■F-15Jの偵察機化
現在航空自衛隊では27機のRF-4偵察機を百里基地において運用している。これが戦闘機のF-4を偵察機化したもので、高い航空機動能力に加え、高度な夜間偵察能力を有するものの、耐用年数が迫るにつれ、その後継機が必要となっている。
こうした中で、その最も有力な提案として提示され、決定されたのが航空自衛隊の主力要撃機であるF-15J要撃機を改修する案が挙げられている。特に、F-15Jの初期の機体は段階改修計画(MSIP)不対応の機体があり、将来的にはその要撃能力が大きく陳腐化する可能性が指摘されており、12~14機程度を偵察機と改修するものとみられている。
こうしたF-15の偵察機化計画は米空軍でも検討されており、実際、1987年には試験飛行が実施されたものの、費用対効果や偵察衛星の面、また戦術偵察に関する運用思想の転換から実現には至らなかった。
航空自衛隊が使用する“RF-15J”は、赤外線偵察ポッドや合成開口レーダーを外装式搭載し、電子戦器材の一部も近代化されるものとみられている。
■グローバルホーク
航空自衛隊が現在保有しているRF-4は、戦術的運用を主眼とする偵察機であり、例えば近隣諸国の弾道ミサイル基地や広域海洋哨戒任務として運用するには能力に限界があり、この点、航続距離が大きく延伸した後継となるRF-15Jにしてもその能力は充分なものとは言い難く、戦略的偵察能力への需要が国際環境の変化に伴い上昇している。
結果、日本政府は国産による大型無人偵察機の開発を進展させると共に、米空軍において実戦運用され既に実績のあるテレダインライアン社製のグローバルホーク無人偵察機の導入が検討された。
国産案と比較し、結果的に報道によればグローバルホークの導入が内定するに至ったが、国産案はかつて米国から空対空ミサイルを導入しようとした際に法外とも言うべき価格を提示され、急遽国産ミサイルを開発したという事例があり、この国産案もこうした“外交”的提示のようにも思えるが、何となれ、合成開口レーダーや画像方式の監視装置に加え、衛星通信機能を介したリアルタイムでのデータ送信能力や、従来の携帯対空火器の射程外である20000㍍の高空を巡航し、加えて人的損耗の考慮を必要としない機体の導入は、日本の戦域間乃至戦略偵察能力向上に大きな躍進へと進む事が期待される。
■無人偵察機をどこに配備させるか
さて、グローバルホークが実戦配備されるとして、どこの基地に配備されるかが重要となってくるように小生は思える
全長13.53㍍、全幅35.42㍍、重量は11.61㌧に達し、巡航速度は640km/hに達する。また、滞空時間は42時間に達する為、言い方を代えれば如何なる大型巡航ミサイルよりも大型である。こうした機体は、無論その実績から見て性能上危惧する点はほぼ無いのだが、無人機というものが今日の航空法上如何なる位置付けとなるのか、また数値よりも感情に動かされる日本政治を考える限り、特に自治体としては受け入れることは困難な面が大きいといえよう。基地反対闘争のあった百里基地であるから、グローバルホークの百里基地配備に関しては懐疑的な部分が無いわけではない。また、周辺に人口密集地を抱える航空基地では“無人”という観点から反対がなされる可能性も否定できない。目下、人口密集地を避ける配置となる航空基地は、硫黄島のような離着陸施設のみのものを除けば、建設が計画されている普天間基地代替の辺野古飛行場くらいしか思いつかない。
日本周辺の政治情勢の変化は航空自衛隊へ、戦略偵察能力の保有を要求するものへと変化しつつあるが、対して最も現実的且つ効果的な無人偵察機に関して、全く日本航空史上無かった種類のもの(標的機を除けば)が導入される事であり、将来的に自治体や住民との摩擦が考えられる。何故、この種の航空機が必要なのか、また、米空軍が運用したU-2やSR-71のような有人機では代替出来ないのか、などを懇切丁寧に説明し、相互理解を図る必要が生じよう。
HARUNA