはりパイプを突き通せるだけの穴を開けたバケツを埋め込んで(少し隙間を空けること)、常にそこに水を注ぐことができるように水道からホースを使ってチョロチョロ水を出しておくと、パイプが振動するたびにパイプと土との間にできるほんの僅かな隙間に水が浸み込み、それがパイプの先端まで伝わって周囲の土を液状化してパイプを入りやすくすることができる。石に突き当たったとしても、それがたいした大きさでなければ、石の周りの土にまで水が滲み通って液状化し、パイプの振動によって石を少しずつ脇に移動させることができる場合もある。

 大人たちが巧みに掘れるようになったら、希望者がいるなら、小学生などに教えて手伝わせれば、社会勉強にもなるだろう。但し、井戸をたくさん掘ったからといって、すべてが間に合うわけではなく、給水車も必要だが、後手に回る他県からの給水車の派遣の必要性はかなり減るのではないだろうか。

 今回の地震では阪神大震災のときのように一般家庭での火災の発生はなかったようだが、井戸水を用意しておくことで、ボヤ程度の火災なら、大きな火事にしないで済むと思う。

 水が確保できたなら、トイレの問題も解決するのではないだろうか。私の上記HPでも書いているが、少し書き改めて紹介すると、給水車のタンクを濾過装置を取付けた浄化槽様のタンクに改良して、そこに直径10センチ~15センチの形状を固定できるホース使って仮設水洗トイレからの排泄物を流して溜め、順次水分は無害にして外部に排出して固形部分は圧縮する仕掛けとする。そいて一台のタンクを囲むように仮設トイレを複数配置し、その数だけのホースを一度に取り付けることができるように受け口を用意しておけば、より多人数の排便に短時間に対応できるようになるだろう。
 
 タンクが満杯になったなら、下水処理場に運ぶ。但し、いつ来るかも知れない地震に備えて浄化槽に改良した車両を用意しておくことはいたずらに車検費用や自動車税がかかるから、どの自治体にも防災関係の部署に大型の四輪駆動のジープを用意しているだろうから、用意していなければ、1台用意しなければならないが、そのジープで必要に応じて牽引する仕組みにタンク部分だけにしておけば、車検費用も自動車税もかからないはずである。

 日本全国無数に掘って地下水が下がる心配が出るということなら、2001.5.18(金曜日)にアップロードしたHP「市民ひとりひとり」第40弾「雑感AREKORE」の中の《ダムに変わる治水としての井戸》と題した1文でその解決策を示している。頭の中で考えただけのことで、効果の程は保証はできないが、紹介してみる。

 「ダム見直し論への言及が目立つ。その皮切りは長野県の田中康夫新知事で、ダム建設推進派が占める議会と敵対関係を生じせしめている。公共事業を利権としている業界、その業界を重要な支持母体としている議員としてはダム廃止は死活問題であろう。国政の場では民主党が自党の政策として、『ダム見直し論』を掲げた。
 だが、ダム見直し派はダムに代る有効で具体的な治水対策法を提示しているわけではない。頭の中で考えたことで、役に立つかどうかは分からないが、井戸がダムに代る治水対策の方法とはなり得ないだろうか。従来の井戸は地下水を汲み上げ、それを飲料・その他に供する目的のものである。だが、「ダム代用の井戸」は雨水や川の水を地下に導水して地下水に戻す機能を付加した役目を持たせることとする。
 具体的には、直径1メートルか2メートルの井戸を、家庭排水や工場排水を流さない雨水専用の側溝脇に必要本数だけ地下水脈に届く深さで掘り、それまで河川や海に流しっぱなしにしていた雨水を側溝から、それと接続させた井戸を経由させて地下水として戻す。掘削場所としては、雨水専用の側溝を公園内や河川沿い、低地帯に設けて、それに附属させる。河川が汚染されている場合は、中間に浄化装置を設け、水位が一定の高さに達したなら、井戸に誘導される構造のものとする。ただでさえ工場などで地下水を利用するために、全国的に地盤沈下傾向にあり、そのような状態を食い止める役目も果たせる。
 井戸は常に水質検査して、飲用に供することが可能なら、上水道を川の水としないで、井戸から取水することも可能となる。少しぐらいの汚れなら、浄化装置によって濾過・消毒してから、飲料水とすればいい。あるいは消火用の水、農業用水にも利用可能となるだろう。その他公園の散水、ガソリンスタンドの洗車、プールの水にも利用できる。
 河川流域のすべての市町村にそのような井戸を可能な限り掘削させたなら、大雨が降っても、あるいは短時間の降水量が急激だった場合、従来の側溝が許容量を超えて雨水を道路に溢れさせてしまうといった現象を抑えて、雨水は井戸に貯水される分、河川への垂れ流しが防止可能となり、それに比例して水位の上昇も低く抑えることが可能となるはずである。このような方法が可能だったとしても、予算の問題が残る。但し、『井戸方式』はダム建設に伴う自然破壊を免れることは確実である。」――

 広い敷地を持つ会社や工場に、その敷地面積と年間雨量を掛けた体積の雨水を自らの地下に収納できる本数だけの直径1メートル程度の井戸を掘るよう法律で義務付けたなら、自治体がカネをかけずに井戸の本数を増やすことができる。

この掘削方法はキャタピラ付のオーガ掘削機という重機を使うのだが、直径1メートル程の螺旋状の大型の長い錐を回転させて土を上に吐き出しながら掘っていき、ある程度掘ったら、錐の外形よりもほんの少し大きな鋼管を穴に吊り下ろして、再びオーガを降ろして土を掘りながら、その掘削に合わせて鋼管を必要な長さに溶接等で継ぎ足しながら降ろしていき、目標の深さまで掘っていく。

 鋼管の下部先端から長さ2メートル程上部まで直径2センチ程の穴を可能な限り前以て開けておけば、導入された雨水は鋼管底部に溜まり、その重量で次第に穴から地下に滲み出していく。

 クレーンとオーガ掘削機の2台があれば、他は必要な人員のみで、それ程大掛かりな工事とはならない。

 いわば雨水を地下に導入する井戸を用意し、一方で地下水を汲み上げて、その水を生活用水とする井戸を設けることで、地下水をバランスよく維持して、その減少を防ぐ方法である。

 今回は県知事が早い段階で自衛隊の出動を要請したようであるが、知事の要請を出動の要件とするのではなく、震度6以上の地震の場合は自動的に出動することに法律を変えて、より迅速に対応できるようにすべきではないだろうか。危機管理とは最悪のケースを想定して、そのことに対応できる活動を準備しつつ活動することだと思うが、最悪のケースでなかった場合、当然人数や資材及びコストに無駄が生じるが、肝要なことは市民の生命・財産の保全に役立たせることなのだから、最悪のケースでなければ、市民の生命・財産が脅かされる度合いが低かったということで、それで良しとして、無駄は無視すべきだろう。

 昨日夜のテレビで、避難生活を送る被災者が避難生活の疲れを風呂に入って取りたいが、入る風呂がない、老人ホームの風呂を一般開放して使えるようにしたが、希望者が多くて順番待ちの状態だと報じていた。老人ホームや旅館が風呂を一般開放しても、すべての希望に応えることは不可能で、だからだろう、自衛隊が明日には入浴できる設備を造設するとも伝えていたが、震度6以上は自動的出動なら、それが入浴設備であっても、より早い段階で市民の要望に応えることが可能となるはずである。

 現在中国に抜かれて世界第3位の経済大国に後退したのか、依然として世界第2位の経済大国の地位を守っているのか知らないが、いずれにしても地震が起きるたびに水の不便を市民に強いる場面を繰返すのは世界有数の経済大国として何ら発展を見ていないということにならないだろうか。

 いくら災害とは言え、不便を市民に強いる場面が何ら改良されずに繰返されるのは「美しい」情景とは決して言えないと思うのだが、安倍首相は被災地を見舞ったとしても「美しい国作り」が口先だけの奇麗事だから、それが美しくない光景だと気づきもしなかったに違いない。

 口先だけの奇麗事だから、足元の自民党から「美しい国」が「絵に描いた」だけのものでしかないといった批判を受けることになる。

 ≪美しい国、馬鹿にされた気がする≫(07.7.17.『朝日』朝刊)

 < 自民候補が首相を痛烈批判
 参院選高知選挙区(改選数1)で3選をめざす自民党現職の田村公平氏(60)=津島派=が16日、高知市内で開いた演説会で、安倍首相が掲げるスローガン「美しい国」について「意味がよく分からない。高知は明日の飯をどうやって食うかという追いつめられた状況にある。絵に描いた『美しい国、日本』で応援に来られて適当なことばかり言われたら、馬鹿にされたような気がする」と痛烈に批判した。
 田村氏は「美しい国って何でしょう」と前置き。「(首相が)私の選挙を心配するなら銭を持ってきてほしい。南海地震対策を政府の責任で5千億円ぐらいやったら、高知は地震や台風に耐えられる県になる」と訴えた後、首相のスローガンを批判し、「そういう思いをだれかが言わないといけない」と語った。
 首相は1日、高知県香南市で開かれた田村氏の決起集会に出席した。田村氏は05年8月の郵政民営化関連法案の採決で反対したが、総選挙後に法案が再提出された際には賛成に転じた。>

 それぞれに異なる利害を抱え、利害衝突のマグマを常に抱えている人間集団が表向きはどう取り繕おうと、陰の部分では必ずしも美しい姿を演じているわけではなく(政治に於ける選挙都合で主義主張・態度を変えるご都合主義、無節操、あるいは政治とカネの姿一つ取っても、そのことは証明できる)、当然「美しい国」は表面的には演じることはできても、様々な矛盾や錯誤、誤魔化し、無節操を表裏一体とした表面上の「美しい」でしかない。

 いわば自民党候補田村某が言う「絵に描いた『美しい国、日本』」ということになるのだが、そのことに気づかずに口を開くたびに九官鳥かオームのように「美しい国」と囀る。本人は素晴らしいと思っているのだろうが、安っぽいスローガンを口にしているに過ぎない。

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