日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

リノベーションか新築か

2013-03-18 19:40:17 | ライフスタイル
日曜日の昼間、FM番組を聞いていたら「最近は、新築マンションを買うより、リノベーションする方が増えている」という話があった。

現在の日本の空き家率(?)は13%ぐらい。
にも関わらず、毎週末のように新築マンションや戸建てのチラシが入ってくる。
「アベノミクス」以来、住宅関係のチラシが増えているような気がするのだが、だからと言って、急激に所得が増えている訳では無い。
消費税が上がる前に、住宅購入をして下さい!と言うコトなのだろうか?
ただ、既に空き家となっている住宅が13%程度あるという状況を考えると、既に「家余り状態」というのが、今の日本の住宅事情だとも考えられる。
そんな状況の中で、あえて「リノベーション住宅」を買い求める人達が増えている、と言うのが、私が聞いたFM番組の内容だった。

「リノベーション」人気の理由は・・・
1.中古住宅・中古マンションのため、価格が安く、若い世代や独身者、逆に高齢者が購入しやすい。
2.自分が住みたいような間取りができる。
と言う2点が主な理由として上げられると言う。
特に2の「自分が住みたいような間取り」というのは、これまでの住宅購入では余りなかった発想というコトになるようだ。
確かに、週末に入ってくるマンションや戸建てのチラシを見ると、既に間取りが決まっていてる。
この様な状況だと、購入する人の発想は「収納がどのくらい?」とか「使い勝手の善し悪し」が中心になり「自分が住みたい!」という「家」ではなく、何処か「妥協した家」になってしまうコトが多いそうだ。

それに比べ「リノベーションマンション」などは、マンションの1室という制約はあるが、「バスルームを一番眺めの良い場所する」とか「キッチンを真ん中にして、家族が集まりやすい様にしたい」という、「自分の住みたい家」を自分で作り上げるコトができる。
言い換えれば「自分のライフスタイル優先」で、比較的安価で「自分の住まい」を作るコトができる。

リノベーション専門の住宅販売会社などは、購入者と一緒に「住みたい家を作るコトができる物件」を探す、と言うところから顧客との接点を持つと言う。
もちろん、いくら「眺めの良い場所にバスルームを」と言う希望があっても、現実的でなければ、顧客が満足するような提案を繰り返し、一緒になって「自分の住まい」を作ると言うのが、基本だそうだ。
それだけでは無く、最近では専門家の意見を聞きながら、DIY感覚で自分でリノベーションする人もいると言う。

そのような話を聞きながら、「リノベーションの本当の魅力」は、「自分らしい住まい」というだけでは無く「専門家と一緒になって作る」という共同作業的な満足感もあるのでは?と言う気がした。

戦後、住宅メーカーが造る規格住宅や団地が基本となった間取りの集合住宅から、バブル期の頃から流行した?デザイナーズマンションと呼ばれる、個性的な物件が話題になったりした。
その様な流行の中で、どれだけ住みたい人の意見が反映されてきたのだろう?
そう考えると、住宅もやっと「住みたい人のライフスタイルにあわせる」という発想が、生まれてきたのかもしれない。  



日本の交渉力が試されるTPPと言う場

2013-03-17 16:05:03 | アラカルト
先週、安倍さんが正式に「TPPへの交渉参加」を発表した。
この報道を受け、農業だけでは無く医療など、参加するコトでデメリットがあるのでは?と、予想される産業分野の関係者が一斉に反発の声明を発表している。

農業については、先日エントリをしているのであえて書くコトはしないが、医療分野などはなかなかそのデメリットが伝わってきにくいと言う印象がある反面、違う視点で見る必要があるのかな?と言う気もしている。
と言うのも、TPP参加交渉に反対をしている人達の意見を読むと、一つのことに繋がっている様に感じるからだ。
その一つとは「国際社会における日本の交渉力の無さ」と言う点だ。

反対をしている人の意見の中で目立つのは「アメリカの言うなりになってしまう」という言葉が目立つ。
これまでよく言われてきた「対米腰砕け交渉」と、言い換えられるかも知れない。
その様な過去の経験から、「米国の言うなり」という発想が起きるのだろう。
言い換えれば、これまでの「日本の交渉力の無さ」が、この様な反対意見として出てきているのではないだろうか?

一方、新聞などで報道されている内容を見ると、米国だけの主張ではまとまるような無い様ではない、と言うコトもわかる。
時には米国であっても、自分の主張を引っ込めて他の参加国の意見を聞かなくてはこのTPPそのものが、ダメになってしまうと言うコトになる。

そう考えると、例えば医療の分野で問題になっている、「混合診療」などの「医療保険」の問題は、現在の米国の医療制度そのものが、国民にとって良い制度であるのか?と言う視点から、積極的に日本の「皆保険制度」の良さを交渉参加国に説明をし、制度導入を勧めると言う交渉方法もあるのでは?
それだけでは無く日本医師会などが積極的に米国の医師団体へ呼びかけたり、ネットという情報ツールを使い米国国民へ問いかける、と言う方法もあると思う。

もう一つ気になるコトがあった。
それは「TPP参加交渉」が報じられたとき、ある製造業の方が「安い海外の部品が輸入しやすくなる」と新聞のインタビューに答えていたコトだ。
この記事を読んで「この方は、日本の下請け業者の持っている技術の高さを理解していないし、日本の製造業を支えている人達のコトを何とも思っていない人なんだな~」と、感じたのだ。
言い換えれば「自分の企業が儲かれば良い」とも受け止められる発言のように思えたのだ。
感じ方は人それぞれなので、一概には言えないのだが私と同様の感じ方をした方もいらっしゃるのでは?
中には「安い部品で組み立てられた製品で、安全性は確保できるの?一定の品質管理は出来ていても、不安がある」と感じた方もいらっしゃるかも知れない。

企業にとっても「安い輸入部品が手に入る」という「モノづくり」の時代では無い、と言う認識を持つ必要があるのでは?
そして生活者の気持ちの変化を、もっと敏感に感じる必要があるのではないだろうか?

いずれにしても交渉ごとというのは、相手の言い分を受けるだけの場ではない。
自分たちの意見や考えを述べ、相手を納得させる場でもあるはずだ。
「日本の交渉力」が試されるのが、TPPと言う場なのではないだろうか?


TPPと農業

2013-03-15 11:03:35 | マーケティング
いよいよ本格的論議が始まろうとしている、TPPへの参加。
国内での争点となるのは、やはり農業分野というコトになるのだろう。

農林族と呼ばれる議員さんたちだけでは無く、多くの農家さんもTPPへの参加を拒否したいと考えているようだ。
その理由として上げられるのが「林業の様に、安い輸入品が入ってくると、日本の農業がダメになる」というコト。
確かに、林業の衰退の大きな要因の一つは、安価な輸入木材の影響があったと思う。
でもそれだけだろうか?

戦後の復興政策の一つとして、住宅事情の改善というものがあったと思う。
それが、今多くの人の悩みの種となっている「花粉症」の元となる、杉や檜の植林事業だった。
その植林事業が始まってからしばらく経つと、都市近郊にある建築物の集合体が登場する。
「団地」だ。
鉄筋コンクリートでつくられた集合住宅は、「団地族」という言葉を生み、東京では高島平団地、大阪では千里ニュータウンという、新しいまちを造るコトになっていく。
その後も、全国各地に「マンション」と呼ばれる鉄筋コンクリートで出来た、集合住宅が次々と誕生し、今では戸建て住宅よりもマンションの方が、住まいのカタチの基本形のようになってきている。

それだけでは無く、いわゆる「住宅メーカー」と呼ばれる企業が登場し、ニュータウンと呼ばれる新興住宅地には、住宅メーカーが造った規格の家が建ち並ぶ様になってきた。
余りにもお隣さんと造りが一緒なので、間違える人もいるのでは?と、言われた時代もあった。
その「住宅メーカー」の規格住宅を造る為に便利だったのが、輸入木材だったのではないだろうか?
住宅メーカーが造る家には、昔ながらの大黒柱も大きな梁もない。
言い換えれば、団地やマンション、住宅メーカなどの登場により、家の造りが変わってきたコトで、安い輸入木材へと需用が変わっていった、とも考えられるのではないだろうか。

そう考えると、今の農業の問題と過去の衰退した林業とを、同じように考え、単純に「TPPに参加すると安い輸入作物が入ってくるので、日本の農家がダメになる」と、言えるのだろうか?

もう一つ思い浮かぶのが、1993年の冷夏によるお米の不作の騒動だ。
この時は、緊急輸入としてタイのお米が輸入された。
もちろん、日本のお米よりも随分安価だったと記憶している。
にも関わらず、タイのお米はほとんど売れなかったのである。
言い換えれば価格では無く、お米そのものが当時多くの人に受け入れられなかった、と言うコトなのだ。
安い輸入農作物が入るコトで、一時期的にダメージを受けるかも知れない。
しかし、日本の生活者の食に対する志向は世界の中でも厳しいのでは?と感じている。
それは「食への安全性」という点も含め、相当厳しい基準を生活者一人ひとりが持っている様に感じるのだ。

その中で鍛えられてきたのが、日本の農業なのではないだろうか?
問題とすべきは、生活者に鍛えられた農家の高齢化や構造的な市場流通なのでは?
「林業の衰退=農業も同じ」だと考える前に、林業の衰退を招いた社会的背景などの問題点を洗い出していくコトで、農業の未来像が見つかるような気がするのだ。



データの見方とメディア

2013-03-14 12:43:02 | ビジネス
「iPadが首位陥落」と言う内容の記事が、新聞に掲載されている。
数字で見ると、確かにタブレット端末の出荷の数字上は、iPadよりもAndroid搭載機の方が上回っている。

数字上で見る限り、このデータは正しいと言うコトになる。
がしかし、考え無くてはならないのはiPadは、Apple1社。
それ以外のタブレット端末が、Android搭載機というコトになる。
この様な数字のマジックは、iPhone対Android搭載機の時にも起きる。

数字上で見る限り、iPadは人気薄になり、代わりにAndroid搭載機が人気になっている、と言う印象を受けるのだが、圧倒的にAndroid搭載機が多いコトを加味すれば、一概にそう判断するコトは難しい、と言うコトがわかる。
何故なら機種別で見れば、相変わらずiPadは、全体の40%以上を占める人気機種だからだ。

他にも昨日「オヤ?」と思う、データがあった。
朝日新聞に掲載されていた防災意識の調査だ。
朝日新聞「防災意識、太平洋側高め 大地震予測と一致」
「東日本大震災」が起きる前から、太平洋側では「東南海大地震」の可能性が長い間指摘されてきた。
メディアで何度も指摘される、我が町に起きるかも知れない大地震に対して、何もせずにいる、と言う人は余りないのではないだろうか?
その様な指摘がされていない日本海側に住んでいる人達にとって、「自分が住んでいる地域に地震が起きる」という可能性が、指摘されない限り興味関心が持てない、と言うのもまた、人の心理なのだと思う。

その様な点を踏まえてこのデータを見ると、余りにも当然過ぎる結果だと言う気がする。
むしろ大切なコトは、防災意識が高くない地域に対する防災意識を如何に高めるのか?と言う点なのではないだろうか?
もう少し違う角度から見ると、日本海側にある原発地域の人達を中心とした具体的防災対策と言うよりも避難対策や万が一の時の対応策が提示されているのか?と言う点の指摘の方がもっと大切なのではないだろうか?
と言うのも、現在稼働していないからと言って「フクシマ事故」のようなことが起きない、と言う確約はない。

「数字のマジック」と言うのは、マーケティングをしていると気をつけなくてはならないポイントだが、情報を提供するメディア側も少し考えて欲しいと思う。
社会に対するメディアの影響は、とても大きいのだから。


マネジメントについて考える

2013-03-13 13:12:58 | ビジネス
「もしドラ」が流行したのは、4年ほど前になるのだろうか?
ドラッカーの「マネジメント」を、高校野球部の女子マネージャーがよんだら?と言う内容で、「これなら、理解出来そうだ!」と、読まれた方も多かったのだろう。
確かにドラッカーのマネジメントを理解するのは、大変だ。
私なども、何度も何度も読み返しをするのだが、言葉としての理解は出来ても、その内容を深く掘り下げて理解できているのか?と言う点については、とても怪しい。
だからこそ「もしドラ」が、大ヒットしたのだと思う。

最近、気になるコトがあった。
それは「新規事業を始めたい」と言う方と、話をしている時だった。
新規事業を始めるのは、とても良いことだと思うのだが「事業目的は何ですか?」、「社会に対する事業の目的は?」と、伺うと「・・・???」というお答え。
「起業をするなら、一番大事なトコロでしょ?」と、重ねて聞くのだが、余りハッキリとした答えが出てこない。
これで起業をすると言うのだから、失敗するコトは目に見えている。

その後しばらく経ってから「部下は、上司の顔をうかがいながら仕事をする」という、話を聞いた。
「一体何時の時代の話だろう?」と思いながらいたのだが、どうやら今現在の話らしい。
そんな組織で、本当に事業が上手くいっているのだろうか?と、関係ないコトながら、心配をしてしまった。

ところで、自分が属している組織が、この様な「上司の顔色を伺いながら、仕事をする」という体質だったら、どうだろう?
私としては、「嫌」の一言しか思い浮かばない。
確かに「大きな組織の一駒として働いていて、人事考査が気になる」と言うのは、わかるのだが、それよりも問題なのは上司が「事業の社会的目的をハッキリと伝え・理解させるコトができない」という組織である、と言うコトの方が大きな問題なのだと思う。

違う言い方をすれば、「誰に対して事業をしているのか?」というコトが、全く判っていない組織が、単なる企業内の上下関係だけで、顔色をうかがいながら仕事をしている、と言うコトだと言えるのでは?
そんな組織体質が提供する商品やサービスを、誰が買いたいと思うのだろう?

「もしドラ」で最初の方に書かれていた(と思う)「事業の目的」が、あやふやな企業や組織にマネジメントができるのだろうか?
もっと違う言い方をすれば「事業目的に沿った成果」が、現れるのだろうか?
「アベノミクス」以前から、少しずつ感じられる様になった景気の回復傾向だが、生活者の厳しい企業の見方が変わる訳では無い。
むしろ回復傾向がほんの僅かだが現れ始めた今だからこそ、改めて「事業の社会的目的は何か?」という組織全体の共通認識とその認識の上にたった、企業活動が大切なのではないだろうか?





「中国産タマネギよりも国産タマネギが安い」=日本の農家が喜ぶ?

2013-03-12 17:48:16 | ビジネス
新聞社のWEBサイトを見ていたら、タイトルのようなコトを安倍さんが話している記事があった。
朝日新聞「タマネギ、中国より安い」 首相、アベノミクス自賛
何となく、違和感があるのは私だけだろうか?

安倍さん曰く「アベノミクスによって、円安に動きそれが中国産タマネギの価格を上げた」というコトになるようなのだが、本当にそうなのだろうか?
スーパーに買い物に行くとわかると思うのだが、今頃から4月上旬くらいまでは「新タマネギ」が市場に出てくる頃。
当然、「新タマネギ」ではないタマネギは安くなる。
昨日買い物に出かけたスーパーでも、新タマネギの方が10~15円/個高くなっていた。
安倍さんが見られたタマネギが、新タマネギだったかどうかは知らないが、タマネギそのものが安くなる時期がこの季節でもあるのだ。

もう一つは、農家の努力が報われているのか?と言う点。
一般消費者が買い物をする時、価格を決めるのは実はスーパーや小売店。
もちろん仕入れ価格+利益という設定で、販売価格は決められるのだが、もしかしたら農家からすれば、相当に買いたたかれた価格かも知れないし、イオンなどの大手スーパーが仕入れる「無差別一括購入」という方法で、仕入れられたのかも知れない。
言い換えれば、スーパーなどで付けられた価格が、農家に直接的に影響を与えているのか?と言うと、決してそうではない。

確かに「中国産タマネギが円安になったコトで、国内産タマネギよりも値段が高くなった」と言うコトはあるかも知れない。
でも、それだけで野菜の価格が決まる訳ではないし、農家の収入が増えると言う訳でもない。
「アベノミクスで、景気が上向きになっている」とはメディアのコトバだが、安倍さんご自身が、それに乗ってしまうのはどうなのだろう?

支援の発想が変わるコトも大切

2013-03-11 18:48:14 | アラカルト
未曾有の大災害となった「東日本大震災」から、今日で丸2年。
被災地の状況も、変わりつつある様だ。
もちろん、福島県の様に「原発事故」により復興どころか、被災状況が現在進行形と言う地域もある。

この2年、被災地に向け様々な動きがあった。
まず最初に起きたのは「募金・義捐金」、「物資の供給」などの活動だった。
被災した方々にとって、当座の生活費や日用品、衣類などが必要であるコトを考えれば、当然のコトだろう。

そしてその次は、被災者の方々が作った小物などの購入だったと思う。
まだまだ企業そのものが、稼働できない状態の中で避難状態から仮設住宅へと生活の場が変わり、少しずつ生活基盤を作り社会生活を取り戻す、と言うステップでの支援だったと思う。

おそらく、この2つのステップが被災1年目の状況だったのではないだろうか?
そして丸2年が経ち、その支援のあり方を私達非被災者も考え無くてはいけないな~と、感じたのが、Yahooの「復興デパートメント」を、見た時だった。

このサイト上のデパートを初めて見た頃と比べ、扱われる様になった商品が増えてきている。
それだけではなく、楽天などに出店している非被災地の企業の商品と、変わらない内容になりつつあるコトに気がついたからだ。
確かに「復興」という名前が付いてはいるが、取り扱われている商品そのものは、その土地土地の伝統や文化を反映していたり、企業が様々な工夫をしたりしている商品で、「被災地の商品だから・・・」と言う、何処か非被災地の私達が知らない間に持っている、同情を誘うような商品では無い。
十分に非被災地の企業と、対抗できるだけの特色有る商品を出している。

むしろ非被災地にいる私達の方が、何処か同情的な意識を持って商品を購入しようとするコトの方が、建て直そうを躍起になっている被災者の方々に対して失礼な気がしたのだ。
もちろん、被災地の経済は今でも弱く、小さな災害が起きればダメージも大きい。
まだまだ人手が足りず、ボランティアを必要としている地域もあるだろうが、同情的な感覚で被災地を訪れたり、被災地の商品を購入するコトのほうが、失礼なのでは?と、思うのだ。
商品を購入し、キチンと反応を示しより良いモノづくりができるような環境を作り出していくコトこそ、これからの被災地支援となるのではないだろうか?


「フクシマ事故」汚染地域を、エネルギー創出地域へ

2013-03-10 12:13:17 | ビジネス
明日は、東日本大震災が起きた日。
今でも多くの被災者が、ふるさとに帰ることができずにいる。

昨日の新聞には、被災地の内復興作業が進んでいる地域と進んでいない地域が顕著になりつつあるという、報道があった。
宮城県は随分と進んでいるようで、国が予定している「がれき処理完了」のスケジュールにほぼ近い状態のようだ。
一方、岩手県や福島県では、随分と遅れが目立つ。
特に福島県の場合、「フクシマ事故」による放射能洗浄という作業が、大幅な遅れを生んでいるようだ。
急勾配の山林の落ち葉を集める作業をしている写真を、ある新聞が写真入りで、紹介していた。

その写真を見て、落ち葉や間伐材などを素に「バイオエネルギー」を作り、それを東京電力を始めとする電力会社各社が買い取り、火力発電の一部として使う、と言う方法はできないのだろうか?と、考えたのだった。
例え、放射能に汚染されていても、作られたバイオエタノールやメタンガスには放射能は含まれない、と聞いたことがある。
放射能にさらされた落ち葉や間伐材を遠くに運ぶと、また受け入れ反対という事態が起きるコトを考えるなら、解除された「避難地域」内に「バイオマス・エネルギープラント」を造り、そこから液化して運ぶ、と言う方法だ。
もちろん「プラントそのもので電力を作り、それを電力会社が買い取る」と言う方法もあるだろう。
問題はその場合、東京電力が買い取るのではなく、東北電力が買い取る、と言うコトになってしまう点だ。

メタンガスそのものを発生させようとすると、その元となるモノが必要だが、現在福島県の漁業は「放射能検査の為に魚を捕る」という状況が続いている。
その検査用の魚を素にして、メタンガスを発生させれば良いのでは?
魚によるメタンガスは難しいとされているが、日本では既にその技術を持った企業があり、技術的な問題は、余りないはずなのだ。
前田建設「水産加工廃棄物のメタン発酵に関する研究(注意:pdfファイル)

それなら、遅々として進まないがれきの処理にも役立つだろうし、雇用も創出できるのではないだろうか?
何より、東京電力がそのバイオエネルギーを買い取るコトで、電力の最大消費地・東京から被災地へと経済の流れが変わる。
「都会が地方からエネルギーを買う」と言うコトだ。
そうなれば、疲弊して行くだけの地方も少しは活性化するのではないだろうか?
それが「原発の事故」によって二重被災者となった福島が、新しい「エネルギー創出地域」へと生まれ変われるチャンスだと思うのだ。

その「経営手腕」に似合うだけの報酬だったのかな?ソニー・ストリンガー氏の退任

2013-03-09 18:39:14 | ビジネス
朝日新聞が、ソニーのストリンガー氏の役員の退任を報じている。
「ソニーストリンガー元社長 ソニー役員退任へ」

ソニーと言えば、ここ数年主力であるはずのテレビ事業の不振により、大幅な赤字が続いている。
と同時にかつてのような「先進的・革新的」というイメージが無くなり、「ワクワクする」ような生活の中のエレクトロニクス商品を、生み出せなくなっているような印象がある。

ストリンガー氏がソニー初の外国人社長になった時、周囲の期待は「映像文化の中で活躍してきた人物が、どう映像機器を作る企業を建て直すのか?」というコトだった様に思う。
その背景にあったのは「ベータマックスの敗北」という、苦い経験があったからかも知れない。

ところが、ストリンガー氏が社長に就任して以来話題になったことと言えば・・・有機ELの開発・商品化と3Dテレビの発売くらいしか、思い浮かばない。
もちろん、他にもあったとは思うのだが・・・思い出せない。
そして、それらの商品が映像文化と結び付いて市場を活性化させるコトが出来たか?と言うと、「残念な結果」としか言いようが無い。
実際、家電量販店に行くと、昨年の今頃は大々的スペースを占めていた「3Dテレビ」に代わり、今年は「スマートテレビ」になっている。
その「スマートテレビ」も、お客さんの反応は、まだまだ「様子見」状態のようだ。

そんな状況の中でもストリンガー氏の社長時代の報酬は、年間8億だと報じられていた。
同じ外国人社長である日産のカルロス・ゴーン氏も、相当額の報酬を得ていたと記憶しているのだが、ゴーン氏の場合、不振に陥っていた日産を相当大胆に刷新し、回復させるコトができた、と言う印象を持っている。
社長という責において、その経営手腕を発揮し、それに似合うだけの報酬を得ている、と言う印象があるのだ。
それに対してストリンガー氏の報酬は、ご自身の働きに似合うだけのものだったのだろうか?
もちろん、自動車メーカーとテレビなどを中心としたエレクトロニクス企業とは、同じでは無いコトは理解している。

もしストリンガー氏に支払われていた報酬額の何分かの1でも、商品開発のために投資されていれば、ソニーはもっと違った状況になっていたかも知れない。
往々にして、社長やCEOと呼ばれる役員の報酬額は高額になる。
その理由は、企業を存続させるだけではなく発展させる責を負っているからだ。
安易なリストラ策で利益を生むのではなく、社会を豊かにさせるような企業責任を一身に背負うような覚悟を持って仕事をしなくてはならないのが、社長でありCEOなのでは?
決して高い報酬を得るのが、社長やCEOでは無いと思う。

雑誌「ソコトコ」が発信したエネルギー問題

2013-03-08 15:56:46 | アラカルト
一時期、やたらとみることがあった「LOHAS」というコトバ。
今ではすっかり忘れ去れたのか?、定着したのか?と言う感じだろうか。
その「LOHAS」をテーマにした雑誌「ソコトコ」の4月号を見て、どんな変化がおきるだろうか?と、少し期待をしている。
「ソコトコ 4月号 みんなのエネルギー入門」

「エネルギー問題を、お勉強をしよう」という特集だ。
この特集を読んでみると、地方では様々な「創エネ」事業を始めようとしているコトがわかる。
特集でも取り上げられている岩手内陸部の村では、風力発電だけで村民が1年に使う電力以上の電力を発電し、東北電力に売電している。
それだけでも大変なコトだと思うのだが、酪農地域というコトもあり牛からの排泄物などを基にメタンガスを利用した発電などにも取り組んでいる。
その村では、村民の生ゴミも利用してより多くのメタンガスを発生させ、電力としてまかないたい、と言う考えがあるようだ。

風力発電の装置と言っても、おなじみのプロペラ型だけでは無く様々な形状の風力発電システムがある。
と言うコトは、何も「低周波による健康被害」が問題視されているプロペラ型では無く、それぞれの地域にあった形状の風力発電システムを選べば良いと言うコトだ。

もう一つ感じたコトは、「都会は地方から電力を買い続けなくてはならない」と言うコトだ。
地方にはバイオマスエネルギーの原料となるモノが、沢山ある。
プラントを作る場所もある。
都会にあるとすれば、食品廃棄物だろうか?それとも下水処理システムを変えたメタンガスによる発電だろうか?
臭気対策などを万全にしても、おそらく都会で発電プラントを造ろうとすれば、周辺住民からの反対で無理だと思う。

「ソコトコ」という雑誌そのものは、一般誌よりも読者数は少ないと思う。
ただこの様な雑誌によって、それまで興味が無かった人や自治体が「オヤ!」とか「アレ?」と感じるコトで、小さく財政的に厳しい自治体などでは、取り上げられた岩手の村のような取り組みを始めるかも知れない。
むしろ、その様な動きがあるコトを期待したい。
最初は小さな動きであっても、それが大きな波へと変化し始めたとき、既存の電力会社はどのようなコトを考えるのだろう?
それだけではなく政府は、どのような対応を迫られるのだろう?

そう考えると、さほど注目をされないエコ雑誌が投げかけた「エネルギー問題」は、現実的で社会を変えるきっかけになるかも知れない。