◆最新潜水艦は潜水艦ステゴサウルス!?
そうりゅう型潜水艦、そうりゅう、うんりゅう、はくりゅう、けんりゅう、ずいりゅう。潜水艦22隻体制へ向け建造が続いていますが、竜を示す名前、尽きてこないのでしょうか、心配です。
非常にどうでもいいように思われるかもしれませんが、それは無神経というもの。艦名というものは非常に重要で、名称は世界に発信されるのですし、乗員の士気にも繋がっています。四方聖獣蒼龍の名を冠した潜水艦そうりゅう、雲海の守護を司る雲龍を艦名とした潜水艦うんりゅう、天帝に仕える白龍を由来とする潜水艦はくりゅう、このように高貴な名前を潜水艦に冠してきたのですが、海上自衛隊によれば四番艦けんりゅう、は剣を冠した龍、五番艦ずいりゅう、は瑞々しい龍という意味、など少々名前が尽きてきた印象が無いでもありません。特に、こんな強そうな名前の潜水艦とは戦いたくない!、と叩きつけるような勇壮な名前が必要なのです。そして防衛大綱により22隻へ増強される潜水艦は、名前を慎重に見てゆかなければならないのですが、意外な事実がありました。
けんりゅう:剣竜、間もなく就役する潜水艦ですが、名称はステゴサウルスの和名でもあるのは御存じでしょうか。かつて、日本では明治期に和名として横文字ではなく日本語化を進めた試みがりました。これはその一つで、ステゴサウルス、剣のような鋭い背びれを全身に纏い、鋭い突起をもつ尾部を振り回すことで肉食恐竜に対し自衛戦闘を行っていたことで知られています。現在の最新の古生物学の研究では性格は温厚で、化石がまとまって発見されていることから集団生活を営んでいたようです。偶然ですが、恐竜の名称が潜水艦と重なった訳でして、興味深いところです。しかし、そうりゅう型潜水艦ですが、そろそろ艦名に限りがみえてきたところですし、ちょうどこれは良い機会なのかもしれません。そこで、恐竜や首長竜や翼竜など太古のロマンで潜水艦にふさわしい名前を考えてみましょう。
いりゅう:異竜・・・アロサウルス 、和名ではアロサウルスはこのようになっています。恐竜と言えばやはり獰猛な肉食獣でしょう。なにしろ威圧感のある名前でなければなりません。このなかでもアロサウルスといえば、火山噴火後の大量絶滅期にあたるP-T境界後のジュラ紀に誕生した、最強の肉食恐竜で、外国の艦船も日本へ軍事的冒険をしようとしているところで、そういえばもうこの海の真下でアロサウルスが待ち構えているかもしれない、と考えたならば多少は行うを改めること間違いなし。恐竜としても平均的なもので全長8.5m、全長12mと肉食恐竜の中では白亜紀を含めて大きく、こんな恐竜の名前を冠した潜水艦が日本周辺を遊弋しているとあれば、相手を威圧すること間違いなし。
ぼうりゅう:暴君竜・・・ティラノサウルス 、T-REXで潜水艦の名称として最大の威圧力がありそう。世界で最も人気がある恐竜といえばこちらですが、ティラノサウルスは和名が既にティラノサウルス、日本で知られたころには学名をそのままカタカナとする時代であったためです。しかし漢名で暴君竜という呼称があり、潜水艦ぼうりゅう、傍流と変換さえしなければ恐ろしい印象を与えます。何となくですが我が国に軍事的冒険を挑む国は漢名の方が馴染みあるやも。実に300万年に渡り爬虫類生態系の頂点に位置した、現在確認されている最大の肉食恐竜、白亜紀の末期まで位置し、淘汰されたのではなく巨大隕石の衝突でなければ絶滅しなかったという力強い印象といえるでしょう。
はんりゅう:斑竜・・・メガロサウルス、古生物学史上草創期に発見された恐竜で、メガロサウルスは巨大な爬虫類という意味、肉食獣で巨大な顎をもち獰猛な印象を与えつつ、発見された当時は全く当時の動物体系とかけ離れており、鰐などとは破格の違いから充てられた名称。メガロサウルスは、ジュラ紀には現在のユーラシア大陸全般と北米大陸に広く分布していたこともあり、大型で行動半径の大きな海上自衛隊の潜水艦として、このメガロサウルスの行動範囲の広さを背景とした名称は、かなり相応しいものといえるかもしれません。
きんりゅう:禽竜・・・イグアノドン 、古生物学史上最初に発見された恐竜で、きんりゅうといっても名古屋市消防局の消防船ではありません。イギリスの医師マルテルが発見したもので、発掘に協力した博物学者キュヴエ(キュウベェ、インキュベーターの略語ではない)により大型でありながら爬虫類の骨格形状をの類似点を発見、これを絶滅した太古の爬虫類と発見したものです。イグアノドンは二本足で群生行動する草食獣ですが、鋭い爪を持っており肉食獣に対して積極的な自衛行動に出たことも考えられている恐竜、群生し積極的に攻撃へは出ないもののひとたび必要ならば相手に致命的ともなる痛打を与えること合出来るイグアノドンの生態は、まさに専守防衛に徹する日本の潜水艦ならではの名前といえないでしょうか。
らいりゅう:雷竜・・・アパトサウルス 、かつてブロントサウルスと呼ばれていた巨大な草食恐竜で、雷竜と和名がつけられた背景には、非常に大きいことから歩行時に雷鳴のような轟音が響いたであろうという想像から、とされています。全長は非常に大きく、全長30m近い大きさがあります。アパトサウルスという名称はギリシャ語の惑わせる爬虫類、あまりもの巨大さに発掘者が戸惑ったことに起因するとされます。海上自衛隊の潜水艦は通常動力潜水艦としては非常に大型でありますし、潜水艦ですので惑わせる、という意味とも重なるといえます。しかも、らいりゅう、何と強そうな名前です。しかし、別名にブロントサウルス以外にもエロサウルスという名前があり、由来をしっかり説明できなければ防衛省や海上幕僚幹部部内で納得できないという可能性も大きい。
りょうりゅう:梁竜・・・ディプロドクス 、ジュラ紀と白亜紀の中間に北米で生息していたとされる草食恐竜で、四足歩行と長い首を特色とした大型恐竜です。アパトサウルスよりは発見される体格は細身で、しかし全長は最大で35m程度のものがあったとされています。さて、草食獣というと、草食系と温和な印象が持たれていますが、大型草食恐竜の攻撃力は近年の高さから侮れないものがあります。特に大型四足草食恐竜の尾部による攻撃は、肉食恐竜の攻撃に対する自衛用という位置づけですが、何分長いことから威力が非常に大きく、そしてそれ自体の重量がある事から支える筋肉は大きく発達しているので、先端部分では音速に近い速度で相手に叩きつけられていたとする資料があるほどです。なるほど、草食系と思い近寄った相手は下手をすれば亜音速で打撃を受けるわけですね。専守防衛とゆるやかなコンテンツ産業や華やかな文化と温和な国民性を持つ我が国ですが、馬鹿にして攻撃を仕掛けると尾部の亜音速一撃、日本そのもの。
ぎりゅう:偽竜・・・ノトサウルス、陸上爬虫類から首長竜へ進化する中間点に位置する恐竜で、どちらかわからないので偽竜という名前になったもの。なにか、通常動力潜水艦と原子力潜水艦の中間というべき性能を持つAIP潜水艦に近い響きがあります、ただ、間違えて潜水艦きりゅう、としてしまうと機龍:メカゴジラになってしまうので要注意というべきでしょうか。性格は化石に鋭い牙が多数確認されていることから肉食性とみられ、派の配置から海底泥土を掬うのではなく積極的に狩猟をしていたとみられ、捕食者としての能力を高めていったことが首長竜へ進化したようです。首長竜ではないものの水棲ではあるため、これこそ潜水艦を象徴する響きといえるところ。
ちょうけいりゅう:長頸竜・・・エラスモサウルス、長い名前ですがプレシオサウルスから進化した首長竜です。ちょうりゅう、と訳して説明に際して長頸竜の略称である、と説明してもよいかもしれません。首長竜としては元も有名なものという事で、プレシオサウルスと共にネッシーやイッシーとして変な目撃情報やよくわからない画像証拠が出されるものです。ある意味潜水艦の名前としては、エラスモサイルスというのは非常にふさわしい一隻となるかもしれませんね。もしかしたら、潜望鏡が上がっているのを、“恐竜だべ”、“いんや首長竜だわさ”、というような漁船などでのやり取りがあるかもしれませんし、潜水艦の名称、相応しい一つには違いありません。
うしりゅう:羽歯竜・・・プテラノドン、翼竜で恐竜でも首長竜でもない名称は潜水艦には向いていないと思われるかもしれませんが、近縁種とみられる翼竜の化石が北海道で見つかっていて、日本らしい翼竜、こういえるかもしれません。何しろ、海棲動物を狩っていたというプテラノドンですから、うんりゅう、即ち雲龍の名前を潜水艦に既に使っていることを考えれば決して突飛ではありません。もっとも、うしりゅう、強そうではない名前であるという事は否定しません。まあ、ふたばすずきりゅう、とか使いにくそうではありますが、太古の恐竜や首長竜や翼竜の名前、潜水艦に冠してみるのはどうでしょうか。
そうりゅう型潜水艦、そうりゅう、うんりゅう、はくりゅう、けんりゅう、ずいりゅう。潜水艦22隻体制へ向け建造が続いていますが、竜を示す名前、尽きてこないのでしょうか、心配です。











北大路機関:はるな
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