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【京都幕間旅情】宝泉院,雪景色とともに御抹茶と和菓子が供せられ湯気さえその静けさに透きとおる

2025-02-26 20:25:00 | 写真
■宝泉院
雪景色の庭園拝観のたのしみ。

宝泉院、雪景色を求めて探訪しました。そして大原は静かなものです。静けさ、考えてみると大原には民宿も色々ありますので、いっそ逗留してみたいとも思ったりするのですが、なかなか。しかし、この不思議な風情は愉しいのかもしれません。

吹雪、そう、この少し前までは吹雪いていましたが、京都の雪景色というのは足早なのですね。それは朝確かに積もっていたが諸事を済ませてさて散策へと気分高めますと、いやいや昂ぶった気分はしかし、情熱以上に気温という熱にほだされてどんどん解け。

比叡山などをみますとその解け往く様子は目の当たりになりまして、東山あたりから西山を見ますと、そう、高雄は雪景色ですが嵐山は雪化粧、そして吉峰のあたりはもう雪は無く、天王山あたりは緑あふれるという雪解けの過程を一望できるほど。

福井の小浜や岐阜の高山、茨城の大洗に静岡の須走、逗留してみますといいなあ、という場所はあるのですが、観光過多とともに物価高騰の流れは次第に地方都市にも浸透してきていますので、こういうものを免れるには精神的な時の移ろいを愉しむしか。

観音崎、横須賀なんかで逗留して時間を過ごしていますと、物価高騰の関係のない、組み立て式安楽椅子に身を任せて文庫本などを片手に行き来する艦船を借景として過ごしますと、こういう休日の過ごし方も好いなあ、と思ったりするのですね。

高山なんかは完全に観光地になっていますので、そうかCOVID-19のときにこういう場所でもう少し過ごすべきだったのかという愚痴を言いますと、台湾海峡有事を待つんだな、と急にお店で現実、リアリズムを突き付けられて驚いたりしましたが。

盤桓園の庭園拝観では、御抹茶と和菓子が供せられまして、これは拝観料のなかに含まれているのですが、型通りではありますが先ず、その器というものを、しかしこの季節ですと変わりゆく湯気さえもなにか芸術的な余韻を残すのですが眺めまして。

御抹茶を、ずずいと頂くとともにやはりというか、抹茶の奥深い苦味に和菓子の一片がよくよく考えられた調和というものを奏でてくれまして、ふうと吐く息も白息となりまして虚空の借景の中に溶け込んで行くという。こういう時間の過ごし方が愉しい。

五葉の松、実に樹齢700年といいますので室町時代から当院を見られて逆に見続けている銘木に、雪の季節では雪化粧するものです。拝観者が少ないという事は、読書も含めて自由な時間を過ごしても憚られない風情、いや空気というべきか、満ちている。

盤桓園、もう少し早く来ていればふぶく様子を動く情景のように眺めることができるのだろうか。いや吹雪の最中にはここまで歩いてくるというのはどういう景色の中を歩くのだろうか、と色々考えたりもするのですけれども。

実光院とともに大原寺勝林院の塔頭の一つとなっています当院、この一角は三千院は有名なのだけれども、落ち着いて考えれば梶井門跡が当地に遷ってきたのは割と最近ですので、大原といえばこの一帯、声明の里というのは本来なのですよね。

大原は平安朝末期から隠れ里のような風情を保っていた、宝泉院はそういった情景に在りまして、盆地のような地形ではあるのですけれども、静けさという余韻がたまるような盆地には、雪の日こそ静けさが増して湛えているようにも、思えるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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