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《生活の党機関紙第14号(6月1日付)発行 》
《5月30日(金)鈴木克昌生活の党代表代行・幹事長定例の記者会見》
『一強多弱の状況を打破するためには、野党再編に向けて動いていかなければならない』
【 質疑要旨 】
・野党再編の中での民主党の動きについて
・北朝鮮拉致問題について
・リベラル連合について
・民主党海江田代表について
海江田民主党代表が有識者や地方議員らによる「党改革創生会議」を新設して、6月4日に初会合を開くことになったという。いわば2012年12月総選挙で大惨敗したまま、党改革創生が成されていないからということになる。
砕けた言い方をすると、党勢のジリ貧状態が続いていて、一向にジリ貧状態から抜け出ることができない。来年春には統一地方選挙を控えている。このままの状態では統一地方選も自民党一方勝ち、民主党二の舞いの大惨敗となりかねないのではないのかという懸念が党内外に広がっているということなのだろう。
そこで政治の世界では恒例の党首降ろし――海江田降ろしの場面の出現ということになるが、まだその芽が顔を覗かせた段階で、来年9月の代表の任期満了を待たない代表戦前倒しを求める声が出始めたといったところらしい。
人間は生活最優先の生きものである。経済が回復軌道に乗っている現在、安倍晋三の国家主義的如何わしさ隠すことに成功しているから、その人気に陰りを期待することは難しく、民主党が余程の衝撃を与える策を講じない限り、海江田代表の地味であることも手助けとなっている影の薄さは拭い去ることはできないように見える。
ここで衝撃を与える改革とか政策とか言わずに、策と言ったが、人間が生活最優先の生きものである以上、国民が最優先に関心を持つ改革や政策は社会保障制度や景気対策といった生活関連を対象とすることになるから、国政を直接担っている現政権がそれらの改革や政策に破綻を来しさえしていなければ、国政を担っていない野党の改革や政策は、それが如何に立派な文言で提示されたとしても、試行できない制約を受けることになって、国民の手に届かない不利を強いられるため、一強多弱の真の原因はここにあるのだが、改革や政策以外の何らかの策以外に党勢回復を期待するしかないからだ。
このことは世論調査に現れている。安倍晋三の集団的自衛権の憲法解釈変更容認反対が優勢であっても、逆に内閣支持率がポイントを増やす現象は国民が最も関心のある生活関連の政策が破綻を来していないどころか、逆の状況にあることが原因となっているはずだ。
一強多弱を破るためには現政権の、特に生活関連の改革や政策が破綻を来たすのを待たなければならない。
では、民衆党党勢回復にはどのような策があるだろうか。それも衝撃的な策でなければならない。
国民は鳩山首相の普天間基地県外移設の迷走と、菅無能の2010年参議院議員選挙直前の十分な検討と準備を重ねたわけではない消費税増税の安易な提示及び2011年3月11日発生の東日本大震災に対する危機管理無策と、野田首相のマニフェストにはない消費税増税の国民に対する裏切りを、国民に底知れない失望と無力感を与えるキッカケとなったばかりではなく、民主党からの国民離れの象徴的政治行為として、あるいは民主党凋落の象徴的な一連の政治現象として未だ記憶しているはずだ
この記憶が現在、安倍政治の順風満帆から受ける逆風と相まって民主党が党勢を回復できない原因ともなっていると見るべきだろう。
だとすると、安倍政治の破綻を待つだけでは無策に過ぎるから、国民の民主党に対するこれらの記憶に手を加える何らかの策を講じて記憶を抹消することが必要となるが、安倍政治が順調にいっている関係から、一度刻み込んだ民主党に対する不甲斐なさの記憶は安倍政治と比較対照されてその抹消は難しいため、新たな記憶を加えて相対化させる手を使って、国民が最初に記憶した像から遠ざける方法が適切となる。
毒に対して同じ毒を用いて、後者の毒に国民の記憶を惹きつけて、最初の毒を薄れさせる。具体的には鳩山・菅無能・野田佳彦がそれぞれの政治に見せた不甲斐なさの記憶を鳩山・菅無能・野田佳彦が自己批判して、その自己批判がホンモノであることを証明するために、2012年12月総選挙に立候補せず、既に議員を引退している鳩山を除いて菅無能・野田佳彦は議員辞職する。
鳩山由紀夫は自己批判のみにとどめる。
自己批判を待つまでもなく、鳩山・菅無能・野田佳彦がそれぞれに民主党の今日の凋落を招いた責任は議員辞職に相当するはずだ。だが、後者2人は議員辞職せずに議員の地位に居座っている。
その議員辞職を自己批判後に持ってくれば、それが遅過ぎるという批判を招いたとしても、国民の議員辞職に相当するというかつての思いを一応は納得させるさせるだけではなく、腹の据えたところを見せることになって国民の記憶に、「思い切ったことをしたな」といった、それなりの衝撃を与えるはずで、そのことが最初に植えつけた歴代民主党首相の不甲斐なさの記憶を弱める働きへとつながっていくはずだ。
とすれば、今度創設した「党改革創生会議」が最初にやるべきことは鳩山・菅無能・野田が何をどのように自己批判するか、その内容の列挙ということになる。
鳩山由紀夫の場合は普天間移設の迷走と母親からの資金提供の問題。菅無能の場合は、最初に触れたように何の準備も党内の打ち合わせもなく消費税増税を打ち出したこと、しかも増税率10%は「消費税で自民党と一緒の主張をすれば争点から消えるから大丈夫」だと自民党が掲げていた10%を持ってきた一国の首相にあるまじき安易さ、そして東日本大震災の際の情報開示の数々の不手際、内閣運営の稚拙さ、住民避難の混乱等々を挙げなければならない。
野田佳彦の場合は何と言っても、政権交代前は遊説で、「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです」と消費税増税に反対していながら、首相就任後消費税増税を打ち出し、マニフェスト違反ではないかと批判されると、法律は通しても、実際の増税時期は衆院任期4年後の2014年8%、2015年10%だからマニフェスト違反ではないとウソを強弁し続け、そして自らが衆院解散を宣言した後の総選挙で民主党が大敗し、今日の民主党凋落へとつなげた罪は重い。
民主党政権衆議院議員の任期は2009年8月から2013年8月である。任期まで務めて、増税のスケジュールはたいして変えずに済んだはずで、次期総選挙の争点に消費税増税を掲げて自民党と戦ったなら、国民の多くからマニフェスト違反と叩かれることもなかったろうし、マニフェストを守るべきだとする勢力との党内抗争も起こることもなかったろうし、当然、党が分裂することもなかったろうから、かくまでも惨敗を喫することもなかったはずだ。
ウソとゴマカシで消費税増税法を成立させ、民主党の凋落を招いた。
鳩山由紀夫と菅無能と野田佳彦歴代民主党首相の自己批判と菅無能と野田佳彦の自主的な議員辞職以外、国民に植えつけた民主党に対する失望と不甲斐なさの記憶をそれなりの衝撃的な記憶に植え代えて腹の据えたところを見せる以外に縋る党勢回復の方法はないのではないだろうか。