9月9日(08年)の北朝鮮建国60周年行事という重要な式典に出席して然るべき金正日将軍様が欠席して重病説が取り沙汰され、その後脳梗塞で倒れて入院治療中だと報じられた。
どの程度の症状なのか、回復説と重病説が交錯しているようだが、9月13日「毎日jp」が≪北朝鮮:金総書記重病説 病状は?異なる報道 韓国「急速に回復」/米国「重病」≫の見出し記事を伝えている。
内容は、韓国側は「脳卒中の後遺症である断続的で不規則なけいれん」の症状があって建国60周年記念行事に参加できなかったものの、急速に回復して自分で歯磨きができるまでに回復しているとする説を採り、米国側は重病説を展開、金正日政権が崩壊した場合を想定して米国と中国が対応を協議しているしている。
中国当局の見方は<金総書記が言語・思考に特段の問題がないものの、身体活動の制約により体力の急速な減退を免れないと判断。長期的には通常の統治行為の継続にも影響がありうると見ている>と伝えている。
世界の注視は金正日が統治能力を失った場合の後継者問題と後継の内容であろう。誰がなるのか?権力移譲がスムーズに行われるのか?どのような体制となるのか?
スムーズに行われず、権力闘争が発生した場合の政治混乱、あるいは社会混乱の程度は?
後継が父子継承であるなしに関係なく、金正日の指名と承認を受ける形式を採った場合(父子継承を装って子の背後で権力を操る、金正日の指名と承認を利用した権力の二重構造ということもあり得る)、例え実体は伴わなくても、後継者は権力掌握と権力遂行の正統性を金正日の指名と承認に置くことになるから、金正日を偉大な正義の人と価値づけ続ける必要性が生じる。その時点で、権力継承者は金正日の全存在を肯定する立場に自分を縛り付けることになる。
金正日の人格とその権力を否定した場合、金正日からの権力継承の正統性自体を自分から否定することになるからなのは断るまでもない。
日本は拉致問題を抱えている。今まで繰返し言ってきたことの繰返しに過ぎないが、昨07年2月24日当ブログ≪アメリカは北朝鮮に譲歩したのだろうか≫で次のように書いた。
<実際に後継問題が持ち上がって、後継が内定し独裁政権の父子継承が決定的となった場合、現状でも困難な状況にある拉致問題はその解決の目を失うことが予想される。拉致は金正日自身の主導によって行われただろうからである。
いわば拉致の真相解明を最も恐れるのは拉致行為張本人の金正日自身であり、権力の父子継承によって、真相解明に蓋をする先延ばしが可能となるからである。
北朝鮮は日本と国交正常化を果たして日本からの戦後補償と経済援助を梃子に壊滅状況にある北朝鮮経済建て直しの重要な起爆剤の一つとしなければならないことは誰の目にも明らかなことであろう。起爆剤とする唯一の条件は拉致問題の全面解決なのは言うまでもない。また北朝鮮経済の建て直しは金正日独裁体制保証の条件であるだけではなく、父親の金日成から権力を引き継いだと同じく、自分の子どもに権力を無事引き継ぎ父子継承を保証する条件でもある。
と言うことは、拉致解決が金正日独裁体とそれに引き続く権力父子継承を保証する切って捨てることはできないハードル・条件でもあると言うことであろう。
ところが、拉致は解決済みの態度を崩さないし、今回の6カ国協議では日本相手にせずの姿勢を取っている。拉致解決のカードを切ることで様々な保証獲得のより有利なカードに替える、誰でもそうするに違いない手を打たずに不利と分かるカードを手に握ったままでいるのは、裏を返すなら、金正日にとって拉致解決はそれ以上に不利なカードとなるからだろう。いわば日朝国交正常化が朝鮮経済の建て直しのカードとはなり得ても、金正日独裁体制保証と権力父子継承保証のカードとはなり得ないということである。ここに金正日が拉致行為張本人とする根拠がある。拉致解決は金正日を権力者の座から引きずり降ろし、決定的な悪人・無様な道化として世界史に刻み付けることになる記念碑となるだろう。>
このことは父子継承ではなくても、金正日の指名と承認を受けた場合の権力継承に於いても事情は同じということになる。自己の権力掌握と権力遂行の正統性の証明道具として金正日を絶対正義の人と肯定せざるを得ない立場上、その存在を否定することになる悪事の数々の暴露を自ら封印することになる。
いわば日本の経済支援は拉致真相解明のカード足り得ないことに変わりはないということである。
そうであるなら、拉致解決は金正日の指名と承認を得る形式の父子継承ではなく、あるいは他者継承でもなく、金正日からの権力継承の正統性を相互に争う複数の者の権力闘争であっては困るが、例え権力闘争が発生して北朝鮮内に混乱が起きようとも、金正日の指名と承認を受けない、いわば自ら権力をもぎ取る形式の完全な第三者による権力継承が拉致解決には望ましいことになる。例えそれが似たような独裁権力であっても、北朝鮮経済建て直しの条件に金正日の正義性を障害としないだろうからである。
日本側から言えば、戦争補償と経済支援が拉致真相解明の交換条件としてのカード足り得ることになる。
ということなら、日本が先ず為すべきことは「日本は金正日独裁権力の父子継承は望まない。世界も望むべきではない」というメッセージを世界に送ることだろう。例え内政干渉だと非難を受けようとも、メッセージを発し、世界の多くの国に同調を求める。
「北朝鮮国民が飢餓を免れ、人間らしい生活が送れるよう、独裁体制が金正日政権で終わり、北朝鮮の国家体制が人権の自由と平和を保障する民主主義体制となることを望む」とまで踏み込んで。
メッセージが効果を見ず、金正日の全存在性の正統化を道連れとすることで自らの権力継承を正統づけることになる父子継承か、もしくは第三者継承ということになったなら、拉致解決はさらに遠のくことになるが、例え独裁体制に別れを告げて民主主義体制となる最善の場面は望むべくはないとしても、次善の場面として金正日の正当化を道連れとしない、縁続きではない独裁体制の誕生ということなら、既に述べたように日本の経済支援は拉致解決に向けたカードとなり得る可能性が生じる。
経済支援が拉致解決のカードとなる権力継承に向けて、日本政府は早急に上記メッセージを公の形で全世界に向けて発するべきではないだろうか。
大昔、といっても戦後まもなくの「大昔」だが、『星の流れに』という歌謡曲が流行った。敗戦の混乱で一家離散、若い女の身一つで生きていかなければならないが、誰もが食うや食わずの時代でまともな仕事があるはずはなく、男に体を売って生きていく人生に身を落とさざるを得なかった若い女のどこか哀しげで投げやりな恨み節が巷に流れた。
「歌謡曲その時代背景」というHPにその歌詞が出ていた。
星の流れに 清水みのる作詞 利根一郎作曲 菊地章子唄 昭和22年
一、星の流れに 身を占って
どこをねぐらの 今日の宿
すさむ心で いるのじゃないが
泣けて涙も 枯れはてた
こんな女に 誰がした
二、煙草ふかして 口笛ふいて
あてもない夜の さすらいに
人は見返る わが身 は細る
町の灯影の わびしさよ
こんな女に 誰がした
三、飢えて今頃 妹はどこに
一目逢いたい お母さん
ルージュ哀しや 唇かめば
闇の夜風も 泣いて吹く
こんな女に 誰がした
社会的な外部事情で不本意な生活を強いられるという点では失われた10年の就職氷河期に卒業時期が重なって満足な就職にありつけずにフリーターや派遣の生活を余儀なくされたものの、そこから抜け切れずに30歳、40歳を迎えても低収入・生活不安定のフリーター、派遣の生活を続けざるを得ないでいる若者男女も同じであろう。
自民党総裁選に5人が立候補した。麻生太郎、与謝野馨、石破茂、石原伸晃、小池百合子。
今の日本をつくり出したのは自民党政治であると言っても間違いはあるまい。「こんな日本に誰がした 自民党がした」と圧倒的多数の人間が歌うはずである。
収入格差、地域格差、教育格差、過疎化、少子化、高齢化、農業、漁業、林業の危機、財政赤字、国・地方合わせた1000兆円超という巨額な借金、年金制度の破綻etc.etc.・・・・・
外部的事情によってこうなってしまったのではなく、戦後60年以上に亘る自民党政治と官僚行政の創造性なき合作が今の日本、「こんな日本」なのである。
だが、総裁選に立候補した5人とも、今の日本をつくり出したのは自分たちの自民党政治であるという反省意識の一かけらもなく、関係ない者の如くに地方の再生だ、財政の健全化だ、国民の痛みの緩和だ、国際貢献だ、格差解消だ、女性が子供を産める環境づくりだ、改革の推進だと好き放題のことを訴えている。
いわば日本を壊すことしかできなかった無能な政治性を自民党政治の最大の才能としていたのだから、既に国づくりの資格を失っていることに鈍感にも気づかずに、その末期的象徴的症状が安倍・福田と続いた発足から1年足らずの二度続けての政権の投げ出しに現れているのだが(評論家の誰だかが「職場放棄」とテレビで言っていた)、立候補者は口々に日本の再生を誓う。滑稽にも「明日の日本」を語る。
今の日本を自分たちで力を合わせてかくかような体たらくに貶める過ちを既に犯していながら、今の日本を将来の世代に残す過ちは避けるべきだなどと言う。
殺人を犯した父親が自分の子供が将来に亘って人殺しの子と言われないように努めますと言うようなものだろう。
自分たちが官僚を律することもできずに政治と行政のムダをつくり、散々に困っている人をつくり出す「ウソの行政改革」しかできなかったのだから、「ほんとうの行政改革」について講釈を垂れるのは既に能書きの域を出ないにも関わらず、石原伸晃は「ほんとうの行政改革は、むだを省き、困っている人に手を差し伸べることであり、『心の通う改革』を続行したい」(「NHK」ニュース)などと自民党本部での立会演説会でヌケヌケと言う。
麻生太郎は自民党が日本をおかしくするだけの力しか持っていなかったにも関わらず、その力不足・無能力に気づかない鈍感さに恵まれて、「総裁に選ばれれば自民党の命運をかける戦いに臨む。言葉だけではなく力を持った政党が民主党であり得るはずはなく、自民党こそが日本の軸をよりいっそう太く、かつ頑丈に高めることができる」(同「NHK」ニュース」)などと、さも自民党が「力を持った政党」であるような幻想を抱いて「言葉だけ」のことを恥ずかしげもなく口にする。
「力を持った」自民党が「命運をかける戦い」に挑んで成し遂げた成果が今の日本であって、「日本の軸をよりいっそう太く」どころか、自民党は「日本の軸を」限りなく細くしてきた政党であり、麻生はその張本人・A級戦犯の一人に位置づけられてもおかしくない上層に位置していたのではないのか。そのことに対する反省の念・責任意識の一かけらもない。
麻生を譬えて言うなら、もやは戦争を継続する国力も兵力も失っていながら、強がりだけで「本土決戦だ」と拳を振り上げて張子の虎を決め込んだ陸軍のお偉方みたいなもので、日本を壊すことしかできなかったのだからもはや政権担当能力を失っているにも関わらず、「自民党こそが日本の軸」だと、それが張子の虎の幻想に過ぎないことを省みもせずに本気でそう思って得々と高言する単細胞を曝け出して平然としている。
しかし騙される国民がたくさんいる。東大出を人格的にも学問的にも最高だと権威付けていて東大出だと聞けば立派な人間だと思い込む権威主義と同様(東大出の政治家・官僚に碌でなしの人間がいくらでもいるではないか)、政権党は自民党だと権威付ける閉ざされた権威主義から逃れられず、そういった人任せな習性に身を任せて政権交代の冒険もできない。自民党と言う一政党の範囲内でしか政治に対する判断能力を働かすことができず、総理大臣は自民党から出すものだと単細胞にも思い込んでしまっている。
石原伸晃は10日の共同記者会見で自民党自身がつくり出した「政治と国民が望むことの間にできた大きな乖離」であるにも関わらず、そのことに向ける目を持たないから、「政治と国民が望むことの間にできた大きな乖離(かいり)を正したい」(≪総裁選候補の共同記者会見要旨≫時事通信社/2008/09/10-20:56))などといったことを平気で言える。
同じ共同記者会見で自分の優れている点を問われて、石原は「年が一番若い」と答えている。
これは単なる年齢的な物理性(=年齢的な理)を言ったに過ぎない。安倍晋三は初の戦後生まれ、最年少の首相として登場した。だが、戦後から21世紀、22世紀に向けた先見性は持たず、逆に戦前に目を向け、戦前の国家主義に染まった時代錯誤者として登場したに過ぎなかった。
麻生は同じ1年そこそこで政権を投げ出したとしても、福田辞任と安倍辞任とでは意味が違う、安倍辞任は健康が理由だと自己都合な責任逃れを言っている。政策運営に行き詰まって、その心理的な圧迫感による精神的衰弱が健康を害しただけのことで、そもそもの原因はお坊ちゃん的ひ弱さであろう。戦後生まれの最年少という格好だけで持っていた。祖父の岸元首相の膝に抱かれて育ったというエピソードを政治家としての自己存在証明としていたのである。
戦前の日本を自らが掲げる「美しい国 日本」のモデルとする時代錯誤に囚われていたこと自体が、既に精神的な狂いを生じせしめていたと言える。著しく健康を害していたとしても、判断能力失う程の健康障害ではない。誰か代理を立てて、入院先の病室から指示を出してもいいわけである。いきなり投げ出すことはなかっただろう。手を上げて首相になったことの責任をどう考えていたのだろうか。
石原は安倍の戦後生まれ・最年少という勲章から何も学習できなかったから、優れている点を問われて、「年が一番若い」と答えることができたのだろう。
こんな人間が日本の総理大臣を目指している。
同じく10日の共同記者会見で「わが国そのものが過疎の国」へと変質させた犯人が自民党政治そのものであることを省みもせずに小池百合子は「わが国そのものが過疎の国になろうとしている」(同「時事通信社」記事)などと自民党とは関係ない出来事であるかのような無神経なことを言っている。
「過疎」とは「スカスカ」を意味し、「過疎の国」とは「スカスカで空虚・粗雑な国」と言い替え可能であろう。そんな日本にした。すべては自民党政治の帰結として現れた国の姿でしかない。
麻生太郎は同じ記者会見で「日本の政治のかつてない危機」だと言っているが、「日本の政治のかつてない危機」をつくり出した元凶は自民党以外の政党だと思っているのだろうか。思っているとしたら、それは余りにも無責任・無神経、図々しいというものである。
石破は「この国を立て直すため全身全霊を尽くす」と言っているが、自民党がこの国を傾けておいて、その張本人の自民党が「立て直す」と言う論理矛盾に幸せにも気づいていない。これほどおめでたい話はないではないか。こういったおめでたい人間が滑稽にも日本の国を背負って立とうとしている。
総裁選立候補者だけではなく、自民党政治家の誰もが「自民党は責任政党だ」と言う。胸を張ってそう請合う。政権政党として「責任」を果たさなかった「責任政党」とは空中楼閣としてのみ存在する「責任政党」であるにも関わらず。
そのことを安倍・福田両政権が政権を投げ出す形でものの見事に象徴化させた。安倍も福田も自らの内閣を空中楼閣化させたということである。
自民党が政権担当能力を失った政党だと自ら言い出せないのは自分から自らの政治に死刑を宣告するに等しく、政権党という既得権をどうしても失いたくないからだろう。
勿論自民党政治のどこが間違っていたかを徹底検証して、どこがどう間違っていました、間違っていた手法をどう正しますと国民に説明責任を果してから壊した日本の修復に取り組むなら少しはましな政治を期待できるが、自己否定が怖くて徹底検証を経ずにこうします、ああしますと約束だけするから、収入格差、地域格差、教育格差、過疎化、少子化、高齢化、農業、漁業、林業の危機、財政赤字、国・地方合わせた1000兆円超という巨額な借金、年金制度の破綻等々の今の日本の姿をつくり出したのと同じ自民党政治で以って壊した日本を建て直しますといった倒錯の数々を犯すことになる。
結果的に口先だけの約束となり、その繰返しが延々と続くことになる。口先だけの約束ということなら、麻生が一番得意とする才能であろう。失言癖を人格の一部としているということは誠実さとは程遠いところに位置した人格の持ち主ということになるからだ。
まずは「こんな日本に誰がした 自民党がした」を潔く認めて、その原因・間違いを徹底検証することから始めるべきだが、それをしないまま「明日の日本を語る」以上、「明日の日本」は同じ間違いをDNAとした自民党政治の再現ということになる可能性が高く、それを避ける意味に於いても、異なる政治的DNAを日本の政治に注入しなければならない。その時期に来ていることだけは確かだと言える程に自民党政治は日本を壊してしまっている。
≪総裁選候補の共同記者会見要旨≫(時事通信社/2008/09/10-20:56)
自民党総裁選立候補者5人による10日の共同記者会見の要旨は次の通り。
-総裁選に臨む決意を。
石原伸晃元政調会長 政治と国民が望むことの間にできた大きな乖離(かいり)を正したい。心の通う改革路線をまい進したい。
小池百合子元防衛相 わが国そのものが過疎の国になろうとしている。埋もれている力を活用し、持続可能な国にしたい。
麻生太郎幹事長 日本の政治のかつてない危機に党や内閣の責任者として立ち向かうべきだと考えた。
石破茂前防衛相 外交・安全保障をきちんと訴えることこそ責任政党の責任だ。この国を立て直すため全身全霊を尽くす。
与謝野馨経済財政担当相 真実を語り、国民の理解をいただけるよう努力するのが政治の責任だ。改革には優しさが必要だ。
【解散時期】
-2008年度補正予算案の扱い、衆院解散・総選挙の時期は。
小池氏 解散時期は首相になってから考えたい。
麻生氏 補正予算はできるだけ早く成立させるよう最大限努力すべきだ。解散時期は首相になった方に聞くのが正しい。
石破氏 政治空白を長くつくっていいとは思わない。少なくとも補正予算はきちんと仕上げ、それから信を問うのも選択肢だ。
与謝野氏 補正予算をできるだけ早く成立させたい。年末の中小企業の資金繰りには配慮しなければならない。
石原氏 ばらまきではなく、きめ細かい配慮をした補正予算案はできる限り早く成立させなければならない。解散は次の首相が決めることだ。
【消費税引き上げ】
-09年度から基礎年金国庫負担率を2分の1に引き上げる財源として、消費税を増税するか。
麻生氏 2分の1への引き上げはその通り実行されるべきだ。今、消費税を直ちに上げるのはいかがなものか。景気を冷やす可能性がある。(引き上げまでの間は)特別会計などの余剰金を使うのも一つの方法だ。
石破氏 将来、消費税を使うことは当然あり得るが、無駄を省くことも徹底的にやらなければいけない。
与謝野氏 (国庫負担率引き上げは)絶対守らないといけない。消費税が唯一の安定財源だ。来年の通常国会で(消費税増税を)できるかという技術的な問題はある。
石原氏 道路特定財源の一般財源化で余剰があるのかないのか、年末に明らかにできる。(特別会計の余剰金などとの)組み合わせで回答を出す以外にない。
小池氏 今、消費税を上げる環境にない。政府として無駄を排除し、効率の良い行政を進めなければ、国民の納得を得られない。
【小沢氏との対決】
-次期衆院選で小沢一郎民主党代表と戦う際のセールスポイントは。
石破氏 甘言を弄(ろう)さず、責任ある政策を提示することだ。
与謝野氏 昔と今の小沢氏を比べると、財源論などに欠陥がある。筋の一貫性ではあの方には負けない。
石原氏 責任政党として政策の差を示すことで対峙(たいじ)したい。
小池氏 小沢氏は党首討論を避けてばかりいる。ぜひ毎週党首討論をしたい。
麻生氏 (党内向けの)説明の努力は明らかに小沢氏との違いとして挙げられる。
【新テロ特措法延長】
-新テロ特措法延長にどう取り組むか。
与謝野氏 国際貢献、テロとの戦いの観点から、どんなことがあっても公明党を説得し、再度国会を通過させる努力をしなければならない。
石原氏 日本はテロとの戦いに国内事情で参加しない、とのメッセージを発してしまう。国民にしっかり説明しなければならない。
小池氏 (給油活動が)いかに重要か、公明党や国民に分かりやすく説明しなければならない。
麻生氏 日本だけが撤収することは常識的に考えられない。イラクに派遣している航空自衛隊は、引き揚げる状況がつくられつつある。
石破氏 各国がテロと戦っている。なぜそこから日本だけ逃げるのか。
【大連立】
-民主党との大連立についての考えは。
石原氏 一つの政治的テクニックとしては十分考えられる。小沢氏が断った事実がある。
小池氏 (次期衆院選後)政策、方向が一致する政党が力を合わせるのも選択肢かもしれない。
麻生氏 小選挙区制度を維持しての大連立は極めて難しい。
石破氏 民意を無視するものだ。国家観、憲法観が違う政党が大連立を組んで何になるのか。
与謝野氏 国会は宿命的にものを決めなければならない場所だ。ずるずるいくのは許されない。話し合い、工夫が必要だ。衆院選後の自民党の大事な宿題だ。
【格差解消】
-都市・地方の格差解消にどう取り組むか。
石原氏 いたずらに都市と地方の対立をあおる政策はナンセンスだ。
小池氏 道州制を積極果敢に進め、人間、財源、権限の「3ゲン」を地方に渡す。
麻生氏 改革をすれば必ず痛みが出る。急激な痛みには痛み止めもいるし、栄養補給も考えないといけない。
石破氏 地方の惨たんたる状況を理解すべきだ。改革を総点検しない限り、改革は実現できない。
与謝野氏 小泉構造改革は成功したが、格差が生じたことは間違いない。格差問題に取り組まなければならない。
【優れている点】
-他の候補より優れている点は。
小池氏 政治のど真ん中に届かなかった声を届けることができる。
麻生氏 一番の強みは経験だ。
石破氏 防衛庁長官、防衛相として通算4年くらい務めた。その点はエキスパートだ。
与謝野氏 そういうことを言わない謙虚さだ。
石原氏 年が一番若い。(了)
自民党HPにアクセスすると、画面左下方に下記画像が貼り付けてあります。
クリックして、「あて先」欄の「□石原伸晃 □小池百合子 □麻生太郎 □石破 茂 □与謝野 馨」の内、「麻生太郎」にチェックを入れ、麻生太郎に応援メッセージを送っておきました。昨日当ブログに載せた≪自己都合な町村官房長官の民主党代表無投票3選批判≫の中の一文を利用して次のように書き込みたかったのですが、150字に制限されているために最後の文章に落着きました。
まずは書き込みたかった文章。
「日本は性別・職業・収入・社会的地位に関係なく、20歳以上の男女はすべて選挙権を与えられている開かれた選挙制度が保障されています。だが、政治的に開かれているかと言うと、戦後70年近くもなってほぼ自民党一党独裁の開かれていない政治状況を国民は許しています。
いくら自民党議員が自らの党を国民に開かれている政党だと自画自賛したとしても、国民が政治的に開かれていなくて、自民党のみを政権党だと権威付ける閉ざされた権威主義に囚われている以上、意味を成さない自画自賛でしかありません。
政権交代があってこそ、日本は政治的に開かれた国となり、開かれた政治性を持った国民となれるでしょう。
次の総選挙が国・国民が政治的に開かれることとなる政権交代実現の絶好のチャンスだと思います。政権交代にご協力を」
150字内に収めた文章――
「自民党は国民に開かれた政党だと自画自賛していますが、政権交代があってこそ、日本は政治的に開かれた国となり、開かれた政治性を持った国民となれる。
次の総選挙が国・国民が政治的に開かれる政権交代実現の絶好のチャンスだと思います。政権交代にご協力を」
みなさんも送ってみてはどうですか?
町村官房長官が8日夜7時のNHKニュースで民主党小沢代表無投票3選に対して、得意げな様子の自画自賛の薄ら笑いを見せて次のように皮肉っていた。
町村信孝「国会対策しかない、選挙しかない、という、そういう発想の代表が無投票で、また、選出される。そういう民主党の、体質というものが、本当に国民の期待に添ったものなのかどうなのか、もう少し自由闊達な、政党で、あるのかなーと(得意げな顔、得意げな笑みを見せ)、思っていたんですけどもね、どうもそうじゃないのかもしれませんね」
昨9日の『朝日』も<代表選で政策を内外にアピールし損ねた不安は隠しきれない>ものの、「小沢政権」実現をスローガンに政権交代を前面に押し出そうとしている民主党の様子を伝えた朝刊記事≪「小沢政権」錦の御旗に≫の付属記事≪埋没の不安、なお≫の中で上記町村官房長官の言葉を取り上げている。
自民党総裁選にマスコミの注目が集まって、その陰に代表選がなかった民主党の、いわば「無風」状態が隠れてしまい、マスコミ報道から「埋没」してしまう。そういった民主党の動揺を見透かして自民党が民主党に「口撃」を加えているが、その「口撃」の一例として町村官房長官の記者会見の言葉を載せているのである。
しかし記事は町村の言葉自体に矛盾があることに気がついていない。
2005(平成17)年8月8日、参議院本会議で郵政民営化関連法案が否決されると、小泉首相は衆議院を解散して郵政民営化を問う郵政選挙に打って出たが、衆議院で反対票を投じた全議員に公認を与えず、逆に公認を与えた対抗馬(いわゆる「刺客」)を送って、反対議員の多くを落選させしめ、2005年9月11日投票の第44回衆議院議員総選挙で自民党を歴史的な大勝利に導いた。
だが、小泉首相の後を継いで党内勢力から圧倒的支持と圧倒的期待を受けて自民党総裁に就任、第90代内閣総理大臣に就任した安倍晋三は予定されていた第21回参議院議員通常選挙(2007年〈平成19〉年7月29日投票)対策から小泉首相上程の郵政民営化法案に造反・反対して自民党を除名され無所属で衆院選に当選した議員を各地元に影響力を持っていることと首班指名でも12人が安倍に投票している関係から復党を許可。
だが、安倍晋三が一度は愛人の元に去っていったが、その愛人に捨てられて家に戻ってきた夫の帰宅を許す妻のように「お帰りなさい」と言って何もなかったが如く快く出迎えたものの子供の反発に遭うように、安倍自身も「お帰りなさい」と出迎えはしたが、世論の反発に遭い、就任当初は70%近くあった安倍内閣支持率を50%台に下落させ、参院勝利対策が逆に参院選敗北、与野党逆転状況をつくる一因となる皮肉な現象を生じせしめた「郵政造反組復党劇」は町村信孝が小賢しくも言っているところの「国会対策しかない、選挙しかない、という、そういう発想」の政局行為とどこに変わりがあるのだろうか。
まさしく「本当に国民の期待に添ったもの」ではなかったというわけである。
いわば、自民党もしてきた「国会対策しかない、選挙しかない」政局行為なのである。
郵政造反議員に対する党除名・非公認、そして棄権議員に対する党公認と引き換えの次回は郵政民営化法案に賛成することを誓わせる「踏み絵」による忠誠要求は少なくとも郵政民営化を実現させるための政策行為であった。だが、それら造反議員の復党は政策行為から離れて、参院選対策、その次の衆院対策という自分に有利な政治情勢をつくり出すための政局行為でしかなかった。町村派領袖・町村信孝は自派出身の総理大臣として安倍一次内閣の「国会対策しかない、選挙しかない」「郵政造反議員復党劇」なる政局行為の一部始終を見てきたはずであり、安倍改造内閣では重要閣僚である外務大臣を務めてもいる。
現在自民党の選対委員長であるが、郵政民営化法案に棄権した古賀誠は小泉首相が解散した総選挙での党公認を得るために棄権議員に要求された、選挙後再度提出の郵政民営化法案への賛成に同意する誓約書を執行部に提出する「踏み絵」を踏むことで
自らが掲げた政策に反する「選挙しかない」政局行為に走って政治家にあるまじき姿を曝している。
自分たちがしてきたことは忘れて、町村は他人だけを批判する。
勿論「国会対策しかない、選挙しかない」政局行動が過去の出来事で終わっていれば少しはいいが、自民党は開かれた党だから民主党のように議論封じをして無投票で党の代表を決めるようなことはしない、総裁選は複数議員が立候補して国民に対してオープンな状態で政策を問うと、さも民主党が閉ざされた党であるかのように言っているが、複数候補者による政策を問うとする今回の総裁選を体よく引き出すこととなった福田辞任のそもそもの動機自体が政策行為ではなく、自民党に有利な政治情勢を策す目的の国会対策・選挙対策のための、町村の言う「それしかない」政局行為ではなかったろうか。
このことは9月2日(08年)当ブログ記事≪福田首相辞任/福田も自民党も公明党も大人の対応を取ることができなかっただけの話で「福田首相は財政規律派であり、麻生は財政出動派という違いを考えると、異なる政治手法の人間、政策が異なる人間に次を「託す」(福田首相「辞任表明」中の言葉)という矛盾を犯すことになる。その矛盾を矛盾でなくす方法が「政権維持」という利害で一致点を見たということ以外にないことになる。」と、その政局行為を既に言及しているが、「支持率が低迷して人気のない福田では次の総選挙は戦えない、国民に人気のある麻生を『選挙の顔』にして戦わなければ、野党に政権を奪われてしまう」といった党内の声に気づいていないはずはない、気づいていた上での福田「辞任」だったはずである。
いわば自民党の多くの声が「選挙の顔」に福田を求めていたのではなく、麻生に求めていた。このこと自体が既に政策行為ではなく、政権維持、議員の身分保全のための「国会対策しかない、選挙しかない、という、そういう発想」の政局行為に過ぎないなのだが、福田辞任となれば自民党は「次は麻生」の流れとなるのは福田首相自身の承知していた、いわば自民党的予定調和なのだから(何人立候補しようと、最終的には麻生で決定となる出来レースに過ぎないだろう)、当然自らも「国会対策しかない、選挙しかない、という、そういう発想」の政局行為の範囲内で自作自演した福田辞任、その先の「次は麻生」という流れであろう。
具体的に言うと、財政規律派の福田首相の政策意図になかった定額減税や年内解散を求める公明党と歩調を合わせて「財政より景気」優先の財政出動を策し、ある意味福田首相を追い込んでいた麻生を選択するという福田政策の予定調和の確立に矛盾し、予定調和を壊す類の(幹事長に任命したこと自体が既に福田政策の予定調和を自ら壊す人事であったはずである)「国会対策しかない、選挙しかない、という、そういう発想」の政局行為だったのである。
単細胞な「神の国」発言の森元首相が無派閥の野田聖子消費者行政担当相に総裁選への立候補を要請したものの、本人に断られたと言うことだが、「福田康夫首相の無味乾燥な話より、麻生さんのような面白い話が受けるに決まっている。わが党も麻生人気を大いに活用しないといけない。『次は麻生さんに』の気持ちは多いと思う。私も、勿論そう思っている」(「毎日jp」)とテレビで発言して「麻生支持」を明確にしているにも関わらず、関係のない人間に立候補を要請する見事な自己矛盾を演じている。
麻生支持自体もそうだが、支持もしていない野田聖子を担ぎ出そうとしたのはマスコミに話題を提供させることで自民党総裁選に世間の注目を集めさせようとする政策次元から離れた、「国会対策しかない、選挙しかない、という、そういう発想」の政局行為そのものを自己存在証明の十八番としているからだろう。
最高顧問を務めている町村派から自分が麻生支持なのに小池百合子が立候補したのが面白くなくて、同じ女性議員の野田聖子を担ぎ出してお互いの票を侵し合うよう仕向けたい魂胆もあったかもしれない。
いずれにしても町村官房長官の民主党に対する「国会対策しかない、選挙しかない、という、そういう発想の代表が無投票で、また、選出される。そういう民主党の、体質というものが、本当に国民の期待に添ったものなのかどうなのか、もう少し自由闊達な、政党で、あるのかなーと、思っていたんですけどもね、どうもそうじゃないのかもしれませんね」は自らの足許の党内で、しかも自派出身の総理大臣までが「国会対策しかない、選挙しかない、という、そういう発想」の政局行為に現を抜かしていることには目がいかない、だからこそ自身の発言自体が政策行為を離れた政局行為に属する発言だとは気づかないでいられる、自分の欠点は棚に上げて他人の欠点をあげつらうに等しい客観的判断能力を欠いたご都合主義からの批判としか言いようがない。
客観的判断能力のないご都合主義の資質は事欠かないが、必要とするその逆の資質を欠いている政治家が機会があれば総裁選に打って出て将来の日本の総理大臣になろうと密かに狙っている、その政治家的資質に於ける裸の王様的な逆説性は何と説明したらいいのだろうか。
首相の辞任の背景に麻生への「禅譲密約」があったのかをマスコミは盛んに話題としているが、福田辞任が「次は麻生」の流れとなるのは福田首相自身が承知していた自民党的予定調和であるなら、言葉ではっきりと「禅譲します」と言わなくても間接的禅譲、あるいは暗黙の禅譲と言えるだろう。
この「禅譲」を意地悪く勘繰るとするなら、辞任によって自民党政権に幕を降ろす総理大臣となることを免れたものの、麻生は公明党と組んで福田政権を行き詰まらせた福田政権崩壊を仕組んだ戦犯の一人であり、その恨みから政権交代という猫に、あるいは民主党勝利という猫に鈴をつけるねずみの役目を麻生に密かに譲った「禅譲」と言うこともある。
政権交代という火中の栗を麻生に拾わせてやれと。
日本は性別・職業・収入・社会的地位に関係なく、20歳以上の男女はすべて選挙権を与えられている開かれた選挙制度が保障されている。だが、政治的に開かれているかと言うと、戦後70年近くもなってほぼ自民党一党独裁の開かれていない政治状況を国民は許している。いくら自民党議員が自らの党が国民に開かれている党だと自画自賛したとしても、国民が政治的に開かれていない、自民党のみを政権党だと権威付ける閉ざされた権威主義に囚われている以上、意味を成さない自画自賛でしかない。
政権交代があってこそ、日本は政治的に開かれた国となり、開かれた政治性を持った国民となれる。
麻生は広島市で講演し「総裁選で選ばれる人は衆院選で民主党の小沢一郎代表と戦う人ということを考えてほしい」(「毎日jp」記事)と訴え、石破前防衛大臣も「総裁選挙では、外交や安全保障などについて、自民党が、民主党の小沢代表とどのように戦うのかを強調したい。『勝ち馬に乗りたい』という気持ちがないわけではないが、損得を抜きに国家や国民、党のために全力を尽くしたい」(「NHK」インターネット記事)と言い、ほかの立候補者もテレビで似たようなことを口にしている。
もしそれが人気投票とさして変わらない「選挙の顔」を求める政局行為の否定から真に発した小沢民主党の政策との比較対照でそれぞれの政策の是非・優劣を判断させる政策行為優先の言葉であると言うなら、新総裁が決した時点で新内閣の支持率だ何だかんだとマスコミが騒ぐことになって有権者の意識を誘導することとな首班指名まで持ち込まずに福田首相は解散権を行使して自民党新総裁の政策と民主党小沢の政策を直接戦わせる衆院選に持ち込み、国民に直接政策の是非・優劣を選択させるべきではないだろうか。
そうしてこそ、「選挙の顔」を選択肢とする政局行為を拒否して政策を選択肢とする政策行為を重要視すべきとする麻生太郎の自民党新総裁は「衆院選で民主党の小沢一郎代表と戦う人」という言葉に添って政策対政策の戦いに少しは持ち込めるだろうからである。
石破の「外交や安全保障などについて、自民党が、民主党の小沢代表とどのように戦うのかを強調したい」とする言葉に添って、同じように政策対政策の戦いに少しは進めることができるだろう。
今求められているのは町村が言っているように自民党にはさも縁がないと思わせている政局行為を真に拒絶し、言葉だけのものではない政策行為によって国民の政権選択の判断材料に供することであろう。
5日(08年9月)の「NHKニュース」が先月の日朝実務者協議で合意していた拉致問題調査委員会の設置を先送りしたいと北朝鮮側が伝えてきたことを報道していた。
先月の日朝実務者協議での拉致問題調査に関する「北朝鮮側が取る措置」としての合意事項とは、
1.拉致問題の具体的で全面的な再調査を行う。
2.権限を与えられた調査委員会を迅速に立ち上げ、可能な
限り秋までに調査を終了する。
3.調査の進展過程を日本に随時通報する。
日本側が取る措置は、
1.北朝鮮の調査委の立ち上げに並行して、人的交流やチャーター便の往来の規制
を解除する。 (「asahi.com」記事から)
上記「NHKニュース」は関係者の声を次のように伝えていた。
高村外相「新政権が(日朝協議の合意事項の)履行についてどういう考えなのかを見極めるまで、えー、調査委員会の立ち上げを差し控える、そういう連絡がありました」
町村官房長官「そういう対応をするのは、非常に残念な、思いがしております。エエ、いずれ、この、非常に早くですね、引き続き働きかけをしていきたいと――」
中山拉致問題相「政府の方針というのは変わらないのであって、北朝鮮側が早く、このしっかりとした権限・内容、調査の内容も含めて、権限を与えた委員会を設置するようにと、日本のせいにせずに、このことについては進めてほしいと――」
飯塚繁雄拉致家族委員会代表「向こうがこう言ってきたと、ハイ、分かりましたというーな感じに取られがちなんですね。そのとき何で、それじゃ困ると、飛んでもないと、いうことを言わなかったのか。日本政府は、うー、まあ、総理大臣が誰になろうと、日本の立場は変わらないんだから、ああ、即刻帰せ。あるいはその調査委員会、などの動きを我々にはっきりと報告せよと、いうことを強く言わなかったのかなあって――」
増元照明拉致家族会事務局長「日本政府はホントに、あの後手にまわっているか。北朝鮮の対応に対して常に、それに反論したり、対応したりするけれども、先にこっち側から手を打って北朝鮮の動きを促していくことを考えていかなければならなかったんではないかと思います」
拉致された疑いのある市川修一さんの兄、健一氏「約束事は約束事でちゃんとね、履行してほしいということをね、強くメッセージを送るべきですよ。何か北朝鮮に振り回されている、格好でしょ?家族にしてはたまったもんじゃないですよねえ――」
自公政権が誰の内閣になろうと、あるいは政権交代が発生して政権が野党に移行しようとも拉致解決に向けた日本の基本的態度が変わらないのは中山拉致問題相が「政府の方針というのは変わらないのであって」と言っているとおりであって、あるいは飯塚繁雄拉致家族委員会代表が「総理大臣が誰になろうと、日本の立場は変わらないんだから」と言っているとおりであって、そのことは北朝鮮も承知しているはずであるし、高村外務相も町村官房長官も承知事項のはずである。
大体が合意事項自体が前科があることから、北朝鮮側の事情を要因として変わることはあり得ても、日本側からしたら日本の政権の都合で変わるといった内容ではない。
もし日本側が「北朝鮮の調査委の立ち上げに並行して、人的交流やチャーター便の往来の規制を解除する」と約束した措置を政権の変動によって破った場合、日本側は拉致解決に向けた北朝鮮側の約束事項を失うことになる。政権に関係なく継続事項なのは誰の目から見ても明らかなことであろう。
当然外務省は、あるいは高村外相自身が、北朝鮮のように独裁者の恣意によって動く独裁国家とは違って、日本は国民世論に従って動く民主主義国家であって(その国民世論が多くの場合当てにならないのだが)、日本の政府は首相が誰になろうと「拉致解決なくして日朝国交正常化なし」の国民世論の縛りにあっているのだから、拉致解決に向けた態度に変化はない、北朝鮮は「新政権を見極める」必要もないのであって、合意事項を粛々と進めてもらいたいとメッーセージを送ることもできたわけである。
もし北朝鮮側の申し出をただ、ハイ、そうですかと日本の外務省にしても高村外相にしてもストレートに承っただけだとしたなら、両者とも話にならないくらい底なしの無能ということになる。例え無能だとしても、話にならないくらい底なしとまではいかないはずである。
しかし日本の新聞・テレビの報道からは外務省にしても高村外相にしても、北朝鮮の申し出に対する直接の回答としてどのようなメッセージも発したようには見えてこないし、ただ単に、ハイ、そうですかと承った姿しか見えない。
町村官房長官は「そういう対応をするのは、非常に残念な、思いがしております。エエ、いずれ、この、非常に早くですね、引き続き働きかけをしていきたいと――」とは言っているが、直接の回答ではなく、今後の問題――いわば新政権がスタートしてからの問題として扱っている。
家族会にしても日本政府が北朝鮮の言いなりに、ハイ、そうですかとただ承っただけと受け止めたと見たことからの歯がゆい批判となっている。
果して承るだけといった「子供の使い」外交しかできない日本なのであろうか。それ程までに底なしに無能な外交しか演ずることができない日本なのだろうか。
北朝鮮側にしても、日本政府が「拉致解決なくして国交正常化なし」を拉致に関わる基本姿勢としていることは国民世論が仕向けた要求事項・縛りだと承知しているはずだし、当然の結末として日本の政権の変動と拉致解決に向けた日本側の姿勢が基本的には連動することはないと見なければならないはずだが、そうでありながら、日本側の新政権の考えを見極める必要があると調査委員会の設置の先送りを伝えてきたことになり、単なる引き伸ばし作戦に映る。
引き伸ばしに過ぎないとしたら、8月19日当ブログに≪拉致「一旦白紙に戻し、一からの再調査」とは国交回復のための落しどころを探る合作劇ではないのか≫で題名どおりの内容の記事を書き、同様の結論になるのだが、北朝鮮で拉致調査が進展しないのは拉致命令首謀者が金正日であることから(脱北者になりすまして韓国軍を対象としたスパイ活動で韓国捜査当局に逮捕され、先月末に起訴された北朝鮮の女工作員は金正日直接の指令だと自白しているという)、そのことの露見を恐れて新しい事実を出しようがないとしか考えようがなく、日朝双方共にそのことを承知していて、新しい事実を出しようがなければ拉致解決はないのだから、如何に拉致問題をすり抜けて国交正常化に持っていくかが日本と北朝鮮の課題と化し、そのことからの北朝鮮側からの「新政権の履行を見守る」を口実とした拉致問題調査委員会設置の先送りの申し出であり、日本側の何ら反論しない、ハイ、そうですかのストレートの承りといったところではないだろうか。
福田辞任、新政権への移行が単なる口実であるとしたなら、北朝鮮側をして先延ばさせた真の理由はアメリカが北朝鮮のテロ国家指定解除を先送りしたことではないだろうか。核問題の解決によってアメリカにテロ指定国家を解除させ、その先に用意してある対北朝鮮支援の輪から日本だけを孤立させて立場を失わせ、止む無く拉致解決を諦めさせるといったシナリオを描いていたところ、肝心のアメリカがテロ国家指定解除を先送りしてしまった。元々拉致完全解決のシナリオは存在しないのだから(存在していたなら、とっくに完全解決を見ていただろう)、アメリカのテロ国家指定解除先送りに連動させた、多分苦し紛れに一息つくための拉致問題調査委員会設置の先送りといったところだろう。
もし日本が国民世論を無視して政府の都合のみで政治が行えるなら、拉致解決より北朝鮮との国交正常化を優先させて、戦争補償と経済援助を投下する北朝鮮市場に日本の企業を進出させて商機を与え、出したカネ以上に日本が儲けるといったことをするに違いない。アジアの戦後復興に向けて日本が賠償や経済支援と同時に日本の企業を進出させて大いにカネ儲けさせて、その商機によって日本の経済復興・経済発展の果実を手に入れたように。
だが、核問題が解決してアメリカが北朝鮮に対するテロ指定国家を解除した場合は、北朝鮮市場への進出はアメリカや中国、韓国の企業に先を越され、それぞれの援助を食い合うことになる。
北朝鮮 拉致調査委先送り連絡(「NHK」インターネット記事/08年9月5日 12時55分)
高村外務大臣は閣議のあとの記者会見で、先月の日朝実務者協議で合意した拉致問題の調査委員会について、北朝鮮側が、日本側の新政権の考えを見極めたいとして設置を先送りすることを伝えてきたことを明らかにしました。
このなかで、高村外務大臣は、先月の日朝実務者協議で合意した拉致問題の調査委員会について「昨夜、北京の大使館ルートで北朝鮮側から『日朝実務者協議の合意事項を履行する立場であるが、日本側の事情にかんがみて、新政権が、その履行についてどういう考えか見極めるまで調査委員会の立ち上げを差し控える』という連絡があった」と述べました。
そのうえで、高村大臣は「日本側としては、いままで、早く権限ある調査委員会を立ち上げ、秋までには結果を出してくれと言ってきた。生存者を発見して少しでも帰国につながることを期待していたが、そういう連絡があったことは非常に残念だ。これからも早期に調査を再開するよう働きかけていきたい」と述べました。
拉致問題の再調査をめぐっては、先月、中国の瀋陽で行われた日朝実務者協議で、北朝鮮側が、権限を与えられた調査委員会を設置して全面的な調査を迅速に行い、可能なかぎりことしの秋までに調査を終了することなどで合意していました。
北朝鮮が拉致問題の調査委員会の設置を先送りすると伝えてきたことについて、拉致被害者の家族会代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんは「福田総理大臣の辞意表明を受け、北朝鮮が日本の政局の行方を見極めてくるのではないかと予想はしていたが、残念でならない。わたしたちの手の届かないところで状況が刻々と変わる現状にじれったさを感じるし、拉致問題がこれからどうなるのか不安を感じずにはいられない」と話しています。
また、拉致被害者の家族会の事務局長で、増元るみ子さんの弟の増元照明さんは「北朝鮮が調査委員会の設置を先送りすると言いだすことは福田総理大臣が辞意表明をしたときに予想されたことだ。そうさせないように、日本政府が先手を打たなかったことが問題だ」と話しました。そのうえで増元さんは「今後、政権がどう変わろうと、8月の協議で合意したとおり、速やかに調査委員会を設置するよう北朝鮮に働きかけていくべきだ」と話しました
9月7日(08年)の「毎日jp」記事≪橋下・大阪府知事:廃止方針の府立文学館を「隠し撮り」「仕事ぶりチェック」≫
記事内容を箇条書きにしてみると、
1.大阪府の橋下徹知事が6日、財政再建案で来年度中に廃止する方針を打ち出
している府立国際児童文学館(吹田市)の館内の様子を調べるため、私設秘
書を使って職員に内緒で2日間、「隠し撮り」でビデオ撮影させた。
2.その映像を見て、
橋下知事「何の努力の形跡もうかがわれない」
「(来館者を増やす)取り組みは一切感じられなかった」
(子どもたちが漫画ばかり読んでいたとして)
「実際は漫画図書館だ」
3.「隠し撮り」については、「民間なら当たり前のリサーチ」
橋下知事「行政は予算を付けても、執行の管理ができていない。本当にやってい
るのかチェックするのが僕のやり方」
4.映像は府議会などでの公表を検討。
廃止を検討する他の施設についても「隠し撮り」させる方針を示す。
5.北田彰文学館常務理事
「びっくりした。いつ誰が来ても、きちんと対応している」
「7月の来館者は昨年の4割増、8月は5割増になった」
「『漫画ばかり』と言われるが、70万点のうち14%に過ぎない」
橋下徹大阪府知事の財政再建案の中に「来年度中に廃止」の俎上に乗っている府立国際児童文学館なのである。私設秘書は橋下府知事のその「廃止」意向を汲んで、あるいは「廃止」姿勢を受けて、廃止をアピールするに都合のいい映像を撮る。
これが人間の利害・人情というものであろう。存続に有利となる映像を撮ったりしたら、私設秘書としての役目を果たさないことになる。
府立国際児童文学館からすれば、最初から存続に不利な場面ばかり狙った映像を撮られることになる。有利となる映像など望むべくもない。
すべてが「廃止」を前提とし、「廃止」に向けた不利な映像となる。ビデオを隠し撮りする前から、「廃止」劇が展開されていたのである。
橋本知事自身の「廃止」意向、あるいは「廃止」姿勢に意識的に支配された私設秘書の「廃止」方向に色づけた色眼鏡を通して撮影した「廃止」をテーマとしたビデオを見て、知事は全編「廃止」を正当付けていると見る批評を行った。
その一例が子どもたちが漫画ばかり読んでいる場面が強調的に撮影されることになって、「実際は漫画図書館だ」という廃止を正当付ける批評を引き出す経緯を踏んだということであろう。かつての教育タウンミーティングのヤラセ質問と構図は近親関係にある。
公平な判断をするということなら、中立の第三者に隠し撮りを依頼すべきだったのではないのか。そこまで考える感性・想像性は橋下にはなかったのだろう。
橋下・大阪府知事:廃止方針の府立文学館を「隠し撮り」「仕事ぶりチェック」(「毎日jp」2008年9月7日 東京朝刊)
◇現場は困惑
大阪府の橋下徹知事は6日、廃止方針を打ち出している府立国際児童文学館(吹田市)の館内の様子を調べるため、職員に内緒で2日間、ビデオ撮影したことを明らかにした。橋下知事は「何の努力の形跡もうかがわれない」と映像を見た感想を述べた。「隠し撮り」について「民間なら当たり前のリサーチ」と話したが、その手法は議論を呼びそうだ。
橋下知事の私設秘書が8月、撮影した。知事は「(来館者を増やす)取り組みは一切感じられなかった」と酷評。子どもたちが漫画ばかり読んでいたとして、「実際は漫画図書館」と不満を表した。映像は府議会などでの公表を検討する。
文学館の北田彰常務理事は「びっくりした。いつ誰が来ても、きちんと対応している」と困惑気味。「7月の来館者は昨年の4割増、8月は5割増になった」と反論し「『漫画ばかり』と言われるが、70万点のうち14%に過ぎない」と話した。
府は財政再建案で、文学館を来年度中に廃止する方針を示している。橋下知事は「行政は予算を付けても、執行の管理ができていない。本当にやっているのかチェックするのが僕のやり方」と話し、廃止を検討する他の施設についても「隠し撮り」させる方針を示した。【長谷川豊、田中博子】
昨日(5日)夜7時のNHKニュースで自民党総裁選挙では正式に立候補を表明した麻生幹事長を含めて5人以上が立候補する模様だと伝えていた。
与謝野経済財政担当大臣、石原元政務調査会長、小池元防衛大臣、石破前防衛大臣、それに若手世代から棚橋元科学技術担当大臣、立候補に意欲を示している山本一太外務副大臣・・・・
推薦人確保に自信があっての立候補表明、確保した時点で立候補を表明しようと推薦人確保に奔走、確保の目途は立っていないものの、取敢えずは立候補表明と様々だ。
麻生太郎以外は派閥の領袖ではないこの乱立劇はかつては持っていた派閥の力が弱まったことに原因した「騒動」なのだろうか。
自民党の派閥の解体が言われて久しい。かつての派閥力学は崩壊した、派閥の領袖が右へ向けと言ったら、右を向く時代ではなくなった、派閥とは領袖が総裁候補者として君臨し、その領袖を総裁にするための集団だったが、そういった構造は殆ど機能しなくなった等々言われている。
確かに立候補を表明、あるいは立候補に意欲を示している者の中で派閥の領袖は麻生太郎一人のみで、それ以外に領袖は存在しない。その点派閥の領袖=総裁候補とは必ずしも言えないことになるが、それぞれの派閥の領袖を眺めてみた場合、自民党最大派閥の町村派・町村信孝と麻生派・麻生太郎以外、総裁候補とするには賞味期限切れの政治家ばかりで、そういったことも手伝った派閥の領袖=総裁候補とは必ずしも言えない状況ということではないだろうか。
裏を返すと、賞味期限切れ前の政治家が領袖として派閥に君臨していたなら、派閥の領袖=総裁候補というかつての構造がかつての状況のままに出現する可能性は否定できないことになる。
町村派が自民党最大派閥でその領袖である町村自身が総理・総裁となる機会を窺っている賞味期限切れ前の政治家だとしても、自らが築き上げた自民党最大派閥町村派ではなく、森喜朗元首相が領袖だった自民党最大派閥森派を受け継いだ、と言うよりもその頭数をそのままそっくり受け継いだ、いわば棚ボタ式に手に入れた自民党最大派閥であり、完璧に賞味期限切れではあるものの最高顧問に就いた森喜朗がその政治屋的駆引きの力で実質的に派閥の実力者として君臨している自民党最大派閥町村派だということの関係と、その最高顧問が賞味期限切れ政治家であるにも関わらず、先月8月17日に出演したテレビで「福田康夫首相の無味乾燥な話より、麻生さんのような面白い話が受けるに決まっている。我が党も麻生人気を大いに活用しないといけない。『次は麻生さんに』の気持ちは多いと思う。私も、勿論そう思っている」と発言して次期総理・総裁に麻生太郎を意中の人とすることで町村派の動向を制約した関係をも受けた町村の派閥の領袖=総裁候補とは即なり得ない今回の総裁選立候補見送りであろう。
同じ町村派の小池百合子がやはり同じ派の中川秀直を後見人として立候補の動きを見せると森期限切れが不快感を示したのは小池らの動向が町村派を麻生支持に向けて統一したい欲求に逆らい、元領袖、現最高顧問のメンツを潰す動きだったからだろうが、そのことだけを見ると確かに派閥が一人の人間の力で動く構造にないことを示しているが、もしも町村自身が築いた自民党最大派閥町村派なら、派閥の領袖=総裁候補の図式で町村自身が立候補しただろうから、20人の小派閥でしかない麻生派領袖麻生太郎は例え立候補することはできても、総裁としての出る幕は限りなく小さくなるだろう。
だが町村派は町村自前の自民党最大派閥ではなく、「日本は神の国」等の発言でその無能が日本国中に知れ渡って完璧に賞味期限切れとなっているものの、元々の所有者たる森の意向を無視できない状況にあることに加えて森の「『次は麻生さんに』の気持ちは多いと思う。私も、勿論そう思っている」の発言の影響も受けた町村派領袖町村信孝の出る幕の消滅に違いない。
いわばかつての力はないというものの、派閥の力学が働いた麻生太郎の次期総理・総裁の目とも言える。確かに麻生の人気も力が与っている次期総理・総裁の目でもあるが、自民党が自らの政治の不人気が原因して政権を野党に渡すかどうか瀬戸際に立たされていることからの麻生人気への縋りであって、「瀬戸際」が保証することとなった麻生人気ということなら、「瀬戸際」の条件を欠いた場合、その人気は絶対性を欠き、逆に派閥の力学がハバを利かす可能性も生じる。
中選挙区制から小選挙区制に移行して派閥が力を失ったというものの、自民党から派閥がなくなったわけではなく、必要でないから人間が尻尾を失ったのとは逆に存在し続けている以上、その必要価値を失わないでいることを物語っている。このことは政策決定や人事決定に常に派閥が背景をなしていることが証明している。
上記昨5日の同じNHK7時のニュースが麻生以外の立候補予定者の立候補のイキサツを伝えていた。石破前防衛大臣の立候補表明に関しては、 「石破氏が所属する津島派は、幹部による緊急の会合を開き、派閥として石破氏を支援しないものの、石破氏の立候補を容認することになりました」
石原元政務調査会長に関しては、所属する山崎派の領袖「山崎前副総裁は、派閥として総裁選挙は自主投票にする方針を示したうえで石原氏の立候補を認める考えを伝えました」――――
なぜ「派閥として支援しない」にも関わらず、「派閥としては認める」といった手続きを踏むのだろうか。もし派閥がかつての力を失っているというなら、派閥の承認を受ける必要もなく、自分で推薦人を20人集めて立候補すれば済むことなのだが、そうしないで派閥に立候補を諮り、派閥単位の支援を許可されないものの派閥の承認を受ける。
この経緯の背景を成しているのはやはり派閥である。派閥を背景として、決定が行われる。派閥を立候補及び総裁選挙という舞台の背景から完全に取り除いて決定することができない。
もし石破にしても石原にしても他の派閥からの支援も可能で、総理・総裁に最も近い有力な候補者だと先行きを読めるなら、津島派にしても山崎派にしてもどちらの領袖も総理・総裁としては賞味期限切れの政治家であり、自らの立候補の目はないのだから、それぞれを派単位で応援するだろうが、その逆だから、容認しないとなったなら、派閥の横暴、その独裁性を非難されるから、容認はするが、支援はできないということなのだろう。自主投票とは間接的な勝ち馬乗りと言うことなのだろう。
派閥は一見政策で結びついている議員の集団のように見えるが、所詮損得勘定で動く利害集団でしかない。閣僚という人事を得るために政策の違いはそっちのけで、総理・総裁可能な立候補者を支持するといったことをやらかす。勝ち馬に乗るために勝ち馬と確実に見込める候補者へと支持の旗を掲げて雪崩も打つ。
今回いち早く「麻生支持」を打ち出した伊吹派がその好例であろう。安倍支持、福田支持と動いて、今回も本命視されている「麻生支持」にいち早く動いた。領袖たる伊吹文明は安倍・福田内閣で論功行賞的に重要閣僚、もしくは党の重要な役職を与えられ、同じ派内からも閣僚を出している。
派閥はかつての力を失っているとは言うものの、「腐ってもタイ」の如くに隠然たる存在感を引きずって、自民党内の政策や人事を決定付ける力関係醸成の背景を成している。このことを逆説すると、個々の議員はかつて程ではないが、依然として派閥という権威に支配され、その権威主義に縛られて自律(自立)していないことを示している、
自民総裁選 候補5人以上か(「NHK」インターネット記事/08年9月5日 19時21分 )
自民党の総裁選挙は、麻生幹事長が、正式に立候補を表明したのに続いて石破前防衛大臣も新たに立候補を表明し、来週10日の告示に向けて各陣営の動きが活発化してきました。総裁選挙は、与謝野経済財政担当大臣、石原元政務調査会長、小池元防衛大臣を含め、5人以上の候補者による選挙戦となる可能性が出てきました。
自民党の麻生幹事長は、党本部で緊急の役員会を開き、みずからが総裁選挙に立候補するため、幹事長としての職務の権限を細田幹事長代理に委ねました。そして、麻生氏は記者会見し、「急に福田総理大臣が辞任を表明したが、立ち止まることは許されないと思っている。わたしに課せられた使命は非常に大きい。国内の景気の回復と国民の不安の一掃を総裁選挙で訴えていかなければならない」と述べ、正式に総裁選挙への立候補を表明しました。
また、石破前防衛大臣は党本部で記者会見し、「総裁選挙では、外交や安全保障などについて、自民党が、民主党の小沢代表とどのように戦うのかを強調したい。『勝ち馬に乗りたい』という気持ちがないわけではないが、損得を抜きに国家や国民、党のために全力を尽くしたい」と述べ、立候補を表明しました。
これに先立ち、石破氏が所属する津島派は、幹部による緊急の会合を開き、派閥として石破氏を支援しないものの、石破氏の立候補を容認することになりました。
そして、石破氏は、青木前参議院議員会長を事務所に訪ね、立候補することを伝えて理解を求めました。
与謝野経済財政担当大臣は閣議のあとの記者会見で、「自民党の存在が問われるような政治の危機がわれわれを襲っており、総裁選挙に立候補して、わたしの考えを政策として実現するよう努力することが責任だと思った。正式な立候補表明は、政策をきちんと用意したうえで行いたい」と述べました。
このあと、与謝野氏は、森元総理大臣や山崎前副総裁とそれぞれ会って、立候補する意向を伝え、これに対し、森氏は「よかった。頑張れ」と激励しました。
また、石原元政務調査会長が所属する山崎派は会合を開きました。この中で会長の山崎前副総裁は、派閥として、総裁選挙は自主投票にする方針を示したうえで石原氏の立候補を認める考えを伝えました。
石原氏は記者団に対し、「山崎氏からは『頑張ってください』とたいへん温かいことばを頂いた。これから応援してくれる人を集める作業に入るが、週内には何とか確保したい」と述べました。
小池元防衛大臣は5日午後、講演のために訪れた札幌市内で記者団に対し、「お天気は時々、変わりますけれども、だいたい晴れていると思う。告示まで、あと数日しかないので、仲間の皆さまもいろいろと活動してくださっていると聞いている」と述べ、立候補に必要な20人の推薦人の確保に一定の手応えをつかんでいることを示唆しました。
さらに、棚橋元科学技術担当大臣は、小泉元総理大臣の推進した構造改革路線の維持を求める中堅・若手の議員連盟を代表して立候補を目指す考えを表明しており、国会内にある党所属の国会議員の事務所を回って推薦人の確保に向けて協力を求め、応対した議員や議員の秘書に「頑張ってください」と激励されていました。
また、山本一太外務副大臣は党本部で記者会見し、「外務副大臣を辞任して総裁選挙への立候補を目指したい」と述べましたが、推薦人を確保するめどは立っていないとしています。
このように、総裁選挙は、来週10日の告示に向けて各陣営の動きが活発化しており、5人以上の候補者による選挙戦となる可能性が出てきました。
9月3日の「J-CAST」インターネット記事が「共同通信社」の報道として、同社の自民党全国47都道府県連幹部向け総裁選緊急アンケートに対して22府県の幹事長らが福田後継に麻生支持、25都道県が未定か未回答のどちらかであったと伝えている。
対抗馬が出ないうちからの47都道府県連中の半数に迫る「22府県」だというから麻生熱の高い情勢と言えるが、半数以上の25都道県の未定、もしくは未回答が対抗馬次第の様子見だとすると、麻生太郎に匹敵、もしくはそれ以上のアクの強い露出力を持った対抗馬が出現するか、例え露出力の乏しい地味な対抗馬であっても、麻生派以外の派閥がその対抗馬への絶対投票を強制可能な権威を各議員及び地方党員に対して発揮し得る状況を保持できるなら、半数以上の未定・未回答は麻生熱の高さがそのまま全体に向けた投票に結びつく保証を示すことにはならない。
だが、現在のところ自民党は上記二つのうちのいずれかの条件を満たす状況にはない。麻生太郎が本命と目される所以であろう。
昨3日(08年9月)の「日刊スポーツ」インターネット記事≪麻生氏にアキバ萌え~「メイド応援隊」も≫が麻生太郎のアキバでの相変わらずの人気の高さ、熱の高さを伝えている。熱病と言ってもいい若者たちの熱の高さではないだろうか。日本の将来は大丈夫だと思わせる心強さを彼らアキバの若者たちに感じる。
記事は伝える。<昨年9月の総裁選で秋葉原で街頭演説をし、1万人以上が集まるなど強烈だった“アキバ人気”は、この日も健在だった。
秋葉原名物「メイドカフェ」店員からも「麻生支持」の声が聞かれた。「自称17歳」というメイドは「麻生さんに首相になってほしい。アキバ文化をもっと世界に広めてほしい。歩行者天国も、警備を強化するなどして復活させてほしい」。また「アキバで街頭演説をする時、メイドを集めて応援させてほしい」と述べ、異例の“メイド応援隊結成案”を提示した。>
「麻生さんに首相になってほしい」、「アキバで街頭演説をする時、メイドを集めて応援させてほしい」――――
「自称17歳」だから、実際の年齢が「20歳以上」なら選挙権を持つことになるが、選挙権があるなしに関係なく、何と心強い麻生支持のメッセージであろうか。
メイド姿のメイドたちや若い男性の漫画オタクたちが「1万人」、あるいはそれ以上群れを成し、熱に浮かされたように「麻生、麻生、麻生」と「麻生コール」をリズミカルに力強く声が続く限りに連呼する。そのリズミカルな力強い連呼に自らも酔い、なおのこと熱に浮かされて「麻生、麻生、麻生」と続ける。
そのような熱狂を受けて満面に笑みを見せ、大きく手を振り、得意げににこやかに応える麻生太郎。かつてこれ程の熱狂を以って迎えられた政治家が日本に存在しただろか。麻生太郎が最初にして最後の政治家になるのではないだろうか。
正月2日の皇居での天皇の一般参賀に集まった国民の熱狂と比べて遜色なく、一般参賀の天皇の立場に遜色ない立場を麻生は確保するに違いない。
麻生太郎の一挙手一投足、発するすべての言葉に熱狂した男女若者群集の姿とその中心に位置し、教祖のように祭り上げられた麻生太郎が共々演出することとるたアキバ世界をテレビが凄い、凄いの感動をガン細胞の如くに増殖させてセンセーショナルに日本全国に向け、我先にとこぞって朝から晩まで一極集中的報道の挙に出る。
かくして麻生と男女若者オタクたちが織り成すアキバに限った熱狂世界が日本全国の茶の間に出現することとなり、少なくない人間がその熱狂にインフルエンザの如くに伝染してその凄さに感動し、その凄さを共有して熱狂世界の一人と化す。アキバに限った熱狂世界の茶の間化とも言える。擬似的アキバ世界の擬似的住人化である。
茶の間の彼らが総裁選に一票を持たなくても、麻生が総理となって麻生内閣を組織した場合の支持率増の力となるだろう。解散・総選挙に打って出ても、自民党の票稼ぎの力となるというわけである。
アキバの熱狂世界にしても、テレビが演出する茶の間の擬似的アキバ世界にしても、これ程日本の将来を約束する場面は他にあるだろうか。世界にバカにされた日本を救うアキバ世界となるに違いない。
≪麻生氏にアキバ萌え~「メイド応援隊」も≫(日刊スポーツ/2008年9月3日8時55分 紙面から)
自民党は2日、福田康夫首相(72)の後継を決める総裁選を10日告示、22日投開票で行うことを決めた。本命視される麻生太郎幹事長(67)は出馬の意向を事実上表明。「政界一のオタク」麻生氏出馬に対し、東京・秋葉原では早くも一部で盛り上がった。グッズ店店頭には急きょ、麻生氏や福田氏をキャラにした菓子が多種類並んだ。“駆け込み需要”で福田氏の菓子が売れる現象も。メイドからは「メイド応援隊結成」案も出た。市場でも「麻生銘柄」が急騰するなど、強い人気をみせた。
麻生氏は漫画やアニメに詳しく「政界一のオタク」。昨年9月の総裁選で秋葉原で街頭演説をし、1万人以上が集まるなど強烈だった“アキバ人気”は、この日も健在だった。
秋葉原名物「メイドカフェ」店員からも「麻生支持」の声が聞かれた。「自称17歳」というメイドは「麻生さんに首相になってほしい。アキバ文化をもっと世界に広めてほしい。歩行者天国も、警備を強化するなどして復活させてほしい」。また「アキバで街頭演説をする時、メイドを集めて応援させてほしい」と述べ、異例の“メイド応援隊結成案”を提示した。
一方、日経平均株価が終値で前日比224円71銭下げるなど、さえなかった日本市場でも、アニメ、ゲームなどの「麻生銘柄」は活況をみせた。漫画専門店「まんだらけ」は値がつかず、前日比5万円高の35万3000円で、ストップ高買い気配のまま取引を終了。ゲーム関連店を運営する「ブロッコリー」も前日比12円高の終値70円をつけた。麻生グループの「麻生フオームクリート」もストップ高となる前日比80円高の350円で取引を終えた。
キャラクターグッズなどを扱う秋葉原の「アソビットキャラシティ」ではこの日午前、店頭に、大藤(東京都荒川区)製の「太郎ちゃんの牛乳カステラ」など麻生氏と福田氏をキャラクターにした菓子を計8種類(麻生氏5、福田氏3)並べた。商品の上には「おつかれさま、やっくん」と福田氏へのメッセージも掲げ、1日夜の会見で同氏が記者に述べた「あなたとは違う」の一言も。看板には「次期○○は誰?」の文字の後に麻生氏の似顔絵を掲示するなど、すでに“麻生新首相モード”だった。
同店によると、店頭販売に踏み切ったこの日は、8種類の菓子全体で、前日の10倍近く売れた。通常は麻生氏の菓子が福田氏の倍以上売れているが、この日は「首相を辞めて今後手に入りにくくなる」(同店)という“駆け込み需要”から、福田氏の菓子の売れ行きが麻生氏を上回る現象がみられた。同店では「今後も麻生さんの菓子を中心に、店頭販売を続けます」と意気込む。大藤ではこの日、福田氏の菓子を通常日の約5倍にあたる、500個を各店に出荷したという。【広部玄】
≪自民党の22府県連が麻生氏を支持≫(J-Cast/2008/9/ 3)
共同通信社は2008年9月2日、自民党総裁選について同党の全国47都道府県連の幹部に緊急アンケートを行い、その結果を発表した。それによると、22府県の幹事長らが、福田康夫首相の後継総裁として麻生太郎幹事長を支持することを明らかにした。一方で、全体の半数を超える25都道県が、未定と答えるか回答しないかのどちらかになっている。
ただ、麻生幹事長を支持しながらも、「衆院選を考えれば、小池百合子元防衛相、野田聖子消費者行政担当相の両女性議員もいい」といった回答がいくつかあったという。
まずは昨9月1日、9時半からの辞任記者会見をNHKテレビから。解説部分は下線で示し、最後に( )内に纏めます。
福田「ええ、昨年、私は安倍前総理からバトンを引き継ぎまして、えー、9月26日に総理に就任以来、1年近くたったわけでございます。え、その間、参議院選挙で与党が過半数割れをするというそういう状況の中で、ま、困難を承知で、えーお引き受けをしたということであります。
ま、正直申しまして最初からですね、えー、政治資金の問題、年金記録問題、またC型肝炎問題、防衛省の不祥事、等々ですね、、次から次へと積年の問題が顕在化してきたと。ま、そういうこういうことに遭遇をいたしたわけであります。その処理に忙殺をされました。(1)
その中でも将来を見据えながら、目立たなかったかもしれませんけど、これまで誰も手を付けなかった、ようにですね、国民目線での改革に着手をいたしました。例えば、えー、道路特定財源の一般財源化。また消費者庁の設置法の、取りまとめ。え、国民会議を通じてですね、え、社会保障制度を抜本見直しをする、といったようなことでございます。
最終決着はしておりませんけどもですね、方向性は打ち出せた、と思っております。
ま、さらにその上に今年に入りましてからは、経済景気問題、というものが大きな課題として浮上いたしました。ガソリンや食糧などの物価高騰に国民や農林漁業、中小企業、零細企業のみなさんが苦しむ中で、何とかして強力な対策を作らなければいけないと、まあ、こういうふうに思ったわけでございますが、その体制を整えることを目的に8月に改造を断行いたしました。強力な布陣のもとで、先週金曜日に総合的な対策を取りまとめることができました。この臨時国会では、この対策を実施するための補正予算や、消費者庁設置法など、国民生活にとって一刻の猶予もない重要な案件を審議いたします。
先の国会では民主党が重要案件の対応に応じず、国会のかけひきで審議引き延ばしや審議拒否を行った。その結果、決めるべきことがなかなか決まらない。そういう事態が生じたほか、何を決めるにもとにかく時間がかかったということは事実でございます。
今、日本経済はまた国民生活、を考えた場合に、今度開かれる国会で、このようなことは決して起こってはならないこと。そのためにもですね、態勢を整えた上で国会に臨むべきであると考えました。
国民生活のことを第一に考えるならば、ここで政治の駆け引きで政治的な空白を生じる、という政策実施の歩みを止めることがあってはなりません。
(2)
この際、新しい布陣の元に政策の実現を、図って、まいらなければならない、と判断をし、私は本日辞任をすることを決意いたしました。まだ経済対策や消費者庁設置法案を取りまとめ、国会の実質審議入りには時間がある、このタイミングを狙いまして、国民にも大きな迷惑がかからない、というように考えた次第で、この時期を選んだわけであります。これをきっかけに、次の自民党総裁の下により強力な態勢をしいてもらい、国家、国民のための政策実現に向けて、邁進してもらうことを期待をいたしております。これまでの1年を振り返るならば、大きな前進のための、いろいろな基礎を築くことができた、というように自負いたしております。みなさま方にもいろいろとお世話になりまして、心から感謝を申し上げます。以上私の辞任の、気持ち、考え方でございます」
司会「それでは、質疑に移ります。質問をされる方は、エー、挙手をお願い致します。私の方から指名いたしますので、名前と会社名を名乗って、エ、質問ください。それでは幹事会社から」
――産経新聞の高木です。あのー、総理は、あの、ま、辞任を表明されましたが、具体的にいつの段階で、そう決断されたか。それとですね、前安倍総理もですね、こうした形で唐突に投げ出されたんですが、福田総理も同じ形になるんですが、エー、そのことで政治不信とかですね、エー、政権に対する不信がですね、また巻き起こんじゃないかと、思われますが、総理はどうお考えですか。
福田「うん、そうですね。全く私は前総理のケースと違うと思っております。安倍前総理は健康の問題があったわけですね。私は健康の問題は、まあ、目が見えにくかったということ以外、特別な問題はございません。これは私が、あー、これからの政治を考えて、どうあるべきかを考えた上で決断したことでありまして、エー、いつそういうように考えたかと言えばですね、まあ、過去いろいろ考えましたけれども、エー、先週末にその最終的な決断を致しました」
――(会社名と質問者の名前が聞き取れない。最初の産経新聞の高木の名乗りも声が小さく、よく聞き取れなかった。質問の声は十分に聞き取れるのに、なぜもっと堂々とした声で名乗らないのだろうか。)エー、今、新しい体制を整えたうえで国会に臨むべきだというお考えを表明されましたけど、ま、新しい体制になればですね、エー、ま、どのような点で今の事態をですね、打開できるとお考えでしょうか。
福田「ええ、これはですねえ、まあ、我が自由民主党のことを申し上げて恐縮でございますけれども、まあ、あの、総裁選挙をすることになると思いますねえ。そして、選ばれた新しい総裁がですね、、総理大臣の指名を受ける、マ、こういうふなプロセスに自然になると思っておりますけれども、それはあの、私が続けていくのと、新しい人がやるのと、これは間違いなく、違うと私が考えた結果でございます。それはいろいろな状況を考えて、政治的な判断をしたと、いうことでございます」
――「朝日新聞の・・」(後は聞き取れない。)消費者庁、道路等の成果という問題ですけれども、まっだ、いずれもまだ道半ばであり、これを御自身の手で仕上げていくことこそ責任ではないかと思うんですけれども、エー、それを新体制で以ってやってほしいというふうにお考えになるのは何故か。もう一つは、その総理大臣という職をお辞めること自体がですね、政治的空白を招くのではないか。その、国民が今、景気等ですね、状態が悪い時に辞めること自体が空白を招くのではないかと、そういうことを感じるんですけども、どのようにお考えですか。
福田「消費者庁のことにつきましては、これは、あの、大体法案がまとまったと、いうことでありまして、この趣旨はですね、エー、国会にこれから説明をしていく。まあ、あの、私に続く人がこのことを最重要に考えてやってくださる。ま、それを期待いたしておりますけどね。そうしてくださると思っておりますけれども、それは、あー、ここまで纏まれば、あと国会でどういう審議をされるか、また、あの、そのことについて野党とどういう話し合いをしていくか、といったようなことになりますので、それはお任せする、しかないと、いうように思います。
これは無責任だと言われれば、全部終わるまでやっていなければいけない。しかし、本当にやっていられるかという問題もあるんですね。第二の問題ですけどもね。私が続けていって、それは、そして、え、国会がですね、順調にいけばいいですよ。そういうことはさせじという野党がいる限りですね、新しい政権になってもそうかもしれんけども、しかし私の場合にはですね、内閣支持率の問題もあるかもしれませんしね、マ、いろいろな状況がありますから、その辺はたいへん困難を伴うのではないかと思います。(3)
そして政治空白というお話でございますけども、今が政治空白をつくらないという意味ではいちばんいい時期だという判断を私はいたしたわけです。まあ、例えば国会の途中で、何かいったようなことをですね、まあ、想像してもしようがないんだけども、マ、そういうような、もし仮にそういうようなことがあったならば、そのことの方がですね、より大きな影響を国民生活に与えると、いうふうに思っております。
いろいろこれから大事な法案、あー、政策をですね、あのー打ち出すわけでありますけど、法案だけ考えましても経済対策あり、そして、えー、例の、給油法の問題もあり、また消費者庁もある。また前国会の積み残しもたくさん大事なのがございますから、そういうものを順調に、仕上げていかなければいけない。そのためにはですね、私が、まあ、いろいろ考えましたよ。判断した結果、今、辞任をして新しい人に託した方が、あー、その方がよりよいと判断したわけです」(4)
――今日は、あの、夕方に麻生幹事長とは役2時間程会っております。どのようなことをお話をされたということと、それから自ら幹事長に起用された麻生さんを次の総裁選でも総理は支持していくということになるんでしょうか。
福田「あの、今日は麻生幹事長、それから町村官房長官両氏においでいただきましてですね、私の考え方を説明を申し上げました。まあ、色々な、遣り取りがありまして、しかも、時間もかかりましたけども、、まあ、あのー、そういうことであったということであります。それから、あのー、その後のことはですね、これは自民党の党内でどうするという問題でありますけれども、総裁選挙の日付とか、手続きを進めていただきたいということを麻生幹事長にお願いをいたしました。
――今回ですね、エー、ご自身がご決断に至る過程で、総理自身があの、ま、これまでですね、エー、解散・総選挙をご自身の手でやると、いうふうにお考えたことはあるのかないのか。あともう一点が、あのー、民主党、おー、との間では、ねじれ国会の元で、エー、まあ、政策ということが難航したようですけれども、民主党の小沢代表に対してマ、ご自身からおっしゃりたいことがあれば。
福田「えっ?小沢代表に何ですか?」
――民主党の小沢代表に大してご自身からおっしゃりたいことがあれば・・・・
福田「申し上げたいことがですか。そおーですね、まあ確かにねじれ国会で大変苦労させられました。ええ、話し合いをしたいと思っても、それを受け付けてもらえなかった、ということが何回もございましたし、与党の出す法案には真っ向反対と、それも重要法案に限って真っ向反対と、というようなことで、聞く耳もたず、ということは何回もございまいした。まあ、私は小沢代表に申し上げたいのは国のためにどうしたらいいのかということ、これは虚心坦懐、胸襟を開いて話し合いをする機会がもっとあったらよかったな、そういう機会を持ちたかったなあ、ということを申し上げたいというふうに思っております」
――毎日新聞の尾中(女性)と申します。あのー、総理は1カ月前に大幅な改造をなさったばかりですけれども、そのときもこのメンバーで臨時国会を乗り切るために強力な布陣を敷いたはずだと、思うんですが、その内閣のメンバーをわずか1カ月、エー、国会を迎えないうちに自ら総辞職という形を取らなければいけないと、ええ、いうようなことになったことについてエー、もう一度ご見解をお願いしたいのと、そうであるならば総理自身で、この臨時国会を乗り切るために自身として何が足りなかったのか。それをどのようにお考えになっているのか、ええ、お話を聞かせていただけないでしょうか。
福田「私がね、その1カ月前に内閣改造したということ、それでなぜその1カ月後に、ええ、その総理自身、任命した総理自身がやめるのかと、いうこと。これはもっともなお話だと思います。
ま、しかし、あの私もですね、内閣改造をしたときには、この、おー、少なくともですね、重要な案件については、その、何とかしたい、こいういう意欲は持っておりました。ですから、あー、そういう布陣をした。
特にですね、経済については特に重視しなければいけない、というそういう思いがございました。まあ、その、改造の前あたりからですね、経済対策を取らなければはいけない、ということでもって、いろいろと、その、まあ、その、考えをめぐらしておったということがございますので、その新内閣になりますと、早速、経済対策に手をつけていただいたということがございました。
しかしですね、それが先週末に一応の、おー、決着をみたということであります。で、じゃあ、あの、今現在、どうして、えー、組閣当時と考え方が変わったのか、申しますと、まあ、これはね、その後のいろいろな状況、政治の状況がありますんで、そういうことを勘案して、そしてこの臨時国会が順調、少しでも順調にいくようにと、考えましてね、私自身でね、やるよりはほかの方にやっていただいた方が、あー、よりよきいくのではないか、そしてまた、野党は『解散、解散』と言ってあおるわけですね。解散ということでありますとね、まあ、それはね、議員心理というものがまたいろいろございますんで、ま、そういう議員心理の結果ですね、また、あの、政治情勢が不安定になってはいけない。それはですね、そういうことになった場合には国会だけではない、国会議員だけでの話ではない。やはり国民全体にご迷惑をおかけすることで、そうすればですね、国会に一番迷惑をかけない時期に私がそういうような表明をすると、いうことが一番いいのではないかと、いうように考えまして、この時期を選んだんです。これが一番いい時期かと思っております」(5)
司会「それでは時間も経過しましたんで、最後の質問をお受けしたいと思います」
――あのー、一般に、あの、総理の会見がですね、国民にはちょっと人ごとのように聞こえるというふうな話がよくされていました。で、今日の大臣会見を聞いていますと、そっちょくにそのように、あの、印象を持つのですね。あの、安部総理に引き続く、こういう形での辞め方になったことについてですね、自民党を中心とする現在の政権に与える影響というものをどんなふうにお考えでしょうか。
福田「現在の政権? 自民党政権? 自民党・公明党政権か。それはね、順調にいけばいいですよ。これにこしたことはない。ま、しかし、私の、この、おー、先を見通す目の中には、あー、その決して順調ではない、可能性がある。そしてまた、あー、その状況の中で、不測の事態に陥ってはいけない。そういうことも考えました。まあ、『人ごとのように』とあなたはおっしゃったけどもね、私は自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたと違うんです(些かキレた感じのきつい声の調子で)。ま、そういうことも併せて考えていただきたいと思います」
司会「それでは以上を持ちまして、記者会見を終了いたします。有難うございました」
福田「どうも、お世話になりました」
≪福田首相辞任/福田も自民党も公明党も大人の対応を取ることができなかっただけの話(2)≫に続く
福田首相辞任/福田も自民党も公明党も大人の対応を取ることができなかっただけの話(2)
(1) ま、正直申しまして最初からですね、えー、政治資金の問題、年金記録問題、またC型肝炎問題、防衛省の不祥事、等々ですね、、次から次へと積年の問題が顕在化してきたと。ま、そういうこういうことに遭遇をいたしたわけであります。その処理に忙殺をされました。
(「積年の問題が顕在化」とは自民党政治が自ら内側に溜め込んだウミが内側に溜めきれずに体の表面に噴き出した自民党政治の吹き出物の数々の「顕在化」であって、
「処理に忙殺された」と聞こえのいいことが言うことができるのは身から出た錆だという認識がないからだろう。このことは「私は自分自身を客観的に見ることができるんです」を裏切る「客観的に見ることができ」ないことを物語っている。)
(2) 先の国会では民主党が重要案件の対応に応じず、国会のかけひきで審議引き延ばしや審議拒否を行った。その結果、決めるべきことがなかなか決まらない。そういう事態が生じたほか、何を決めるにもとにかく時間がかかったということは事実でございます。
今、日本経済はまた国民生活、を考えた場合に、今度開かれる国会で、このようなことは決して起こってはならないこと。そのためにもですね、態勢を整えた上で国会に臨むべきであると考えました。
国民生活のことを第一に考えるならば、ここで政治の駆け引きで政治的な空白を生じる、という政策実施の歩みを止めることがあってはなりません。
(先の参院選敗北は安部内閣不信任というだけではなく、自民党政治に対する不信任でもあったのだから、「決めるべきことがなかなか決まらない」といった状況の最善の打開策は総選挙に出て、改めて福田内閣及び自公政権の信任を問い、直近の民意、国民の最終審判が自公にあるのか野党にあるのか決定付けることだったはずである。
総選挙で敗北という民意、国民の審判を受けたなら、それを潔く受け止め、民主党以下の政党に政権を託す。そういった大人の対応ができず、政権を失うことだけを恐れて、ねじれ国会が招くこととなった政権運営の難渋という泥沼の自縄自縛にかかっただけのことであろう。勝負に出て国民の信任を取り戻すか、取り戻せなければ、自公政権ノーということなのだから、潔く政権を引き渡すといった覚悟を福田首相自身も自民党も公明党も示すことができなかっただけのこと。その結果の政権運営の難航ということでしかない。
(「態勢を整えた上で国会に臨むべきであると考えました」と言っても、ねじれ状況は変わらないのだから、「決めるべきことがなかなか決まらない」といった障害の再度の出来の可能性は否定できない。
政権維持、政権にしがみつくことだけを考えて、総選挙して国民の民意を問うことが最も分かりやすいシンプルな「政治空白解消方法」だと思い定めることができなかった。政権を失いたくないばっかりに総選挙で問うことをして、「直近の民意は自公政権にあり」、「政権運営は自公を選択した」と賭けに出ることができなかった。
それをしないで、それが当たり前の政権獲得を狙っている対決政党である野党の民主党のせいにするのは責任転嫁そのもの。大人の対応とは決していえない。)
(3) これは無責任だと言われれば、全部終わるまでやっていなければいけない。しかし、本当にやっていられるかという問題もあるんですね。第二の問題ですけどもね。私が続けていって、それは、そして、え、国会がですね、順調にいけばいいですよ。そういうことはさせじという野党がいる限りですね、新しい政権になってもそうかもしれんけども、しかし私の場合にはですね、内閣支持率の問題もあるかもしれませんしね、マ、いろいろな状況がありますから、その辺はたいへん困難を伴うのではないかと思います。
(次は麻生が後継と決め、その人気で支持率が高いうちに総選挙に打って出て、政権維持を図ると誰の目にも明らかなことだが、このことを裏返すと、福田内閣が総選挙に打って出なかったのは、総選挙で敗北する可能性が高いと見ていたからで、福田内閣自体が政権維持を目的としていた内閣で、そのために解散権を行使できなかったことを自ら自供していることを示している。所詮「政治空白」云々は奇麗事でしかない。
結果の良し悪しに関係なく、国民の選択に任せることができなかった。国民の責任に預けることができなかった。後継が麻生となって、麻生を選択して、後になって麻生が何ぼのものか気づいたとした場合、少しは国民は自らの責任に気づくことになるのではないのか。何でもかんでも自民党ということで、その選択にかかわる国民の側の責任を自らに問う姿勢が国民には育たなかった。ただ、政治が悪い、政治が悪いと自分たちが選択した政権でありながら、責任を政治に転嫁するのみだった。
麻生が後継なら国民から高い支持率を得て、高い支持率を得ている間に解散・総選挙がやりやすくなるという思惑自体が、自民党が如何に政権にしがみつこうとしているかを物語るもので、福田首相が自らの力で政権を運営して自らが掲げている政治を具体化してくいくのかといった問題とはあくまでも別問題の政権維持の問題でしかない。)
(4)いろいろこれから大事な法案、あー、政策をですね、あのー打ち出すわけでありますけど、法案だけ考えましても経済対策あり、そして、えー、例の、給油法の問題もあり、また消費者庁もある。また前国会の積み残しもたくさん大事なのがございますから、そういうものを順調に、仕上げていかなければいけない。そのためにはですね、私が、まあ、いろいろ考えましたよ。判断した結果、今、辞任をして新しい人に託した方が、あー、その方がよりよいと判断したわけです」
(これも言っていることは立派だが、政権維持を至上命令とした言い訳に過ぎない。「新しい人に託した方」がと言うが、自分自身の政治手法と「新しい人」との政治手法が違った場合、いわば福田首相は財政規律派であり、麻生は財政出動派という違いを考えると、異なる政治手法の人間、政策が異なる人間に「託す」という矛盾を犯すことになる。その矛盾を矛盾でなくす方法が「政権維持」という利害で一致点を見たということ以外にないことになる。)
(5)しかしですね、それが先週末に一応の、おー、決着をみたということであります。で、じゃあ、あの、今現在、どうして、えー、組閣当時と考え方が変わったのか、申しますと、まあ、これはね、その後のいろいろな状況、政治の状況がありますんで、そういうことを勘案して、そしてこの臨時国会が順調、少しでも順調にいくようにと、考えましてね、私自身でね、やるよりはほかの方にやっていただいた方が、あー、よりよきいくのではないか、そしてまた、野党は『解散、解散』と言ってあおるわけですね。解散ということでありますとね、まあ、それはね、議員心理というものがまたいろいろございますんで、ま、そういう議員心理の結果ですね、また、あの、政治情勢が不安定になってはいけない。それはですね、そういうことになった場合には国会だけではない、国会議員だけでの話ではない。やはり国民全体にご迷惑をおかけすることで、そうすればですね、国会に一番迷惑をかけない時期に私がそういうような表明をすると、いうことが一番いいのではないかと、いうように考えまして、この時期を選んだんです。これが一番いい時期かと思っております」
(自分が政権を野党に奪われる内閣になりたくなかっただけのこと。そういった内閣総理大臣として政治の歴史に名を刻みたくなかっただけのこと。自分の政治を最大限に具体化するための政局運営を如何に実現できるか、実現するかが問題である以上、「議員心理」云々は瑣末な問題でしかない。
結局は政権にしがみつきたいだけのことで、福田首相も自民党も公明党も、特に公明党の太田代表に関してはそうだと言えるが、大人の対応ができなかった。大人の政治性を身につけていないということなのだろう)