■戦後初の航空母艦建造を示唆
多次元横断防衛構想、クロスドメイン防衛構想という新しい防衛構想が自民党部内で検討され、その実現へ多用途運用母艦の導入を政府に提言しました。
多用途運用母艦導入を検討、NHKが25日付で報じました。これは自民党部内から提言案として政府に示されたもので、自民党防衛庁長官経験者や防衛大臣経験者が中心にまとめたもので、本年内にも示される防衛政策の長期計画“防衛計画の大綱”改訂に併せ、特に中国が過去30年間で51倍の国防費増額を背景に防衛力強化の政策提案を行ったものです。
日本の防衛力が中国軍拡において抑止力を維持できるよう期す、これは前述の通り中国の国防費が過去30年間で51倍まで拡大していると共に、中国海軍の進める国産空母開発や新型原子力潜水艦の日本近海での活動、我が国南西諸島への軍事圧力の増大、その背景にフィリピンから南西諸島までを第一列島線と定め自国勢力圏化を目指す行動に備えるもの。
航空母艦の役割を担う多用途運用母艦、報告書では護衛艦いずも型と同程度に収めるのか、イギリス海軍のクイーンエリザベス級空母規模の大型艦とするか、ニミッツ級超大型艦まで含むか、どの程度の規模の艦艇を整備するかについては言及していませんが、用途として南西諸島等における防空任務や災害時救援活動の航空拠点としての運用を示しています。
F-35B戦闘機を導入する、同じく25日付産経新聞報道では自民党提言案に垂直離着陸が可能であり、アメリカ海軍が空母よりも小型の強襲揚陸艦において運用している機種の導入を提案しています。ただ、多用途運用母艦導入と並べ提示された案であり、必ずしもF-35Bを戦闘機や固定翼艦上哨戒機等艦載機として運用する艦を構想すると明示されていません。
防空任務や災害時救援活動の航空拠点、という明示ですので例えばF/A-18E戦闘攻撃機等を含むより広範囲の防空任務や航空打撃戦に対応する、より大型の艦という選択肢もあり得るかもしれません。一方、現在日本には艦載機としてそのまま運用可能である戦闘機は運用されておらず、F-4EJでさえ空軍型のE型、自然に考えF-35Bを想定するのでしょう。
GDP比2%明記、自民党提言案では多用途運用母艦やF-35B導入の提言に併せ、NATO北大西洋条約機構が国防費の支出について2%を目安として加盟国に防衛努力義務を課している点を参考に、現在はGDP1%枠として防衛費に上限を自主規制する状況から、防衛努力を確たる水準まで引き上げ、多用途運用母艦やF-35B導入の取得に現実性を付与している。
F-35A戦闘機42機の取得が開始された一方、AAV-7水陸両用車やイージスアショアミサイル防衛システムにMV-22可動翼機といった高額装備の取得が同時並行で進み、しかし、老朽化し除籍が進むAH-1S対戦車ヘリコプター後継のAH-64D戦闘ヘリコプター取得停滞、即応機動連隊新編のみ進み必要な96式装輪装甲車総数の絶対的不足、予算難が顕著です。
新たな脅威の顕在化、として南西諸島への軍事圧力増大と北朝鮮核ミサイル脅威、更に米ロ対立を契機とする北方軍事圧力の再顕在化という、脅威の多極化と従来型脅威の再来という中で、現在の抑止力を継続的に維持するには限界があり、特にGDP1%枠制定当時は日本の経済力が圧倒的であり、1%でも充分な抑止力を構築出来たとの背景があるでしょう。
多次元横断防衛構想、クロスドメイン防衛構想という新しい防衛構想を現在の統合機動防衛力に加えて、上記産経新聞報道では陸海空の一体運用と同時に従来の専守防衛に必ずしも縛られない策源地攻撃能力の整備等も自民党提言案には記されているとのこと。ただ、多用途運用母艦については空母という表現を慎重に避けたといい、骨子としての専守防衛は維持されるようです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
多次元横断防衛構想、クロスドメイン防衛構想という新しい防衛構想が自民党部内で検討され、その実現へ多用途運用母艦の導入を政府に提言しました。
多用途運用母艦導入を検討、NHKが25日付で報じました。これは自民党部内から提言案として政府に示されたもので、自民党防衛庁長官経験者や防衛大臣経験者が中心にまとめたもので、本年内にも示される防衛政策の長期計画“防衛計画の大綱”改訂に併せ、特に中国が過去30年間で51倍の国防費増額を背景に防衛力強化の政策提案を行ったものです。
日本の防衛力が中国軍拡において抑止力を維持できるよう期す、これは前述の通り中国の国防費が過去30年間で51倍まで拡大していると共に、中国海軍の進める国産空母開発や新型原子力潜水艦の日本近海での活動、我が国南西諸島への軍事圧力の増大、その背景にフィリピンから南西諸島までを第一列島線と定め自国勢力圏化を目指す行動に備えるもの。
航空母艦の役割を担う多用途運用母艦、報告書では護衛艦いずも型と同程度に収めるのか、イギリス海軍のクイーンエリザベス級空母規模の大型艦とするか、ニミッツ級超大型艦まで含むか、どの程度の規模の艦艇を整備するかについては言及していませんが、用途として南西諸島等における防空任務や災害時救援活動の航空拠点としての運用を示しています。
F-35B戦闘機を導入する、同じく25日付産経新聞報道では自民党提言案に垂直離着陸が可能であり、アメリカ海軍が空母よりも小型の強襲揚陸艦において運用している機種の導入を提案しています。ただ、多用途運用母艦導入と並べ提示された案であり、必ずしもF-35Bを戦闘機や固定翼艦上哨戒機等艦載機として運用する艦を構想すると明示されていません。
防空任務や災害時救援活動の航空拠点、という明示ですので例えばF/A-18E戦闘攻撃機等を含むより広範囲の防空任務や航空打撃戦に対応する、より大型の艦という選択肢もあり得るかもしれません。一方、現在日本には艦載機としてそのまま運用可能である戦闘機は運用されておらず、F-4EJでさえ空軍型のE型、自然に考えF-35Bを想定するのでしょう。
GDP比2%明記、自民党提言案では多用途運用母艦やF-35B導入の提言に併せ、NATO北大西洋条約機構が国防費の支出について2%を目安として加盟国に防衛努力義務を課している点を参考に、現在はGDP1%枠として防衛費に上限を自主規制する状況から、防衛努力を確たる水準まで引き上げ、多用途運用母艦やF-35B導入の取得に現実性を付与している。
F-35A戦闘機42機の取得が開始された一方、AAV-7水陸両用車やイージスアショアミサイル防衛システムにMV-22可動翼機といった高額装備の取得が同時並行で進み、しかし、老朽化し除籍が進むAH-1S対戦車ヘリコプター後継のAH-64D戦闘ヘリコプター取得停滞、即応機動連隊新編のみ進み必要な96式装輪装甲車総数の絶対的不足、予算難が顕著です。
新たな脅威の顕在化、として南西諸島への軍事圧力増大と北朝鮮核ミサイル脅威、更に米ロ対立を契機とする北方軍事圧力の再顕在化という、脅威の多極化と従来型脅威の再来という中で、現在の抑止力を継続的に維持するには限界があり、特にGDP1%枠制定当時は日本の経済力が圧倒的であり、1%でも充分な抑止力を構築出来たとの背景があるでしょう。
多次元横断防衛構想、クロスドメイン防衛構想という新しい防衛構想を現在の統合機動防衛力に加えて、上記産経新聞報道では陸海空の一体運用と同時に従来の専守防衛に必ずしも縛られない策源地攻撃能力の整備等も自民党提言案には記されているとのこと。ただ、多用途運用母艦については空母という表現を慎重に避けたといい、骨子としての専守防衛は維持されるようです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)