橋下徹と石原慎太郎の怪しくなってきた熱愛関係が今、面白くなってきた

2012-12-02 11:09:21 | Weblog

 日本維新の会と太陽の党は原発政策や消費税問題で食い違いがあった。にも関わらず、石原慎太郎太陽の党代表の「小異を捨てて大同につく」の主張を受け入れ、政策の食い違いを乗り越えて、日本維新の会が太陽の党を吸収する形で合流した。

 原発政策に関して言うと、「大同小異」を厳密に解釈するとしたら、原発政策の違いを「小異」と見做したのであって、見做した以上、自分たちが目指した大同を力とするためには旧太陽の党側か日本維新の会側か、いずれかの側がか、あるいは双方が共に原発政策を捨て去さなければならないはずだ。

 そうでなければ、大同小異を障害なく維持することはできない。

 足して二で割るといった妥協は政策そのものを後退させるか、歪めることになる。

 だが、日本維新の会側も旧太陽の党側も、いずれも自らの原発政策を捨て去ることができなかった。

 結婚したら女性は家庭に入るべきだと固く信じている男がキャリアウーマンと結婚、女性が仕事を続けることを主張したために小異を捨てて結婚という大同を手に入れるために妻の仕事を許したとしても、家に帰っても妻は残業で帰りが遅くなり、一人の時間を過ごさなければならない、妻が出世して地位も収入も夫と遜色ない立場に立ち、家庭に入る女性に対して夫が振る舞うことのできる言動さえ抑えなければならないとなったら、ストレスが溜まって小異を捨てて結婚したことを早晩後悔することになったとしても不思議はない。

 11月29日(2012年)に発表した日本維新の会衆院選公約と同時に公表した「政策実例」は原発政策に関して次のように記載している。

 「原発政策のメカニズム、ルールの変更。既設の原子炉による原子力発電は2030年代までにフェードアウトする」

 日本維新の会側の原発政策を押し出し、旧太陽の党側が自らの原発政策を小異として捨て去ったかに見える。

 しかし実際は捨て去っていなかった。小異を小異として抱え込んでいて、この公約に旧太陽の党側の石原慎太郎日本維新の会代表が異を唱えた。

 このことは石原慎太郎の「小異を捨てて大同につく」主張を自ら破る言動となる。

 《維新、30年代まで脱原発 石原氏「直させる」》TOKYOWeb/2012年12月1日 朝刊)

 11月30日の記者会見。

 石原慎太郎「今から30年代に原発をなくすなんて非常に暴論に近い。(公約を)直させる。橋下徹代表代行とも合意している。

 経済をシミュレーションした先に原発を考えなかったら、私はやっていられないし、代表を辞める」

 国民の安心よりも経済を優先させるべきだ、日本維新の会の原発政策では「私はやっていられない」、引っ込めなければ離婚もあり得ると険悪な様相を呈してきた。

 これでは小異どころではない。“大異”そのものである。

 記事は記者会見に先立つ党首討論会の石原発言も伝えている。
 
 記者「(原発ゼロによって、石原氏の)これまでのスタンスだった核(兵器の開発)のオプション(選択肢)を失ってもいいのか」

 石原慎太郎「それは困る」

 記事は石原慎太郎が如何に原発維持のスタンスでいるかを伝えたかったようだ。

 石原慎太郎の原発政策見直し発言を松井日本維新の会幹事長は同30日、否定している。

 松井幹事長「橋下氏と石原氏が発表した。党としての決定だ」

 両者の合意の元の決定済みだと、見直しを否定している。

 石原慎太郎の離婚も辞さいない険悪な状況に周囲から離婚を勧める動きが出た。12月1日の《古賀茂明氏のツイッター》

 古賀茂明橋下さんへの切なるお願い その1 間違えたということはよくお分かりだと思います。理念も政策も違う石原さんや旧たちあがれ日本の老人たちと決別してください。そして、みんなの党と選挙協力をやり直してください。そうすれば、国民は付いて来ます」――

 元通産(経産) 官僚の古賀氏は橋下徹のブレーンの一人である。ブレーンの立場から、「間違えたということはよくお分かりだと思います」と早くも熱愛が冷めていると推測、早く別れた方がいい、離婚すべきだと忠告している。

 11月29日、日本維新の会衆院選公約発表記者会見での橋下徹の発言に対しても批判している。

 橋下徹(公約発表記者会見)「日本未来の党ですか、飯田哲也さんがブレーンについていますけども、僕はあのブレーンに大阪府市戦略会議の委員になって貰って、1年間議論して貰っているけど、プラン出ていないんですから」

 日本未来の党の飯田氏を例に取って、どの党も卒原発・脱原発のプランなど簡単には出ないとの趣旨の発言である。

 古賀茂明橋下さんへの切なるお願い その2 『大阪府市のエネルギー戦略会議が脱原発の工程表を出していないから原発ゼロとは言えない』という言い訳は止めて下さい。20回開催した後、9月にこの会議を止めたのは橋下市長と松井知事です。エネルギー戦略会議は大阪府市の会議です。政治利用は止めて下さい」――

 エネルギー戦略会議は大阪府市の会議であって、日本維新の会のために議論している諮問会議でも何でもないから、自分たちのために議論させていたのにできなかったような発言は控えるべきであるし、しかもエネルギー戦略会議を9月に止めているのだから、プランが出ていないことの批判は当たらないし、政治利用だと言っている。

 橋下徹は石原慎太郎に激しいまでの熱愛を寄せていた。

 橋下徹「一国民として石原首相を見たい。石原首相と僕に任せてほしい」(2012年11月18日テレビ番組)

 だが、その熱愛に対して石原慎太郎はあくまでも冷静である。

 石原慎太郎「橋下君が(首相に)一番ふさわしいと思うが、当分、首長(大阪市長)の席を離れるわけにいかない。平沼君を推挽(すいばん)したい」(YOMIURI ONLINE

 石原慎太郎は俺よりも平沼の方がいいと言っているのである。橋下徹の石原慎太郎に寄せる熱愛は片想いの様相を呈していると言っていい。

 日本維新の会がキャスティングボートを握って社会党の村山富市が自社さ連立政権で所属政党が少数派であるにも関わらず首相になれたヒョウタンからコマの二匹目のドジョウで平沼が首相になる可能性は捨て切れない。平沼は天皇を「天皇様」と様づけする程の超保守主義者である。

 石原の勧めに橋下徹は小異を捨てで大同につく習いで二つ返事で乗るだろうか。「いいでしょう、小異を捨てて大同につく。平沼さんとベッドに入りましょう。国のためです」と。

 原発政策ばかりか、誰を首相に就けるかでも、考えに違いが生じている。平沼首相を脇からコントロールしようとしても、果たして石原慎太郎のコントロールと橋下徹のコントロールとどちらに効き目があるかである。

 平沼側からしたら、石原慎太郎の方のコントロールを受け入れる確率の方が高いはずである。親和性は橋下徹に対するよりも石原慎太郎に対する方が遥かに強い。

 誰のコントロールで動くかで大きな違いが出てくる。大同小異で切って捨てるか、切ることができずに熱愛を一挙に冷却、高嶋政伸と美元の関係を辿るのか、橋下徹と石原慎太郎の怪しくなってきた熱愛関係が今、面白くなってきた。

 芸能記者が高嶋政伸と美元の関係を追いかけたように、政治記者にとって橋下徹と石原慎太郎の今後の関係が注目の的になるに違いない。


コメント (2)
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