北大路機関

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北朝鮮-半島西部から日本海へミサイル連続発射,COVID-19拡大への引き締めか?韓国への対抗か?

2022-05-14 07:02:07 | 北大路機関特別企画
■臨時情報-朝鮮半島情勢
 北朝鮮が発射した先日のミサイル発射は自衛隊が装備するMLRSからも投射可能なATACMSと同水準の装備であり弾道ミサイルよりは戦術ロケット弾ともいうべきなのかもしれませんが。

 北朝鮮は5月12日夕刻、朝鮮半島西方から半島を超えて日本海側へ弾道ミサイルを相次ぎ3発発射しました。防衛省によれば3発の弾道ミサイルの飛翔距離は通常軌道で350km程度で最高到達高度は100km、所謂軍団支援用全般支援火力という範疇です。落下は日本海上、日本の排他的経済水域には到達していません。この発射は幾つかの推測が成り立つ。

 韓国はユンソンニョル新大統領に政権交代した直後であり、またアメリカのバイデン大統領も今月20日から24日に掛け日韓両国を歴訪する予定であり、韓国政権交代やアメリカ大統領訪韓に伴う同盟強化の兆しへ牽制を掛けるという視点です。ユンソンニョル新政権は保守路線であり、ムンジェイン大統領の革新政権とは異なる南北関係への警戒という。

 北朝鮮でのCOVID-19感染初確認による防衛体制強化、もう一つの背景には2020年から一貫して成功していた感染流入阻止が遂に破綻し、発熱患者が35万と18万が隔離、国境封鎖の北朝鮮国内での初の死者が13日に確認され、今後の感染拡大に際し防衛力の麻痺を想定し先ずミサイル部隊の稼働体制を強化した可能性です。その背景に韓国側も同様のミサイル演習を行う背景があります。

 北朝鮮が5月7日に発射した弾道ミサイルは潜水艦から発射されロフテッド軌道の飛翔を行った、防衛省が5月10日に発表しました。このSLBM潜水艦発射弾道弾は、2021年10月に発射されたものと同型であると考えられ、潜水艦の上部構造物に内蔵する方式で水中から発射したと考えられています。ただ、今回は北朝鮮が実験を報道発表していません。

 SLBM潜水艦発射弾道弾はロフテッド軌道により600km程度を飛翔したと分析されており、最高到達高度は50kmです。他方で、発射は北朝鮮の新浦海岸付近の海中とされ、沖合からの発射には今なお制約がある事を示しています。そして北朝鮮は5月前半に連続して二度のSLBM発射を行いましたが、同時期に韓国も潜水艦ミサイル実験をおこなっています。

 韓国海軍は四月初旬に潜水艦発射弾道弾の試験を地視していたと四月末に韓国の聯合ニュースが報道しました。これは韓国のドサンアンチャンホ級潜水艦が実施した試験で、20秒間隔で2発の潜水艦発射弾道弾を発射しました、通常弾頭型のミサイルであり、この種のミサイルを潜水艦から発射する例はあまりなく、極めて不思議な運用となる潜水艦です。

 ドサンアンチャンホ級潜水艦は水中排水量3800tで、3隻が建造されているもの、特色は玄武2B型弾道ミサイル用VLSを6セル搭載する点、玄武2弾道ミサイルはロシアのイスカンデルミサイルを参考として開発したもので射程は300kmから500km程度とされ、韓国北部が攻撃された際に北朝鮮中枢を狙う運用で、海中からの攻撃を想定したのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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