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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

アルジェリア天然ガスプラント占拠テロ、自衛隊政府専用機が初の邦人救出へアルジェ到着

2013-01-23 22:46:39 | 国際・政治

◆今後の我が国対テロ政策はどうするべきか

 アルジェリア天然ガスプラント占拠テロは、武装勢力に対し治安部隊が無差別発砲し、邦人多数が銃撃戦により死亡する最悪の結果となりました。

Himg_6118 安倍総理は生存する邦人救出へ政府専用機を派遣、外遊における輸送支援にあたった政府専用機は昨夜羽田空港をアルジェリアの首都アルジェに向け出発、ドイツ経由で本日、アルジェに到着しました。政府専用機は日本ではVIP専用機ではなく航空自衛隊の大型輸送機で、写真は空中給油機KC-767ですが、政府専用機B-747はこれよりも航続距離が長く、輸送能力も大きな機体です。

Himg_7177 1980年代のイラン危機や1990年代の湾岸戦争にインドネシア危機など、自衛隊機による邦人救出の可能性は多く検討されてきましたが、専守防衛を国是として海外に部隊を展開させるに十分な能力を政治的に持ち得なかった我が国としては、能力的に救出は厳しく、日本航空や全日空へ紛争地への派遣を打診するか、海外の慈悲と善意に邦人の安全を依存してきました。

Himg_3322 海外での邦人企業による活動ですが、天然ガスや石油などの天然資源一つとっても、東日本大震災における福島第一原発事故を契機として原発のほぼ全てが停止しているため、火力発電への依存度が大きくなっていることから、資源確保には危険を伴う地域に対しても展開しなければなりません。

Himg_4551_1 邦人救出は脱原発一つとっても脆弱で歪な我が国のエネルギー政策に依拠した資源確保の必要性が続く限り法人企業の危険な地域での活動は必須となるのですから、例えば一定の部隊のインド洋地域への展開を持続させるという運用基盤の構築等は検討されるべきでしょうし、今回のようなテロに対しては、例えばかつての民間軍事会社にあたる重武装の民間保安会社について我が国として警備を依存する仕組みを考える必要もあるでしょう。

Himg_5004 加えて今回のテロでは、邦人が標的となった事実、これまでは欧米人を標的としたテロに巻き込まれる構図を想定していたのですから、その前提が覆ったという転換期にあるとの認識が必要でしょう。即ち邦人が標的となっている以上、邦人保護を念頭に置いたテロ対策、積極的なテロ対策への関与も考えてゆかねばなりません。

Himg_1081 また、直接的には関係ありませんがマリにおいてイスラム武装勢力により国土が寸断され、救援要請に応じたフランス軍と西アフリカ共同体加盟国が軍事行動を展開しており、主要な都市部を占領した一方、フランスが条約により防衛を担い、自衛隊も展開しているジブチ、その隣国エリトリアにおいてクーデター事案が発生、ジブチとエリトリアは過去に国境紛争で衝突した事案もあるため、新たにフランス軍派遣の必要性が出てくる可能性もあります。

Himg_6519 邦人救出とテロ対策の一環として、我が国もこれまで専守防衛として国土に立て籠もる防衛政策の大前提から、機動運用部隊を本格的に整備し、基本として国外の地域において我が国への危険を抑止する方式への転換、また海外での邦人救出事案に備える海外常駐部隊を配置し、即応態勢を取ることでポテンシャルを維持することも検討する必要は出てこないでしょうか。

Himg_4858 防衛計画の大綱が自民党による政権交代と共に抑止力強化を主眼とした再改訂の検討が進められていますが、この際に、陸海空自衛隊協同での統合任務部隊として国際任務司令部を置き、海外での任務を統括し指揮すると共に、空輸支援などのための航空機の増強など、検討する必要も考えるべきでしょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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