江田五月の無責任発言「瓦礫処理は進んでいます」

2011-07-20 13:22:44 | Weblog



 昨日(2011年7月19日)の衆院予算委員会質疑で政府の瓦礫処理は進んでいないという自民党の追及に江田法務相兼環境相がケンカ腰でムキになって、「瓦礫処理は進んでいる」と答えていたが、最後になってケンカ腰がトーンダウン、その無責任な上合理的判断能力と観察眼を欠いた姿を曝した様子と菅仮免の政府の復旧・復興対策は基本的に進んでいるとする事実と反する発言を取上げてみる。

 小池百合子に引き続いて自民党2番手の茂木敏充議員の質問に対する菅の復旧・復興は進んでいるの発言。

 茂木議員が最新の内閣支持率、8割が菅首相を支持できないとする棒グラフをパネルで示して。

 茂木議員「世論調査の結果、国民の厳しい声をどう受け止めるか、歴代内閣でも最低レベルの支持率になっている。なぜそうなっているのか簡潔にお答えください」

 菅仮免「ま、世論調査を含めて、国民の声は、真摯に受け止めなければならない、えー、受け止めているつもりであります。

 えー、先程申し上げましたが、私は、3月11日の、おー、大震災発災以来、内閣として、やるべきことがやれているか、それともやれていないか、私なりに見てまいりました。

 えー、そして、えー、それは100点万点とは言えませんけれども、しかし、きちっとですね、当初の救命、えー、そして復旧、ウー、そして今復興、を進めております。そして原子力、うー、発電所の事故に関しても、ステップ1が今日で、予定通り、ま、一部は予定よりも、オ、前倒しで、あのー、おー、達成し、えー、ステップ2に向かっていくというところまで来ております。

 えー、そういう意味で、私は、内閣としてやるべきことは、あ、基本的に前進していると、そのように、え、考えていることも併せて、エ、申し上げて、えー、おきたいと思います」

 この手の答弁は大袈裟に言うと、何百回も繰返してきた、相変わらずと言っていい菅のツラにショウベンの、のらりくらりの答弁であろう。

 茂木議員「内閣としてやるべきことはやられている。ま、こういう話でありますが、具体的に震災の復旧状況を見てみたいと思います」

 と、義援金の配布率や瓦礫処理進捗率、仮設住宅菅成立、入居換算率等、具体的例を挙げていく。 

 「内閣としてやるべきことは、あ、基本的に前進している」という答弁に対して、では、なぜこのような支持率になっているのか、なぜ与党内からも菅退陣の声が上がっているのかと問うべきだったろう。

 最初の小池百合子議員が、6月下旬に「お墓にひなんしますごめんなさい」と書いて自ら命を断った被災者を取上げた質問を行っている。

 小池議員「このニュースを聞いてどう思われましたか」

 菅仮免「私も報道で、えー、このニュースを知りました。本当に、あのー、折角、地震、津波ー、の えー…、何とか命を、保たれた、あー…、方が、あー…、そのー、復旧・復興ー、えー、あるいは、避難生活の中で、えー、あるいは、あー…、将来の中、おー、の問題ー、について、えー、そういった、あー、形で、自らの命を絶たれたということについては、えー、まあ、大変、えー、政治の、おー…、十分、な手当ができないこと、を含めて、えー、えー、反省もし、また、大変申し上げなく思っています」

 小池議員「反省するだけではなく、政治と言うのは次が出ないように誠心誠意行うことではないでしょうか」
 
 そして一人だけの問題ではなく、×(かける)何百倍もの問題ではないかといったことを言っていた。 

 インターネットで調べてみたら、自殺者は福島県南相馬市の93歳の女性だそうだが、自殺の一因を菅仮免は「政治の十分な手当ができないこと」だと挙げた。

 要するに政治の手当が被災者一人ひとりに十分に行き届いていないということを言ったはずだ。

 このことを前提とすると、「内閣としてやるべきことは基本的に前進している」という答弁はできなくなる。だが、この答弁をオハコ(十八番)としている関係からすると、自殺の一因を「政治の十分な手当ができないこと」だとしたのは被災者の中から自殺者が出たことについて下手なことを言えないことからの外交辞令であり、「反省もし、また、大変申し上げなく思っています」も口先だけの反省に過ぎないということなのだろう。

 その程度の責任感しかないのは前々から知れていた。

 江田五月の「瓦礫処理は進んでいます」の発言の前に茂木議員の瓦礫処理の遅滞の追及に対する菅仮免の答弁を見てみる。前以てパネルで示した瓦礫処理率は219,964トンに対して7,564トン、34%(約なのだろう)となっていた。

 菅仮免「8月中には瓦礫処理は、あー、いわゆる生活地域からの、少なくとも、一次、イー、仮置場に移すという方向で、ま、それぞれの自治体、また、多少進捗状況に差はありますが、進んでおると聞いています」

 8月中に生活地域から一次仮置場に移すと1カ月も先のことを「進んでおる」としている。地震発生月の3月中は手をつけられなかったとしても、4月から5ヶ月も経過する計算になる。

 このような答弁に対して、茂木議員は「着実に進展している、被災者の実感と全く違うと思います」と批判している。

 茂木議員「我が党の小野寺(五典)議員が5月24日の震災復興特別委員会で、この(ハエ・蚊駆除の)対策の予算措置があるかどうか質問をしております。

 それに対して、総理、よく聞いてください。松本環境大臣は瓦礫処理に伴う衛生害虫の駆除は当然のことながら、災害廃棄物処理事業の対象事業と答弁しております。

 瓦礫処理に伴う衛生害虫の処理は処理事業の補助対象と、こういう答弁をしております。総理、これが政府の見解でよろしいでしょうか」

 江田五月が答弁に立つが、ムキになってケンカ腰で突っかかるような調子の答弁をする。

 江田五月「あの、瓦礫がですね、遅れている、ま、筆頭格のように言われますが、(ヤジ)答えます。筆頭格のように言われますが、私、土日行ってまいりました。前、法務大臣のときに見たときの比較で言えば、これ、オーキク進んでいる。

 その上で、今の有害、イー…、チュウ(虫)、虫(むし)ですね、。これは、廃棄物処理事業の補助事業の対象になる、と答えておきます」

 瓦礫処理は「オーキク進んでいる」とムキになって反論した。

 茂木議員「違うんですね(落ち着いた声で)。松本大臣が24日に答弁をした3日後、5月の27日に、ここに文書があります。ここに文書がありますけども、環境省の大臣官房、えー、廃棄物リサイクル対策部の廃棄物対策課長が、各都道府県のですね、災害廃棄物処理、エ、担当部長に文書を出しています。

 東日本大震災にかかる、エ、災害廃棄物処理事業の取り扱いについて、ま、こういう文書でありますが、ま、その内容を読んでみますと、2ページ目から、対象となる事業、これが列記してあります。

 そして3ページの最後の部分、からですね、補助事業対象から除外される経費及び事業という項目がありまして、その中に災害その他伝染病の流行の恐れがある場合行われる鼠族(そぞく)、ネズミですね、昆虫との駆除のための薬剤散布という項目が入っています。

 除外される経緯費、そして除外される事業の中に入ってるんですよ。国会答弁と被災地への通達、全く違ってるんじゃないですか。どうなってるんですか」

 江田はハエ・蚊の昆虫の駆除は「廃棄物処理事業の補助事業の対象になる、と答えておきます」とケンカ腰で断言した。

 江田五月「これは今申し上げたとおり、ちゃんと処理します」

 茂木議員「通達が違っている。国会答弁と通達が違うんです。全く180度。どうなってるんですか」

 江田「それは申し訳ありませんが、あのー、私、えー、先月の末に就任したところで、その他の事情はつまびらかにしておりませんが、私の責任でこの廃棄物をきちっと処理って言うことは環境省が責任を持って処理するってことを申し上げて起きます」

 茂木議員「就任したばかり、そんなこと理由にならないんです。それは菅内閣の都合なんですよ。被災地が替えているわけではないんですよ。コロコロ大臣を替えているのは、菅さん、あなたなんですよ。その問題がこういったところにも出ているわけなんです。ですから、通達を出し直してください。

 そしてこの経費が入っていません。これから夏にかけて伝染病の蔓延、被災地に大変大きな問題です。そして、予算にしたら、50億円ですから、総理がここで決めたらできることです。50億です。総理、ここで決めてください」

 「就任したばかり、そんなこと理由にならないんです」と批判したなら、その無責任さを追及すべきだったろう。被災地の復旧・復興は日本全体の政治・経済にかかってくる重大問題なのだから、些かの遅滞は許されない、少なくともそういった姿勢で臨むべきことが被災者に対すると同時に国民に対する政治の責任のはずである。

 実態は厳格に行うべき引継ぎを単に怠ったに過ぎない。自らが責めを負うべきその怠慢を棚に上げて、就任したばかりで知らないと逃げる。その無責任さを江田は曝け出した。開き直ってキレたに過ぎない。

 江田五月「(相変わらず突っかかるように)だから、よろしいですか。この別に私が就任間近だから、それをちゃんと申し上げたんで、責任がないと言ってるわけではありません。

 従って、これはゴミの処理の問題ですから、環境省が責任を持って処理するっていうことを言っているわけです」

 一大臣が「就任間近だから」知りませんで済ましていること自体が既に責任逃れになっていることに気づかずに処理に関することの責任でかわすゴマカシを働いている。このこと自体も無責任な態度であろう。

 しかも被災自治体、被災者にとっては重大な問題であるにも関わらず、「これはゴミの処理の問題ですから」と、些細な問題であるかのように言う無責任さも底なしである。

 茂木議員「先ず通達を出しなおしてください。それから今問題になっているのは単純に瓦礫の処理置場じゃないんです。瓦礫の処理置場、撤去したあとの水溜りにもハエが出てます。さらに言うと、避難所にもハエや蚊が出ています。これは環境省でできません。

 だから、総理、内閣の責任者のあなた、総理に聞いてるんですよ。50億の対策費を是非補正予算に盛り込んでください。総理お答えください」

 江田「今、通達について私がつまびらかにしていないというのは一つ、ご理解ください。

 しかし、しかし、その通達がそうなっているなら(ケンカ腰)、私の責任で色々と官邸の皆さんと相談して変えます」

 相変わらず前任者との引継ぎのまずさを棚に上げた、自分には責任はないという態度となっている。

 菅仮免「ま、あの、ハエとか蚊の発生は、あのー、心配をしております。先日、防衛、大臣の方からですね、えー、自衛隊の方で、え、こういった駆除の、お、部隊がいるので、それを、あの、派遣したいという、うー、ことを、あの、お話がありまして、それは是非お願いしたいと言うことを、おー、言ってまいりました。

 えー、そして今、あー、環境大臣からもありましたが、あの、この作業で、えー、補助、事業としてやると、いう方針を明確にされましたので、それに必要な費用については、あのー、補正予算と言わずに、あー、いわゆる、予備費等もありますので、えー、きちんとした、財政措置、必要な財政措置は、えー、やら、やるように指示をいたします」

 野党議員から指摘を受けてから、やると言う。補正予算ではなく、予備費があるから、そこから財政措置をすると言う。これも「内閣としてやるべきことは基本的に前進している」と言っていることに反する遅滞を示す状況に他ならない。

 大量のハエの発生は6月初旬の時点でマスコミが報道している。6月の気温上昇で冷凍庫から津波で流されたサンマやサメのすり身が腐ってハエを大量に発生させ、その臭気が海岸から2キロ、3キロと離れた仮設住宅にまで風に流され、そこでもハエ・蚊を発生させているという。

 それを1カ月以上も過ぎて防衛大臣の方から駆除の部隊がいるから派遣したいと申し出る。「基本的に前進している」と言うなら、気温が上昇する前に上昇と共にハエ・蚊の発生を予想して駆除の対策を施しておくべきだったはずだ。施しもせずに「基本的に前進している」と言う。

 昨夜の「asahi.com」記事が、陸上自衛隊が150人態勢のハエ駆除の防疫支援隊を編成し、そのうち陸上自衛隊第6師団の防疫支援隊19人が昨日(2011年7月19日から)から大量のハエが発生している宮城県塩釜市の離島で駆除作業を開始したと伝えている。遅い出番と言わざるを得ない。

 自治体でも薬剤を散布しているが、積みあがった瓦礫の下の隅々まで散布するのは困難で、発生に追いつかないと言う。

 自民党5番手の小里泰弘議員も瓦礫処理で政府の対応を追及している。

 小里議員「(政府の)瓦礫処理が遅れている、その原因は何でしょうか。いくつかお答えください。総理、お答えください」

 江田「瓦礫処理の問題が、あー、この遅れている、うー、ものの一つ、典型的なものと挙げられている、うー、ことはよく承知しております。(相変わらずケンカ腰)ホントーに遅れているかどうか。

 これはやはり私は、本当に皆さん考えていただきたいと思うんです。私は4月の半ばに、4月の初めです。法務大臣として気仙沼に行ってまいりました。そのときに、そのときに、津波の状況をよく見てまいりました。もう身の毛もよだつような事態でした。

 そして先週、土日に、今度は宮古とか、あっちの方に行ってまいりました。そうするとですね、確かにそれは仮置場でありますよ。仮置場ではあるけれども、生活の現場からはちゃーんと移されているんです。

 そして今、7月の14日の数字で言えば、ほぼ40%近くまで、えー、処理をされております。あるいは、また8月の末にはほぼ沿岸の市町村の全てに於いて一次処理まで、一次仮置場にまで移すという、そういう方針で前へ進んでいます。遅れた、遅れたと、いうことだけ言わずにですね、どういう状態で進んでいるかということをちゃんと見ていただきたい(拍手)。

 これ程大量の瓦礫があって、しかも、そこの底はご遺体が埋まっていたというような状況の中で、自衛隊10万人を注ぎ込みながら、塩もかかっている、あるいはヘドロもかかっている、そういうものをやってきているんでありまして、(怒りも露に)ここんところは国民のみなさんにもよく分かっていただきたいと思っています」

 余っ程菅仮免内閣低支持率が腹に据えかねているようだ。遺体捜索はほぼ終了しているはずだし、終了した地域から瓦礫処理を進めていたはずだ。それを自衛隊を持ち出し、遺体捜索を今更ながらに持ち出す。責任逃れ以外の何ものでもない。

 小里議員「全く答弁になっておりません。(落ち着いた声で)先週ですね、先週被災地意見交換会で、えー、多賀城市の市長さんだったと思いますが、こうおっしゃっておられました。『学校のすぐ傍に瓦礫が5メートルも積んであるんですよ。悪臭がたまらない。ハエがたかって、授業にならない』、ま、大変な声でありました。グラウンド学校、いや、グラウンドとか野球場とか、公園とか使えるところを全て使ってですね、今もう、一次置場で使われて、満杯状態なんです。

 こっから次の段階に一刻も早く移していかないといけないんです。今はですね、えー、この第一次仮置場にある。これを次ぎの第二次仮置場に運んでいかなくてはならない。

 さらに、その先の最終処分までですね、本当にこの気の遠くなるような作業工程が待っているわけであります。40%とおっしゃいましたけど、その中のほんの第一次仮置場、入口の部分のその4割に過ぎないんですよ。全体から見れば、瓦礫処理は緒に就いたばかりであるということを、しっかりと認識をしていただきたいと思います」

 18日月曜日の「ビートたけしのTVタックル」でも生活地域に近い海岸近くの広場が瓦礫の仮置場になっていて、ハエが大量発生していると報じていた。また街中の道路は瓦礫一つないが、多分家が流されて空き地となった場所なのか道路脇ギリギリのところまで瓦礫が小高く積み上げられていて、ときにはそれが壁のように何メートルか続いている光景をテレビでよく見かける。

 一次仮置場だろうが二次仮置場だろうが、そういった場所自体が生活圏近くに設置されていたなら、処理率何%と言ってもかなり意味を失う。それも40%の処理率なら、さして意味はない数字となる。

 こういった状況を認識できずに「瓦礫処理は進んでいる」と言う江田は無責任であるばかりか、合理的判断能力も観察能力もないぼんくらと言わざるを得ない。

 小里議員が自民党が野党と共同で7月1日に国会に提出した瓦礫処理特別措置法案を進めて欲しい、「被災地のみなさんから、自民党案なら瓦礫処理が進むといっている」と促されて、江田が答弁している。 

 江田「えー、野党のみなさんが、あー、大変前向きに様々なチエを、おー、出して、法案を提出して、いただいていることは、これは、あの、私共も高く評価したいと思います」

 江田はさすがに自らの認識不足に遅蒔きながら気がついたのだろう。ケンカ腰も突っかかる様子もトーンダウンさせて、物分りのいい口調となっていた。

 但し、自民党案よりも民主党案の方が優れている、役割分担は余程しっかりしていると負け惜しみの強いところを見せ始めた。

 与党であり、政権党である。菅内閣として瓦礫処理法案を8日に閣議決定して、開催中の国会に提出する予定だと言うが、瓦礫処理こそ、復旧・復興のスタート地点なのだから、この点も菅仮免が言うように「内閣としてやるべきことは基本的に前進している」状況に反する遅れ、遅さとなっている。

 勿論、江田の「瓦礫処理は進んでいます」は事実に反する虚構に過ぎない。二人とも単に責任逃れから事実でないことをさも事実であるかのように言い触らしているに過ぎない。無責任な連中だ。


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