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岩手県大船渡市三陸町山林火災-消防飛行艇を改めて検討すべき【4】ボーイング747-400型旅客機という選択肢

2025-03-06 07:00:46 | 防災・災害派遣
■飛行艇以外の選択肢
 US-2を強調して参りましたが今回は他にも有力な方法がある事を一つ挙げてみました。

 消防飛行艇、山林火災において一定以上延焼した山林火災では雨天を待つほかないという現状に危機感を覚えまして、多用途飛行艇の用途の一つに空中消火能力という点を加味して、整備すべきという視座を示しました。飛行艇の利点は海上などの水源があれば20秒間の滑走で消火用水を補充できるという利点があり、時間当たりの投射能力が大きいゆえ。

 飛行艇以外、もちろん飛行艇以上に消火剤を搭載できるものはあります、その最たる例が旅客機を転用した消防航空機だ。航空自衛隊ではまもなくC-1輸送機が完全退役となりますが、このC-1輸送機を年間飛行時間を極限させ耐用年数を戦術輸送機以外の区分とした上で消防航空機として転用する選択肢はある、消火剤搭載能力はCH-47程度なのですが。

 ボーイング747-400型旅客機、消防航空機として決定版といえるのは、この機体を改造したスーパータンカー消防機でしょう、消火剤を実に74tも搭載できまして、これは飛行艇の4機分に迫る搭載能力です、74tの消火剤散布能力は物凄く、対地高度240mの低空飛行を行いながら散布した場合、5km近くの距離を消火可能という。

 スーパータンカーの消火能力は幅46mから全長4800m、このスーパータンカーが2機程度配備されていたならば、大船渡の山林火災は延焼を食い止められたかもしれません。もっとも、その運用には大型機発着が可能な2500m級滑走路をもつ飛行場と地上支援施設が必要ですので、現場に整備拠点を移すのではなく、基地から直接飛ぶ必要がでる。

 政府専用機を解体せずそのまま消防機に転用していれば、と今更後悔しても遅いのですが、胴体内部は消火剤用区画となるもの。もっとも、純粋な消防機となるため、所掌は総務省が外部委託することとなるのでしょうか。予算面などで難しさはあるのでしょうが、山林火災の要因に地方過疎化と少子高齢化がある以上、航空消防の充実は必要な施策です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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