■19式装輪自走榴弾砲が公開
火力戦闘車として開発が進められた19式装輪自走榴弾砲、将来特科火砲として陸上自衛隊が開発を進める最新装備が初公開されました。
富士総合火力演習教導団予行、毎年恒例の富士総合火力演習に最新鋭装備火力戦闘車が登場しました。19式装輪自走155mmりゅう弾砲、火力戦闘車は制式名称としてこのように命名されました。19式装輪自走榴弾砲、一般にはこう定着してゆくのでしょう。19式装輪自走155mmりゅう弾砲/火力戦闘車、装備実験隊へ納入され現在評価試験中の新装備だ。
東富士演習場、富士総合火力演習教導団予行は昨日18日に挙行され、当初予報は曇りのち小雨の予報でした。しかし昼前までは完全に外れ晴天に暑い中小雨をという聲が各所で響き渡る後に、後段演習終了五分前に突如規格外の豪雨が、ゲリラ豪雨というには二時間程、かなりの雨量が降り注ぎ演習場は池沼のように浸されました。そんな中で装備品展示です。
全長11.4m、全幅2.5m、全高3.4m、重量約25t、装填装置はロボットアーム方式の自動装填補助装置を採用、これは砲基部に弾薬を運搬する事で砲への装填を自動化するものです。射程は未発表ですが原型の先進軽量砲は99式自走榴弾砲と主要部は共通設計で同型、性能も同等、通常榴弾では30km程度、現実的な数値で40km以遠という推測が成り立ちます。
19式装輪自走155mmりゅう弾砲/火力戦闘車、陸上自衛隊が本土特科部隊近代化の柱として導入したFH-70榴弾砲の後継装備として開発したもので、長大な52口径155mm榴弾砲を車載装備したもの。52口径とは155mmの52倍という長砲身、参考までにFH-70は39口径です。砲身が長ければ燃焼効率が高まり、結果、砲身鋳造技術と共に射程が伸びる。
FH-70は479門が配備された欧州共同開発の火砲で半自動装填装置の採用や自走装置の採用と当時としては長砲身たる39口径の採用等か画期的な火砲でした。陸上自衛隊は自動装填装置を備えたスウェーデン製FH-77,米陸軍正式採用で牽引専用の軽量なM-198,そしてFH-70を評価した結果、FH-77は大き過ぎM-198は性能不足としてFH-70を選定します。
牽引砲から自走榴弾砲へ。この背景には52口径砲の時代到来があります。世界は39口径砲の後継に南アフリカのG6榴弾砲等一部が45口径を研究した後により長砲身を期して52口径に収斂するのですが、52口径砲は長砲身である為、トラックでの牽引は全長が大きく成り過ぎ、その運用は非現実的となってゆきました。そこでガンポーティ方式に注目が。
MAN社製HX-44M、HX-77が原型とも言われるのですがドイツ製車両です。アフガニスタンでの戦訓から装甲キャビン等が豊富に開発されており、陸上自衛隊の主要車輌にドイツ製部品が採用された事は意外ですが、MAN-HX-77全長は10.3mで重装輪回収車11m、道路運送車両法車両限界は全長12m以下、砲身と駐鋤を加えると重装輪回収車は長すぎた。
カエサル軽自走榴弾砲、フランスがガンポーティ方式を活用し開発しました。元々ガンポーティとはイギリス軍が第二次大戦中の北アフリカ戦線で6ポンド砲をトラック荷台に車載し機動運用を行った簡易自走砲です。戦後は野砲の大型化と自走榴弾砲の開発により即製火砲を除き主流を退きましたが、牽引砲に収まらない52口径砲時代に再評価されました。
車体配置は操縦区画と共に砲手区画が砲座前に配置され射撃時には駐鋤の展開と同時に下車し、直接操砲を行う構造です。砲弾は砲手区画後部に装甲ハッチ内に格納される構造で効力射の数斉射分を車載、車載携行する基数全体は他に弾薬輸送車へ搭載するのでしょう。道路運送車両法では連節車は18mまで可能ですので、連節構造を採用する事も出来ました。
日本製鋼が開発した52口径砲は防衛装備庁の技術研究本部時代からの先進軽量砲、当初は日野製トラックに駐鋤と併せ砲架を組み合わせる方式を検討するも日野より射撃時の反動に従来車では懸架装置が耐用限界を超えるとして断念、重装輪回収車車体部を転用する前提で開発が進められるも、増加装甲や最大車長の関係からドイツ製車体が採用されている。
装備実験隊において評価試験中ですが令和元年度防衛予算では量産車7輌が要求され、富士教導団特科教導隊へも評価試験を待たずに配備が開始されます。将来的には西部方面特科連隊、中部方面特科連隊、東部方面特科連隊、東北方面特科連隊、順次新編される方面特科連隊に配備され、大隊ごとに地域配備師団/旅団や即応機動師団/旅団へ配備されます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
火力戦闘車として開発が進められた19式装輪自走榴弾砲、将来特科火砲として陸上自衛隊が開発を進める最新装備が初公開されました。
富士総合火力演習教導団予行、毎年恒例の富士総合火力演習に最新鋭装備火力戦闘車が登場しました。19式装輪自走155mmりゅう弾砲、火力戦闘車は制式名称としてこのように命名されました。19式装輪自走榴弾砲、一般にはこう定着してゆくのでしょう。19式装輪自走155mmりゅう弾砲/火力戦闘車、装備実験隊へ納入され現在評価試験中の新装備だ。
東富士演習場、富士総合火力演習教導団予行は昨日18日に挙行され、当初予報は曇りのち小雨の予報でした。しかし昼前までは完全に外れ晴天に暑い中小雨をという聲が各所で響き渡る後に、後段演習終了五分前に突如規格外の豪雨が、ゲリラ豪雨というには二時間程、かなりの雨量が降り注ぎ演習場は池沼のように浸されました。そんな中で装備品展示です。
全長11.4m、全幅2.5m、全高3.4m、重量約25t、装填装置はロボットアーム方式の自動装填補助装置を採用、これは砲基部に弾薬を運搬する事で砲への装填を自動化するものです。射程は未発表ですが原型の先進軽量砲は99式自走榴弾砲と主要部は共通設計で同型、性能も同等、通常榴弾では30km程度、現実的な数値で40km以遠という推測が成り立ちます。
19式装輪自走155mmりゅう弾砲/火力戦闘車、陸上自衛隊が本土特科部隊近代化の柱として導入したFH-70榴弾砲の後継装備として開発したもので、長大な52口径155mm榴弾砲を車載装備したもの。52口径とは155mmの52倍という長砲身、参考までにFH-70は39口径です。砲身が長ければ燃焼効率が高まり、結果、砲身鋳造技術と共に射程が伸びる。
FH-70は479門が配備された欧州共同開発の火砲で半自動装填装置の採用や自走装置の採用と当時としては長砲身たる39口径の採用等か画期的な火砲でした。陸上自衛隊は自動装填装置を備えたスウェーデン製FH-77,米陸軍正式採用で牽引専用の軽量なM-198,そしてFH-70を評価した結果、FH-77は大き過ぎM-198は性能不足としてFH-70を選定します。
牽引砲から自走榴弾砲へ。この背景には52口径砲の時代到来があります。世界は39口径砲の後継に南アフリカのG6榴弾砲等一部が45口径を研究した後により長砲身を期して52口径に収斂するのですが、52口径砲は長砲身である為、トラックでの牽引は全長が大きく成り過ぎ、その運用は非現実的となってゆきました。そこでガンポーティ方式に注目が。
MAN社製HX-44M、HX-77が原型とも言われるのですがドイツ製車両です。アフガニスタンでの戦訓から装甲キャビン等が豊富に開発されており、陸上自衛隊の主要車輌にドイツ製部品が採用された事は意外ですが、MAN-HX-77全長は10.3mで重装輪回収車11m、道路運送車両法車両限界は全長12m以下、砲身と駐鋤を加えると重装輪回収車は長すぎた。
カエサル軽自走榴弾砲、フランスがガンポーティ方式を活用し開発しました。元々ガンポーティとはイギリス軍が第二次大戦中の北アフリカ戦線で6ポンド砲をトラック荷台に車載し機動運用を行った簡易自走砲です。戦後は野砲の大型化と自走榴弾砲の開発により即製火砲を除き主流を退きましたが、牽引砲に収まらない52口径砲時代に再評価されました。
車体配置は操縦区画と共に砲手区画が砲座前に配置され射撃時には駐鋤の展開と同時に下車し、直接操砲を行う構造です。砲弾は砲手区画後部に装甲ハッチ内に格納される構造で効力射の数斉射分を車載、車載携行する基数全体は他に弾薬輸送車へ搭載するのでしょう。道路運送車両法では連節車は18mまで可能ですので、連節構造を採用する事も出来ました。
日本製鋼が開発した52口径砲は防衛装備庁の技術研究本部時代からの先進軽量砲、当初は日野製トラックに駐鋤と併せ砲架を組み合わせる方式を検討するも日野より射撃時の反動に従来車では懸架装置が耐用限界を超えるとして断念、重装輪回収車車体部を転用する前提で開発が進められるも、増加装甲や最大車長の関係からドイツ製車体が採用されている。
装備実験隊において評価試験中ですが令和元年度防衛予算では量産車7輌が要求され、富士教導団特科教導隊へも評価試験を待たずに配備が開始されます。将来的には西部方面特科連隊、中部方面特科連隊、東部方面特科連隊、東北方面特科連隊、順次新編される方面特科連隊に配備され、大隊ごとに地域配備師団/旅団や即応機動師団/旅団へ配備されます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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