北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

護衛艦しらね除籍廃艦に反対 除籍護衛艦のCIC利用案

2008-01-07 01:40:02 | 防衛・安全保障

■しらね修繕の最善案:来春除籍の艦から移設

 二年間で200億円の費用が必要と見積もられている護衛艦「しらね」。残りの現役期間が五年ということで、費用対効果の面から除籍廃艦の方向にて進んでいるとのこと。要点は費用対効果、この一点である。

Img_1089  護衛艦「しらね」はCICこそ、火災により全損しているが、機関部やレーダーなどの装備は基本的に損害が無く、指摘される問題点としては、上部構造物が長時間の火災により変形している可能性である。システム中枢艦であることから、CICの全損が大きく響いている。ここで、現実的に短期間と最小限の修繕で現役に戻ることが出来れば、除籍以外の道が開けることとなる。

Img_5729  2008年3月には、写真の「あたご」型ミサイル護衛艦、その二番艦「あしがら」が就役する。「しらね」再生の最も現実的な案としては、「あしがら」就役によって代替され、除籍される予定の護衛艦からCICの施設を移植することである。もちろん、同型艦ではないので、スムーズに行かない可能性もあり、この点調整は必要であろう。しかし、新しくCICを部品の発注と共に再生するよりは、移築の方が現実的に最小限度の予算と期間で実現できる。

Img_0999  ミサイル護衛艦「あさかぜ」。「たちかぜ」型護衛艦の二番艦であり、「しらね」就役の前年にあたる1979年に就役、満載排水量5200㌧で、佐世保基地の第64護衛隊に配備されている。CICは都合の良いことに「しらね」と同じく艦橋のある上部構造物に設置されている。CICに限って示せば端末部分などは、流用が利く可能性がある。これならば、除籍後に横浜に回航し、上部構造物から端末を移設することも可能ではないか。

Img_1446  「しらね」修理の二年と200億円ともいわれる見積は、明らかにCIC部分の規格に合うものを新造し、場合によっては再度設計図を引く点で費用及び時間が掛かるものと考えられる。ミサイル護衛艦のCICだけに、多少の相違があっても、交戦距離の関係から通常の護衛艦よりも広域の任務対応を想定しているわけであり、「あさかぜ」から「しらね」へ、というのは現実的に検討されてしかるべきである。恐らく、艦艇の開発などの期間を参考にすると、一年程度、三分の一程度の費用で修理できるのではないか。

Img_1172  「しらね」を早期に除籍しても、5インチ砲や取り替えたばかりのシースパローランチャーなどは流用が難しく、加えて費用対効果では急ぎ、「ひゅうが」型を増産するという選択肢は考えにくい。2009年3月の「はるな」の除籍を待ってCICの移植、というのは、乗員の訓練という面からマイナス面が多く、難しい。この点、「あさかぜ」からのCIC移植は、残り五年という「しらね」の運用計画から鑑みれば、是非とも行う手法であるように思う。

 慣行に従う中では、費用対効果では最善の案である。

HARUNA

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コメント (3)
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