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ロシア海軍黒海艦隊司令部航空攻撃!イーゴリオシポフ司令官更迭とビクトルソコロフ新司令官着任当日を奇襲

2022-08-21 07:02:31 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシア軍が将来に我が国を攻撃した際にウクライナの様に上手く軍事と政治面で戦えるのかと改めて考えました、今回は政治的な重要目標攻撃作戦だ。

 セヴァストポリにあるロシア海軍黒海艦隊司令部が航空攻撃を受けました、無人機攻撃と見られます。これはロシアのクリミア併合後にロシア政府が置いたクリミア行政府のラズボジャエフ責任者がSNS上において発表したもので、少数民族クリミアタタール人団体の代表であるチュバロフ氏もSNSを通じて黒海艦隊へ攻撃が在った事を発表しています。

 新しい司令官にビクトルソコロフ中将が19日着任したばかりの当日に艦隊司令部が攻撃を受けた、ロシア海軍としては衝撃としか言いようがないと共に、黒海艦隊司令部のあるセヴァストポリ軍港はソ連時代からソ連黒海艦隊司令部が置かれ、ソ連崩壊後にウクライナ建国となった際にもロシア海軍基地として大部分を維持した歴史がありました、そして。

 ビクトルソロコフ司令官の前任であるイーゴリオシポフ司令官は2019年から司令官を務めていますが、黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦モスクワ撃沈など失態を重ねたとして8月10日に更迭され、一部報道では逮捕されたというものもあります。新司令官は初日にクリミア半島での防空部隊の配置などの失敗から司令部攻撃という状況に陥ったということ。

 バイラクタルTB2無人機など、ウクライナ軍はロシア軍侵攻を受け無人機を作戦に多用していますが、MQ-9リーパー無人機のような無人攻撃機と異なり、バイラクタルは指令ビーム方式を採用、電波標定や電波妨害を受けない一方で有視界内でしか誘導出来ない行動半径の限定という難点がありましたが、改良型に衛星を通じた長距離型も開発されています。

 黒海艦隊司令部攻撃へバイラクタルTB2が使用されたのはか定かではありませんが、ウクライナ軍が保有する無人機でもっとも行動半径が大きいものはこの無人機です、改良型が引き渡された可能性もあります。こういうのも、ウクライナへはエストニアなどが購入したバイラクタルTB2をウクライナへ供与するなど、損耗はあっても補充が有るという。

 驚かされたのは、黒海艦隊司令部まで無人機の浸透を許したという事です。ロシア軍には広範囲を防空可能なS-300ミサイルシステムやS-400ミサイルシステム、いや開戦直前に最新型のS-500も搬入された様子が誇示されていましたが、これらは低高度目標への脆弱性がある事は指摘されている、しかし複数の種類で多層防御により解決出来る筈でした。

 地対空ミサイルが枯渇しているのか、ロシア軍はウクライナ空軍の行動を地対空ミサイルにより封じていましたが、ウクライナ軍へアメリカからHIMARSが供与され始めますと、強力なレーダー電波により警戒する地対空ミサイルそのものがHIMARSの標的となり、損耗を重ねているともいわれています。ただ、損耗数については推測しかありませんでした。

 艦隊司令部を防衛できない程にロシア軍の地対空ミサイルは枯渇しているのか、司令中枢は堅固な地下構造であり司令部庁舎そのものも倒壊したのではなく破損した程度であり、軍事的な影響はないと言い切る事も出来るのですけれども、艦隊司令部が損傷した政治的な影響の大きさは否定できません、それ程に今回は衝撃的な攻撃だったといえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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日本の平和主義 (774)
2022-09-10 08:26:12
(ソ連やいわゆる北ベトナム政府がマトモだったかは置いといて)ベトナム戦争当時のアメリカに問題点が多かったのは事実で
そういう意味ではベトナム反戦運動は正義だったのでしょう
しかし、今の日本の平和主義者の一部はウクライナ政府に(侵略を始めたロシア相手に)一方的な譲歩を主張して
その中に「ベトナム人民の抵抗を支持した人間」も混じっています
それで日本の左翼を信用しろなんて、どだい無理なものではないかと
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