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防衛装備庁-12式地対艦誘導弾射程延伸型初の発射試験実施を発表,離島防衛の根本を変える装備

2024-12-10 07:00:48 | 先端軍事テクノロジー
■試験は東京都内で実施
 射程1000km級の地対艦ミサイル開発が漸く終盤となる発射試験までたどり着きました。

 12式地対艦誘導弾射程延伸型の発射試験が10月から11月にかけ防衛装備庁の東京都にある新島試験所において実施されたとのことです。今回の試験は地対艦型と艦対艦型が地上発射装置から試験され、所要の性能を満たしたとされています。日本国内の報道機関ではそれほど大きく扱われませんでしたが、従来の自衛隊地対艦ミサイルと比し、長射程だ。

 射程延伸型、という名称ではありますが、発射装置は4連型までとなっており、現在の6連装型と比較しミサイル本体が大きくなり、また形状も大きく変容しています。この背景には射程が現在の200km前後から1000kmと大きく延伸し、防衛装備庁は射程の詳細を公表していませんが自衛隊は最終的に2200kmから2500kmまで射程を延伸させるかまえ。

 反撃能力整備の一環とされる装備開発ですが、同時に射程を大きくすることで、南西防衛における地対艦ミサイル配置にも大きな影響を及ぼす可能性があります、それは射程の延伸により離島に直接配備せずとも、離島防衛を、例えば九州から直接日本の離島に迫る脅威を排除できるようになるかもしれない、という運用の冗長性の確保、という視点です。

 南西防衛では、現在、離島には警備隊と地対空ミサイル中隊及び地対艦ミサイル中隊という、アメリカの海兵沿岸連隊が参考にしたのではないかというくらいの編成の部隊を駐屯させていますが、強力な装備である一方、地対艦ミサイルそのものが中国軍の攻撃目標になるのではないかという懸念を持つ住民不安が、少なからず存在することは否めません。

 上陸させない為の防備であれば、韓国軍は離島に自走榴弾砲を配備しているように自衛隊も99式自走榴弾砲を配備すれば上がらせませんし、スウェーデンのゴトランド島警備の主役はレオパルト2戦車となっていますので、多少非合理でも戦車を小隊規模で分散配置し、荒天時に漁業補償を行いつつ海上へ射げき訓練を行うという選択肢もある筈です。

 九州から南西諸島全域に届く装備の開発という意義は、離島地域の生活に有事の際、影響を及ぼさない体制というものを示すものです。ただ、現在のロシアウクライナ戦争を観た場合、ミサイルの所要数は相当多く成る事も現実であり、可能ならば一万発近いミサイル、最低でも六千発程度は、この種のミサイルを揃えなければならない課題があります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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