各マスコミの衆院選中盤情勢は序盤情勢に引き続いて自公で300議席超す勢い、民主党惨敗、80議席割り込む可能性を伝えている記事もある。
また民主党の閣僚経験者の苦戦も報じている。
民主党幹部「やらないと言っていた消費税増税をやった。それがもろに直撃している」(MSN産経)
既に結果が出ていると言っても過言ではないこの惨敗の原因は多くがそう思い、民主党幹部がその思いを代弁しているように見える野田内閣のマニフェストには書いてなかった消費税増税が原因ではなく、菅、野田とウソをつき続けてきたことが真の原因であろう。
確かに小沢一郎氏及びそのグループと執行部の内部抗争が多くの国民の失望を買っただろうが、内部抗争自体は菅無能がマニフェストに書いてなかった消費税増税を打ち上げ、野田内閣が強硬に増税に向けて突っ走り出したことが、増税に反対の小沢氏とそのグループとの激しい対立となったのであり、遠因は消費税増税の画策にあるものの、現在の内閣支持率や政党支持率に直接的につながった原因ではない。
鳩山元首相も普天間移設問題で、「国外、最低でも県外」と言いながら、沖縄県内で日米合意という大きなウソをついた。だが、そのウソは菅や野田がついたウソの比ではない。
消費税増税が民主党2013年衆院選大惨敗の原因ではない理由を最初に述べる。
毎日新聞の世論調査では菅無能内閣時代の2010年8月の消費税増税賛否は賛成51対反対44と賛成が上回っている。
但し同新聞社の2010年12月の世論調査では賛成46対反対50と逆転。
この2回の世論調査から分かることは国民は消費税増税に一方的に反対の意思表示を示しているわけではないということである。
2011年に入って1月14日~15日の読売新聞社の世論調査。
消費税増税
「必要だ」――61%
「そうは思わない」――35%
2011年3月の朝日新聞社世論調査。
「社会保障財源確保のための消費税増税は必要か」
賛成――57%
反対――37%
2011年9月2日野田内閣発足3カ月後の2011年12月の産経新聞社とFNNテレビ合同世論調査。
「消費税率の引き上げは適切か」
「適切と思う」――56.8%
「適切と思わない」――41.9%
「他」――1.3%
こう見てくると、反対一辺倒ではなく、この時点では賛成が上回っていたのである。
だが、そのうち50%を挟んで消費税増税反対が50%を僅かに上回り、賛成が50%を僅かに切る逆転状況で推移することとなった。
上記2011年12月の産経新聞社とFNNテレビ合同世論調査が消費税増税と衆院選の関連を質問している。
「消費税増税の是非を問う衆議院選挙はいつがよいか」
「消費税関連法案を国会に提出する前」――42.5%
「消費税関連法案を国会に提出し成立する前」――22.8%
「消費税関連法案が成立した後で税率を引き上げる前」――18.6%
「税率引き上げを実施した後」――9.7%
「他」――6.4%
同じく2011年12月の共同通信の世論調査。
「衆院解散・総選挙の時期について」
「消費税増税法案の成立前」――50・7%
「法案成立後、増税実施前」――25・4%
「法案成立後、増税実施前」は野田首相が主張していた時期だが、世論は国会提出前か成立前を圧倒的に望んでいる。
2009年民主党マニフェストは消費税は「現行の税率5%を維持」と明記、4年間上げないとし、税率を引き上げるときは「引き上げ幅や使途を明らかにして国民の審判を受け、具体化します」と、4年後に税率を引き上げるにしても法案成立よりも国民の審判を先に持ってきている。
消費税増税に関しては半数以上の有権者が社会保障制度維持のためには止むを得ないと一旦は納得したものの、増税に対する審判はマニフェストの約束通りの履行を求めたということであろう。
だが、野田首相は実際の増税時期は衆院任期4年後の2014年8%、2015年10%だからマニフェスト違反ではないと強弁のウソをつき続け、しかも「法案成立後、増税実施前」を主張、国民の要求に反して国民の審判を後回しにして増税だけを決めてしまうウソを行った。
しかも消費税増税法が国会成立すると、2012年8月10日の消費税大増税法成立記念記者会見で新たなウソを用意した。
野田首相「消費税を引き上げるということ、国民の皆様に御負担をお願いするということは、2009年の総選挙で私ども民主党は勝利をさせていただきましたけれども、そのときのマニフェストには明記してございません。記載しておりませんでした。このことについては、深く国民の皆様にこの機会を利用してお詫びをさせていただきたいと思います」――
散々にマニフェスト違反ではないとウソをついておきながら、消費税増税法が成立すると、マニフェストには書いてなかった、書いてなかったことを謝罪すると、マニフェストに書いてなかった増税を図った公約違反をではなく、マニフェスト作成時期に遡って書いてなかったこと自体が誤りであったかようにすり替える巧妙・狡猾なウソをついている。
これで国民が騙されると思ったのだろうか。
「社会保障と税の一体改革」と言いながら、消費税増税だけを先に決めて、社会保障制度の形を整えるのを後回しにしたこともウソの一つに加えなければならない。
「福島の再生なくして日本の再生なし」と被災地復興最優先を言いながら、復興予算を被災地の復興とは関係のない、また防災・減災とも関係の薄い事業に流用するウソを見逃し、結果として「復興」という名をウソにした。
数え上げたなら、きりもなくウソをついている。
菅のウソを並べてみよう。
先ずは2010年7月参院選敗北、その責任を棚に上げるウソを犯し、参院与野党逆転が与党としての主体性を失わせ、妥協を強いられる国会となることは目に見えていたにも関わらず、「熟議の国会」とする「天の配剤」だとゴマ化すウソを働いた。
それがウソなのは後の国会攻防が証明している。
2010年7月参院選前にマニフェストで約束していない消費税増税を突然持ち出したウソ。参院選遊説の先々で消費税を上げた場合の低所得層に対する逆進性対策として「給付付き税額控除だ」、「かかった消費税分は全額還付だ」と、その時々で言うことが違い、しかも対象年収限度額を「年収200万円とか300万円」、「年収が300万円とか350万円以下」、「年収300万~400万円以下の人」と、これまた場所場所で言うことが違う、当然思いつきで言っていることだから、いずれかがウソとなるか、あるいは全部ウソとなるウソを約束し続けた。
大震災発生の危機管理対応では最初から最後まで迅速な自衛隊派遣、その10万人体制を勲章とし、その救助人数を、「今朝の報告では、2万6650名の皆さんを、自衛隊はじめ、多くの機関で救助することができた。関係者の努力に改めて感謝を申し上げたい」と誇って、自らの功績としていたが、危機管理対応の実態は放射性物質の飛散からの被災者の避難にしても、適切であるべき情報公開にしても、失態や不手際を繰返していたのであり、さらには被災者に対する生活支援にしても、仮設住宅建設にしても、救援を円滑化する初期的な最小必要限度のインフラの復旧にしても遅れを見せて被災者に数々の不自由を強いる責任不履行を演じていたのである。
いわば自衛隊の迅速な派遣の功績を自身のすべてに亘る責任の履行であるかのように見せかけて、責任不履行の役割に関しては責任なしと目を背けるウソを最後まで平気でつき続けた。
だから、菅無能は2011年8月26日の辞任記者会見で次のように言うことができた。
菅仮免「政権スタートの直後、参議院選の敗北により、国会はねじれ状態となりました。党内でも昨年9月の代表選では全国の党員を始め多くの方々からご支持を頂き、再選させていただきましたけれども、それにも関わらず厳しい環境が続きました。そうした中で、とにかく国民のために必要な政策を進める。こういう信念を持って1年3カ月、菅内閣として全力を挙げて内外の諸課題に取り組んでまいりました。退陣に当たっての私の偽らざる率直な感想は、与えられた厳しい環境の下でやるべき事はやったという思いです。大震災からの復旧・復興、原発事故の収束、社会保障と税の一体改革など、内閣の仕事は確実に前進しています。私の楽観的な性格かもしれませんが、厳しい条件の中で内閣としては一定の達成感を感じているところです」――
「やるべき事はやった」が事実なら、石もて追われる如くに辞任に追い込まることはなかったろう。
責任不履行をウソで凌いできた。
野田民主党の2012年衆院選大敗北は菅・野田の数々のウソの成果だと断言できる。
歴史は二人を民主党政権を潰した戦争犯罪人だと断罪するに違いない。
嘘の成果の陰で「国民の生活が第一」の小沢氏と以下の議員がトバッチリを食い、そのトバッチリが「日本未来の党」にも影響している。