北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

寝台特急日本海 (大阪⇔青森1023.4km)  京都駅最後のブルートレイン最終列車到着

2012-03-17 23:53:23 | コラム

◆京都駅日常風景としてのブルートレイン終点へ

 今朝、青森発日本海号が京都駅を経て大阪駅に到着、これにて東北と大阪を結ぶ定期列車は全て運行を終了しました。

Nimg_9144 おお、もう日本海の時間か、日本海の時間までには京都戻りたいな、いつか乗ろうと思いつつ夕刻の京都駅で新幹線や特急に新快速を降りた当方の正直な印象。替わってゆくもの、変わらないもの、前者とは旅行体系と輸送需要、後者は旅情への飽くなき追求、というべきか。

Nimg_6892 こんなかたちで思い出深い、というか日常風景のブルートレイン日本海、ダイヤ改正で運行終了しましたと共に、昨日の急行きたぐに、引退に続き京都駅で撮影したブルートレイン日本海の様子を掲載しつつ、いろいろと書き並べてみましょうか。退屈でしょうがお付き合いいただければ幸い。

Nimg_6767 ブルートレインとは青塗装の客車寝台特急、青塗装は蒸気機関車ディーゼル機関車残る当時に煤煙が目立たず、しかし駅と沿線では目を引く塗装として採用されたもの。日本海が廃止となり、最後にブルートレインではありませんが隔日運行寝台特急トワイライトエクスプレスが不定期ながら札幌を大阪を結ぶのみ。

Nimg_6793 寝台特急日本海は1968年から運行を開始した夜行列車、その起源は1947年運行開始の夜行急行で1950年には急行日本海、1968年に寝台特急日本海として昇格され、現在は国鉄24系客車をEF-81電気機関車により牽引し運行しています。いや、いました、か。一時期は青函トンネル開通に伴う函館への延長運転も行われていました。

Nimg_6860 ブルートレイン、一度だけ富士号を利用しましたが、日本海廃止後は上野駅始発の北斗星、あけぼの号ととうとう二つに、この日本海もつい数年前までは二往復が運行され、デジタルカメラを使用し始めたのちにも京都駅をブルートレインなは・あかつき号、東海山陽の富士・はやぶさ号が運行、そんな時代がありましたね。

Nimg_6870 日本海、大阪を1747時に発車し日本海縦貫線を経て翌朝に青森0845時着、1933時青森駅を発車する日本海は1027時大阪着。青森着はやや早い時間帯ということで、三沢基地航空祭は無理でも青森第9師団創設記念行事には、と思っていた列車、思い立ったが乗車としておかねば。

Nimg_6867 ブルートレインである日本海は運賃が特急券と寝台券が必要、乗車券と特急券に寝台券の合計金額としての運賃はA寝台で上段24980円、A寝台下段25940円、B寝台は二段式で双方とも21740円、B寝台券が6300円とビジネスホテルが一泊で5000円台も出る時代には少々高いやも。

Nimg_6877 しかし、高いのはある意味当然、最初のブルートレインあさかぜ号が1956年に運行を開始した当時、夜行列車は基本が座席、しかも通常の転換式クロスシートかボックスシートという時代でしたので、三段式でしたが寝台を備え寝て移動でき、食堂車があったことから殿様列車と呼ばれたほど、殿様列車ならば高いのは少々仕方ないでしょう。

Nimg_7057 ただ、この日本海、サービスの部分では少々厳しい部分も。ブルートレインは青函トンネル開通と共にビジネス列車から観光列車の側面を強くしてゆき、B寝台の三段から二段化、A寝台一部の個室化、B寝台についても個室化が行われ、客車にはシャワーが設置、食堂車に隣接してロビーカーが配置となり、豪華さを極めた趨勢があったのです。

Nimg_7075 この趨勢に対して日本海は、寝台は全て開放型寝台であり、A寝台は幅こそ広く快適なのですが仕切りはカーテンのみ、寝台特急あさかぜ廃止の2005年から廃止客車を受け入れる形で、あさかぜ流用の個室寝台車が配置されたのですが、これも分離し再度2009年から全て開放寝台に、食堂車は無く当然ロビーカーの連結も無し、シャワーもありません。

Nimg_7078 これ、実質夜行急行ですよね、と随分前にこちらのコメント欄にてHN軽トラックの稲妻様にご指摘を頂きましたが、確かにサービス面では寝台急行銀河、と同じですよね、と妙に納得したことを思い出します。ううむ、ブルートレイン、かつての殿様列車の看板を掲げる以上、一定水準のサービスは欲しかったところ。

Nimg_7088 運行時間帯から食堂車を配置しても採算は合った、もしくは車内販売を充実させてロビーカーとして食堂営業を行わない食堂車はあってよかったと思いますし、寝台に浴衣がある以上シャワーは必須、A寝台の個室維持と、B寝台の三段維持か指定席扱簡易寝台での運賃多様性は維持するべきだったのだろうな、とは思います。

Nimg_7709 21世紀の寝台客車として、観光列車とビジネス列車を併用できるような、狭くとも個室B寝台を備え、無線LANを標準装備し電源を有するなどN700系新幹線程度のものを配置し、というものを加えた客車が欲しかったところですが、こうなるとどうしても大改造か新造が必要で、採算性となると、確かに厳しいことも確か。

Nimg_7737 夜行運行ですと旅客会社としても、特に長距離ですので複数の旅客会社が関与するのですし、運行夜間人員に加えて途中停車駅の夜間人員も配置しなければならず、しかも求められるのは客車を牽引する機関車の機関士、客車普通列車全廃時代には貨物でもなければ夜行運行には限界がある、ということも認めなければなりません。

Nimg_7955 そして、客車列車ですので最高速度は110km/h、加速性も電車を下回り、新快速で130km/hという時代に、実のところラッシュ時に並走する場合にはダイヤに影響が及ぶのかもしれません。だからこそ日本海の大阪到着は通勤輸送がひと段落したのちの時間帯、となっているのでしょうし。

Nimg_7960 ううむ、しかし長距離急行について昨日記載したのと同じように需要はあると思うのですよね、新幹線と航空機が運行していない時間帯に優れた移動空間を有しているのですし、昼間運行も寝台車であっても、個室寝台であれば移動に多少の需要、特に団体旅行にあるはずなのですよ。

Nimg_9138 もちろん、需要としては乗車に、特に移動が長距離で、500km程度の移動には新幹線よりも割高になり、ホテル宿泊と比べて利便性が現段階では下回っていることも認識はしているのですけれども、この部分は前述の通り車両サービスの見直しによって改善の余地はあると考えるのですよね。

Nimg_9170 ただ、寝台特急としてのブルートレインの衰退は行くところまで行きました。乗れるうちに寝台特急あけぼの乗車を目指すか、東京に行く際に一旦山陽方面に向かいサンライズ瀬戸・出雲乗車を目指しておくべきか、残念なのですけれども実情はこんなところなのですか。ううむ、残念です。

北大路機関:はるな

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