日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

そのコピーってアリ?

2009-04-17 21:22:16 | 仕事のコツ
今、名古屋は市長選挙の真っ最中。
至る所に「選挙看板」が掲げられている。
その看板を目にするたびに思う事がある。
それは「キャッチフレーズ」だ。

与党系無所属の候補者は、「カットよりも躍進」とある。
これは他の候補者が「市財政のムダをカットして、豊かな市民生活」風な、コピーを全面に出していることに対抗してだろう。

それはわかるのだが、果たして「カットよりも躍進」と言うコピーは、アリなのか?と、看板を目にするたびに思ってしまうのだ。
その理由は、おわかりだろう。
「カット(削減)」と「躍進」には、何の関連性もないからだ。

選挙ポスターなどのキャッチコピーを見ると、時々「そのコピーはアリですか?」と言うモノを目にする。
別に言葉を専門に扱う仕事をしているわけではないのだが、やはり広告などの仕事をする際には「コトバ」そのものだけではなく「(生活者に)伝わる」というコトを重視している。
「コトバ」そのものに、違和感があっては人をひきつけるコトが出来ないからだ。

もう一つ重要なことは「何を伝えたいのか?」ではなく、「何を伝えなくてはいけないのか?」という点だ。
広告などの場合、「伝えたいこと」ばかりが優先され、「伝えなくてはいけないこと」がぼやけてしまう事がよくある。
結果、自己満足度の高い広告は作れても、受け手となる生活者にとっては「何が言いたいのか分らない」という広告になってしまうのだ。

最近、我が家に送られてくるDMなどをみて見ると、この「自己満足度の高いDM」が実に多くなってきているような気がする。
もちろん、レイアウトなども影響しているのだが、こうなるとデザイナーとコピーライターの自己満足発表会となってしまい、受け手である私にとっては不愉快極まりないDMとなってしまう。
ただ、このようなDMが増えてきている背景を考えると、キチンと指導をし、アドバイスをしてくれる先輩や上司がいなくなっているのでは?と、思ってしまう。

話は選挙ポスターから離れてしまったが、1枚の限られたスペースに自分の主張・公約を掲げると言うのは、なかなか難しい。
何よりも「あれも・これもやります」という総花的な主張や公約など、今の生活者にとっては「出来ないことを言われてもね~」と、冷ややかな目でみられるのがオチだ。
であれば、自分の政治信条や理想を明確にした上で、できることを整理し、その順位の高い内容を分りやすいコトバで書き出し、書き出したコトバを削ると言う方法で伝えるしか方法はないのだ。
むしろ、キャッチコピーの基本はそんなトコロにあるのではないだろうか?
少なくとも、一流と言われるコピーライターさんならともかく、普通の人はそんなトコロからトレーニングをはじめるのが、ベストだと思う。