W杯日本チーム・サポーターのゴミ拾い絶賛評価はゴミを捨てないことで受けて初めて正当性を得る

2014-06-18 07:54:58 | Weblog

 


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 反発を受けることを覚悟して、ひねくれた国賊日本人として敢えてケチをつけようと思う。

 今回のサッ カーW杯ブラジル大会6月15日の日本対コートジボ ワール戦、日本は1対2の逆転負けを喫したが、試合後、日本チームのサポーターたち数百人がゴミ拾いを行い、その場面をその場に居合わせたブラジル人が撮影し、動画投稿サイト・ユーチューブに投稿、世界中でたちまち評判になったと各マスコミが伝えている。

 ゴミ袋は日本チームのユニフォームと同じ揃いの青色。試合中、それを膨らませる形にして左右に振るなりして応援していたから、試合後のゴミ拾いを前以て予定していたのだろう。

 世界のマスコミが伝えた絶賛の数々。

 「試合には負けたが、礼儀正しさで高得点を挙げた」

 「日本は初戦を失ったが礼儀正しさの面では、多くのポイントを獲得した。日本人サポーターの行為はインターネット上で大いに称賛されている」

 「日本のサポーターは、試合後の礼儀正しさを示した」

 「市民の模範」

 「日本のサポーターは雨のなか、ゴミ拾いをして気品を示した」

 「尊敬に値する素晴らしいマナーだ」

 「敗北したが、日本の応援団のカリスマ性はブラジル人の心を掴んだ」

 「民度の高い国は尊敬に値する」等々――

 彼らは日本チーム・サポーターが陣取った観客席だけではなく、他の観客席のゴミまで拾ったのだろうか。とても拾うことのできる広さではない。それぞれの記事を纏めてみると、ゴール裏に数百人の日本チーム・サポーターが陣取って、彼らが率先してゴミ拾いを開始したといったニュアンスで伝えているから、記事付きの写真には外国人観客も少しは混じっていたものの、自分たちが陣取った観客席のゴミを拾ったのだろう。

 いわばその殆どが日本人観客、あるいはサポーターが捨てたゴミを日本人チーム・サポーターが拾ったということになる。しかもゴミが捨てられることを予定してゴミ袋を前以て用意しておいて、予定していたとおりに日本人観客、あるいはサポーターが棄てたゴミを試合後のゴール裏の観客席の床から拾い集めた。

 以上の経緯からすると、捨てるのと拾うのを同じ日本人が演じたわけではないはずだが、同じ日本人がそれぞれを演じたことと捨てるのを予定していたゴミ拾いである点から、何となく日本人同士が行った自作自演の変形といった臭いがしないでもない。

 少なくとも日本人がその殆どを捨てたゴミを日本人が拾うというゴミの循環、あるいは日本人同士のその一連性は一種滑稽ですらある。

 ゴミ拾いのマナーで世界から絶賛を受けた日本チーム・サポーターは日常生活の中で公園に遊びに行くときも、他人がゴミを捨てることを予定してゴミ袋を前以て用意しておいて、他人が捨てたゴミを拾ってから帰るのだろうか。

 あるいは誰が見ていない場所でも棄てられているゴミに気づいたなら、拾うのだろうか。

 もしそれがサッカースタジアムに限定したゴミ拾いなら、自分たちをよく見せて評価を得ようとする意識が働いていない保証はない。

 ゴミの処理に関して確かに日本は民度の高い国である。家庭内で出たゴミは決められた手続きに従って処理する。但しその民度はそこまでである。外出時に出たゴミはその時々に応じて自身で処理の手続きを決めていかなければならないはずだが、多くがポイ捨てで処理する手続きを選択する。

 富士登山道周辺の集団で行うゴミ拾いは毎年の恒例行事のように行われていて、2トンダンプ何台と出る。捨てる日本人と拾う日本人、同じ日本人が捨てる処理と拾う処理を循環させている。
 
 ゴミを捨てる日本人が極々少数となって、初めてゴミ処理に関して民度の高い国と言うことができるはずだ。

 もし日本人サポーター、あるいは日本人観客に対する礼儀正しいとか、尊敬に値する素晴らしいマ ナーの持ち主だ、気品があるといった評価に正当性を与えるとしたら、日本人が陣取った観客席はゴミを拾う必要がないと試合後のゴミ処理の担当者に言わしめることであるはずだ。

 一番の肝心なことはゴミを拾うことではなく、棄てないことであることを忘れてはならない。

 2013年12月22日放送の「たかじんのそこまで言って委員会」でも、2012年7月~8月のロンドン・オリンピックで行われたサッカーの日本と韓国との3位決定戦で、日本が負けた試合後の観客席を日本人サポーターがゴミ拾いを行ったことを取り上げて、津川雅彦や竹田恒泰などのパネラーがそのマナーを絶賛していた。

 番組のテーマは「日本人の礼儀正しさ」であり、そのテーマに添って取り上げたゴミ拾いであった。パネラーたちはさも日本人全体の資質としてある美徳であるかのように絶賛した。津川雅彦などは日本人の礼儀正しさは「縄文から1万5千年の歴史を持つ」と、それが絶対的なものであるかのようにまで言い切った。

 だが、そのコーナーの最後の方になって、滑稽なことに番組のテーマをすっかり忘却、そこからそれて最近の若者のマナーを悪さを言い出し、それが中高年のマナーの悪さに対する批判にまで発展していった。

 最初は日本人の礼儀正しさを日本人全体の資質であるかのように主張し、最後に自らの主張を自ら否定する矛盾を犯しながら、犯した矛盾に誰も気づかない滑稽を曝した。

 このことは2013年12月23日当ブログ記事――《12月22日「たかじんのそこまで言って委員会」の日本人の礼儀正しさは日本人固有の全体的資質なのか - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に書いた。

コメント (1)
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