民進党・共産党・社民党・生活の党野党4党提出安全保障関連法廃止法案の与党審議拒否方針は民意無視と驕り

2016-03-31 09:44:04 | 政治

 民進党・共産党・社民党・生活の党の野党4党が共同で提出している安全保障関連法を廃止するための法案の取扱いを自民・公明両党の幹事長と国会対策委員長が会談して協議、審議には応じない方針で一致したと「NHK NEWS WEB/2016年」記事が伝えている。 
 
 佐藤自民党国会対策委員長「安全保障関連法は、先の通常国会で衆・参両院の特別委員会で216時間に及ぶ審議を行った。野党の法案は決着がついている議論を蒸し返すだけのもので、審議を行う必要はない」

 対して民進党側。記者会見で次のように発言している。

 山井国会対策委員長代理「「国民の不安に真摯(しんし)に応えるのが国会であり、昨日法律が施行されたなかで、廃止法案の審議を行わないことを与党が決めたのは、国民に対してあまりにも不誠実だ。もし安倍総理大臣が、法律を重要、かつ、正しいと確信しているのならば、堂々ともう一度、審議すべきだし、審議を拒否することは、問題点が明らかになって、参議院選挙などの争点になったら、負けてしまうことへの不安の裏返しだ」

 通常国会衆・参両院特別委員会で216時間に及ぶ審議を行い、賛成多数で成立し、決着がついたのだから、これ以上の審議の必要はないと言っている。

 民進党側は廃止法案は国民の意向も含まれているのだから、一つの法案として審議すべきであり、審議を行わないのは国民に対して不誠実だと言っている。 

 与党側が指摘している成立を成し遂げた賛成多数はあくまでも選挙で得た多数派形成の議席を根拠としている。だが、選挙は新安保法制の政策一つを争点として戦い、その政策のみで獲得した議席ではない。

 自公与党は2014年総選挙で絶対安定多数の議席を獲得したが、安倍晋三は選挙結果を受けた記者会見の冒頭で次のように述べている。 

 安倍晋三「今回の総選挙は、アベノミクスを成功させるため、来年の消費税2%さらなる引き上げを1年半延期するという税制上の大きな変更について国民に信を問う解散でありました。いわば『アベノミクス解散』であったと思います」

 いわば消費税増税延期にアベノミクスの経済政策の成否を賭け、そのことを真正面に掲げて争点とした選挙であった。

 決して安保法制を争点として真正面から掲げた選挙ではなかった。

 但し記者との質疑で次のように安保法制に触れている。

 安倍晋三「先ず安全保障法制についてですが、今回の選挙はアベノミクス解散でもありましたが、7月1日の閣議決定を踏まえた選挙でもありました。そのことも我々、しっかりと公約に明記しています。

 また街頭演説においても、あるいは数多くのテレビの討論会でもその必要性、日本の国土、そして領空、領海を守っていく、国民の命と安全な国民の幸せな暮らしを守っていくための法整備の必要性、閣議決定をもとにした法整備の必要性ですね、集団的自衛権の一部容認を含めた閣議決定に基づく法整備、これを来年の通常国会で行っていく、これを訴えて来たわけです。

 このことにおいてもご支持を頂いた。当然、約束したことを実行していく。これは当然、政党、政権としての使命だと思う。来年の通常国会のしかるべき時に法案を提出していきたい。そして成立を果たしていきたいと考えています」

 安倍晋三は抜け抜けと総選挙で安保法制に関しても「ご支持を頂いた」と言っているが、安保法制に関してはあくまでもウラ争点としていたに過ぎなかった。

 人間は利害の生き物である。その生き物たるや、経済・生活を最大の利害としている。生活が成り立たなくなれば、日本の安全保障などどうても良くなる。身近の生きるか死ぬかが最も大切な利害となる。

 2013年参議院選挙も、憲法改正や原発政策を争点に加えていたものの、アベノミクスの成果・先行きが最大の争点であった。その結果、自公合わせて過半数を上回る135議席を獲得することができた。

 安倍晋三は人間が経済・生活を最大の利害としている生き物であることを巧妙に利用した。

 当然、現在の議席が安保法制に関わる民意のそのものを代表しているとは厳密には言うことができるわけではないのだから、このような議席を以ってして安保法制を成立させたからと言って、そこに全ての正当性を置くことはできない。

 しかも衆院の現在の議席は2014年12月の総選挙時のものであり、参院の議席は2013年7月のものであり、いずれも安保法制が成立する前の議席であって、成立イコール民意とすることはできない。

 安保法制成立後の民意はそのことだけを問う世論調査により良く現れることになる。

 安全保障関連法が2015年9月19日未明に成立したことを受けた「朝日新聞社」の9月19、20両日の安保関連法に賛否を問う世論調査。     

 「賛成」30%
 「反対」51%

 同じ9月19、20両日の「産経・FNN合同世論調査」 

 「集団的自衛権の行使を限定的に可能にする安全保障関連法の成立について」

 「評価しない」56・7%
 「評価する」38・3%だった。

 「日本の安全と平和を維持するための安保法制整備について」、

 「必要」69・4%
 「必要ではない」24・5%

 後者の「必要」は集団的自衛権行使を抜いた安保法制の整備についての態度も混じっていることになる。

 現在も集団的自衛権行使に対する反対の民意は根強い。

 このような民を受けた民進党・共産党・社民党・生活の党の安全保障関連法廃止法案であるはずである。どこに審議拒否をする理由があるのだろうか。山井国会対策委員長代理の主張は尤もということになる。

 拒否は民意を無視する態度に他ならない。多数派の議席の上に胡座をかいた驕りがそうさせるに違いない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする