古賀茂明はぐれ経産官僚「経産省の予算を半分にしろと言えば、お手伝いしますよ」の発言

2011-07-11 10:46:38 | Weblog


 
 昨7月10日(2011年)の朝日テレビ「サンデーフロントライン」に民主党の公務員制度改革や天下りを批判、7月15日という期限を区切って退職を迫られている古賀茂明経産官僚が出演し、民主党の問題点や官僚の悪しき体質等について発言していた。その中で気になる言葉があった。7月15日までに海江田経産相に進退について会談を申し込み、仕事をさせてくれと申し出た上でそれがダメなら辞めるしかないと自身の取ろうとしている態度を説明する中で、申し出た仕事の一つが「経産省の予算を半分にしろと言えば、お手伝いしますよ」であった。

 民主党が脱官僚・政治主導等の目指した理想とかけ離れた現在の実態や官僚の常態としている姿勢等について興味ある発言を行っていて様々な内幕を知ることができる。記憶しておくために主なところを拾って文字に起してみることにした。

 古賀茂明氏は民主党の公務員制度改革等を批判したために現在経産省の大臣官房付という閑職に追いやられていると番組は説明している。そのそもそもの発端が野党の参考人として国会に招致を受けて天下りについて、そのポストを維持するためにムダな予算がつくられ、業界との癒着が生れる。このことを民主党は批判していたが、それが骨抜きになってしまっているといった批判を行い、当時の仙谷官房長官から「今回の、古賀さんを、こういう所に現時点での、彼の職務、彼の行っている行政と関係のない、こういう場に呼び出す、こういう遣り方は、甚だ彼の、将来を傷つけると思います。優秀な方であるだけに大変残念に思います」と警告を受けることとなり、それが恫喝だと一騒動が持ち上がったことで名前が知られるようになったのだが、番組みもこのことを伝えている同じ経緯を2010年10月22日の当ブログ記事――《仙谷官房長官の“恫喝”は思想・信条の自由、職業選択の自由を脅かす発言 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》で取上げた。

 古賀氏は東電の破綻処理を主張している点でも経営維持方針の菅政権の神経を逆撫でしている。

 また番組は2011年5月23日発行の古賀氏の著作、『日本中枢の崩壊』には電力会社への官僚の天下りについて次のような言及があると紹介している。

 「電力各社には通産省(現経産省)の幹部が天下るポストが用意されているので、本気でチェックはできない構造になっている。それが電力会社の悪しき体質を生んでいた」――

 玄海原発の再稼動問題について。

 古賀茂明氏「玄海の場合は町長が(再稼動に)前向きですね。それから、あのー、佐賀県知事もですね、タテマエ上は中立的な感じですけどやっぱり九州電力の関係も非常に深いと、いうことで、(再稼動に向けて)ここを攻めれば確実に落ちるという見通しが立つところですよ。

 ま、菅さんがですね、脱原発解散するんじゃないかと、ですね、色んな流れができていく中で、経済産業省、物凄く焦ったと思うんですね。で、経産省は再生可能エネルギーって言ってますけども、基本的には原発は推進したいと。

 それは後から出てくると思いますけども、自分たちのですね、天下りを含めた、あの、原子力をつかったですね、えー、互助会組織みたいなのがあるんですけども、まあ、自分たちの生活を保証する仕組みを維持するためには、原子力というのはどうしても維持推進しなければいけない。

 そこにこの、これをやめろとか、ですね、そういう動きが広がりつつあるので、非常に、あの、危機感を持っていた。それはですね、止めたまんまで進めてもどうにかなるんじゃないかとなったらですね、これはもう取り返しがつかないので、えー、そこの白黒が出る前にとにかく動かすと言う実績をつくりたかったということだと思います」

 長谷川幸洋東京新聞論説主幹「菅総理がどれだけ脱原発なのか、僕はちょっと疑問符をつけたいんですけれども、見た目はそういうふう(脱原発)に見える。でも、本当の問題は今古賀さんがチラッとお話になったように、そのォー、原発に象徴されるような、役所の既得権の問題。その裏側にあるのが公務員制度の問題なんで。

 実は脱原発するかしないかという話と公務員制度を本当にやっていくかという話は、役所の既得権の問題だと把えると、実は裏腹の問題で、同じ問題だと思いますね」

 仙谷の恫喝の結末が北海道、東北、九州、四国を一人で回る出張の辞令。移動距離は6000キロ。 

 2月15日、海江田経産相記者会見。

 海江田経産相「古賀さん自身がその持っている能力を発揮できるような場所で仕事をしていただきたい」

 一昨日(7月8日)長妻昭前厚労相。

 長妻前厚労相「本当は古賀さんのような方を公務員制度改革の事務局長とか、そのど真ん中で仕事をしていただくようなポジションに据えてですね、フンドシを締め直すと、いうことが必要だと思うんですけど。やっぱりその天下りポストを少しでも減らすということはあー、全省挙げて抵抗が大きいですね。

 ま、ある幹部は私のところに来て、やあ、これだといい学生が集まらないですと――

 厚生労働省から見ると、何でうちだけ先にやらなきゃいけないんだと。何で遣り過ぎじゃないかと、いう思いが出てきてですね、そういうことが一つ(大臣)交代の要因になったのかどうか、それは、まあ、総理のみぞ知る話でありますけれども――」

 福島の原発以降、政府が決めた東電救済の仕組みを批判。6月25日、松永経産省事務次官に呼ばれ、「君に相応しいポストはないから」と告げられ、7月15日までの退職を勧められる。7月6日(2011年)衆院予算委員会で塩崎泰久自民党議員にこの人事を追及される。

 塩崎議員「大臣の決断による人事、という理解でよろしいですね」

 海江田経産相「私がどういうことで、松永次官を通じて(退職勧奨を)やったということでございます。ご意見があるときはいつでも、あの、大臣室にお越しくださいということを何度も私は会見などで言ってございます。ま、残念ながら、私のところへは見えておりません」

 ジャーナリストの須田慎一郎の画像出演。暴力団の親分風の風貌のため、ビートたけしから「叔父貴」と呼ばれている。

 須田慎一郎「古賀さんを参考人招致に呼ばさせないためにも民間人にしておく必要がある」

 古賀茂明氏「私が、あのー公務員でいると、国会に、簡単に呼べるんですよ、いつでも。前の日に来いと言えば、出て行かなければいけないんで。それが(退職勧奨の)一つの大きな要素だと思います」

 中野雅至兵庫県立大学大学院教授「古賀さんがそういうことをおっしゃるじゃないですか、裏の話とか。それは官房とかから守秘義務違反だとか、そういう威しとかは全然ないんですか。服務規程違反とか」

 古賀茂明氏「守秘義務、要するにそういう情報っていうのは何か、あの職務上知り得て、それが秘密ですと、そういうことになっていると、守秘義務に違反ですけども、恐らくそういう情報っていうのは(守秘義務が)あるっていうことを前提としていないんじゃないですか。だから、何でも言えるんだと思います」

 要するに古賀氏が行っていることは職務上秘密としていることの暴露ではなく、半ば、あるいはまるきり公となっている制度や慣習、体質の批判、あるいは政策に対する対する批判だから、守秘義務違反には当らないということなのだろう。

 後者の批判を許さないとなったら、独裁国家となる。

 小宮悦子キャスター「公務員改革を進めようとしてきた古賀さんに対して懐柔なのかどうか知りませんけども、天下りを進められたことがあったって本当なんですか」

 古賀茂明氏「去年の夏にですね、天下りというか、新しい仕組をつくったんですね。あのー、民主党がですね、辞めてから行くのは天下りだから、辞める前に行けばいいだろうという、非常に面白いロジックでですね、民間企業に行ったらどうだと。ポストなかなか見つかんないからと、まあ、正直にそのとき次官に言われた。

 で、行って、まあ、いいところだと思ったら、まあ、一瞬戻ってきて、すぐまたそこに行けばいいよ、いうような話をされたんですね。これは私は天下りの斡旋そのものじゃないですかということで、まあ、お断りしたという経緯を――」

 姜尚中「古賀さんは、あのー、民主党政権になったときに、公務員制度改革はもっと前進すると期待されました?」

 古賀茂明氏「ええ、非常にしました。あのー、我々が自民党時代につくった法案というのは必ずしも完璧ではなかったのは、色んな、まあ、足を引っ張る勢力がいたので、で、まあ、そこで廃案になっちゃったんですけど、民主党政権は脱官僚依存とか、政治主導、えー、それから天下り根絶と、いうことを言って、政権についたので、これは相当思い切ったことをできるぞと、いう感覚は持っていて、期待は非常にしました」

 姜尚中「それが結局挫折したっていうのは、民主党の中で何が一番問題だとお考えになりますか」

 古賀茂明氏「えーとですね。やっぱり一番問題なのは恐らく、順番を、何と言うか、しっかりとつけられなかったって言うか、要するに先ず公務員制度とか、あるいは政治主導ってですね、その、あの、土台をきっちりつくって、そこから改革に行くというのが正しい順番だと思うんですけれども、民主党は大きな改革をやろうとすれば、時間は必要だと。

 ある程度の期間、政権を維持するために、いきなり官僚と戦うのは得策ではないという判断を一番最初にしたと思うんです。ですから、そのときに官僚が一番嫌がるのは公務員改革制度なんですね。そこはむしろエサとして、ここは手心を加えるよと、いうのは示して、だから他のことは協力してくださいと、まあ、取引にいったんだと思うんですけども、そこの根っこを変えないとですね、何をやろうとしても各省が足を引っ張るという構図になりますんで、それは結局のところ、今、大きな改革は進んではいないですね」

 姜尚中「組織的に国家戦略会議って最初ありましたね。それに対して少し期待なんかありましたか。それを改革の完成装置になるじゃないかという」

 古賀茂明氏「それもありますし、公務員の身分になっちゃってですね、どんなに、あの、出来が悪くても、一回上に上がっていけば、絶対下がらないという仕組がありますから、そういうのを変えて、それから、まあ、人事をですね、官邸主導で今、大臣ひとりでやらなくちゃいけない。そしたら、官僚に取り込まれちゃったり、あるいは威されてですね、多分、海江田大臣はそういう状況にあると思いますけれども、長妻さんがいい例ですよね。

 人事を自分の思い通りにやろうと思ったら、結局は官僚を全部敵に回しちゃって、そのときに総理が、あの、前に出てきてですね、サポートする体制になっていればいいんですけども、それができていない。

 そういう、あの、官邸が後ろ盾になって人事ができるっていう、そういう仕組に変えるとかですね、いくつかポイントがあるんですけど、ま、そういうことが今のところ実現していないということで、まあ、昔のまま官僚は各役所の事務次官を向いて仕事をすると、いう体制になっているので、改革はなかなかできないと思います」

 在職中から自分に回ってくるときのために天下りに便宜を図る相互扶助もそうだが、出来の悪い役人でも年功序列でそれなりに出世させてその人間を守ると、その人間が忠実な部下の姿を取った強力な味方となって上司の力となる、そういった相互扶助の慣習も古賀氏が言っている「互助会組織」に於ける一つの制度となっているはずだ。

 小宮悦子「先程の古賀さんのお話ですと、公務員制度改革というのは官僚が一番嫌がる話だから先送りする。そうしたことによってずるずる取り込まれることになっちゃった。その状態が今も続いているということですか」

 古賀茂明氏「そうですね。取り込まれるという面もありますし、要するに官僚が総理を向いて仕事をする仕組につくれていないので、結局は、あの、今までどおり、各省の自分たちの天下りを含めてですね、各省ごとの生活の互助会みたいなもんなんですけども、それを維持しよう、維持しよう、その力は常に働くので、何かやろうと思うと、必ず後ろ向きに足を引っ張られて、結局進まないと言うことだと思います」

 小宮悦子「官邸がその仕組ですね、つくれていないのが分かっているのでしょうか」

 長谷川幸洋東京新聞論説主幹「うん、まあ、よく分かっていると思いますよ。分かっている上で、霞ヶ関に乗っかってるんだと思うんですね。ま、古賀さんていう方を、ご本人なかなか説明しにくいだろうから、私が申し上げるけども、民主党政権で脱官僚と政治主導で始まったわけですよね。

 そのときに古賀さんは最初っから実はキーパーソンだったんです。それはあの、公にされていますから、お話しますけども、仙谷さんが古賀さんを補佐官に使いたかった。それが一点。

 それからもう一つさっきVTRにありましたけれども、長妻さんも、実は、あのー、古賀さんのアイディアを借りて、あの、動かしたいと、実は思ってたんですね。

 まあ、実は長妻さんの友人なので、相談されて、誰かいい改革派の官僚はいないかと。で、実は私は古賀さんを紹介してですね。古賀リストと言う改革派官僚のリストを長妻さんにお渡したことがあるんです。

 そういうように最初の民主党政権というのは最初っから古賀さんのような方を活用して改革を進めていこうと思っていましたけど、なぜできなかったのか。

 それはね色々とあると思うけども、やっぱり時間の問題は一つありますよね。それから準備不足。あのー、鳩山政権が成立したのは9月で、12月にはもう予算編成が3カ月後で、精一杯で、時間が非常に足りなかった。それから国家戦力局って先程お話がありましたけど、あれはとってもいいアイディアだと僕賛成です。

 でも、8月の時点で鳩山さんに国家戦略局、どういうふうに使っていくんですかとご本人に私聞いたら、そのときに鳩山さんはご自身の頭の中で全然整理ができていなかった。

 つまり内閣官房長官と国家戦略局の仕事の切り分けみたいなイメージも、政権発足一月前なのに、全然できていないですね。全然準備不足だった。

 で、準部不足、時間が足りない。で、予算編成が迫る中で民主党政権がスターとし、で、結局、うー、自分たちのイメージを出せないまま、現在に至って、今や霞ヶ関に全く乗っかっちゃった状態で、古賀さんがいわば邪魔者になって出してしまう。

 これは全然違う。本当に違うと思います」

 鳩山前首相は中身に当る制度や役目のイメージもなく国家戦略局をハコモノから入って形式のみで構想したことになる。

 小宮悦子「古賀さんは15日にまでに(進退の)結論を出せと言われています。どういうお気持ですか」

 古賀茂明氏「えーとですね、ちょっとこの間、あの国会の議論とか聞いていますと、大臣が、恐らく、事務方の情報を全部鵜呑みにしている感じで、(苦笑交じりに)非常に私に対して敵意さえ剥き出しの、あの、ご発言をされて、私は、あの、一度もお話したことはありません。

 ですから、先ずは大臣に、白紙の状態に戻していただけませんかと、いうことをお願いした上で、えー、お時間を頂こうかなと、いうふうに思っています。ただ、えー、そのときに仮に私を辞めさせるとしてもですね、えー、その辞めさせるということのルールというのが、今ないんです、全く。

 ある日突然、明日クビだよと言われて、辞めなさいっていうこともあるんですかと、その辺、ルールをちゃんとつくっていただくということもお願いしたいですし、それから、あのー多分、密室で会議をするとですね、えー、一方的に役所の側から色んな、あの、誤った情報が流されると思うので、私は、あのー、マスコミフルオープンで、会談させていただきたいということをお願いしていきたいと思います。

 まあ、あの、数日心の整理をした上で、お願いしたいと思っています」

 なかなか手強さを感じさせる、海江田経産相側、あるいは経産省側にとっての敵となる予感を漂わせている。

 小宮悦子「お気持としては、残りたいという――」

 古賀茂明氏「先ず残るってことを目的としているのではなく、仕事をするってことが目的なので、まあ、大臣には電力改革でもいいですし、公務員改革もいいですし、あるいは、その、経産省の予算を半分にしろと言えば、あの、そういうこともお手伝いしますよと、いうことで、
仕事をやらせてくださいということを申し上げたい。

 いや、絶対にお前には仕事をさせないと、いうことであればですね、それは残っていても意味はないので、いうことになるのかなと思います、ハイ」

 小宮悦子「どう転ぶんでしょうか。経産省が要らないと言ったらね、菅さんが抜擢するっていう人事はできないですか」

 長谷川幸洋東京新聞論説主幹「まあ、その菅さんのご決断一つで何でも出来る。総理大臣、オールマイティですから、何でもできますね。まあ、ずばり言えば、あのー、松永次官の代りに経産次官をおやりになればいいんじゃないかなと(笑う)。

 実はね、昨日ツイッターしてたら、経産省のOBの方が私に、あの、メールをくれまして、あの、古賀さんはたった一ついいところがある。それは事務次官をやることだと。なる程なと思いましたけど、そういう、この方OBですけども、OBの官僚で、そういうふうなことをおっしゃる方もいるわけですから、そこは海江田大臣、ご決断難しいならば、是非菅総理、おやりになれば、支持率上がるんじゃないかなあと、思いますけども(笑う)」

 「総理大臣、オールマイティ」でありながら、実際は全然オールマイティでなかったと現状は逆説を踏んでいる。権力活用の能力を備えているかどうかが問題。

 古賀茂明氏(笑いながら)「あの、支持率で話をやってもらいたくはないですけど」

 小宮悦子「少しは流れが変わる可能性がまたあるのではないでしょうかね。ありがとうございました」

 古賀茂明氏「ありがとうございました」(以上)

 支持率上げを狙って、菅仮免が古賀氏を経産省事務次官に任命するハプニングは否定できない。だが、いくら古賀氏が有能でも、すべての上に立つトップの能力が無能であるなら、両者の間に能力の齟齬、あるいは意思疎通の齟齬が生じて、使い切れない、使われ切れないといった局面に至らないとも限らない。

 このことは最初は改革派官僚として古賀氏の起用を思い立っていながら、遂には使い切れなくて敵対関係に至ったことによって既に証明されている。

 「経産省の予算を半分にしろと言えば、あの、そういうこともお手伝いしますよ」という発言を取り出すために長々と書いたが、自信と目論見がなければ言えない発言のはずである。予算を半分にできるということは半分がムダな予算で構成されているということになる。

 当然、経産省だけではない、他の省についても言える半分の予算のムダだと敷衍可能となるはずである。

 この無駄がなくならなければ、いくら消費税を上げたとしても、当座は税収増に役立ったとしても、そのうち焼け石に水となりかねない。

 古賀氏は問題はどこにあるかを教えてくれている。


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菅仮免は東電福島第一原発廃炉工程案を自身の情報発信とするために公表せずに温存した?

2011-07-10 05:42:14 | Weblog

 

 菅仮免が昨7月9日、午後から民主党本部で開催の民主党全国幹事長・選挙責任者会議で挨拶した。《福島第1原発:「事故処理、最終的に数十年」 首相見通し》毎日jp/2011年7月9日 18時14分)

 記事には挨拶している菅仮免の写真が添付されている。そのキャプションには「2011年7月9日午後1時5分、武市公孝撮影」と撮影時間がつけられている。

 7月9日午後1時開始、最初に菅仮免が挨拶に立ったということなのだろう。

 東京電力福島第1原発事故について次のように発言している。

 菅仮免「3年、5年、10年、最終的には数十年単位の処理の時間がかかる」

 記事は、〈との見通しを示した〉と書いていて、菅仮免自身の見通しとしている。同時に、〈放射性物質による汚染の除去や廃炉が終わるまでの期間を指すとみられる。〉と解説を加えているところを見ると、上記発言以上に詳しく話したわけではないようだ。

 同じ内容を伝える「NHK NEWS WEB」記事では、「3年、5年、10年、最終的には数十年の単位の時間がかかる見通しになっている。原子力行政の抜本的な改革や、エネルギー政策そのものについて、国民的な議論をしていく必要がある」となっていて、第三者の予測を述べた形式の発言となっている。

 他に上記「毎日jp」記事が伝えている発言。

 菅仮免「原子力行政のあり方、エネルギー政策について抜本的に国民的な議論をしていく必要がある」

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働の前提として指示したストレステスト(耐性試験)について。

 菅仮免「国民に納得、安心してもらえる手続きをどうすれば取れるかという観点から真摯(しんし)に議論した中での行動だ。週明けには方向性を出すことができる」

 これは7月〈11日に政府の統一見解を出すことを説明した。〉ものだそうだ。

 玄海原発の再稼働手続きに関して。 

 菅仮免「原子力施設の問題などは日々動いている。『従来のままでいいじゃないか』という役所もないわけではない」

 日々動いていないのは自身だとは気づいていない。

 この「役所」とは〈従来の手続きで進めようとした経済産業省〉のことで、経産省批判だそうだ。だったら前以て議論し、混乱が起きないような配慮をするのがリーダーの役目だが、リ-ダーの役目を果たさないまま批判する。

 菅仮免の発言を信用する人間があとどれくらい残っているのだろうか。

 〈「脱原発解散を狙っているのではないか」との臆測を呼んでいることを念頭に〉

 菅仮免「政局のためにやっているという報道があるとすれば、私自身、内閣のメンバーの気持ち、考えと全く違う。・・・・最後の最後の一秒に至るまで全力をあげて責任を果たす覚悟だ」

 全力を上げるにはそれぞれの能力が前提となる。100メートルを1分前後で走る走者と10秒前後で走る走者とでは自ずと全力の結果に違いが生じる。

 自身の能力の結果が既に見えているにも関わらず、そのことを弁えずに口先だけで言っているに過ぎない。

 菅仮免は廃炉の工程を自他の見通し如何に関わらず、「3年、5年、10年、最終的には数十年単位の処理の時間がかかる」とした。だが、数十年という長期に亘る処理の時間に伴って当然影響を与えることになる放射能避難者の生活について何ら言及していない。どの記事もそうで、原子力発電の視点のみに立った発言で終わっている。

 昨日のブログに書いたことだが、8日の衆院本会議で佐藤茂樹公明党議員から「一国の総理が、被災者の方々や、原発被害者に目を向けない、寄り添う心を持ち合わせていないことに対し、憤りすら覚えます」と批判されたのに対してきっぱりと否定していたが、実態は佐藤茂樹公明党議員が「失政に次ぐ失政を重ねながら、地位に異常な執着を見せ、自らの延命のためだけに首相の座に居座り続ける恥知らずな日本の首相」と同じく批判していたように被災者のことよりも自身のこと、自身の任期のことしか頭にないようだ。

 昨夜の7時のNHKニュースは何人かの放射能避難者の「帰れるものなのか、帰れないものなのか」といった、「十数年」という年月が測り知れないことのように心配する切実な声を伝えていた。

 この自身が見通したのか、第三者の見通しを代弁したのか、「3年、5年、10年、最終的には数十年単位の処理の時間がかかる」とした廃炉の工程について「NHK NEWS WEB」記事が「2011年7月9日 12時13分」の時点で伝えている。民主党全国幹事長・選挙責任者会議開催の7月9日午後1時よりも約1時間近く前の発信である。

 《廃炉に向けた工程表案明らかに》

 これは記者会見で発表された工程表案ではなく、NHKが入手したものとなっている。

 こう書いてある。〈この工程表の案は、先週、国の原子力委員会や原子力安全・保安院などの国の関係者のほか、東京電力や原子炉のメーカーなど原発事故に対応する関係機関が一堂に集まった会議で示されたものです。〉

 先週の時点で既に示されていたものをNHKが入手した。入手したなら他社に先駆けて報道するだろうから、入手日時は発信日と同じ7月9日の12時13分という発信時間前の近い時間と見ていいはずだ。

 先週とは6月26日の日曜日から7月2日の土曜日までを言う。7月2日の会議で示されたものだとしても、1週間経過してもなお正式な公表がない。

 記事は工程表案の内容を次のように伝えている。

1.廃炉作業

 1号機から4号機の使用済み燃料プールに保管されている核燃料の取り出しを3年後の2014年度初めに開始。
 2016年度末以降、順次各号機で終えていく。

2.溶け落ちた核燃料を取り出す作業

 10年後の2021年度から開始することを仮の目標とし、必要な技術開発を進めていく。

 記事は書いている。〈この目標はアメリカのスリーマイル島原発事故の処理でかかった時間などを参考に決めたとされています。しかし、福島第一原発の場合、スリーマイル島原発とは違い、格納容器が損傷しているため、作業を進めるには格納容器を補修し、水で満たせるかどうかなどが重要なポイントになるとしています。最終的に原子炉建屋を解体し、撤去するのは、これらの核燃料を取り出す作業を終えたあとのことで、工程表の案では「数十年オーダーの長期に及ぶことが想定される」として、廃炉には長期間の作業が必要だという見方を示しています。〉――

 溶け落ちた核燃料を取り出す作業は10年後の2021年度開始からどのくらいの年数を必要とするのだろうか。明確な年数が出せないのはそれだけ困難を伴う、尚且つ未知の世界を抱えた作業だからだろうか。

 《工程表案 廃炉への課題を指摘》NHK NEWS WEB/2011年7月9日 23時50分)が廃炉に向けた様々な課題を伝えている。

 この記事でも最初の記事のように、〈東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、国の原子力委員会や東京電力などが検討している中長期的な工程表の案をNHKが入手しました。〉と書いている。

 課題――

1.核燃料を安全に取り出すには、原子炉建屋の中の放射線量を下げることが欠かせないために遠隔操作で
  除染を行う装置などを開発する必要であること。 

2.格納容器を水で満たしたり格納容器や圧力容器の内部を調査したりする作業についても、専用の装置や
  機器などを新たに開発することが必要。

3.燃料を取り出すための既存の機器が建屋の爆発によって使えなくなっていることから、新たな機器を設
  計し製造することが必要。
4.取り出した燃料の処理や作業に伴って出る放射性廃棄物の処分などについても、長期的な課題。

5.原子炉から取り出した燃料については再処理を検討する一方で埋め立ても含めた処分の方法を幅広い観
  点から検討する必要がある。

 最後に次のように締め括っている。〈今回の事故は、世界でも例を見ない深刻なケースだっただけに、工程表の案からは廃炉に向けて検討すべき課題が数多くあることが分かります。このため事故の収束に向けては、「電力会社だけでなく国内・国外の英知を集めた対応が必須」だとしています。〉――

 原子力委員会と東京電力が公表しないうちに、その前に菅仮免が民主党全国幹事長・選挙責任者会議の挨拶の中で半端な内容で触れた。これはどういうことなのだろうか。

 そのなぜかを解くとしたら、菅仮免が自身の情報として発信するために原子力委員会と東京電力の公表を差し控えさせ、その情報を温存させたのではないかという疑いである。

 浜岡原発停止要請は当初海江田経産相が記者会見を開いて公表する予定が、菅仮免が人気取りのために自身で記者会見を開いて公表した前科がある。

 だが、温存させたものの、7月9日午後1時開催の民主党全国幹事長・選挙責任者会議で挨拶に立つ前にNHKが情報発信してしまった。多分、昼12時からのニュースで流したのかもしれない。

 本人が気づかなかったとしても、周辺の誰かが注進に及んだために知ることになったということもある。NHKが前以て情報発信してしまったために、自分から発信することの価値を失うことになり、同じ内容とするわけにはいかなくなって、その発信が中途半端な内容となったといたったところではないだろうか。
 
 本来なら細野原発事故担当相等、政府側の誰かが立ち会って原子力委員会と東京電力が正式の記者会見を開いて公表すべき廃炉工程表案でなければならないはずだ。

 勿論、放射能避難者の避難生活がどのような影響を受けるのか、そのことをも含めた詳しい内容の記者会見でなければならない。正式の記者会見であるなら、記者との間の質疑応答によって、避難生活者のみならず国民が知りたい情報がより明らかにされてもいくはずである。

 だが、そういう形式を取らなかった。放射能避難者の避難生活がどういう影響を受けるのか、10年、20年と亘って生活の原状回復ができるのかできないのかといったとことには何ら触れない、放射能避難者が最も知りたい肝心なことが抜けた、菅仮免の情報発信となっていた。

 もし自分が最初に情報発信するために原子力委員会と東京電力に対して公表を差し控えさせ、その情報を温存させていたとしたら、情報の私物化に当るだけではなく、国民に対する説明責任を蔑(ないがし)ろにしたことになる。 


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菅仮免の責任を言葉で済ますことができる失態とできない失態の区別がつかない責任意識

2011-07-09 09:33:28 | Weblog


 
 昨7月8日(2011年)の衆院本会議で佐藤茂樹公明党議員が菅内閣の原発事故に関わる責任問題を追及、それに対して菅仮免は「今回の原発事故に関ついては、現在政権を担っている私自身、あるいは我が党に大きな責任があることは言うまでもありませけれども、(声を一段大きくして)長年与党であった公明党のみなさんにも、そうした責任は少なくともその一端はあるわけでありまして」と答弁しているが、原子力発電所を監視・監督・指導する立場の原子力安全・保安院を原子力政策を推進する経産省に所属させた体制であることを改革せずに放置させていた、あるいは東電に省庁との癒着を生じかねない経産省からの天下りを許していたといった責任はあるかもしれないが、3月11日原発事故発生以降の危機管理対応の指揮・命令の当事者はすべて菅仮免と菅政権であって、如何に東電を管理下に置いて事故収束に向かわせるか、放射能が洩れ、住民避難を必要とした際の的確な避難指示と避難後の全体的な秩序の構築、そしてその時々の適正な情報公開、あるいは情報開示はすべて今の政権の責任事項であろう。

 それまでも含めて公明党にも責任があるとしているなら、お門違いの責任転嫁としか言えない。

 どんな遣り取りがあったか、責任発言に関する箇所のみを「衆議院インターネット審議中継」から取り出してみた。 

 佐藤茂樹公明党議員「最後に国家・国民のために総理に申し上げたいと思います。私は総理の居座りとも取れる一連の言動に対しても、遣り切れない思いを持っていますが、それ以上に一国の総理が、被災者の方々や、原発被害者に目を向けない、寄り添う心を持ち合わせていないことに対し、憤りすら覚えます。

 その証拠が復興担当大臣でありながら、被災者の方々の感情を逆撫でするような言動を弄し、僅か9日で辞任するような人物を任命したことに端的に現れております。

 1946年にルース・ベネディクトは名著『菊と刀』でアメリカ人類学史上最初の日本文化論を著し、日本文化を恥の文化と位置づけました。それから65年経って、失政に次ぐ失政を重ねながら、地位に異常な執着を見せ、自らの延命のためだけに首相の座に居座り続ける恥知らずな日本の首相を見たときに、ベネディクトはどのように感じるでしょうか。

 歴史の審判で恥知らずな首相の烙印を押される前に、1分でも1秒でも早く潔く身を処すべきであると、最後に申し上げ、私の代表質問といたします」

 菅仮免「終わりのところで色々とご指摘を頂きました。何か私が被災者の方々や原発被害者に目を向けていないとか、寄り添う心を持ち合わせていないというふうに一方的に決めつけられておりますけれども、私は、あ、そうしたみなさんの、おー、ことを、あわされたことは(忘れたことは)一度もありません。

 また、あ、失政に次ぐ失政というようなご指摘を頂きましたけれども、例えば今回の原発事故については、現在政権を担っている私自身、あるいは我が党に大きな責任があることは言うまでもありませけれども、(声を一段大きくして)長年与党であった公明党のみなさんにも、そうした責任は少なくともその一端はあるわけでありまして、仮にすべての失政を押し付けて、えー、その責任を免れようとすることこそ、私は恥の文化として、反するような行動だと、いうことを申し上げ、私の答弁とさせていただきます」―― 

 菅仮免が言っていることはお互いに責任はあるのだから、その責任を一方的に押しつけることこそ恥知らずだということだが、既に触れたように原発事故発生以来の危機管理対応の当事者は菅内閣であり、その責任範囲事項なのだから、失政の責任を野党に押し付けるようなもので、菅仮免こそ恥知らずに当る。

 3月12日午前1時30分前後に1号機のベントを指示しながら、東電がベント準備に着手したのは3月12日午前9時04分。ベント開始は3月12日午前10時17分。
 
 ベント指示からベント準備着手とベント開始までのスケジュールの間に菅仮免の福島第一原発視察がすっぽりと入っている。一刻一秒を争って急ぐべきベント開始の緊急事態に反して、そこに視察という別件が入り込んだのである。

 3月12日午前6時14分に官邸からヘリで出発。福島第一原発到着は3月12日午前7時11分。3月12日午前8時04分に第一原発を離れる。

 その1時間後にベント準備に着手している。

 7月4日月曜日の朝日テレビ「TVタックル」では、3月12日、ベント指示の午前1時30分から1時間半後に当る午前3時にベントを行えば、風は陸から海側に吹いていたから、住民は放射能に被爆せずに済んだと批判している。

 ベント開始前後は海側から内陸に向かって風が吹いていたという。

 ベントの遅れがその後の水素爆発等を含めて事故を拡大させたことは疑いもない事実で、このようにベントを3月12日午前6時50分という早い時間に行うように指示していながら、指示通りに東電を動かすことができなかった責任、あるいは疑惑が持ち上がっているように菅仮免の視察時間を避けたために結果として風向きを無視することになったということが事実としたら、その責任、風向きを考えずに同心円で避難させた責任、真水注水から海水注水切り替え時の混乱の責任(班目原子力安全委員会委員長は国会で「海水だろうと何だろうと、水を入れなければ炉心の溶融はどんどん進んでしまうという認識です。従って、それがすぐできるんだったら、もう何も考えずにしてください、というふうにずっと助言を続けてございます」と証言している。)、さらに各種情報開示の遅れ、情報の混乱の責任等々、すべて野党に関係しない菅仮免を筆頭とした菅内閣に直接関係した責任事項である。

  また、海江田経産省が原発再開の「安全宣言」を出し、佐賀県の玄海原発再稼動を立地自治体に求めているさ中に菅仮免が「ストレステスト」を原発稼動の安全確認の新基準として唐突に持ち出して立地自治体と原発会社に混乱を与えた責任も加わる。
 
 《首相 原発再稼働の混乱を陳謝》NHK NEWS WEB/2011年7月8日 12時5分)
 
 菅仮免「私の指示の遅れと不十分さがあったことに責任を感じている。おわびしたい」

 「指示の遅れと不十分さ」は何も今回に限ったことではない。昨2010年7月参院選前の消費税増税話も内閣と民主党に前以て議論を指示もせず、十分な準備の上に持ち出した消費税増税でもなく、10%の税率というわけではなかった。

 首相として果たすべきだったにも関わらず果たさなかったこの責任不履行が招いた参院選大敗とねじれ国会でありながら、何ら学習せずに同じ轍を踏んで混乱を招いた性懲りもないストレステストの「指示の遅れと不十分さ」であって、「おわびしたい」の言葉だけは済まない、野党には関係ない、自信の資質としてある統治能力の欠如と言わざるを得ない。

 与えられた地位に応じて果たすべき義務を果たすことができなかった責任不履行とはあくまでも役目上の失態そのものに当り、責任を取るとは失態に対して取るべき償いである。

 松本前復興担当相が自らの不穏当な発言が祟ってたった9日間の在任で辞任した人事の失態については新しく就任した復興担当相が優れた仕事をすれば一時的停滞や混乱を超えて修復可能となり、「当然任命責任は私にあり、責任を感じている」と言葉で済ませて出処進退にまで発展させずに任命責任を逃れることはできるが、ベント指示を短時間に機能させることができずに原発事故を拡大させた失態は避難住民だけではなく、多くの国民のみならず農業従事者や漁業従事者、その他に重大な放射能被害を与えている以上、言葉のみで済ますことができる失態ではなく、自身の出処進退で償うべき責任であろう。

 さらに遡って言うなら、菅仮免が2010年6月8日に首相に就任して1ヵ月後の7月参院選の自らが招いた大敗北の失態、そしてその後の小沢氏と小沢グループ排除の加速による党内統一破壊の失態、そして何よりもリーダーシップ欠如という自身が備えていた失態は党内混乱のみならず参院選敗北以降の国政補選や地方選挙の敗北の失態のそもそもの原因となった、それゆえに修復不可能であることを証明し、ねじれ国会という形で今なお修復不可能のまま推移している大失態なのだから、出処進退でその責任を果たすべきを、「参院選敗北は私に責任がある。皆さんに迷惑をかけたことをお詫びする」程度の言葉で済ませて首相の座に居座っている。

 自らがつくり出した失態に対して言葉済ますことができる責任なのか、言葉では済ますことはできず、出処進退で示すべき失態に対する責任なのか、その区別もつかない責任意識の持主となっている。

 出処進退で償うべき責任をも言葉で済ませている以上、野党議員に「失政に次ぐ失政を重ねながら、地位に異常な執着を見せ、自らの延命のためだけに首相の座に居座り続ける恥知らずな日本の首相」だと言われても仕方のない失態無視、責任無視の状況中に菅仮免は自を置いて平然としている。「恥知らず」と非難を受けるのは当然の措置と言える。

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菅仮免は相変わらず地震発生時の自衛隊・消防等の派遣を成功体験とし、それを以て結果責任と認識している

2011-07-08 09:28:21 | Weblog


 
 最も始末の悪いこと、最悪なことは成功体験とする事柄ではないことを成功体験としている思い違いの認識能力、自身が結果責任意識をゼロに近いほど欠いていることから、見せ掛けの成功体験を以ってして結果責任とする二重となる思い違いの認識能力の持主であるということであろう。

 7月6日の衆院予算委。石原伸晃自民党議員が菅内閣はやるべきことをやっていないと批判。

 菅仮免「3月11日の発災以来、行政府として先ずやったことは言うまでもありません。救命ということで、自衛隊、警察、あるいは消防、あるいは海上保安庁、含めて全力を上げて取り組みを始めた。

 数多くのみなさんを、そういう現場のみなさんの活躍で助かったことも事実であります。何もやっていないというのはちょっと言い過ぎではないでしょうか。行政はそういうことで救命に全力を上げて取り組み、その後復旧に向かって全力を上げて進めております。

 自治体の状況が阪神淡路のときと違って、本当に大きなダメージを受けておりますので、全国からの自治体からの応援もいただいておりますし、国の、霞ヶ関からも相当多くの人に現場に入って貰って、県や自治体の機能の強化ためにやっていること、これはまさに行政としてやっていることであります。

 勿論国会でもいろいろなご指摘があることは分かっておりますけども、行政府は行政府としてやらなければならないことは全力でやっていると、このことは申し上げておきたいと思います」

 民主党席から拍手が起こる。

 石原伸晃議員「総理ね、自衛隊、警察、消防、自治体の人たち、一生懸命やっているっていうのは当たり前のことなんです。結果を聞いているんですよ。

 総理は5月中に仮設住宅に3万人入れるようにすると言って、できなかった。瓦礫の処理は3割しかできていない。放射性の廃棄物はそのまま。これが結果なんですよ」――

 菅仮免は自衛隊、警察、消防を被災地に派遣して救命に当たり、多くの命を救ったことを自らの成果・成功体験としている。被災で各自治体の機能が大分ダメージを受けたから、各自治体や霞ヶ関からの職員の応援で機能強化に動いたことを自らの成果とし、成功体験としている。そしてこれらのことを以ってして、「行政府は行政府としてやらなければならないことは全力でやっている」と行政としての責任を十分に果たしているとしている。

 対して石原議員は仮設住宅の入居、廃棄物の処理等々の各復旧・復興に関わる実体的な成果・結果を求めた。

 初期の救命に関して菅仮免が行ったことは自衛隊や消防、警察等の派遣までで、それ以降に各組織が機動的に機能し、救命に力を発揮し得たかどうかはそれぞれの組織の創造的な臨機応変能力にかかってくる。派遣した頭数だけ救命に役立ったとするのは単細胞な判断に過ぎない。

 救い得た命を死なせた可能性は決して否定できないはずだ。多くの被災者が建物の室内や屋上に取り残され、その殆んどを救命しただろうが、室内で死を迎えた被災者も少なからず存在したはずだからだ。

 また、救命は単なる物理的な救助だけで終わるわけではなく、それ以降の人間的な生活空間の提供まで含まれるはずだが、避難所ではその特殊な環境に応じた可能な限り最大限のそういった生活空間の提供は遅れたし、より人間的な生活空間を保証する仮設住宅の建設も入居も石原議員が指摘していたように遅れたのだから、決して「行政府は行政府としてやらなければならないことは全力でやっている」とは言えない。

 自衛隊等の派遣、職員の派遣等を以って結果責任としているのだから、如何に結果責任をハキ違えているか証明してあまりあるが、つまるところ無能ゆえに見るべき結果を出せないことからの、その反映としてある結果責任意識のハキ違えであり、このことに関係した真正な結果責任意識の欠如ということであろう。

 今日8日、政府は地元自治体から要請があれば、国が自治体に代わって瓦礫処理を行うことができるとした法案を閣議決定し、国会に提出することにしていると今朝のNHKニュースが伝えていた。

 早速NHKのWEB記事を採録してみた。《がれき処理 国代行法案提出へ》NHK NEWS WEB/2011年7月8日 5時29分)
 
 岩手、宮城、福島の3県の沿岸市町村では瓦礫全体の70%近くが未処理。

 この遅れにあまりにも取っ掛かりが遅すぎるが、遅蒔きながら対応しようということなのだろう、地元自治体から要請があった場合は国が自治体に代わって瓦礫処理を行う、処理経費は後刻地方交付税で補填、結果的に国が全額負担の法案だという。

 瓦礫処理に関しては野党4党が議員立法で同趣旨の法案を既に国会に提出しているというから、この政府の法案は言ってみれば野党案に対する対案であって、この点でも遅すぎる対応、行政府の果たすべき仕事としては遅すぎる結果責任となっている。

 もう一つ瓦礫処理に関してより詳しく伝えている記事。《がれき撤去やっと35% 被災3県、焼却施設も未整備》asahi.com/2011年7月8日3時10分)

 岩手、宮城、福島の3県から出た2183万トン(推計)のうち、仮置き場に移されたのは35%の763万トンのみ。

 焼却施設の整備も進まず、3年以内を目標に掲げる最終処分の見通しも立っていないとのこと。

 朝日新聞が7日までに行った3県の沿岸37市町村にへの聞き取り調査。

 瓦礫を仮置き場に移す作業の進捗状況の集計。

 岩手県――撤去率51.4%(446万トンのうち)
 宮城県――撤去率31.3%(1509万トンのうち)
 福島県――撤去率26.8%(228万トンのうち)

 37市町村のうち、最も瓦礫が多かったのは宮城県石巻市の616万トン。同市の年間ごみ処理量の106年分に相当。岩手県全体の瓦礫量を上回る。

 このうち被災市町村では最多の89万トンを瓦礫置き場に運び込んだが、全体の14%に過ぎない。
 
 平地が少ない石巻市では、瓦礫の仮置き場不足が深刻。職員がインターネットのサイト「グーグル」の地図で探している。

 〈家屋の解体も遅れている。環境省は3月、損壊が大きい家屋の撤去に所有者の承諾は不要との方針を示したが、市は住民とのトラブルを避けるため、同意を得ながら進めている。

 仮置き場に集められたがれきは、リサイクルできるものをより分け、木くずなどは焼却場で処理され、不燃物は埋め立てられる。

 岩手県はがれきの半分以上の焼却を太平洋セメントなど民間企業に委託する方針だが、残りを処理する焼却場の設置場所や設置数は決まっていない。宮城県は6月中に設置場所を確定する予定だったが、気仙沼市では地権者との調整がつかず、先送りされた。 〉

 菅仮免が言っている、「全国からの自治体からの応援もいただいておりますし、国の、霞ヶ関からも相当多くの人に現場に入って貰って、県や自治体の機能の強化ためにやっていること、これはまさに行政としてやっていることであります」、あるいは「行政府は行政府としてやらなければならないことは全力でやっている」と言っていることの結果がこれである。菅仮免が果たした途中経過としてはあまりにも遅すぎる結果責任である。

 かくまでも結果を見い出していないにも関わらず、あるいはかくまでも責任を果たしていないにも関わらず、菅仮免は昨日の参院予算委員会で続投に意欲を見せた。

 菅仮免「復旧・復興と原発事故の収束に向けて、憲法上与えられた権限の中で全力を挙げて仕事をしている」(NHK NEWS WEB

 結果を出しているはずだと言っている。責任を果たしているはずだと言っている。

 指導力もない、統治能力もない、政治的創造性もないにも関わらず、かくまでも自身の能力に信頼と自信を置いている。

 そしてこの自己に対する信頼と自信は地震発生直後の自衛隊や消防等の派遣の実際には成功と言えない成功体験に基づいている。

 続投する資格もないのに続投意欲だけは強烈なのも成功体験が支えている意志の表出に違いない。

 過信能力だけは誰よりも優れている。過信能力だけで持っていると言っても過言ではあるまい。過信能力がいくら優れていても、過信能力では被災地の実態を見ることはできない。


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原発ストレステストは菅仮免に替わって原発安全判断を丸投げにするための腹黒な遠謀術数?

2011-07-07 10:35:45 | Weblog


 
 昨日(2011年7月6日)のブログ――《菅仮免首相の国民に対するお粗末な説明責任能力・お粗末な説明責任義務を見てみる - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》で、古川康佐賀県知事が玄海原発再開の最終条件として菅仮免の、いわゆる安全判断を直接会談した上で求めていたのに対して菅仮免が会談に応じないでいたことを、〈「菅の顔をホントに見たくないなら、早いことここの法案を通した方がいい」と大見得を切って再生可能エネルギー特別措置法案の成立の重要性を訴え自然エネルギー派を演じた手前、古川佐賀県知事に対して自らの口から原発の安全性、今後何年にも亘る原発の必要性を説くことは不都合が生じる説明責任義務の放棄、少なくとも回避と勘繰れないわけではない。〉と書いた。

 後になって以下のニュースを知ったのだが、海江田大臣が昨日の朝(7月6日朝)、緊急の会見を開いて全ての原発に対して新たな安全基準として「ストレステスト」を行うと発表。さらに菅仮免が昨7月6日の衆院予算委で海江田経産相が6月18日に出した、運転停止中の原発の再稼働は「安全上支障がない」とした「原発安全宣言」を巡る国会質疑の中で「ストレステスト」に言及。

 《全原発にストレステスト、地元への安全PRが狙い-焦点は玄海に》Bloomberg./2011年7月6日 19時38分)

 笠井共産党政策委員長代理「海江田経産相の安全宣言はIAEA(国際原子力機関)に提出した安全対策28項目を取った上で行ったものではない」

 海江田経産相「28項目はしっかりやる。全部を直ちにというわけにはいかないが、欧州で行っているストレステストを導入してさらに多くの人に安心してもらうということだ」

 細野豪志原発担当相「少なくとも原子力安全委員会の見解が出るまでは玄海原発の判断は保留されるものと考えている」

 菅仮免保安院の判断、経産相の判断で再稼働できる法律になっているが、国民的にはそれだけでは納得してもらうことは難しいだろう。IAEAが欧州で提唱しているストレステストを含めて玄海だけでなく、全ての原発について将来的に共通のルールでチェックできるようにしてくれと指示を出した」――

 以上の情報に接して、昨日のブログの“勘繰り”が当らずとも遠からずの印象を持つに至った。

 その何よりもの根拠は菅仮免が言った「保安院の判断、経産相の判断で再稼働できる法律になっている」の言葉である。

 「保安院の判断、経産相の判断で再稼働できる法律になっている」のだから、古川佐賀県知事は両者の判断に従って再稼動を決めればいいものを、玄海原発再起動の条件に菅仮免自身の口から安全だとする判断を求めた。

 昨7月6日夜9時からのNHK「ニュースウオッチ9」でやっていたことだが、海江田経産相が「安全宣言」を出した6月18日の翌日の6月19日に菅仮免は政府インターネットテレビで次のように発言している。

 菅仮免「きちんと安全性が、確認されたものはですね、順次、イー、稼動を、おー…して、えー、いこうじゃないか。あるいはいただきたいと。まあ、そういう趣旨のことを、あの、経産大臣が、あのー、おー、言われたわけであります。

 ですから、私も、そこはまったく同じですね」――

 少なくとも海江田経産相が再稼動を要請していた玄海原発に関しては海江田経産相同様に安全だと看做していた。

 にも関わらず、菅仮免は古川知事と会って私からも安全であることを説明しますとは言わなかった。

 ここに矛盾があるが、もし古川佐賀県知事が菅仮免の判断など求めずに法律どおりに「保安院の判断、経産相の判断」、いわば海江田経産相の6月18日の「安全宣言」なる判断に素直に従って再稼動を発表していたとしたら、そのあとになって政府が「ストレステスト」といった新たな安全基準を持ち出したなら、矛盾も矛盾、滑稽なことになる。

 いわば古川佐賀県知事が「菅総理大臣がどう考えているかが(再稼動の)判断の大事なポイントだと思う」(NHK NEWS WEB)などと、あるいは「菅直人総理にエネルギーのビジョンを尋ねたい。(再稼動の)判断に必要な要素になった」(asahi.com)などと言って菅仮免に会談を求めなかったなら、出てこなかった「ストレステスト」だということである。

 裏を返すなら、「保安院の判断、経産相の判断」=海江田経産相の「安全宣言」に関与したくなかったと言うことであろう。古川佐賀県知事が求めた菅仮免との会談と菅仮免の判断は菅仮免にとっては迷惑な余計事だったのである。

 関与してもいいという姿勢があったなら、とっくに会談に応じる方針を示していたろう。安全だとする自身の判断を回避させるために「国民的にはそれだけでは納得してもらうことは難しい」という理由を設けて、「ストレステスト」なる新しい安全基準を持ち出して、自身の判断に替えて、「ストレステスト」に再稼動の判断を任せることにした。あるいは丸投げすることにしたた。

 つまり自身の判断を回避させた。

 NHK「ニュースウオッチ9」は「ストレステスト」について次のように解説している。

 EUが福島原発事故を受けて、域内のすべての原発に対して実施し、来年6月に最終報告を提出することになっていると。

 番組はEUがいつから実施したのか触れていない。調べてみたら、3月16付の「asahi.com」記事が、〈ロイター通信によると、非核化を憲法に明記しているオーストリアのベルラコビッチ環境相が3月13日、欧州の原発について耐震性などを調べる「ストレステスト」を欧州連合(EU)各国に提案する考えを示した。〉と伝えていた。

 そして昨7月6日付「MSN産経」記事が、〈欧州連合(EU)が6月から行っている同様のテストを想定したもの〉と書いている。

 こういった情報を遅くともマスコミが報道を開始した3月16日直後から原子力安全・保安院や原子力安全委員会を筆頭に政府自体が把握していなければならないはずで、どんなテストか各種情報収集していただろうことと、EUのこういった安全対策に反して海江田経産相が古川知事との会談について「5日夕方、菅総理と相談する」(NHK NEWS WEB/2011年7月5日 14時11分)と発言していたことから分かるように従来の日本の安全基準に則った原発の再稼動を策していたことを考え併せると、遅過ぎる採用であると言うよりも、予定していなかった「ストレステスト」であり、突然持ち出した「ストレステスト」ではなかったかと疑うことができる。

 持ち出すことによって生じた菅仮免に関する状況の変化は言うまでもなく古川佐賀県知事との会談の中止であり、知事に対して行わなければならなかった菅仮免の安全判断の回避である。

 〈菅総理は6日の衆議院予算委員会で、当面、古川知事と面会する考えがないことを明らかにした。〉と「TBS」(2011年7月06日18:22)記事が伝えている。

 最終的な安全判断は菅仮免に替わって「ストレステスト」が行うことになる。

 どう考えても菅仮免は自分の口から原発の必要性を同時に訴えることになる原発は安全だとする自らの判断を示すことを避けたようにしか見えない。

 このことはNHK「ニュースウオッチ9」が伝えていた昨7月6日の原子力安全・保安院の記者会見の発言も証明してくれる。

 原子力安全・保安院「緊急対策で十分安全だと考えていますが、再度安心をしていただく、ということのためにもですね、どの程度、余裕というものがあるかということをみせていく必要があります。私は安全向上活動だというふうに思っています」

 保安院が言っている「安全向上活動」とは、単に国民に「どの程度、余裕というものがあるかということをみせていく」ための政府側の「安全向上活動」、言ってみればキャンペーンであって、原発側の「安全向上活動」という意味ではないだはずだ。

 だから、従来の「緊急対策で十分安全だと考えてい」るということが言える。いわば「ストレステスト」にさして重きを置いていない。

 絶対的に必要不可欠とは看做していないにも関わらず、新しい安全基準として持ち出した。

 もし絶対的に必要不可欠と考えたテストであるなら、遅すぎる採用であり、保安院の「緊急対策で十分安全だと考えていますが」は虚偽情報の発信となる。

 こういったことからも分かる、一旦自然エネルギー派を演じた手前、原発の必要性を同時に訴えることになる原発は安全だとする自らの判断を示すことを回避するために持ち出した「ストレステスト」であり、菅仮免に替わって原発安全判断を丸投げにするための遠謀術数といったところに違いない。

 あるいは原発を唯一の争点とした解散・総選挙を考えて、自身を有利な立場に置くための腹黒な遠謀術数かもしれない。


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菅仮免首相の国民に対するお粗末な説明責任能力・お粗末な説明責任義務を見てみる

2011-07-06 09:21:57 | Weblog



 首相に就任早々の昨年の参院選前の消費税増税発言でも満足な説明責任を果たしていなかった。就任以来の今日にまで続くお粗末な説明責任能力・お粗末な説明責任義務と言える。

 6月27日に就任した松本復興担当相が自らの悪しき人格を曝け出し、批判を受けて立ち往生、7月5日に辞任することになった。

 菅仮免は辞意を伝えに来た松本龍復興相に対して慰留したと言うが、慰留は叶わなかった。その慰留について、《首相 慰留したが決意固かった》NHK NEWS WEB/2011年7月5日 10時14分)が伝えている。

 7月5日閣僚懇談会での発言。

 菅仮免「松本大臣には思いとどまるよう慰留したが、松本大臣の決意は固かった。松本大臣は『ご迷惑をおかけした』と話していた」

 任命権者は菅仮免首相である。任命権者として悪しき人格を帳消しして周囲が受容できる余りある有能性を見い出しているからこその慰留でなければならない。任命権者である以上、当然その有用性についての説明――慰留した理由の説明を国民に対して行う責任を慰留した時点で負ったはずである。

 悪しき人格を帳消しできる有用性もなく慰留したとなると、悪しき人格自体をたいしたことではないと容認したことになり、国民、特に被災者に対する侮辱を犯すことになるだけではなく、任命権者としての資格を失う。

 菅仮免は首相官邸で記者会見を開いて、任命の経緯と慰留した理由を国民に説明すべきだが、説明がないままに次ぎの復興担当相を任命した。

 現在のところ、マスコミが新復興担当相に関わる任命理由を伝えているだけで、菅仮免からの直接の国民に対する説明は行われていない。

 復旧・復興に国家の浮沈がかかっているのだから、わざわざ断るまでもなく被災地の復興・復旧は被災地だけ、被災者だけの問題ではなく、国全体の問題であり、当然、国民全体の問題となっている。

 そうである以上、復興を被災地で陣頭指揮する復興担当相の任命、慰留、辞任の経緯について国民に自らの言葉で説明する責任を避けることはできないはずだ。

 今日辺り記者会見を開いて、任命、慰留、辞任の経緯と新しい復興担当相任命理由の説明があるのかもしれないが、閣僚懇談会では形式的な説明は行ったものの、民主党に対しては何も説明がなかったというから、期待可能性はないに等しいのではないか。

 《安住氏 菅首相の姿勢公然批判》NHK NEWS WEB/2011年/7月5日 18時18分)

 安住国会対策委員長「菅総理大臣の任命責任は当然ある。被災地から見れば情けない話であり、総理大臣みずからが被災者の方々におわびしないといけないのではないか。過酷な環境ですべてを失っている被災者に対して、こういう醜態は恥ずかしい」

 「おわび」の中には当然、任命と慰留と辞任の理由の説明が含まれる。単に「迷惑をかけた、お詫びします」では国民に対する説明とはならないし、国民に対する説明とはならない以上、説明責任義務を果たしたことにはならない。

 松本大臣の辞任を巡って、総理大臣官邸から一切説明がなかったことを明らかにしたうえでさらに次のように発言。

 安住国会対策委員長「国会を円満に運営する努力をしている国会対策のメンバーに対する配慮が全くない政権だ。これでは政権なんて崩壊する。率直に言って、とても求心力があるとは思えない」

 党代表をも兼任していながら、党に対する説明もない一国のリーダーの説明責任能力は満足な実体を備えていないことを示し、当然その先にある国民に対する説明責任能力の欠陥につながっていく。

 自身が得意としている分野の政策に関しては国会質疑で答弁を求められていない場合でも滔々と喋りはするが、任命責任とか説明責任等の本人の責任に関わってくる役目に関しては、当然果たすべき義務・役目でありながら、避けて通る。あるいは都合の悪いことは沈黙する。

 逆に人気取りが見込める発表となると、他の大臣の発表で済むことでも押しのけて記者会見を開き、自分の発表とする。

 その象徴的出来事が首相官邸での思い出した頃に時たま行うだけのぶら下がり取材の拒否であろう。率先して説明責任義務を果たそうとする姿勢の喪失が招いている一場面としてあるぶら下がり取材拒否の現れであるはずである。

 朝日新聞社のツイッター「朝日新聞官邸クラブ」(asahi_kantei)の7月4日19時20分はつぎのように呟いている。

 〈(総理番A)松本復興大臣の発言について、被災地への配慮がたりなかったのではないか?と、官邸を出る菅首相に尋ねましたが、ちらっとこちらをみただけで、何も言いませんでした。〉――

 テレビでお馴染みの無視して通り過ぎるいつもの姿が思い浮かぶ。

 上記「NHK」記事は渡部恒三民主党最高顧問の発言も伝えている。

 渡部恒三「松本大臣が辞めるのは当たり前の話だ。大臣でなくても、普通の人間の常識として許されない行動で、被災地の皆さんの心を逆なでしてしまった。ああいう人を大臣にした菅総理大臣に、いちばん重い責任がある。菅総理大臣には、国民のためにも、被災地のためにも、民主党のためにも、1分でも1秒でも早く辞めていただきたい」

 「1分でも1秒でも早く辞めていただきたい」は菅内閣不信任案に賛成投票を投じて民主党を除名された松木謙公議員がとっくの昔に言っていたことで、理解が遅すぎる。

 国民に対する説明責任能力を満足に発揮できない状況とは、政治全般に関わる果たすべき責任義務を満足に果たしていない状況に対応した光景としてあるはずである。

 果たすべき責任義務を満足に果たしていたなら、如何なる説明にも困ることはないから、十二分な説明責任能力が発揮可能となる。

 端的に言うと、政治的に無能であることが率先して説明できる成果を得難くし、結果的にお粗末な説明責任能力・お粗末な説明責任義務を曝け出すことになる。

 原発に関わる説明責任について言うと、玄海原発の再稼働を巡って立地県の古川康佐賀県知事が海江田経産相の説明を受けて再稼動容認姿勢を示しながら、「菅総理大臣がどう考えているかが(再稼動の)判断の大事なポイントだと思う」(NHK NEWS WEB)、あるいは7月1日、「菅直人総理にエネルギーのビジョンを尋ねたい。(再稼動の)判断に必要な要素になった」(asahi.com)として菅仮免の説明を受けるために会談を要請していると言うことだが、このことも国民に対する説明責任義務に関係してくる重要な事柄であろう。

 だが、説明責任要請に対して5日も経過していながら、応ずる気配を示していない。これは「菅の顔をホントに見たくないなら、早いことこの法案を通した方がいい」と大見得を切って再生可能エネルギー特別措置法案の成立の重要性を訴えて人気獲得可能な自然エネルギー派を演じた手前、古川佐賀県知事に対して自らの口から原発の安全性、今後何年もに亘る原発の必要性を説くことは不都合が生じる説明責任義務の放棄、少なくとも回避と勘繰れないわけではない。

 もし勘繰りに過ぎないなら、古川県知事を介した国民に対する原発の安全性と原発の必要性の一国の首相としての説明責任義務を余すところなく果たすべきだろう。

 かくまでもお粗末な説明責任能力・お粗末な説明責任義務しか持たない政治家が日本の首相を務めている。


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松本復興相発言に見る言論弾圧意志とそれを見逃したマスコミ

2011-07-05 09:44:16 | Weblog


 
 ――菅仮免の任命責任は重い――

 一昨日7月3日(2011年)、松本龍復興担当相が東日本大震災被災地の岩手県知事と宮城県知事を訪問、そこでの発言が問題視され、批判を受けると、自己正当化の釈明、間接的謝罪、だが、辞任せず職は全うするとするいつものパターンを辿ることとなった。

 《復興相 知事会談の発言で陳謝》NHK NEWS WEB/2011年7月4日 16時11分)

 石原自民党幹事長「行政の怠慢、政府の怠慢を地元に転嫁する発言だ。しっかりと釈明するか、釈明するつもりがないなら辞めるしかないのではないか」

 7月4日午後、記者団に対して。

 松本復興担当相「私の発言は知事に対して申しあげたものだが、言葉足らずだったり、語気が荒かったかもしれない。結果として被災者の方々を傷つけたのであれば、おわび申し上げたい」
 
 まず、「私の発言は知事に対して申しあげたもの」であって、被災者に申し上げたものではないと自己正当化の釈明。いわば私は間違ってはいないの先制パンチである。

 以下の言葉は、私は間違っていないを前提とすることになる。

 間違ってはいないが、「言葉足らずだったり、語気が荒かったかもしれない」ために「結果として被災者の方々を傷つけたのであれば」と、仮定的にそういったことがあったとしたらと、あくまでも結果論であって、自身が直接関与も意図もしていなかったことだが、「おわび申し上げたい」と被災者に対しては間接的に謝罪。

 知事に対しては謝罪していない。間違っていないとしているからである。

 野党側の辞任要求の声については。

 松本復興担当相「すべての皆さんに、さらに取り組んで行く決意を表明したい。まっすぐ前を向いて復興に当たっていきたい。自然体でやっていく」

 「まっすぐ前を向いて復興に当たっていきたい」――自分は間違っていないと信じているからこそ言える言葉である。 
  
 果たして復興の責任を担う資格があるのだろうか。

 昨7月4日当ブログ記事――《松本復興相の言う「被災者に寄り添う」は自分を上に立たせることなのか - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》ではいくつかの新聞記事から松本復興相の発言を拾って色々と解釈を試みたが、発言が問題視され、波紋を広げたからなのか、発言要旨の形でより詳しく伝える記事が現れた。

 《東日本大震災:松本復興担当相の発言(要旨)》毎日jp/2011年7月5日 東京朝刊)

 松本龍復興担当相が3日に岩手、宮城両県庁を訪れた際の主な発言は次の通り。

 <宮城県庁での村井嘉浩知事との会談>

 うちのチームは多分戦後始まって以来、こんなに各県、各市町村と寄り添ったチームはないくらい、素晴らしいチームだから。

 仮設(住宅)とかに付属する施設なんか考えて、古里から離れたらシャトルバス出すとか、あるいは孤立死をさせないためにみんなで昼飯食べましょうとか、ね。みんなで食べましょう仮設作ればいいじゃん。

 何でも相談には乗る。だからしっかり政府に対して、甘えるところは甘えて、こっちも突き放すところは突き放すから、そのぐらいの覚悟でやってください。

 (漁港を)3分の1~5分の1集約すると言っているけど、県で(漁業者の)コンセンサス得ろよ。そうしないと我々何もしないぞ。だからちゃんとやれ。そういうのは。

 今、後から(村井氏が)入ってきたけど、お客さんが入ってくる時は、自分が入ってからお客さん呼べ。いいか。長幼の序がわかっている自衛隊ならそんなことやるぞ。分かった? しっかりやれよ。最後の言葉はオフレコです、いいですか、みなさん。書いたらその社は終わりですからね。

 <岩手県庁での達増拓也知事との会談>

 俺九州の人間だから、東北が、何市がどこの県とか分からんのよ。

 本当はね、仮設住宅はあなたたちの仕事だから、仮設よりも次の恒久住宅みたいなのを我々は構想する。だから、どういう知恵が出せるか、これからは知恵合戦だ。

 知事は県産品ばっかり売っているから、青森とか北海道の業者呼んで、その人たちに、例えば、県内で雇ってやれよと言えばいい。そのくらいの気持ちでやっていかないと。

 ちょっともどかしかったのは、緊急雇用創出基金とかいうのも提示をしたが、地方に伝わっていない。どんどん使いな。

 俺なんかちゃんとアイデアもっているだろ。ずっとこの仕事やっているから、ずっと指示しているから。国は今、進んだことやっているから、まずそこに付いてこないと。

 知恵出したところは助けますけど、知恵出さないやつは助けない、そのくらいの気持ちを持って。だから昨日、宮古市の山本(正徳市長)にも言ったけど、もうアレがほしいコレがほしいはダメだぞ、知恵出せよ、という話をした。あれ俺の弟みたいなものだから。甘えるなと言った。

 上記ブログ記事で、〈命令口調のオンパレードとなっている。〉と書いたが、まさしく自身を何様に置いた命令口調の連続となっている。

 この何様態度は相手の反発と止むを得ない従属を誘うことはあっても、良好な意思疎通の阻害要件となることは間違いない。従属が下から上へのコミュニケーションを滞らせる上下関係を強いることになるからだ。

 村井嘉浩宮城県知事が松本復興相との会見後の記者会見で次のように発言している。

 村井知事「国と地方自治体には主従関係はない。命令口調でなく、互いの立場を尊重した話し方のほうがよろしいのではないか」(asahi.com

 ごく当たり前のことだが、松本復興相の上下関係に逆らう、あくまでも対等だとの意義申し立てとなっている。

 発言要旨の中で一つだけ引っかかった。3日の会談発言を最初に取上げた4日深夜のWeb記事のどれもが、「長幼の序がわかっている自衛隊ならそんなことやるぞ。分かった? しっかりやれよ。最後の言葉はオフレコです、いいですか、みなさん。書いたらその社は終わりですからね」の発言箇所に一切触れていなかったのはそれがオフレコを要請されたから公表を差し控えたからであったということなのだろう。

 「MSN産経」記事と「沖縄タイムズ」記事が伝えている発言要旨は共に「今の部分はオフレコな。書いた社はこれで終わりだから」となっている。

 「沖縄タイムズ」が「7月4日 12時59分」の発信で一番早く、 「MSN産経」が「2011.7.5 00:22」、毎日jpは正確な時間は分からないが、「2011年7月5日 東京朝刊」となっている。

 この記事発信の時間的経緯を見ると、最初は松本復興相の求めのままに「オフレコ」扱いにし、記事には書かなかった。だが、発言が問題化し、波紋を広げるに及んで、マスコミ側が順次オフレコを解いていったことが分かる。

 実際にどう発言したか知りたいと思っていたら、ツイッター経由でオフレコ部分を扱った動画に辿りつくことができた。
 
  《YouTube - ‪松本復興相、宮城県知事と会談‬‏/TBC NEWS》
 「TBC NEWS」とは「東北放送」の略号だという。「2011/07/03 にアップロード 」となっているから、会談終了後かなり早い時間にアップロードしたのではないだろうか。今朝の時点で90万回以上のアクセス回数となっている。

 女子アナの解説共々文字に起してみた。

 女子アナ「こんばんわ。松本龍復興担当大臣が、就任後初めて宮城県庁を訪れましたが、村井知事が出迎えなかったことに腹を立て、知事を叱責しました。

 松本龍復興担当大臣が、村井知事がで迎えなかったことに顔色が変わります」

 松本復興相(ソファに腰掛けたまま、右隣の誰かに呟く)「先にいるのが筋だよな」
 
 村井知事が笑みを見せてドアを押し、入室。

 女子アナ「数分後、笑顔で現れた村井知事が握手を求めようとしますが、それを拒否。応接室に緊張が走ります」

 村井知事がテーブルを回って松本復興相の正面に移動、テーブル越しにお辞儀をしながら両手で要望書を手渡し、松本も両手で受け取る。村井知事の方が深いお辞儀をする。

 女子アナ「そして要望書を受け取ると、松本大臣は語気を強めて、自らの考えを伝えました」

 松本復興相「(水産特区は)県でコンセンサスを得ろよ。そうしないと我々は、何もしないぞ。(語を強めて)ちゃんと、やれ。

 今、あとから自分入ってきたけど、お客さん来るときは、自分が入ってから、お客さん呼べ。いいか、長幼の序が分かっている自衛隊なら、そんなことやるぞ。分かったか」

 村井知事「ハイ」

 松本復興相「(相手の承諾を認めて)ハイ。しっかり、あの、やれよ。今の、最後の言葉はオフレコですから。いいですか

 村井知事(笑う)

 松本復興相「みなさん、いいですか、ハイ、書いたら、その社は終わりだから(自分でも軽く笑う)」

 女子アナ「松本大臣のこの言動は波紋を呼びそうです」

 「みなさん、いいですか」の「みなさん」はそこに取材で集まっていた各マスコミの記者に向かって言った「みなさん」なのだろう。

 マスコミは言われたとおりに最初はオフレコを守って公表を差し控えた。但し「オフレコですから」と言わて「長幼の序」云々の公表を差し控えただけではなく、「ハイ、書いたら、その社は終わりだから」までを含めてオフレコにした。

 「ハイ、書いたら、その社は終わりだから」は決して冗談で済ますことはできない言論弾圧意志を含んだ言葉であるはずである。

 例え冗談めかして言ったとしても、そのように言及すること自体、言論弾圧意志を衝動として僅かでも持っているからこそ口を突いて出たということであろう。

 そのような意志を完璧に無縁としていたなら、決して口を突いて出てこない言葉であるはずである。冗談だとしても、恐ろしい言葉である。

 要するにマスコミはオフレコを理由に松本復興相の言論弾圧意志まで見逃した。

 国家権力による言論弾圧・言論統制はそれを当初見逃すことから始まってその威圧に取り込まれることになる。最初から言論弾圧や言論統制があるわけではない。

 戦前に経験したことであり、その反省を常に胸にしていたなら、あるいは思想・信教の自由、表現の自由、あるいは報道の自由を日常普段から心に留めていたなら、例え些細な言論弾圧意志に見えたとしても、あるいは冗談であっても許すべきではなく、最初からオフレコを無視して間違った発言として公表すべきだったのではないだろうか。

 国と地方が対等に一致協力して復旧・復興を進めていくことに反した、自分を何様と上に立たせた数々の命令口調と言い、言論弾圧意志と言い、このような政治家を大臣に任命した菅仮免の任命責任は重い。

 枝野官房長官は「松本氏は被災者の思いを最も強く受け止めている。復旧復興の加速に対する強い責任感と使命感を持っている」(MSN産経)と松本発言を擁護しているが、国と地方を対等な関係に置くことができずに、国を上に置き、地方を下に置く権威主義的上下関係をスタンスとする政治家の「強い責任感と使命感」とは、地方を下に置いているため、地方の意を汲むよりも上に置いた国の意志に従わせようとする「強い責任感と使命感」しか期待できないだろう。

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松本復興相の言う「被災者に寄り添う」は自分を上に立たせることなのか

2011-07-04 09:46:19 | Weblog



 昨7月3日(2011年)、松本龍復興担当相が東日本大震災の被災地岩手と宮城両県を訪ねて両県知事と会談した。そこでの発言がマスコミを賑している。先ず主なところを拾ってみる。

 《松本復興相、岩手・宮城両知事にきわどい発言連発》asahi.com/2011年7月4日2時2分)

 記事は、〈最初に訪れた岩手県庁の玄関前では、衛藤征士郎・衆院副議長からもらったというサッカーボールを持ち出し、「キックオフだ」と達増拓也知事に蹴り込んだが、達増氏は取り損ねた。〉ということまで伝えている。

 達増岩手県知事との会談。仮設住宅の要望をしようとした達増知事の言葉を遮って。

 松本「本当は仮設はあなた方の仕事だ。(仮設住宅での孤独死対策などの国の施策を挙げて)国は進んだことをやっている。(被災自治体は)そこに追いついてこないといけない。知恵を出したところは助けるが、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持って」

 松本(冗談めかして)「九州の人間だから、東北の何市がどこの県とか分からない」

 午後訪問の宮城県庁。村井嘉浩宮城県知事が応接室に遅れて入室。

 松本「お客さんが来る時は、自分が入ってから呼べ。しっかりやれよ

 被災した漁港を集約するという県独自の計画に関して。

 松本「県でコンセンサスをとれよ。そうしないと、我々は何もしないぞ

 会談後の宮城県側の記者会見。

 村井嘉浩知事「地元のことをよく分かっている方が大臣に就任して喜んでいます」

 ある県幹部「被災地に来て、あの言動はない」

 記事の論評。〈前日の福島県に続く就任後初めての被災地訪問だが、被災者の感情を逆なでしかねない発言を連発した。週明けの国会で野党が追及する可能性もある。〉――

 《「知恵出さないと助けない」=松本復興相、岩手、宮城で発言》時事ドットコム/2011/07/04-01:28)

 達増拓也岩手県知事との会談。

 松本「(国は)知恵を出したところは助け、知恵を出さないところは助けない、そのくらいの気持ちを持って(ほしい)」

 松本「九州の人間だから東北の何市がどこの県か分からん」

 政府事務方「しょっちゅう(被災地に)入っているのに、何をおっしゃる」(フォロー)

 村井嘉浩宮城県知事との会談。漁港の集約化を国に要望していることについて。

 松本「3分の1とか5分の1に集約すると言っているけど、県の中でコンセンサス得ろよ。そうしないとわれわれ何もしないぞ

 松本「お客さんが来る時は自分が入ってから呼べ

 記事論評。〈配慮に欠けるとの指摘を受けかねない発言を相次いで行った。〉

 《知恵出さなければ助けない 復興相、被災地に厳しい注文》47NEWS/2011/07/04 00:47 【共同通信】) 

 達増拓也岩手県知事との会談。

 松本「あれが欲しいこれが欲しいはだめだぞ、知恵を出せということだ

 村井嘉浩宮城県知事との会談。

 松本「知恵を出さないやつ(自治体)は助けないぐらいの気持ちを持って」

 松本「こっちも突き放すところは突き放す」

 記事論評。〈被災地の知事を激励する意味合いがあったとみられるが、真意や閣僚としての資質を野党が国会で追及する可能性もありそうだ。〉――

 《「突き放す時は突き放す」復興相が被災地知事に注文》MSN産経/2011.7.4 00:00)

 村井嘉浩宮城県知事との会談。

 松本「政府に甘えるところは甘えていい。こっちも突き放すところは突き放す」

 知事の漁港集約構想について。

 松本「県で意見集約をちゃんとやれ。やらなかったらこっちも何もしない」

 記事自体の論評は何もなし。

 《復興相「知恵出さない奴は助けない…つもりで」》YOMIURI ONLINE/2011年7月3日22時48分)

 達増拓也岩手県知事との会談。

 松本「知恵を出したところ(自治体)は助けるけど、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持って(やってほしい)」

 松本(冗談めかして)「九州の人間だから、(被災地の)何市がどこの県とか分からん」

 村井嘉浩宮城県知事との会談。

 松本(知事が遅れて入室したことに)「お客さんが来る時は、自分が入ってから呼べ

 同県の重点的な漁港整備要望について。

 松本「県でコンセンサスを得ろよ。そうしないと我々何も知らんぞ」

 記事自体の論評は何もなし。

 《松本復興担当相:岩手、宮城知事と会談「復興は知恵合戦」》毎日jp/2011年7月3日 23時37分)

 達増岩手県知事との会談。

 松本「知恵を出したところは助け、知恵を出さないやつは助けない。そのぐらいの気持ちを持ってほしい」

 村井宮城県知事との会談。漁業集約方針について。

 松本「県でコンセンサスを得るべきだ。そうしないと我々は何もしない。ちゃんとやってもらいたい」

 両知事との会談で、仮設住宅で昼食会を開催して孤独死を避けたり、仮設と避難前の居住地をつなぐシャトルバス運行などのアイデアを披露して。

 松本「これからは知恵合戦だ」(以上引用)――

 先ず最初に、〈藤征士郎・衆院副議長からもらったというサッカーボールを持ち出し、「キックオフだ」と達増拓也知事に蹴り込んだが、達増氏は取り損ねた。〉ということだが、こういったいきなりのご挨拶は果たして許される態度だろうか。県知事の背後には不自由な生活を強いられ、困窮した多くの被災者や極めて困難な、困難であるゆえに日夜頭を悩ませることになっているに違いない多くの復興問題が控えていてるのである。例え二人がふざけ合う仲だったとしても、ふざけ合っていられる場合ではないし、ふざけ合っていい場面でもない。すべてが緊急な解決が求められている。

 被災自治体が置かれているこのような切迫した状況を何も考えないふざけた態度は被災者に対する冒涜以外の何ものでもないだろう。

 「毎日jp」記事が書いているように〈復興政策には被災自治体の主体的な取り組みが不可欠との認識を示し〉、そういった姿勢を強い態度で各自治体に求めたということなのだろうが、だとしても、自身が何様であるかのように上から目線に立った命令口調のオンパレードとなっている。

 それぞれ蛍光ペンで表したが、それがストレートに現れている発言箇所は、一記事は「知恵を出さないところは助けない」、もう一記事はこの発言に関しては何も触れていないが、あとはすべて「知恵を出さないやつは助けない」となっていて、相手を「やつ」呼ばわりしているところであろう。

 多分、日本に於ける中央と地方の関係が中央を上に置き、地方を下に置いた中央集権で成り立っている権威主義関係を自らも物の見事に体現し、国家権力に所属する者として自身を上に置いていたからこそ可能とした上に立った数々の命令口調ということなのだろう。

 国家権力を担い、地方を下に置いていたからこそ、村井宮城県知事の遅れての入室に対して、「お客さんが来る時は自分が入ってから呼べ」と自身を「お客さん」の位置に置いて命令口調で文句を言うことができた。

 国と地方一体となって緊急に復旧・復興に当たらなければならないときにお客さんも何もないはずだが、どうしても自身を「お客さん」として上に立たせたいらしい。

 国の復興担当大臣が果たして「お客さん」なのだろうか。

 大体が一方をお客さんの位置に置くことは国と地方言ったとなって取り組む“一体”という言葉、“一体”という思想に反する。“一体”とは分け隔てない対等な関係があって初めて力を発揮し得る状態を言うはずである。
 
 また国と地方を上下の権威主義関係で把える態度は松本復興相が言っていた「被災者に寄り添う」とする対等な関係を裏切る、その言葉をウソにする態度そのものであろう。

 被災地に寄り添うことによって初めて「被災者に寄り添う」ことが可能となる。だが、各記事が書いている殆んどの発言が被災地に寄り添う言葉とはなっていない。

 「asahi.com」では、達増岩手県知事が仮設住宅の要望をしようとしたところ、その言葉を遮って、「本当は仮設はあなた方の仕事だ。(仮設住宅での孤独死対策などの国の施策を挙げて)国は進んだことをやっている。(被災自治体は)そこに追いついてこないといけない。知恵を出したところは助けるが、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持って」と、国が知恵を出した例の一つとして「仮設住宅での孤独死対策」を挙げて、「国は進んだことをやっている」と自慢したとなっている。どういった国の「孤独死対策」なのか分からないが、地方も手をこまねいているわけではない。

 震災前の地域コミュニティーが崩れて高齢者の孤独死が相次いだ阪神大震災を教訓に各自治体が様々な工夫を凝らしていると、《仮設での孤立防止へ阪神教訓 近所ごと入居・年齢配慮…》asahi.com/2011年4月17日13時28分)が伝えている。

 4月17日付の記事である。4月17日以前の時点で既に対策に乗り出していた。

 仙台市は「10世帯以上の団体申し込み限定」とするハードルを設けて、親しいお隣さん同士の関係を仮設住宅でも維すべく取り図っているし、仙台市の南隣接市である宮城県名取市は仮設住宅への入居を希望した被災者に「地域ごとのまとまった入居を考えるので、あとは市に一任していただきたい」と呼びかけているという。

 機械的な抽選で仮設住宅の一室一室に順次当てはめていく、今までの隣近所がバラバラになってしまう方法ではなく、希望世帯を1軒ずつ住宅地図に落とし、隣近所を一纏めにしながら仮設住宅に当てはめていくという作業を行っているという。

 宮城県東松島市は抽選で入居者を決めるが、住宅の部屋割りを決める際、同じ地域だった人を近くに集めるよう工夫、高齢者ばかりが固まらない配慮もする方針だという。

 東松島市担当者「この地域はこの仮設住宅に、という決め方ができれば一番よいが、最初から十分な戸数がそろっているわけではないから」

 不自由な中で工夫し、孤独死対策、あるいは孤独生活対策を行っている。

 2004年の新潟県中越地震で被災した長岡市は被災地から近い仮設住宅に入ってもらうことを基本方針に市が部屋割りを調整したと、既に行ってきた孤独生活・孤独死対策を記事は紹介している。

 市担当職員「それでも入居者全員が顔見知りとはならないので、市が支援チームをつくり、住民の自治活動を促した」

 その方法とは、〈住民が集う場所として、50戸以上の団地には「集会所」を、50戸以下にも「談話室」を設け、運営を住民に〉委託するという方法だったそうだ。

 前例を学んで多くの自治体が行っている孤独生活・孤独死対策でありながら、「国は進んだことをやっている」と自慢する。その“進んでいない”発言は政治家としての程度を表している。

 但し、上記仙台市の場合はすべてが順調に運んだわけではなく、10世帯以上集められないとか、グループに入らない被災者もいて、〈締め切りまであと3日の時点で応募はわずか3件。用意した住宅は1割も埋まらず、市は早くも見直しを迫られている。〉と別の「asahi.com」は伝えているが、何事も試行錯誤だから、学びつつ解決していくはずである。

 元々のグループを維持する方法に拘るのは、「神戸では高齢者を優先的に仮設住宅に入れた結果、震災前の地域コミュニティーが崩れ、被災者の孤独死を防げなかった。その教訓」からだという。

 岩手県は長岡市を見習ったのか、50戸以上の仮設住宅地を対象に15箇所の集会所と、小さな住宅地には談話室を建設予定だという。《仮設住宅地に集会所 岩手県、15カ所に》MSN産経/2011.4.25 19:59)

 〈広さは約100平方メートル。うち1戸はすでに大船渡市で完成した。洋室やボランティアが駐在できる事務スペースのほか、台所や介助入浴ができる大きめの浴室などもある。

 介護が必要な高齢者の孤独死や寝たきり防止などのため、県はデイサービス機能を備えたグループホーム型の仮設の介護拠点も設置する。大槌町からは開設の要望が来ているという。〉――

 〈東日本大震災の被災地の仮設住宅で暮らす高齢者などの孤独死を防ごうと、宮城県岩沼市にサポートセンターが開設されることになり、市と運営する団体との間で協定が結ばれました。〉は2011年6月25日付「NHK NEWS WEB」記事。

 〈宮城県石巻市に室内に段差がないバリアフリーの障害者専用の仮設住宅がほぼ完成し、24日、入居を予定している人たちに公開されました。〉は2011年6月25日付の「NHK NEWS WEB」別記事。

 かくかように自治体は孤独生活・孤独死対策に工夫を凝らしている。

 孤独死対策を一つの例として挙げて、「国は進んだことをやっている」と、国だけ知恵を発揮しているかのように自慢できるのも、地方の努力を差し置いていることからも分かるように権威主義的に国を地方の上に置いた何様態度を自身の中で持っているからこそ言えた発言であろう。

 どこに「被災者に寄り添う」という一体的態度を見出すことができると言うのだろうか。


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毎日jp記事が伝える新事実は原発事故拡大は菅3月12日視察が原因ではないかとどうしても疑わせる

2011-07-03 11:39:30 | Weblog



 二つの「毎日jp」記事がある。一つ目。

 《福島第1原発:1号機のベント「失敗」 弁開放は未確認》(毎日jp/2011年6月24日 3時37分)

 国際原子力機関(IAEA)に6月7日提出した政府報告書は3月12日に東電が行った格納容器圧力を下げるベントは「成功」と記載。

 だが、実際は失敗した可能性が高いことが分かったという。

 専門家「データから、一旦開いた弁が閉じたと読み取れる」

 記事が伝える各作業を時系列で並べ直してみる。

 1号機――

 3月12日午前0時6分――格納容器内圧力が上限値(427キロパスカル=約4.2気圧)を上回る600キロ
            パスカルに達する。

 吉田昌郎所長がベントの準備を指示。

 3月12日午前6時50分 ――政府、原子炉等規制法に基づくベントを東電に指示。
 3月12日午前9時頃  ――ベント作業開始。
 3月12日午前9時15分頃――非常用ハンドルを手動で回しMO弁(建屋2階)を25%程度開けることに
               成功。
 3月12日午前9時30分頃――小弁の開放を目指す、付近の放射線量が高く手動での作業中止。
 3月12日午前10時17分 ――中央制御室から機械操作で小弁開放を試みる。
 3月12日午前10時半  ――建屋外の放射線量が一時的に急上昇、放射性物質が放出されたとみられる。
 3月12日午前11頃   ――建屋外の放射線量、元の数値に低下。格納容器内圧力は下がらず、ベントの
              効果を確認できず。
 3月12日午後2時頃  ――協力会社から借りた仮設の空気圧縮機(電動空気入れ)を使い、大弁に空気
              を送ることで弁を開放する作業に切り替える。その後格納容器内圧力は作業直前の755キロパスカルから530キロパスカルまで降下。
 3月12日午後2時半  ――東電「午後2時半にベント成功と判断」と発表。経済産業省原子力安全・保
             安院、成功を追認。
 3月12日午後3時頃  ――格納容器の圧力が下げ止まる。

 東電関係者「弁の開放は十分ではなかった」
 
 3月12日午後3時36分 ――格納容器の圧力が上昇し続けて、水素爆発。

 東電「圧力が低下したので成功と判断した。大弁の開放は確認できていない」

 原子力安全・保安院「ベント成功の判断をしたのは東電で、政府として言及していない」

 「政府として言及していない」と言っているが、冒頭に書いたように、〈政府はIAEAへの報告書に「東京電力がベント成功と判断した」と記載し提出〉している。

 国内には公表という形で「言及していない」としても、IAEAには書類の形で「言及して」いる。

 二つ目の記事。

 《福島第1原発:1号機のベント「失敗」 問われる説明責任》(毎日jp/2011年6月24日 3時47分)

 記事冒頭。〈東京電力福島第1原発1号機のベント(排気)が失敗していた可能性が高いことが判明し、これまで「成功」と言い続けてきた東電や、それを追認してきた国の説明責任が改めて問われることになりそうだ。併せて、特に重大事故への対応策として整備されてきたベントの「失敗」は、国の安全対策に大きな疑問を投げかける。〉

 〈特に重大事故への対応策として整備されてきた〉の言及は、具体的には安全対策(アクシデントマネジメント)の一環として1992年から旧通産省(現経済産業省)が電力各社に整備を求めてきたと記事が書いていることを示す。

 要するに地震が起きたら津波を想定して直ちに高台等に避難する回避行動と同様にベントは原発の重大事故発生の場合の重要な抑制手順の一つとして想定・準備してきた。当然、ベントを行わなければならない緊急事態に陥った場合は想定・準備してきた手前失敗は許されないにも関わらず失敗し、安全対策の意味を失った。

 しかも1号機だけではなく、東電は2号機でも「ベントの成否は不明」としているという。

 記事は、〈「成功」を見直す材料や機会はあったのに、国は3カ月近くもチェックしないまま今月7日、国際原子力機関(IAEA)への報告書に東電の見解をそのまま記載して提出。事故を真摯(しんし)に検証する姿勢はうかがえない。〉と批判しているが、〈「成功」を見直す材料や機会〉とは、前の記事が書いている、一旦は格納容器内の圧力が下がるが、下げ止まって再度上昇に転じて水素爆発を起していることを言っているのだろう。

 東電が1号機のメルトダウンを認めたのは地震発生から約2カ月経過した5月12日。機器の損壊や放射能濃度が高くて現場に近づけなかった等が原因となって明確な事実確認ができなかったとする理由を自ら認めるなら、ベントにしても明確な事実確認を欠いていることを以って成功か否かは不明ととすべきだったろう。

 「弁の開放は十分ではなかった」と認識していながら、あるいは「大弁の開放は確認できていない」と事実確認を抜きに「成功」と公表、政府も追随した。

 検証する姿勢は窺えないと言うだけではなく、危機管理姿勢に厳しさを欠いていたとしか言いようがない。

 ベントは重大な原発事故に対する重要な対策として位置づけれら、準備されていながら、手抜かりはあってはならないはずなのに政府と東電共々なぜ検証姿勢、危機管理姿勢にこういった手抜かりを生じせしめたのだろうか。

 これまで当ブログにも書き、巷間言われているように菅仮免の原発視察がベントの開始を遅れさせ、治療の遅れが病気の重大な悪化を招いて手遅れを招くようにベントの失敗の原因となったということなのだろうか。

 最初の記事が書いている3月12日午前6時50分に政府が原子炉等規制法に基づくベントを東電に指示したとしているのは3月12日午前1時30分頃に出したベント指示に東電が、どういった理由からか分からないが、なかなか応じなかったために指示を法的拘束力のあるベント命令に切り替え発令した時間に当る。

 しかも菅首相が福島原発視察のために3月12日午前6時14分に官邸から自衛隊ヘリで出発してから約36分経過した時間の、いわばまだヘリで飛行中のベント命令であり、それから約20分経過した3月12日午前7時11分に菅仮免は福島第一原発に到着している。

 しかしベント命令は法的拘束力を持っているにも関わらず、東電が1号機のベントの準備に着手したのはベント命令を発令した3月12日午前6時50分から2時間14分も経過した3月12日午前9時04分である。菅仮免が福島原発視察を切り上げた3月12日午前8時04分から1時間経過してからである。

 さらに実際にベントを開始できたのは準備着手の3月12日午前9時04分から1時間13分経過した3月12日午前10時17分。菅仮免が自衛隊ヘリで三陸沿岸部機上視察に出かけた3月12日午前8時04分から2時間13分も経過している。

 東電はベント準備着手からベント開始まで時間がかかった理由を放射能濃度の高さと自動開閉が故障していて手動開閉に切り替えたものの思うようにいかなかったとしている。

 以上のことを改めて時系列で並べてみる。

1.3月12日午前1時30分頃――海江田経産相、東電に対してベント指示。
2.3月12日午前6時14分 ――菅仮免、官邸からヘリで視察に出発
3.3月12日午前6時50分 ――海江田経産相、東電に対してベント命令。
4.3月12日午前7時11分 ――菅仮免、福島第一原発に到着
5.3月12日午前8時04分 ――菅仮免、福島原発視察を切り上げ、三陸機上視察に出発
6.3月12日午前9時04分 ――1号機でベント準備着手
7.3月12日午前10時17分 ――1号機でベント開始
8.3月12日午前10時47分 ――菅仮免、首相官邸に戻る
9.3月12日午後3時36分 ――水素爆発

 問題は3月12日午前1時30分頃に海江田経産相が東電に対してベント指示を発令していながら、東電が即座に応じなかったことである。

 止むを得ず、ベント指示から5時間20分後の3月12日午前6時50分にベント命令に切り替える。この間に原子炉内で刻々と状況が悪化していたことを考慮すると、あるいは状況の悪化に対応して復旧が困難化することを考えると、この遅れだけでも重大だと言うのに、ベント命令からベントの準備着手にまでさらに2時間14分もかかり、実際にベントを開始できたのはさらに1時間13分かかっている。

 こういった手遅れが招いた、いわば状況の悪化が困難とした、毎日jp記事が伝えているベントの失敗であり、以後に続く水素爆発ということだとしたら、なぜ東電はベント指示に直ちに応じなかったのか、応じなかったことと菅仮免の視察がどう関わっていたのか、検証する必要が生じる。

 視察するについては前以て東電に知らせる必要が生じる。何時ごろ知らせたのだろうかインターネットで調べると、次ぎの記事に出会った。 《運命の3月12日-やはり菅は有罪だ》(阿修羅/2011年4月13日)

 次のような時系列の状況変化が記載されている。

■11日
14:46 地震発生
15:42  1号機原子力災害対策特別措置法10条通報(全交流電源喪失)
16:36: 1号機原子力災害対策特別措置法15条事象発生(非常用炉心冷却装置注水不能)
21:23 半径3キロ圏内の避難指示
21:52 官房長官記者会見「現時点で原発はコントロールできている」
■12日
01:20 1号機格納容器圧力異常上昇により15条通報
02:30 菅が視察を決定する
03:00 海江田経産相と小森明生・東電常務が会見、ベントを行う旨、発表
03:00 東京電力がベントを行うことにしたとの文書は発表
03:12 官房長官記者会見(東電からベントの必要性について報告受けた)
04頃 1号機中央制御室でガンマ線150μSv/h
05頃 原発正門付近で放射性ヨウ素検出
05:44 半径10キロ圏内の避難指示
06:09 管コメント「場合によっては現地で必要な判断を行う」
06:14 菅陸上自衛隊ヘリコプターで官邸屋上ヘリポート発
06:50 原子炉等規制法64条3項によるベント命令
07:11 菅と原子力安全委委員長、福島第一原発現地入り
07:19 菅福島第一原発の重要免震棟へ
07:23 菅へ東京電力副社長による説明。池田経産副大臣同席。
08:04 菅福島第一原発視察終了
09:04 東電が1号機ベント作業着手(一つ目の弁を開ける)
10:17 二つ目の弁の開放に着手、だが不具合で開放が確認できず
10:47 菅官邸に戻る
14過ぎ 急きょ調達した空気圧縮機を使って午後2時すぎに再度開放を試みる
14:30 1号機ベントによる圧力降下を確認
15:36 1号機棟で水素爆発 (以上引用)――

 3月12日午前2時30分に菅仮免の視察を決定。30分後に海江田経産相と小森明生・東電常務が記者会見を開いているから、この間に視察は東電に伝わっていたはずだ。

 さらに検索して、経産省のHPからこの記者会見の発言を見つけ出した。《海江田経済産業大臣と東京電力(株)との臨時共同記者会見の概要》(経産省HP/2011年3月12日

 記者会見の日時は平成23年3月12日(土)。3:06~3:48まで。

 冒頭発言

 海江田経済産業大臣「まず、このたびの地震による事故により福島第一原子力発電所において、格納容器内の圧力が高まっていることから、ベント弁を開いて、内部の圧力を放出する措置をとる旨、事業者であります、東京電力から、報告を受けたところでございます。

 この作業にともない、容器内の放射性物質が大気中に放出される可能性がございます。

 事前の評価では、その量は微量と見られており、現在陸地から海側に吹いている風向きを考えると、現在とられております、発電所から3km以内の退避、10km以内での屋内退避措置により、住民の安全性は保たれていると思います。

 どうぞ落ち着いて事態に対処して頂けますようお願いを申し上げます。

 私からの発言は以上でございます」

 海江田経産相は「ベント弁を開いて、内部の圧力を放出する措置をとる旨、事業者であります、東京電力から、報告を受けたところでございます」と言っているが、海江田経産相が政府の立場として3月12日午前1時30分頃、東電に対してベントを指示したことに対する了承の報告なのだろう。

 東電側が言い出したベントだとしたら、政府公表の3月12日午前1時30分頃ベント指示は時間的な矛盾が生じる。

 了承報告だとしても、3月12日午前1時30分頃ベント指示から1時間30分も経過している。東電内でベントを行うべきかどうか検討するのに1時間半必要としたということなのだろうか。

 だとしても、東電が自らベントを行うと報告しておきながら、直ちに準備に着手しなかった。海江田経産相は1時間おきぐらいに東電に開始するように催促したと国会で答弁しているが、東電側も了承したベントを政府は指示通りになぜ直ちに機能させることができなかったのだろうか。

 また東電も自らベントを了承しておきながら、なぜ直ちに実行に移さなかっただろうか。記者会見の質疑応答を見ると疑問が解けるどころか、却って疑惑が深まる。

 記者「(ベントは)何時からという目処はないのですか」 

 小森常務「3時ぐらいを目安に、速やかに手順を踏めるように現場には指示しています。」

 記者「3時ってもう3時ですよ」

 小森常務「それはここの皆さんにお話をするという上で、目安としては早くて3時くらいからできるように準備をしておりますので、少し戻って段取りを確認してから」

 この「3時くらいからできるように準備をしておりますので」という発言によって、政府の3月12日午前1時30分頃のベント指示に対する了承報告であることが分かるが、同時に既に準備に着手していて、現時点でいつでも開始できる状態になっているとしていることも分かる。

 記者「要は、告知した上でやるということですが、準備はできている、では即座にやるということですか」

 小森常務はい、今でもゴーすればできるという状況ですが、そこはちょっとまた必要があれば、お時間についてはお知らせしたいと思います」

 記者「言っていることが分からないんですけど、すぐやるということでいいんですね」

 小森常務「はい。この会見も含めて、地域の皆さんの告知も含めて、終わり次第やると」

 記者「この会見が終わった段階でやるということですか」

 小森常務「はい、そういうことでお考えいただければと」

 記者「地域への告知はもうされているのか」

 小森常務「ええ、並行してその段取りで今、動いていますので、その状況も確認します」

 海江田経済産業大臣「すぐ早くこれを終えて、すぐやらなければいけない」

 「これを終えて」の「これ」とは住民の退避を指すはずで、避難が終え次第ベントを開始しなければならないとしているが、「発電所から3km以内の退避、10km以内での屋内退避措置により、住民の安全性は保たれていると思います」と既に安全を請合っている。

  小森常務「いずれにしても現場の人間がちゃんと動かせるという状況を我々も確認したい」

  「今でもゴーすればできるという状況ですが」と言いながら、「現場の人間がちゃんと動かせるという状況を我々も確認したい」と、実行できるかどうかはまだ未確認だとしている。

 記者「確認ですが、(非常用)ディーゼル(発電機)が動かなかったのは津波の影響で動かなかったのですか」

 小森常務「ええ、これも現場の調査がですね、水がきたりなんか色々していますので、作業とか、運転員の安全を確保しながらですが、まずは海水がかなり発電所まで浸入した、ということで非常用電源側の方の電源がうまくつながらなくなったということです」

 海江田経済産業大臣「よかったら告知の件もありますので、私はすぐ官邸に戻りますので、あと細かな何シーベルトとかいう話は保安院がおりますので、保安院に聞いていただけますか」

 記者「一つだけいいですか。官房長官の会見の時間は何時か正確に忘れましたが、あれで退避の命令を出したのは、3㎞避難、それから3㎞、10㎞の屋内退避を出した段階で、もうこのことを予見していたわけですね」

 海江田経済産業大臣「いや、そうではありません」

 記者「ではすぐに(圧力を)開放されるのですか。ここ出られたらすぐに」

 海江田経済産業大臣「準備には入っていますから、それをまず官邸に行って、ここで報告をした、会見をやったということを報告してから」

 記者「それから決めるのですか。」

 海江田経済産業大臣「決めるというか、時間をね。何時になるというのは後でご連絡します」

 記者「今の今ではないってことでいいのですね。」

 小森常務「みなさんがここに座っている時に現場でやっているということはありません

 記者「確認ですけど、要するにやるときには事前に何時からやりますとおっしゃるという理解でよろしいのでしょうか。事前に連絡があるという理解でよろしいでしょうか」

 小森常務「わかりました。何時にするということを、報告させるということにいたします」

 記者「今の段階ではやってないってことで」

 小森常務「はい」(引用、以上)

 「現場の人間がちゃんと動かせるという状況を我々も確認したい」以外はまるで即座に開始できるようなことを言っていながら、海江田経産相も「準備には入っていますから」と保証しながら、現実にはベント準備に入ったのは記者会見終了の3月12日午前3時48分から5時間16分後、実際のベント開始までは6時間29分もかかっている。

 例え準備に時間がかかったとしても、東電側が政府のベント指示を了承した時点で即座に準備に着手していたなら、ベント指示をベント命令に切り替える必要は生じなかったはずだ。

 だが、逆の展開となった。3月12日午前9時04分にベントの準備に着手したものの、準備に手間取ることとなって、実際にベントを開始するのは1時間14分後の3月12日午前10時17分となった。

 しかも成功と公表したが、実際は失敗に終わった可能性が高いと言う。

 どう見ても、ベントの遅れが原子炉内の状況は刻々と悪化させていったとしか考えられない。

 この遅れに菅仮免の視察がどう関わったかである。

 この疑惑を解くカギは海江田経産相のこの記者会見での冒頭発言にある。

 海江田経済産業大臣「この作業にともない、容器内の放射性物質が大気中に放出される可能性がございます。

 事前の評価では、その量は微量と見られており、現在陸地から海側に吹いている風向きを考えると、現在とられております、発電所から3km以内の退避、10km以内での屋内退避措置により、住民の安全性は保たれていると思います」

 当初原子力災害対策特別措置法の規定に基づいて3キロ圏内の避難指示、3km~10km屋内退避指示を政府が出したのは3月11日午後9時23分である。

 海江田経産相と小森東電常務が記者会見を開始した3月12日午前3時6分まで既に5時間半経過していて、この時間を考慮して「住民の安全性は保たれていると思います」としのだろう。

 だが、政府は住民をベントによる放射能汚染から守るために避難と屋内退避の指示を出しておきながら、また海江田経産相が「この作業にともない、容器内の放射性物質が大気中に放出される可能性がございます」と放射能漏洩の危険性を指摘していながら、一国の首相の身であることに反して放射能漏洩の根拠地である福島第一原発に防護服もつけずに視察と称して訪れた。

 このことはどう考えたらいいのだろうか。 

 5月16日の衆院予算委で西村康稔(やすとし)自民党議員がこのことを追及していて、当ブログ記事――《福島原発事故拡大は菅仮免が東電にベント指示を早急に機能させることができなかったことが原因の人災 - 『ニッポン情報解読』by手 代木恕之》に取上げた。

 一般住民は放射能汚染の危険性はあるが、一国の首相はその危険性はないと言うなら、住民が避難する方向とは反対方向の原発のある場所に飛び込んでいったというのも理解できる。

 だが、放射能汚染の危険性は同じ条件にあるはずである。菅仮免だけが特別というわけではあるまい。その危険性をゼロにするには菅仮免が福島原発を視察中はベントを控え、視察終了から一定の時間経過後に、いわば自衛隊のヘリコプターが安全圏にまで飛行した時間を見計らって開始すること以外に方法はないはずである。

 ベントを延期することによって、菅仮免は防護服なしに安心して原発事故の現場に立つことができた。発電所から遠ざかる形で避難し、あるいは屋内退避した住民と同じ放射能汚染回避の条件下に自分を置くことができた。

 どうしても、このような解答しか出てこない。

 視察がパフォーマンスではないかと国会で追及されるに及んで、東電がベント指示になかなか応じなかった、指示を命令に切り替えたといった辻褄合わせを時間を遡る形で捏造したといったところではないだろうか。


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松本復興相のお門違いな「震災発生からは、民主党も自民党も公明党も嫌いだ」

2011-07-02 08:48:59 | Weblog



 どうでもいいことだが、合理的な判断能力の持主なのかどうかに関係してくることだと思うから、野次馬的な気分も絡めて松本復興相の「震災発生からは、民主党も自民党も公明党も嫌いだ」発言を取り上げてみることにした。

 大体が好きだ嫌いだと言っていられない緊急の状況にある。下げたくない頭を下げてでも、じっと我慢の子で復旧・復興に全身全霊を傾けなければならない立場に立つことになった。にも関わらず、好きだ嫌いだと言っている。合理的判断能力を働かすよりも情緒的観念を先に立たせている。

 《松本復興相“基本法に魂を”》NHK NEWS WEB/2011年6月28日 11時59分)

 6月28日閣議後記者会見。

 松本復興相「まず、私たちがやることは、復興基本法に魂を入れ、骨や肉をつけていくことだ。基本法は与野党が話し合ってまとめたものなので、これからも与野党双方の意見を聞きながら対策を練っていきたい。・・・・震災発生からは、民主党も自民党も公明党も嫌いだ。私の心はただ一つ、被災者に寄り添うことだけで、被災者のためにひたすら前を向いて歩くだけだ」

 この発言を記事は、与野党は被災者のために協力すべきだという考えを示したものとしている。

 だが、言っていることが前段と後段で明らかに矛盾がある。「基本法は与野党が話し合ってまとめたもの」と言っている以上、ハイ、基本法が決まったのだから、もう野党は必要ありません、引っ込んでいてくださいと言えるわけではなく、「私たちがやること」としている「私たち」とは、与党だけではなく、野党も含めた「私たち」であろう。与野党協力し合い、力を合わせて「復興基本法に魂を入れ、骨や肉をつけて」いかなければならないとの宣言を前段の趣旨としていたはずだ。

 だからこそ、「これからも与野党双方の意見を聞きながら対策を練っていきたい」と与野党の協力を必須とした。

 にも関わらず、協力を求めなければならない野党まで含めて、「震災発生からは、民主党も自民党も公明党も嫌いだ」と、好悪の感情を曝け出して反発を示した。

 これは合理的判断能力を備えた政治家の態度なのだろうか。

 クエスチョンマークはこれだけではない。前段では与野党一丸を訴えて「私たち」としていながら、後段では「私の心はただ一つ、被災者に寄り添うことだけで、被災者のためにひたすら前を向いて歩くだけだ」と、私一人のこととする矛盾を平気で見せている。

 ひねくれ者が聞いたなら、「できるものなら、自分ひとりでやってくれ」と言いたくなるに違いない。

 また、「被災者に寄り添うこと」も、「被災者のためにひたすら前を向いて歩く」ことも、施行された復興基本法に基づく復興対策本部がスタートし、担当大臣になったからすることではなく、3月11日地震発生後に菅仮免を本部長とする東北地方太平洋沖地震緊急災害対策本部設置以降行ってきたはずのことで、松本復興相からしたら継続事項であって、その任を自らが負い、なお一層前に進めていく役目を与えられたということでなければならない。

 緊急対策本部長であった菅首相が最終・最大責任者として震災発生以来、果たして先頭に立って「被災者に寄り添」い、「被災者のためにひたすら前を向いて歩」いてきたかどうかは被災者支援の遅れ、人並みの生活を最低限保障する仮設住宅建設の遅れが証明して余りあるが、松本復興相はそれをさも復興相就任以後自分だけが行うことであるかのような独善を働かせている。

 野党としたら、菅仮免みたいな指導力はない、責任回避姿勢だけは立派だといった首相に協力はしたくはないが、国民の生命・財産と国の運命がかかっていることだから、協力しなければならない立場に立たされている。このことへの視線が松本復興相にはない。

 松本復興相のこの「嫌いだ」発言に当然のことながら自公は反発した。与野党の奮起を促すために計算尽くで殊更反発を誘ったというなら分かるが、矛盾した言い回し、独善的な物言いから、そのような高等戦術であろうはずはなく、単に反発を計算に入れることができずに無考えに発した合理的判断能力を欠いた発言に過ぎなかったということであろう。

 《復興相の「嫌い発言」に自公猛反発》MSN産経/2011.6.29 20:49)

 自民、公明両党は6月29日に松本氏に釈明を求めていく方針を決めたという。

 逢沢一郎自民党国対委員長「復旧・復興の中心に立つべき人が与野党の協力が必要ないと考えているならば任に当たる資格無しだ」

 漆原良夫公明党国対委員長「信じられない言葉だ。松本氏はどうかしてしまったのか」

 6月29日夕の民主党所属議員パーティーでの挨拶。

 松本復興相「私は政局が大嫌いで、被災者に寄り添うことが私たちの使命であるということを言いたかった」

 要するに政局優先の国会となっていて、政治の使命である「被災者に寄り添うこと」にはなっていないと言っている。確かにそのとおりだろうが、初期段階では野党は菅批判を抑え、協力する姿勢を示していた。菅仮免を筆頭とした菅内閣の震災及び原発事故対応にあまりにも不手際が目立つために反発、菅仮免では満足な対応を望めないと菅降しに動き出した。

 野党が例えそういった態度に出たとしても、政府側は緊急対策本部を中心に復旧・復興に邁進し、結果として不適切な成果しか示すことができなかったとしても、懸命に「被災者に寄り添」おうとしてきたはずだ。野党や民主党内の反菅勢力が政局に動き出したからといって、「被災者に寄り添うこと」を疎かにしていいわけではない。

 もしそれが疎かになっていたとしたら、菅政府が政局に巻き込まれて手一杯となり、震災対応の手を抜いたことが、これまでも見せていた不手際や遅滞をなおさら一層悪化させたということでなければ生じない疎漏であろう。

 いわば菅政府自らも政局に現を抜かして、十分に手が回ってもたいしたことはできなかった震災対応・原発事故対応になおさら手が回らなくなって被災者を置き去りにすることになった。

 当然、野党や与党の責任と言うよりも菅政府自身の責任となる。菅仮免自身が与党に対する指導力や統治能力、国会の動きを超えた政権運営能力、そして国を治める真の意味での統治能力を十分に備えていたなら、野党や党内反菅勢力が政局の動きに出たとしても、何ら動じる必要はなかったはずだ。

 またこれらの能力を十全に発揮し得ていたなら、「被災者に寄り添う」以前に、菅内閣発足以降、国民に寄り添う政治を行い得ていただろうし、その成果として手に入れることが可能となる高い内閣支持率は例え参議院が与野党逆転状況にあったとしても、どのような政局をも阻止する力となり得たはずである。

 いや、参議院与野党逆転以前の問題として、菅仮免が本来的に国民に寄り添う姿勢を持った政治家であったなら、国民生活に直接大きな影響を与える消費税増税の議論を何の準備もなく不用意に持ち出すことはなかっただろうし、当然昨年の参院選であのような負け方はしなかっただろうから、今日のねじれ国会といった窮状を招くこともなかったはずである。

 だが、実際は大震災発生に関係なく、政局を阻止できる状況をつくり出すことができなかった。指導力もない、統治能力もない、当然政権運営能力も欠いている、原因・結果とは無関係に国民に寄り添うことも負債者に寄り添うこともできない、ないない尽くしが原因の今日の政治混乱であり、政治停滞なのは明らかである。

 いわばすべての元凶は菅仮免自身であり、その政治能力であって、このことが招いていた震災対応・原発事故対応の不手際・遅滞であり、政局ということであろう。

 当然向けるべき嫌悪の対象は「嫌いだ」と民主党や自民党や公明党ではなく、菅仮免にこそ「嫌いだ」と向けるべき嫌悪であるはずである。

 以上の見方が例え間違っていたとしても、政治の最大にして最終責任者は菅仮免である。すべての責任を負わなければならないことからしても、「震災発生からは、民主党も自民党も公明党も嫌いだ」は特に政治家には必要な合理的な判断能力を、その必要性に反して欠いたお門違いな批判としか言いようがない。


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