日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

古くて新しい名簿ビジネス

2009-04-20 15:17:14 | アラカルト
中日新聞のWEBサイトを見ていたら、DM名簿、大量横流しか 郵便割引制度悪用と言う記事が掲載されていた。

ご存知の通り、この事件の発端は「障害者割引郵便を悪用」していたコトだった。
こちらの事件もその全容が少しづつ明らかになりつつあるが、博報堂の関連会社(だと思われる)企業の名前が出てきたりして、広告業界そのものの倫理性も疑われそうな雰囲気となってきている。
そして、この事件に大きく関わっていた議員さんの名前が上がっていることなどを考えると、福祉に名を借りた違法ビジネスが他にもあり、そこには「利」を求め合う関係があったのでは?と、勝手に邪推をしてしまうのだ。

それにしても、障害者向け郵便割引を悪用していただけではなく、顧客から預かった名簿を横流しとは・・・。
本当に「お金になることは、何でもやる!!」という、その考えに(皮肉を込めて)感服する。

しかし考えてみれば、この「名簿流用事件」というのは、本当に後を絶たない。
今月には、三菱UFJ証券の顧客システムを管理している部長クラスの人物が、社内の名簿データを持ち出し、70社以上に売りさばいていた、という事件が発覚している。
もちろん、購入した企業の多くはその名簿を十分に活用し、様々な勧誘をしていたようだ。

「個人情報の管理」が厳しくなり、表向き「名簿ビジネス」の市場を激減していると思われるのだが、やはり「名簿ビジネス」そのものは健在なのだろう。
と言うのも、販売促進などのDMを打つ場合、やはり効率を考えるからだ。
「(DM)内容に合った人たちに、DMを発送する」と言うのは、基本中の基本だし、自分のところで管理している、顧客リストでは「新規顧客の獲得」など出来ないからだ。 
もし、このような名簿が無い場合数年前の電話帳(現在の電話帳は、個人宅の掲載はされていない)で一件一件電話をかけるか、ポスティングと呼ばれるチラシ配りをするくらいしか、方法が無いのだ。
まして、今は「怪しげな電話がかかってくるから」という理由で、普段から留守電にし、相手を確認してから電話に出ると言う人も少なくない。
ポスティングにしても、郵便受けなどに「勧誘等のチラシ投げ込み禁止」という、ステッカーガ張ってあるマンションや個人宅が増えてきた。
それだけ、「新規顧客を獲得する」コトが難しくなってきている。
だからこそ、水面下で「名簿ビジネス」が行われ、むしろ「必要とされる個人情報がある名簿」に高値がつくのだろう。

何となく古くて泥臭さを感じさせる名簿ビジネスだが、本当のところは今一番新しいビジネスなのかも知れない。
良い悪いは別にして・・・。