安倍晋三は人気取りのためにも横田めぐみさん帰国の保証がなければ、訪朝しないだろう

2014-06-09 04:00:50 | Weblog

 

 6月8日(2014年)日曜日、NHKの日曜討論で、拉致問題について次のような遣り取りがあった。

 島田敏男アナ「今後安倍総理大臣は北朝鮮訪問ということについては、可能性如何でしょうか」

 高村正彦自民副総裁「ゼロではないと思いますね。小泉訪朝の前に可能性あるかって言われたって、誰も答えられませんですよね。そういうことですよ」

 島田敏男アナ「そして見方次第では、電撃的な訪朝ということが再び――」

 高村正彦「ゼロではないと思います」――

 安倍晋三自身は6月3日午後、ベルギー・ブリュッセルで開催の先進7カ国(G7)首脳会議出席出立前の羽田空港で訪朝の可能性について記者団に話している。

 安倍晋三「今、判断するのは早計だ。北朝鮮側が設置を約束した『特別調査委員会』の組織や構成について、しっかりと情報を把握し、結果を出すよう北朝鮮に強く促していきたい」(NHK NEWS WEB)――

 5年程前の当ブログに書いたことだが、小泉訪朝は電撃なことでも何でもない。その第1回訪朝は2002年9月17日。その約1カ月後の2002年10月12日の朝日新聞夕刊が、小泉第1回訪朝の20カ月前の2001年1月、シンガポールのホテルで中川秀直前官房長官(当時)と北朝鮮の姜錫柱・第一外務次官との「秘密接触」 が行われたことを伝えている。

 中川秀直「拉致問題は避けて通ることのできない政治問題。交渉に入る前に(一定の回答が)示されるべきだ。(被害者の)安否確認や 帰国して家族と面会することは可能か」

 姜錫柱(行方不明者という表現を当てて)「即、動きを見せることができ、人を探して帰すこともできるだろう」――

 この時点で「行方不明者」という表現で以って拉致認知と、それに続く拉致被害者の帰国のレールは敷かれていたのである。例えそれが相手側指示による一時帰国であったとしても。

 中川・姜錫柱会談以降も秘密接触やら事前交渉が重ねられて、お互いが求め、お互いが許容できる成果を煮詰めていき、お膳立てしたのが2002年9月17日の小泉・金正日第1回首脳会談と言うことなのだろう。

 舞台がどう回るか、脚本は決まっていて、主役の登場を待つばかりとなっていた。小泉純一郎は最終稿が決まった段階で、登場が待ち遠しくてワクワクしたに違いない。5人の生存を確認し、一時帰国を果たす日本の最初の首相となるのだから。

 当然、小泉訪朝は電撃的でも何でもなかった。また、高村正彦が言っている安倍訪朝の可能性「ゼロではない」は北朝鮮側の生存確認の人数と帰国の前以ての確約次第を意味していることになる。

 だから安倍晋三は、首脳会談という舞台の裏側で確約という最終稿が決定していない段階だから、訪朝は「今、判断するのは早計だ」ということになる。

 但し生存確認と帰国の確約があったとしても、その顔ぶれが問題となる。何よりも拉致被害者の象徴的人物とされてきた横田めぐみさんが帰国の列の先頭に立つべきと誰もが望んでいるはずだ。しかも北朝鮮側から死亡したとして渡された遺骨がDNA鑑定で他人のものとされた以上、多くの日本国民がその生存を確信しているはずだから、帰国の中心人物とならなければ、国民は北朝鮮の調査に疑いを差し挟み、納得しないことになるだろう。
 
 となると、安倍晋三にしても、横田めぐみさんが帰国の中心となってこそ、内閣支持率も、それこそ「電撃的」に急上昇することも期待可能となる。横田めぐみさんが生存者の中に入っていなければ、何人生存していて、その全ての帰国を確約されたとしても、訪朝の条件にならないということである。

 それとも安倍晋三は横田めぐみさんが生存者の中に入っていなくても、訪朝してニコニコして金正恩と握手し、「今後とも調査を続けて貰って、全ての拉致被害者のご家族がご自身の手でお子さんたちを抱きしめる日がやってくるまで、私たちの使命は終わらない」と、例の如くの発言をするのだろうか。

 北朝鮮側にしても、横田めぐみさん本人の遺骨ではない、他人の遺骨を引き渡した以上、生存の証明以外の何ものでもない。例えウソをついたと認めることになったとしても、生存者の第一番に加えないことには調査したということにはならないはずだ。

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