日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ある出版会社の破綻と女性の変化

2009-04-21 18:06:04 | ライフスタイル
昨日の新聞各社のWEBサイトにヒッソリと、「雄鶏社破産」と言う記事が掲載されていた(紹介記事は、毎日新聞)。

拙ブログに来てくださる男性諸氏には、「雄鶏社???」という感じだろう。
もしかしたら、今の30代以下の女性たちにとっても「???」という感じかもしれない。
むしろ、今の40代後半以上の女性たちにとっては、親しみがあるがそれ以外の人たちにとっては「???」かもしれない。
と言うのも、「雄鶏社」というのは編物やソーイング、その他手芸全般の実用書を出版していた会社だったからだ。
かくいう私も「雄鶏社」の編物やソーイングなどの本には、お世話になった。

私と同世代の女性は「(クリスマスプレゼントには)彼に手編みのセーターという世代」で、その図案などを参考にしていたのだ(私は、彼に手編みのセーター派ではなく、あくまでも自分のセーターを編む派)。
そのため、一番最初に手にするのが「雄鶏社の本」だったのだ。

今回の「雄鶏社の破綻」は、今の女性の生活スタイルの変化と言うだけではなく、意識変化によるもののような気がするのだ。
と言うのも「クリスマスプレゼントに手編みのセーター」という女性は、今どれほどいるのだろう?
そしてそんな「手編みのセーターを欲しい」と思う、男性もどれほどいるのだろう?と、思ってしまうのだ。

実は、最近女性の間で人気になっているコトがある。
それは、以前エントリさせてもらった「手芸カフェ」だ。
「手芸カフェ」が人気になりつつあるのに、手芸本全般を出版している出版社が破綻すると言うのは、なんとも皮肉な感じがするのだが、むしろそこに「今の女性の意識変化」というモノを感じるのである。

例えば、私の世代以上(=現在40代後半以上)の女性たちにとって、「彼に手編みのセーター」が目的だったため、「人に知られないように編物をする」コトが重要だった。
変にセーターなどを編んでいたりすれば、周囲から囃し立てられ、恥ずかしい思いをしたものだった。
他にも誰かにプレゼントを目的としなくても、手芸そのものは自分ひとりで楽しむモノだったのだ。
そのためには、入門書や図案書などが必須となる。
今は「誰かのため」ではなく「自分のための手芸」となり、わからないコトは本を見るのではなく「人に聞く」コトのほうが、効率がよく何よりも楽しい。
「コミュニケーションツール」としての「手芸」が、人気になっているのだ。
図案書といっても、いくつかの作品を作れるようになれば、あとは自由にアレンジができるし、その自由さが「手芸」の楽しさでもあるのだ。

もちろん「下手な自分の手芸作品よりも、見栄えの良い既製品(それも、有名ブランド品)」という意識変化が大きいコトは言うまでもない。
そんな女性の意識変化に対応できなかったのが、今回の破綻だったのではないだろうか?
我が家の本棚にある「雄鶏社」の手芸本を見ながら、そんなことを考えてしまった。