■残せば次に捨てれば新調
国民に説明し納得してもらわなければ増税は政権の命取りとなりかねませんが政府も防衛省もこの点について真剣ではない、お上の政治に終始しているようおもう。
退役した装備を備蓄しておいてはどうか、防衛費の問題を考えますと特に90式戦車などの退役は、まだ使える装備の代名詞ですし、何より政府の方針が戦車300両という方針が示され、そして何年間運用したならば退役させるという、官僚主義的なお役所仕事により廃棄されているようにみえます。そして後継装備が足りないことを無視している。
即応機動連隊の機動戦闘車隊をみれば一部の部隊では中隊数が半分しか充足されない事例があり、それならば、多少機動力が落ちると批判されてもその即応機動連隊機動戦闘車隊の不足分に90式戦車を充当するという選択肢は当然あるでしょうし、直ぐに運用しない場合でも補給処に、屋根のある倉庫で保管しておくという選択肢もあるはずです。
モスボール保管は費用が掛かる、こうした反論はあるでしょう。実際自衛隊は過去に航空自衛隊でF-4ファントム戦闘機を20機、モスボール保管していましたが、保管状況が悪くそのまま飛行不能という状態に陥り廃棄処分した事例があります。保管するにも場所が必要ですし、ある程度空調というものを考えておく必要があり、電気代もかさむ。
ただ、F-4ファントムのモスボール保管機を廃棄した後、航空自衛隊は10年以上にわたりファントムを運用し続け、最後には部品が枯渇し退役機からの部品取り整備などが実施されていました、この際に、20機のモスボール機があれば部品取りに使うことができた、という声を聞きまして、案外、費用は嵩んだ場合でも用途はあったのではないか、と。
300両に戦車定数を削減するという決定が先ず第一に在って、その向こうで使い続けることができる装備、なにしろ、欧州にしてもアメリカを見ても90式戦車が製造された1990年代の戦車といえばルクレルクとアリエテ、それに一部のレオパルド2となっていまして、大半は1990年以前に量産した戦車を延命改修し性能を一新し運用しています。
L-90高射機関砲、全て廃止され、しかも廃棄されていますが、2022年国家防衛戦略では政府は自衛隊に無人航空機対策システムを整備するという、新しい装備なので防衛費を増やさなければならない、増税やむなしだ、と思われるかもしれません。しかし、ウクライナではL-90と同じエリコン35mm機関砲が無人機迎撃に大活躍している現状だ。
捨てずに保管していれば、何十億何百億という新しい費用をかけて調達せずとも保管装備品の現役復帰により対応できたものなのです、恰も将棋でとった駒を活用せずそのままごみ箱に捨てているような状況では、いくら予算をかけても防衛費などは足りません、こうした無駄から先ず取り組まなければならないのに、これが無視されている状況です。
陳腐化。装備品の調達に失敗した場合や後継装備を選定できなかった場合には、陳腐化したので更新せず廃棄する、という方針が示されます。MLRSやAH-64Dなどがまさにこれに当たるのですが、本当に陳腐化しているのでしょうか。改良型で射程499kmまで伸びるMLRS,搭載ミサイルの射程が50㎞に伸びるAH-64D,陳腐化しているとは思えない。
残しておけば用途は広がる、捨ててしまえば新品を購入しなければならない。例えば延命改修に対応していないと前述したUH-1J多用途ヘリコプター、アメリカはUH-60多用途ヘリコプターを無人機に改修し、危険な地域への物資輸送へ用途を模索しています。無人機ならば墜落した場合でも乗員被害は及ばない、そして毎日の飛行訓練も不要だ。
勿論、防衛政策が根本から変更するので基本的に用がない装備、というならば保管するべきかという疑問にはある程度首肯します。例えば、自衛隊は今後すべての部隊に反撃能力を配備し国土を戦場とする政策は捨てる、ミサイルに全部のリソースをつぎ込み日本本土に特殊部隊が来た場合でも相手の首都を全力でミサイル攻撃する、というような。
しかし、その場合でも、そんなことは果たして可能なのか、という疑問符を逆に示したい。すると防衛政策が元の表に戻った場合を想定して、装備品を退役した場合でも保管しておけば、維持費や復帰費用は多少かかるにしても、新造よりは予算が掛かりません。防衛費を増やす前に、先ず、退役させる装備に無駄はないのか、と考えねばなりません。
手の内を見せない。問題は日本の防衛装備品調達は、どういった戦術や作戦運用により日本を防衛するのかという具体的な施策を開示せず調達しています。これでは装備が足りているのか足りていないのかを明確に示す事が難しくなります。予算を増やす以上はもう一つ、どのような作戦を有事の際に考えるのか、ある程度は示さなければなりません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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国民に説明し納得してもらわなければ増税は政権の命取りとなりかねませんが政府も防衛省もこの点について真剣ではない、お上の政治に終始しているようおもう。
退役した装備を備蓄しておいてはどうか、防衛費の問題を考えますと特に90式戦車などの退役は、まだ使える装備の代名詞ですし、何より政府の方針が戦車300両という方針が示され、そして何年間運用したならば退役させるという、官僚主義的なお役所仕事により廃棄されているようにみえます。そして後継装備が足りないことを無視している。
即応機動連隊の機動戦闘車隊をみれば一部の部隊では中隊数が半分しか充足されない事例があり、それならば、多少機動力が落ちると批判されてもその即応機動連隊機動戦闘車隊の不足分に90式戦車を充当するという選択肢は当然あるでしょうし、直ぐに運用しない場合でも補給処に、屋根のある倉庫で保管しておくという選択肢もあるはずです。
モスボール保管は費用が掛かる、こうした反論はあるでしょう。実際自衛隊は過去に航空自衛隊でF-4ファントム戦闘機を20機、モスボール保管していましたが、保管状況が悪くそのまま飛行不能という状態に陥り廃棄処分した事例があります。保管するにも場所が必要ですし、ある程度空調というものを考えておく必要があり、電気代もかさむ。
ただ、F-4ファントムのモスボール保管機を廃棄した後、航空自衛隊は10年以上にわたりファントムを運用し続け、最後には部品が枯渇し退役機からの部品取り整備などが実施されていました、この際に、20機のモスボール機があれば部品取りに使うことができた、という声を聞きまして、案外、費用は嵩んだ場合でも用途はあったのではないか、と。
300両に戦車定数を削減するという決定が先ず第一に在って、その向こうで使い続けることができる装備、なにしろ、欧州にしてもアメリカを見ても90式戦車が製造された1990年代の戦車といえばルクレルクとアリエテ、それに一部のレオパルド2となっていまして、大半は1990年以前に量産した戦車を延命改修し性能を一新し運用しています。
L-90高射機関砲、全て廃止され、しかも廃棄されていますが、2022年国家防衛戦略では政府は自衛隊に無人航空機対策システムを整備するという、新しい装備なので防衛費を増やさなければならない、増税やむなしだ、と思われるかもしれません。しかし、ウクライナではL-90と同じエリコン35mm機関砲が無人機迎撃に大活躍している現状だ。
捨てずに保管していれば、何十億何百億という新しい費用をかけて調達せずとも保管装備品の現役復帰により対応できたものなのです、恰も将棋でとった駒を活用せずそのままごみ箱に捨てているような状況では、いくら予算をかけても防衛費などは足りません、こうした無駄から先ず取り組まなければならないのに、これが無視されている状況です。
陳腐化。装備品の調達に失敗した場合や後継装備を選定できなかった場合には、陳腐化したので更新せず廃棄する、という方針が示されます。MLRSやAH-64Dなどがまさにこれに当たるのですが、本当に陳腐化しているのでしょうか。改良型で射程499kmまで伸びるMLRS,搭載ミサイルの射程が50㎞に伸びるAH-64D,陳腐化しているとは思えない。
残しておけば用途は広がる、捨ててしまえば新品を購入しなければならない。例えば延命改修に対応していないと前述したUH-1J多用途ヘリコプター、アメリカはUH-60多用途ヘリコプターを無人機に改修し、危険な地域への物資輸送へ用途を模索しています。無人機ならば墜落した場合でも乗員被害は及ばない、そして毎日の飛行訓練も不要だ。
勿論、防衛政策が根本から変更するので基本的に用がない装備、というならば保管するべきかという疑問にはある程度首肯します。例えば、自衛隊は今後すべての部隊に反撃能力を配備し国土を戦場とする政策は捨てる、ミサイルに全部のリソースをつぎ込み日本本土に特殊部隊が来た場合でも相手の首都を全力でミサイル攻撃する、というような。
しかし、その場合でも、そんなことは果たして可能なのか、という疑問符を逆に示したい。すると防衛政策が元の表に戻った場合を想定して、装備品を退役した場合でも保管しておけば、維持費や復帰費用は多少かかるにしても、新造よりは予算が掛かりません。防衛費を増やす前に、先ず、退役させる装備に無駄はないのか、と考えねばなりません。
手の内を見せない。問題は日本の防衛装備品調達は、どういった戦術や作戦運用により日本を防衛するのかという具体的な施策を開示せず調達しています。これでは装備が足りているのか足りていないのかを明確に示す事が難しくなります。予算を増やす以上はもう一つ、どのような作戦を有事の際に考えるのか、ある程度は示さなければなりません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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