■BTR-60派生型の機動砲型か?
自衛隊の同系統の車両にて代替しますが、10月10日の夜間に北朝鮮が大規模な軍事パレードを実施しました、その際に注目すべき幾つかの装備が初公開されています。
ストライカーMGSに酷似した車両が北朝鮮により量産され10.10朝鮮労働党記念日軍事パレードに参加している。こんなお話しをお寄せいただきました。丁度当方は曼殊院門跡でも散策するべく準備していたところですが、朝鮮中央通信が大量の軍事パレード写真を開示しており、確かに多数のロケット兵器や新型戦車と共にそうした車両がありました。
陸上自衛隊の軽装甲機動車に酷似した装備も指揮官車として登場、フランスのVBLやロシアのティーガー等とは違ってボンネット形状や扉の形状、後部ハッチの位置まで類似というよりはそのまま、という装備の登場に、なるほど、遂に日本製の装備品も模倣される水準になったのか、ようやく軽装甲機動車が模倣された、少し感慨深いものはありましたが。
北朝鮮の新型兵器はストライカーMGSのような新型装備を開発し得るのか。ストライカーMGSとはM-1128ストライカー機動砲でありM-68/105mm戦車砲と自動装填装置を一体化させたものをストライカー装輪装甲車に搭載、毎分6発から10発程度の自動装填による射撃が可能でありM-900徹甲弾を用いた場合、2000m以遠でT-72戦車を撃破可能です。
M-68戦車砲の原型はロイヤルオーディナンスL-7戦車砲であり、これは陸上自衛隊74式戦車の主砲としても知られるものです。ただ、北朝鮮軍事パレードは朝鮮中央通信以外本年は北朝鮮がCOVID-19対策により外国人記者は勿論政府使節を含め入国を禁止している事から、鮮明ではあるものの拡大難しい朝鮮中央通信の公開画像の他、画像がありません。
北朝鮮の新型装甲車、ストライカーMGSとは異なる形状だな、と感じたのは車長が敬礼する様子からみてとれました、操縦手の隣に立って敬礼しているのですね。ストライカーはじめ原型のスイス製LAVはフロントエンジン方式を採用し操縦手の隣はエンジンです、従って此処に車長用ハッチを置く事はできないのですね。すると何か原型車があるのですが。
BTR-60装甲車かBTR-80装甲車、北朝鮮はこの改良型としてM-2010、これは北朝鮮が型式名を公開しない為に便宜的にアメリカ国防総省が冠したコードですが、BTRシリーズを国産化しています。恐らくストライカーをコピーしたのではなくソ連製RTRシリーズの車体に増加装甲を配置し、ストライカーと共通するような形状に成形したものでは、と。
D-30/122mm砲に似ている。北朝鮮の新型装甲車、車体が車長のハッチ位置からBTR系統の車両であると推測したならば、では車体上に設置されている砲は何なのか、という事になります。画質が悪い為に見えにくいのですが、自動装填装置を備えているようにもみえれば、砲手を護る防盾にも見える、しかし大きな照準装置が確認できません。すると何か。
ソ連製D-30榴弾砲に良く似ている、122mm野砲です。野砲ですので射程も15.4kmと長い。砲身上部の形状がD-30榴弾砲の駐退機と共通しているのですね、そして砲口制退器の形状ともにている、ただ、砲身の中部に排煙器のようなものが確認できまして、ここがD-30とは違います。しかし、D-30系列では中国のPLZ-89/89式自走榴弾砲が排煙器を追加しており、その系譜だとはいえます。
装輪自走榴弾砲ではないのか。北朝鮮のストライカーMGSに似た新型車両はBTR系統の装輪装甲車にD-30榴弾砲を搭載した装輪自走榴弾砲ではないか、と考えます。自動装填装置のような無理な機構は有さず、恐らく車内に弾薬庫と砲員区画を有している、こう考えると車体後部が一段下がっているのが確認でき、BTRの戦闘室の上に砲を載せたかたち。こうしてみてみるとBTR-60の特徴である側面乗降扉も確認できる。
自衛隊の16式機動戦闘車と比較した場合はどうか。発想としては96式装輪装甲車に60式自走無反動砲のように106mm無反動砲を搭載したもの、という発想ですので、恐らく対装甲戦闘は想定していません。実はこのBTR-60に様々な装備を載せる発想は、キューバ軍が古くから実施しており、PT-76軽戦車の砲塔や23mm双連機関砲搭載型があります、この流れといえましょう。
装輪装甲車に搭載する意味とは、どういったものでしょうか。砲兵火力としては勿論、更に前線での直接照準による火力支援を視野とした車両ではないか。122mm砲は対戦車砲としても運用される野砲です。分離式弾薬を採用し、発射速度は毎分10発程度ではあるのですが、122mm砲弾は命中さえするならば韓国軍のK-1戦車に対してもある程度有効です。
ストライカーMGSそっくりの装備品、その開発の目的はどういったものが考えられるのでしょうか。もっとも考えられるのは現在の在韓米軍主力の第2歩兵師団が事実上ストライカー旅団戦闘団一個だけです、ストライカー装甲車へ対抗手段誇示が目的として考えられます。この種の装備は火器管制装置が重要なのですが、その命中精度は別とすれば、口径と射程は、野砲ですから長く、アメリカの砲よりも強力だ、と政治的な誇示は出来るでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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自衛隊の同系統の車両にて代替しますが、10月10日の夜間に北朝鮮が大規模な軍事パレードを実施しました、その際に注目すべき幾つかの装備が初公開されています。
ストライカーMGSに酷似した車両が北朝鮮により量産され10.10朝鮮労働党記念日軍事パレードに参加している。こんなお話しをお寄せいただきました。丁度当方は曼殊院門跡でも散策するべく準備していたところですが、朝鮮中央通信が大量の軍事パレード写真を開示しており、確かに多数のロケット兵器や新型戦車と共にそうした車両がありました。
陸上自衛隊の軽装甲機動車に酷似した装備も指揮官車として登場、フランスのVBLやロシアのティーガー等とは違ってボンネット形状や扉の形状、後部ハッチの位置まで類似というよりはそのまま、という装備の登場に、なるほど、遂に日本製の装備品も模倣される水準になったのか、ようやく軽装甲機動車が模倣された、少し感慨深いものはありましたが。
北朝鮮の新型兵器はストライカーMGSのような新型装備を開発し得るのか。ストライカーMGSとはM-1128ストライカー機動砲でありM-68/105mm戦車砲と自動装填装置を一体化させたものをストライカー装輪装甲車に搭載、毎分6発から10発程度の自動装填による射撃が可能でありM-900徹甲弾を用いた場合、2000m以遠でT-72戦車を撃破可能です。
M-68戦車砲の原型はロイヤルオーディナンスL-7戦車砲であり、これは陸上自衛隊74式戦車の主砲としても知られるものです。ただ、北朝鮮軍事パレードは朝鮮中央通信以外本年は北朝鮮がCOVID-19対策により外国人記者は勿論政府使節を含め入国を禁止している事から、鮮明ではあるものの拡大難しい朝鮮中央通信の公開画像の他、画像がありません。
北朝鮮の新型装甲車、ストライカーMGSとは異なる形状だな、と感じたのは車長が敬礼する様子からみてとれました、操縦手の隣に立って敬礼しているのですね。ストライカーはじめ原型のスイス製LAVはフロントエンジン方式を採用し操縦手の隣はエンジンです、従って此処に車長用ハッチを置く事はできないのですね。すると何か原型車があるのですが。
BTR-60装甲車かBTR-80装甲車、北朝鮮はこの改良型としてM-2010、これは北朝鮮が型式名を公開しない為に便宜的にアメリカ国防総省が冠したコードですが、BTRシリーズを国産化しています。恐らくストライカーをコピーしたのではなくソ連製RTRシリーズの車体に増加装甲を配置し、ストライカーと共通するような形状に成形したものでは、と。
D-30/122mm砲に似ている。北朝鮮の新型装甲車、車体が車長のハッチ位置からBTR系統の車両であると推測したならば、では車体上に設置されている砲は何なのか、という事になります。画質が悪い為に見えにくいのですが、自動装填装置を備えているようにもみえれば、砲手を護る防盾にも見える、しかし大きな照準装置が確認できません。すると何か。
ソ連製D-30榴弾砲に良く似ている、122mm野砲です。野砲ですので射程も15.4kmと長い。砲身上部の形状がD-30榴弾砲の駐退機と共通しているのですね、そして砲口制退器の形状ともにている、ただ、砲身の中部に排煙器のようなものが確認できまして、ここがD-30とは違います。しかし、D-30系列では中国のPLZ-89/89式自走榴弾砲が排煙器を追加しており、その系譜だとはいえます。
装輪自走榴弾砲ではないのか。北朝鮮のストライカーMGSに似た新型車両はBTR系統の装輪装甲車にD-30榴弾砲を搭載した装輪自走榴弾砲ではないか、と考えます。自動装填装置のような無理な機構は有さず、恐らく車内に弾薬庫と砲員区画を有している、こう考えると車体後部が一段下がっているのが確認でき、BTRの戦闘室の上に砲を載せたかたち。こうしてみてみるとBTR-60の特徴である側面乗降扉も確認できる。
自衛隊の16式機動戦闘車と比較した場合はどうか。発想としては96式装輪装甲車に60式自走無反動砲のように106mm無反動砲を搭載したもの、という発想ですので、恐らく対装甲戦闘は想定していません。実はこのBTR-60に様々な装備を載せる発想は、キューバ軍が古くから実施しており、PT-76軽戦車の砲塔や23mm双連機関砲搭載型があります、この流れといえましょう。
装輪装甲車に搭載する意味とは、どういったものでしょうか。砲兵火力としては勿論、更に前線での直接照準による火力支援を視野とした車両ではないか。122mm砲は対戦車砲としても運用される野砲です。分離式弾薬を採用し、発射速度は毎分10発程度ではあるのですが、122mm砲弾は命中さえするならば韓国軍のK-1戦車に対してもある程度有効です。
ストライカーMGSそっくりの装備品、その開発の目的はどういったものが考えられるのでしょうか。もっとも考えられるのは現在の在韓米軍主力の第2歩兵師団が事実上ストライカー旅団戦闘団一個だけです、ストライカー装甲車へ対抗手段誇示が目的として考えられます。この種の装備は火器管制装置が重要なのですが、その命中精度は別とすれば、口径と射程は、野砲ですから長く、アメリカの砲よりも強力だ、と政治的な誇示は出来るでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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