北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

米軍再編に関する一考察 沖縄の抑止力

2006-06-09 09:18:08 | 国際・政治

■米軍再編に関する考察

 今回の考察は、沖縄県に重点を置き論述したい。

 米軍再編において、抑止力の維持と地域負担に対する配慮という二点が日本政府の主眼点として扱われているが、恐らく次期通常国会では国際法としての地位を有する米軍再編に関する最終合意書を国内法として整備することで、米軍再編は次の段階へ移行するであろう。

 昨日放送された米軍再編に関するNHKスペシャルでは、地域住民の視点から米軍再編が提起されていたが、陸上空母発着訓練の厚木基地から岩国基地への移転問題や嘉手納基地の戦闘機訓練の千歳・三沢・小松・百里・新田原・築城基地への移転、普天間基地の空中給油機の鹿屋基地移転が挙げられていた。いわゆる負担の押し付け合いとの印象が否めない。

Scan20138  写真は沖縄県の嘉手納基地であるが、ここには二個飛行隊48機のF-15C制空戦闘機が展開している。住民の話をNHKが扱った中では、この基地における騒音問題の最大のものが早朝から訓練飛行を実施するF-15Cであると話していた。聞くところでは、航空自衛隊のF-15Jは要撃飛行(スクランブル)や航空祭における飛行展示を除き、基地離陸時は極力推力を絞って飛行しているという。こうした運用体系が非実戦的との声もあろうが、実戦を想定する米軍と航空自衛隊の差異が挙げられる点であろう。

 結論から言うと、嘉手納基地は沖縄県という、台湾海峡・朝鮮半島に対する重要な抑止力である事から、アメリカの台湾・朝鮮半島政策に劇的な展開が無い限り不変であろうし、この点、嘉手納基地周辺住民に対する“負担”は不変であろう。対して、普天間航空基地の辺野古地区への新基地建設と移転に関しては、非常に疑問がある。新基地を建設せずとも、嘉手納基地に集約する事は充分可能であろう。基地機能の集約に関して、これは言い換えれば一部の基地に機能を集約する事であるから集約された基地に対する“負担”は増えるだろうが、過剰な機能を今後米軍に対して提供する事を考えれば、駐留経費分担の点も踏まえ、思い切った集約化を提唱するべきだったといえよう。

 また、更に不充分な点を付け加えれば、第三海兵師団の第31海兵遠征群を除きグアムに移転する事となっているが、これに伴いどの程度の演習用地が日本に返還されるかも不透明である。

Scan20064  更に、海兵師団主力のグアム移転も、アメリカの抑止力の維持と日本の利益向上という観点から疑問符がつく。日本側が日本国外に対して、ODA以外の資金投下を行うということは、予算の正統性上問題があることは否めない点と、佐世保基地(写真)の両用戦艦艇を移転しないのであれば(佐世保の両用戦艦艇の艦載機が、現在岩国基地におかれたAV-8攻撃機であり、普天間基地のCH-46,CH-53である)グアム移転は、逆に距離を伸ばしただけであるといえる。海兵隊の主力を思い切って師団の旅団化により用地に余裕の在る北海道の帯広(第五師団を旅団化)や、間もなく旅団化される第十一師団(真駒内)への移転、両用戦艦艇の大湊基地への移転も真剣に議論されるべきではなかったのだろうか。普天間航空基地のヘリコプターは、丘珠駐屯地や大湊航空基地へ分散移転するか、若しくは収容しきれない機体が出たならば駐屯地・基地機能拡充までのあいだ、陸上自衛隊然別中演習場地区へ、応急ヘリコプター基地の新設を実施すれば、負担の部分はかなり軽減されるであろう。

■沖縄県の抑止力維持

 抑止力維持という観点から、沖縄県の米軍基地が移転する事は南西諸島の安全保障を考えた場合どうであろうか。

Scan20108  抑止力維持を考えるならば、那覇に新しく地対艦ミサイル連隊を新編し、若しくは北部方面隊隷下の第一特科団から一個地対艦ミサイル連隊を移転し、16基あるミサイル発射基を沖縄県宮古島の航空自衛隊宮古島分屯基地(第53警戒隊)、沖縄本島陸上自衛隊南与座分屯地(第326高射中隊)に分散配置すれば、沖縄県のほぼ全域を確保する強力なミサイル網を配置できる。88式地対艦誘導弾は射程百数十km(海外の資料では180kmとするものも)、また短射程の96式多目的誘導弾や93式地対空近距離誘導弾といった、相互補完に最適な国産装備が多数開発されており、柔軟且つ複合的な配置により、少なくとも抑止力の維持と言う観点からは充分なものを実現可能であろう。

Img_0158  加えて、近く旅団化が検討されている沖縄県那覇駐屯地の第一混成団を、例えば現行の第101飛行隊のヘリコプターを増強するかたちで、群馬県の第12ヘリコプター隊に範を採った編成に移行し、空中機動能力をやや強化した編成とする事、また北海道稚内分屯地の第302沿岸監視隊のような洋上監視部隊を石垣島に配置する点も重要であろう。18年度防衛予算に計上され、19年度予算において検討されている航空自衛隊の輸送機の空中給油機への改良が実施されれば、例えば現在第一混成団が運用しているUH-60JAの航続距離延伸にも一役を買う事が期待される。少なくとも、海兵隊主力が移転した後も、また第31海兵遠征群が移転したとしても、嘉手納基地にF-15Cが配置されているならば航空優勢確保は比較的優位であり、抑止力全般に影響があるとは考えにくいといえよう。また、抑止力向上の為航空自衛隊は、那覇基地へのF-15J移転が内定している。

 地域負担軽減に偏重することなく、自衛隊が既に有している抑止力を最大限に配慮し、米軍再編を検討すれば、ここまでの状況にはならなかったといえよう。

 HARUNA

(本ブログの本文及び写真は北大路機関の著作物であり無断転載は厳に禁じる)

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陸海空自衛隊関連行事 六月第二週期実施詳報

2006-06-08 22:23:20 | 北大路機関 広報

■北大路機関広報 自衛隊関連行事

■六月十日(土)

■陸上自衛隊関連(2)

○滝川駐屯地:創設51周年記念行事:第10普通科連隊(式典・観閲行進・訓練展示・体験乗車・装備品展示)JR滝川駅よりバス利用(0125-22-2141)

○鹿追駐屯地:駐屯地創設49周年記念行事:第五戦車隊(式典・観閲行進・訓練展示・体験乗車・装備品展示)JR新得駅よりタクシー利用(01566-6-2211)

■海上自衛隊関連(1)

○大湊基地:ちびっ子ヤング大会:大湊地方隊(SH-60J体験飛行当日抽選60名・護衛艦じんづう体験航海当日0800・1230時北洋館受付・護衛艦ちくま一般公開)JR大湊駅よりバス利用(0175-24-1111)

■航空自衛隊関連(0)

■六月十一日(日)

■陸上自衛隊関連(2)

○旭川駐屯地:第二師団創設56周年記念行事・駐屯地創設54周年記念行事:第二師団司令部・第26普通科連隊一部中隊・第二特科連隊・第二高射特科大隊・第二施設大隊・第二化学防護隊・第二後方支援連隊・第二飛行隊(式典・観閲行進・訓練展示・UH-1当日抽選体験搭乗・装備品展示)JR旭川駅よりバス乃至タクシー(0166-51-6111)

○美唄駐屯地:第二地対艦ミサイル連隊創設14周年・駐屯地創設29周年記念行事:第二地対艦ミサイル連隊(式典・観閲行進・訓練展示・装備品展示)JR美唄駅よりバス(0126-62-7141)

■海上自衛隊関連(0)

■航空自衛隊関連(1)

○東北町分屯基地:部隊創設12周年記念行事:第四補給処東北支処(装備品展示・航空機航過・警備犬訓練展示・音楽演奏・マラソン)JR乙供駅よりタクシー(01584-63-3235)

■自衛隊関連行事

 今週末における駐屯地祭は、陸上自衛隊の関連行事では北部方面隊管区、また海空自衛隊関連行事も東北地方の基地において実施される。

Panel1  最も大きな行事は、第七師団に次ぐ近代化度合を誇る第二師団記念行事であろう。1991年の戦車北転事業により戦車大隊を第二戦車連隊とし、第三普通科連隊への96式装輪装甲車配備、高射特科大隊には一部ではあるが87式自走高射機関砲を運用する精鋭部隊である。また、土曜日には第五戦車隊の駐屯する鹿追駐屯地において駐屯地祭が実施される。かつて、78輌の戦車を有したが大隊から戦車隊へ縮小され、20輌程度に縮減されたときくが、90式戦車を保有している。また、88式地対艦誘導弾発射基を16基保有する第二地対艦ミサイル連隊の美唄駐屯地祭も注目に値する。

 航空自衛隊の東北町分屯基地は、ミサイルの貯蔵庫といわれるが、警備犬の訓練展示など注目すべき点も多い。また、同じ青森県の大湊基地では、いわゆるチビヤンが実施されるので、こちらもお勧めの行事である。

北大路機関

なお、実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。

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『核対決と軍縮』 坂本義和全集⑤の今日的視点からの考察

2006-06-07 15:31:26 | 国際・政治

安全保障を理解するうえで

 本論は坂本義和氏の全集第五巻『核対決と軍縮』(岩波書店 2004)を読解した上で、特に理解するうえで必要と考える視点を小生なりに列挙したものである。

 国際政治学の観点から軍縮問題と安全保障問題をを研究する上で、特に重宝する理論展開、政治的な安全保障論が展開されており坂本義和の著書に目を通す事は初歩中の初歩であるといえる。しかしながら、一読された方々はお気付きの通り、執筆されてよりかなりの長期間を経たことで、必ずしも安全保障の今日的課題とは合致していない点も否めない。本論は小生により、特別演習用に作成されたレジュメを再編し掲載するものであり、本文中の記号に関しては■が坂本氏本人が著書において記述していた内容、●を他の研究者の著書から引用、□を小生の私見として編集したものである。レジュメという性格上、多分に記載方式に判読困難な方式がある点は否めないが、安全保障問題を研究される方の初学の補助となれば幸いである。

なお、研究者や安全保障研究を行わないまでも、ニュースを通じて伝えられる日々の国際的展開を理解するうえで一助となる書籍であり、所謂ヒョーロン家的というか、マニア的な、揚げ足取りともとれる安全保障観、憲法観に対しても知の理解を深める好著として、一読を薦めたい。

最後に、本論は著書から小生なりの解釈を述べた部分があり、いわゆる「公式解釈」というものでは一切無い事をお断りしておく。

第一章 政治としての軍縮

■坂本『攻撃的または膨張的な政策が採られていれば軍縮は不可能である』

 → 軍備や軍事力といったものは一見数量化計量可能とみえて実はそうではない

 → 数的には兵器は世代交代・近代化とともに精鋭化、少数化し、一見数的軍縮に

向かっているように見える

■坂本『ホットラインとは非攻撃現状維持を望む相互合意があって、機能するものである』

■『ソ連指導部に圧力をかける事が出来るのは軍部、軍部の視点から見れば政治は軍拡一色となる、政治は軍部を向うに回して抵抗しなければならない(フルシチョフ回想録:本文引用)』

 → ●デビッド・グランツ『独ソ戦全史』17章 独ソ戦に伴う耐え難い損害の将来的抑止体制がソ連に悲運を招いた

■『途上国は兵器数量近代化度合がともに低いが、政治体制が軍事化している したがって途上国における軍縮とは政治体制の非軍事化である』

 → □欧州通常兵力削減条約発効に伴い余剰化した第三世代地上戦兵器が途上国へ拡散

 → □冷戦終結に伴う先進国兵器需要の低下は、生産ライン維持の為の先端軍事兵器の途上国輸出が強化

 → □冷戦後の地域紛争増加により、途上国(南ア、ブラジル、中国、イスラエル)からの携帯火器などの輸出増加

■不公正な開発 → 格差の増大 → 国内対立の軍事化 → 大国軍事介入の素地

 → □確かに1990年代までの中米への米軍事介入は適合するが・・・

□国防政策の定義づけから区分する“先進国と途上国”とは何か

 □兵器の近代化度合で見ることはナンセンス、また一般にいわれる陸:海空バランスによる区分も同様

 → □主たる戦略目標 途上国=クラウゼヴィッツ的 先進国=マハン的

 → □途上国=国境線画定に伴う戦域防備戦略 先進国=ハートランド防衛若しくは先制的自衛

      1974.1シュレンジャー国防長官『対都市攻撃から対兵力攻撃へ』 → 米ソの軍事技術開発が進展したという意味

      第一世界 米ソ超大国:世界軍事支出の2/3、強大な軍事力

第二世界 英・仏・西独 やや大きな軍事費を有するがその増額規模は年間1%程度

第三世界 やや大きな軍事費を有し、かつ大きな増額比率

第四世界 軍事費・増加率、ともに小さい

      第一世界 米国 極めて大きな軍事費と世界規模でのPower Projection能力

第二世界 やや大きな軍事費を有するが、その規模はGDPの1%前後

第三世界 やや大きな軍事費を有し、GDPの2%以上を軍事費とする

第四世界 軍事費そのものが小さい

      戦域間Power Projection能力の有無及び規模、通常戦力全般の世代近代化比率、対核戦力(BMDを含む)の有無

戦域内Power Projection能力の有無及び規模、通常戦力全般の世代近代化比率、戦域戦闘管理能力・協同交戦能力度合

戦略的戦域的情報収集能力(人的情報収集・通信傍受・偵察衛星)能力

      核戦力と運搬能力を含む近代化された通常戦力を有する国

核戦力と近代化に乏しい通常戦力を有する国

近代化された通常戦力を有するが核戦力を有しない国

旧式化された通常戦力のみを有する国       (ドュピュイ戦略研究所:松村劭)

■ 第一世界の軍拡と兵器輸出がセットになっている

 → 先進国による武器輸出の禁止が必要

 ● 世界124カ国が113700両の戦車を保有、18年間で53000両減少、しかし先進国は劇的な削減とともに第三世代戦車への特化、中東や南アジア地域に対し先進国から削減された戦車の流入、全世界規模での戦車拡散 (深川孝行“世界戦者地図”PANZER410)

 □ 巨大軍事産業として知られるロッキード社、主力機種であるF-16は1974年初飛行、世界24カ国4452機が装備または発注、ただし実戦運用はオシラク原発空爆、湾岸戦争とイラク懲罰爆撃、ユーゴ空爆、イラク戦争、アフガン空爆など限定的

 □ 需要があれば供給される Israel Military Industrial、中国北方工業公司、アームスコー、タウルス 特に途上国や中堅先進国で生産された低コストの弾薬がNATO諸国などで運用

第二章 軍縮の政治学

■ 世界軍事体系を“米ソの軍産複合体” → “米ソ間の軍備競争” → “同盟網と兵器輸出” → “第三世界の国家間軍備競争”

→ “第三世界における抑圧体系維持と兵器” という五段階に区分

  ●SDI(戦略ミサイル防衛構想)が新しい軍拡を生む可能性がある  (進藤榮一『現代の軍拡構造』)

  □日本のBMDシステム完成により最小限核抑止戦略が不成立となる可能性、これが核軍拡を招く可能性と、逆に戦域核縮減を生む可能性がある

  □上記の“坂本モデル”を米中関係、米ロ関係、米欧関係、日米関係に当て嵌める事は可能か

   → 米中関係としては核戦略やPower Projection能力で格段の違い、ただし戦域的な対立として適合する可能性も

   → 米ロ関係としては軍備競争を行う経済的問題、ロシアは予算三割以下しか支出できず、兵器輸出はライン維持在庫処分が主務

   → 米欧関係、欧州域内からの兵器輸出努力はライン維持、中古兵器流出は在庫処分、価値観は類似、敵対的競争無し

   → 日米関係、自主防衛政策と日米関係重視の矛盾、戦略拠点としての日本、敵対的競争無し

  □抑圧的体系維持と武器輸出は中米の事例が参考、抑圧的政策の基盤は経済援助、抑圧は軽火器以上を必要としない

 ■ 軍拡が量の競争から質の競争になってきた ミサイルの数を増やすよりもその精度と命中率を高めていく

 ■ 過剰殺戮の為の物資蓄積は軍事的閉塞状況打破手段たりえず、従って命中精度の向上へと進んでいった

  →□ 精密誘導弾が実戦運用に供されたのは1972年の橋梁攻撃、その後民生被害の大きい絨毯爆撃に代わり対地攻撃の主流へ、ウエストモーランド(駐越米司令官)の「アジアにおける人命は欧米のそれと比べて安い」、人的損耗局限化の構想へ

  →□ カルバラ地峡攻防戦(2003)の事例のように、精密誘導兵器は野戦における地上戦力無力化の手段としての戦術核を代替したことで、大規模戦域武力紛争や限定核戦争、結果的に戦略核戦争に進展する可能性を解消

  →□ 戦闘機は世代交代とともに価格が五倍に上昇する、インフレ率以上の増加率、経済成長率以上の価格高騰と運用コスト増大が必然的に定数を縮減、同時に生存性が向上し人的損耗率低減を両立させる(米空軍のF-Xがその象徴)

  従って、先進国化することで質的に洗練され、損耗率低下の視点が質的向上と循環し、数的に兵力規模が縮小するのは趨勢

  →□ しかし、戦術核代替精密誘導兵器を保有しない核保有国が精密誘導兵器による攻撃を受けた場合に戦術核使用の危険性

■ 現在のソ連軍縮イニシアティヴが続けばやがて、東欧と西欧の間である程度の軍縮が可能となるでしょう

  →□ ヘルシンキ合意に基づく軍事行動の透明化、中距離核戦力全廃条約が挙げられる、特に中距離核戦力の主たる目標は欧州域内における核抑止と戦域使用である為、意味は大きい

  →□ 欧州通常戦力削減条約により、戦車数や火砲(100㍉以上)、装甲車輌(FV,APC)、ヘリコプターや戦闘用航空機に関して具体数での削減合意が取り付けられた、しかし2006年2月に中央アジア米軍駐留(暫定的だが)を契機にロシアが脱退を表明しており、予断は許さない

 ■ 今日の通常兵器は非常な破壊力を持っていますから、核兵器のことばかり言いすぎると、日本も持っている通常兵力の恐ろしさを忘れる危険があります(中略)アジア・太平洋地域で通常兵器保有国が為しうることに関して議論を起こす必要があります

  →□ 通常兵力が有する核兵器に対する対抗性(BMD)

  →□ 最終的に地域占領を司る陸上戦力、海上交通路維持を主任務とする海上戦力という二区分を同義的に見ることは妥当か

  →■ 日本が軍事費をGNP1%以下に落とすというイニシアティヴが必要となる

  →□ 軍事費に退役自衛官の年金(軍人恩給)を含むか、研究開発費をどのレヴェルまで盛り込むかなど、定義のばらつき

  →□ 技術的蓄積や施設の差異、軍事費削減は政治的スローガンだけでしかないのではないか

北大路機関 (無断転載を厳に禁じる)

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映画 ピンクパンサー その復活と展望を考える

2006-06-02 10:04:37 | 映画

□ピンクパンサー

 映画を見に行くのは久しぶりだったのだが、先日、友人と二人で映画「ピンクパンサー」を観てきた。とりあえず、大学傍のうどん名店で冷やしを三玉たべたのだが、同じく笊で三玉食べた友人が空腹感を感じるというので、何か買ってみる。友人はドリンクのMとフライドポテトを買ったので、空腹感は無いにしても咽喉が乾いた小生はもう少し大きい方が良いかなとLのジンジャエールを、ってデカ!値段は50円しか違わないのに大きさが「こんごう」型と「はつゆき」型ほどの違い!ストロー口も二つある!

 というような計算違いの後、劇場内に入る。

 旧シリーズは「博士の異常な愛情」において、英空軍大佐とアメリカ大統領とストレンジラブ博士の三役を演じ分けたことで有名な怪優ピーターセラーズが主人公のクルーゾー警部を演じ、主役をたまに交代させ今にいたる007シリーズとは異なり、全てセラーズが演じた為、1980年彼が死去した事により続編が制作不可能となったことは有名だ。もっとも、総集編のようなかたちで彼が出演するピンクパンサーシリーズは死後もつくられ、ここまで愛される俳優(渥美清も死後、一作公開され国民的スターとしての彼がいまでもDVDとして健在だ)は非常に稀有であろう。しかしながら、第一印象を拭うのは難しい。第二代目007を演じたジョージレイゼンビーも「女王陛下の007」を演じるのに苦労し、次作の「ダイヤモンドは永遠に」では再びコネリーが007を演じている点が思い出される。同じ主人公で長続きし、今に至るのは、まあ、寿命の無いゴジラくらいであろう。

□此処からネタバレ、観る予定の方は読まない方が幸い

 結果的にいえば、クルーゾーを演じたスティーブマーティンに関しては微妙である。「サボテンブラザーズ」や「大災難」といった作品に出演した彼であるが、どうもコメディ系の映画を演じた人にはクルーゾーは難しいのかもしれない。この点、二代目ケイトーというべきポントン刑事を演じたジャンレノの方がクルーゾー警部には向いているかもしれない。口髭を生やしてトレンチコートを着ればそれでOKのように感じる。

 なんというか、スティーブマーティンだと、デイヴィットザッカー監督の「裸の銃を持つ男」シリーズの続編か?というような印象を抱いてしまったからだ(もっとも、レスリー・ニールセンも、もともとシリアスな刑事モノに出演しており、決してコメディ俳優ではなかったのだが・・・)。

 ともあれ、復活したピンクパンサーの新作は、まあ、滑り出しとしてはこの程度で及第点であろう。旧シリーズのツボも一応押さえており、単なるコメディ映画に終わっていない点は安心した。

 ピンクパンサーシリーズは2004年にDVDボックスが出ているが、2003年年末にBSで一挙に放送してしまったので、衛生映画劇場では暫く観る事は出来ないかもしれない。ちなみに、セラーズ死後の作品で整形したという設定で演じたのが007シリーズでジェームズボンドを演じたロジャームーア、彼は最近俳優業をやめ、テレビ番組のコメンテーターや司会を演じているのだが、案外ボンド候補の人に口髭をはやせばクルーゾーになれるのかもしれない・・・。

 さて、新しくスタートしたシリーズだが、たった一つ気がかりなことがある、二代目ケイトーとしてポントン刑事を演じるジャンレノだが、彼は一作の例外を除き“続編”には出演しないということだ。ケイトーとクルーゾーのカンフーファイト“?”がピンクパンサーの毎作における重大な演出であった事を考えれば、ジャンレノ無しにピンクパンサーシリーズは成り立たない。この点だけが心配である。

■北大路機関広報

 駐屯地祭のために極力shiftを考えた五月から六月に移り、再び多忙になるため更新は従来の水曜・木曜・金曜に戻ります。次回の更新は水曜日ということになります。とりあえず、坂本義和研究を重点的に軍縮国際政治を再定義化し、併せて情報RMAや非対称型戦争という概念から軍事力や核兵器と精密誘導兵器の関係性を総括し、加えて体制の軍事化や保守政治の広範化の可能性の検討、そして浅田正彦先生やジェフゴールドブラム先生の論文の体系化を行います。次回の基地行事が来月末なので、暫くは週三日間の間も、過去に撮影した写真の総集編となりますが、ご期待下さい。

 研究結果は特別演習において随時公開しますが、国際政治に興味のあられるお方はご一報頂ければレジュメ、場合によっては特別演習傍聴などの対応を致しますのでコメント欄にメールアドレスを明記の上、お気軽にどうぞ。

 HARUNA

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陸海空自衛隊関連行事 六月第一週期実施詳報

2006-06-01 11:33:23 | 北大路機関 広報

■北大路機関広報 自衛隊関連行事

■六月三日

■陸上自衛隊関連(0)

■海上自衛隊関連(1)

□那覇航空基地:創設記念行事:第五航空群(一般公開なし、体験飛行などを基地外より撮影可能)(098-857-1191)

■航空自衛隊関連(0)

■六月四日

■陸上自衛隊関連(1)

□青森駐屯地:第九師団創隊44周年記念行事:第九師団司令部・第五普通科連隊・第九通信大隊・第九後方支援連隊・第九化学防護隊(JR青森駅下車・観閲行進・災害派遣訓練展示・装備品展示)(017-781-0161)

■海上自衛隊関連(0)

■航空自衛隊関連(4)

□大滝根山分屯基地:分屯基地開庁50周年記念行事:第27警戒群(0900~1400一般公開、JR大越駅より0820時シャトルバス・航空機航過飛行展示・救難展示・装備品展示)(0247-79-2277)

□輪島分屯基地:分屯基地創設50周年記念行事:第23警戒群(一般公開なし、1220時頃よりブルーインパルスの飛行展示を基地外より撮影可能)

□高尾山分屯基地:開庁記念行事:第七警戒隊(1000~1500一般公開、JR境港駅下車・閉所戦闘訓練展示・自転車走行展示・装備品展示)(0852-72-2226)

□防府南基地:開庁記念行事:航空教育隊司令部・第一教育群(0900~1600一般公開、JR防府駅下車少数だがバス有り・観閲行進・ファンシードリル・飛行展示)(0835-22-1959)

■自衛隊関連行事

 週末の土曜日、那覇基地における式典は事前応募によるP-3C体験飛行を実施、関係者のみのものが四日に実施される為、基地外若しくは那覇空港から祝賀飛行を観る事ができる可能性はあるが、確証は残念ながらない。

 日曜日に関しては第九師団記念行事が注目である。師団改編をまだ実施していない数少ない部隊となった第九師団では60式自走無反動砲や、L-90高射機関砲、64式小銃・62式機銃が普通科部隊に装備され、今日では非常に稀有な部隊編成となっている。ただ、訓練展示は災害派遣を展示するとのこと。

 航空自衛隊はレーダーサイトを中心に実施され、島根県松江市の高尾山、石川県輪島市の輪島、福島県川内村の大滝根山が開庁記念行事を実施する。輪島に関しては一般公開はしないものの、ブルーインパルス飛行展示実施ということで一見の価値有り。防府南は教育訓練部隊ではあるものの、防府北航空基地よりT-7練習機の編隊飛行や戦闘機の飛来が予定されているとのことだ。

 北大路機関

 なお、実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。

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