■小松基地航空祭二〇一六
イーグルは白山の守り神菊理媛神、くくりひめ、に愛されているという話を聞きました。
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愛機を駆りて台風に、翼洗う荒天も、何ぞ遮るわが任務、敵空軍の真っただ中に勇む我らが精鋭機!民一億の守り担て、空切る翼鋭くも、みよ堂々の制空陣!、秋の航空祭シーズン到来となりましたが、これは台風の季節の到来をも意味する訳です。それでは、台風16号接近下で開催されました、小松基地航空祭2016についてお伝えしましょう。
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'16航空祭 in KOMATSU、昨日開催されました航空自衛隊小松基地の航空祭は、懸念された悪天候も奇跡的に回避され、来場者約7万2000名という盛況と共に終幕となりました。悪天候の危惧を乗り越えて集った来場者を迎えたのは精鋭F-15イーグル戦闘機尽くしの飛行展示と、悪天候の思わぬ贈り物、軌跡に沿った飛行機雲ベイパーを曳く情景でした。
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小松基地航空祭、北陸に位置し日本海側唯一の戦闘機部隊基地です。この小松基地航空祭、来場者の予測は、中々不明瞭でして、敬老の日三連休最終日、飛行教導群移駐、ブルーインパルス飛行展示、北陸新幹線開通、新特急ダイナスター運行開始、来場者を増やす要素が並びこの状況では来場者が15万名から20万名の大台に上る可能性もあったのです。
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日本海防空の要、と称される小松基地は1941年に帝国海軍舞鶴鎮守府が飛行場用地として取得し1944年に陸上攻撃機用飛行場として完成させた飛行場がその起源です。戦後は米軍が接収しましたが1955年より全日空が不定期旅客便の運航を開始、1958年に草創期の航空自衛隊の分遣隊が配置、同時に民間航空機を就航させる官民両用飛行場となりました。
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自衛隊基地としての小松基地は1959年に小松分遣隊を中心とした基地施設再建が本格化し、1961年に制式に小松基地が新編、1961年にF-86戦闘機二個飛行隊の移駐を受け第6航空団画創設されたわけです。1965年には超音速のF-104戦闘機運用を開始、1974年にはF-4EJ戦闘機を運用開始し、1986年には最強戦闘機F-15戦闘機が配備、今に至るところ。
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第6航空団は、司令部と飛行群第303飛行隊および第306飛行隊のF-15二個飛行隊に整備補給群と基地業務群が展開しています。加えて入間の中部航空施設隊から同第2作業隊、横田の航空戦術教導団から精鋭アグレッサーの飛行教導群が、入間の航空救難団から小松救難隊が、府中の航空支援集団からは小松管制隊および小松気象隊が派遣されています。
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イーグルの二個飛行隊を有する第6航空団、隷下の飛行隊をみてみましょう。第303飛行隊は1976年にF-4ファントムを運用する飛行隊として新編され、ドラゴンを冠する部隊で、F-86セイバー戦闘機を運用していました第4飛行隊の要員を基幹として編成されました。1987年には現在のF-15イーグル飛行隊へ改編、ドラゴンは記念塗装にも示されている。
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小松のイーグル、第306飛行隊は1981年にF-4ファントムを運用する飛行隊として編成、イヌワシが舞台マークとして描かれています。イヌワシはご当地石川県の県鳥、1997年にF-15運用部隊として改編されました。第306飛行隊はアメリカのトップガンと同様の、精鋭搭乗員の選抜と高度化研修を行うファイターウェポン課程の担任部隊となっています。
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飛行教導群、アグレッサー部隊、宮崎県新田原基地から今年小松基地へ移駐したばかりの精鋭部隊です。仮想敵機部隊として部隊は1981年に築城基地へ飛行教導隊として新編され、当時は超音速のT-2練習機を運用していましたが、1983年に新田原基地へ移駐、1990年に運用機種をF-15戦闘機へ転換し、巡回訓練に当たりました、自衛隊最精鋭部隊の筆頭です。
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今年の航空祭は、この飛行教導群小松移駐を受け、かなりの来客が予想されていました。昨年の来場者は14万7000名と全陸上自衛隊以上の来場者を誇り、航空自衛隊は今年の来場者を14万と予測していました。飛行教導群はアグレッサー部隊として、独特の迷彩を施したイーグルを駆っており、この迷彩目当てに新田原へ足を運ぶという方も多かったほど
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戦闘機部隊は広大な敷地を有しますが、開放されるのはエプロン地区という格納庫前の地区、この限られた会場に対し来場者が15万を超えますと、満員御礼、といいますか物理的に基地内の身動きが取れなくなるという可能性が、基地での撮影では地上展示機を撮影する以外は極力後方、格納庫付近から群集越しの航空機撮影、という選択肢しかなくなる。
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他方、難点は肝心の天候です、小松マジックは今回も実現するのか、それとも、基地側がゆるきゃら”晴レテル”君の威光を信じず、縮小開催という方針を示すのか、というところです。勿論、万一に備える防滴の準備は万全でして、ここで万一中止決定にでもなれば目も当てられないという状況でした。もっとも、開催しても飛行展示の可否は別問題です。
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天候偵察のF-15が持ち帰った情報は、視程5マイル、という非常に幸運な天候で、これにより航空祭の飛行展示が予定通り実施できることが画定しました。当初はこの転校偵察が最初で最後の飛行展示なのではと危惧したり、ブルーインパルス飛行展示も実施できないのではないか、という悲観的な予測は、しかし、小松ならば、という願いが通じたかたち。
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航空祭直前、0720時までは確かに降っていたのですよ、しかし0745時には雨が上がりました、1025時頃、若干雨滴が飛んできましたし、1315時にも飛んできたのですが、ブルーインパルスが水平系の飛行展示となった以外、予定通りに実施できました、これほどの天候回復は、かの、白山の守り神菊理媛神のご加護があったのかというほど。
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航空祭、思い起こせば2014年の美保基地航空祭は天候偵察の結果視程不良ということで飛行展示中止の決定が為されました、が、そのあと急速に天候回復の後もいったん中止の飛行展示を行う事は無く、という悲しい出来事もありました。海上保安庁の飛行展示のみ実施、C-1大編隊を期待していただけに、あの飛行展示中止の決定維持は残念でしたね。
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雨天は航空祭の天敵というべきものでして、視程不良ですと飛行展示が出来ません、2007年浜松基地航空祭は、サンダーバーズ来日という航空祭でしたので、悪天候でも可能な限りの飛行展示を実施してくれましたし2005年の岐阜基地航空祭は、OPフライトは晴天予定のまま、爾後は天候悪化を受け徐々に縮小、という展示を実施していました。
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小松マジック、天候回復となりました小松基地航空祭では、F-15戦闘機四機による天候偵察とオープニングフライト、第303飛行隊および第306飛行隊の機動飛行、飛行教導群を加えてイーグル12機大編隊、小松救難隊救難展示、F-2支援戦闘機機動飛行及び模擬対地攻撃、飛行教導群機動飛行、そしてブルーインパルス飛行展示まで全部を堪能できました。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
イーグルは白山の守り神菊理媛神、くくりひめ、に愛されているという話を聞きました。
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小松基地航空祭、北陸に位置し日本海側唯一の戦闘機部隊基地です。この小松基地航空祭、来場者の予測は、中々不明瞭でして、敬老の日三連休最終日、飛行教導群移駐、ブルーインパルス飛行展示、北陸新幹線開通、新特急ダイナスター運行開始、来場者を増やす要素が並びこの状況では来場者が15万名から20万名の大台に上る可能性もあったのです。
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日本海防空の要、と称される小松基地は1941年に帝国海軍舞鶴鎮守府が飛行場用地として取得し1944年に陸上攻撃機用飛行場として完成させた飛行場がその起源です。戦後は米軍が接収しましたが1955年より全日空が不定期旅客便の運航を開始、1958年に草創期の航空自衛隊の分遣隊が配置、同時に民間航空機を就航させる官民両用飛行場となりました。
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第6航空団は、司令部と飛行群第303飛行隊および第306飛行隊のF-15二個飛行隊に整備補給群と基地業務群が展開しています。加えて入間の中部航空施設隊から同第2作業隊、横田の航空戦術教導団から精鋭アグレッサーの飛行教導群が、入間の航空救難団から小松救難隊が、府中の航空支援集団からは小松管制隊および小松気象隊が派遣されています。
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イーグルの二個飛行隊を有する第6航空団、隷下の飛行隊をみてみましょう。第303飛行隊は1976年にF-4ファントムを運用する飛行隊として新編され、ドラゴンを冠する部隊で、F-86セイバー戦闘機を運用していました第4飛行隊の要員を基幹として編成されました。1987年には現在のF-15イーグル飛行隊へ改編、ドラゴンは記念塗装にも示されている。
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小松のイーグル、第306飛行隊は1981年にF-4ファントムを運用する飛行隊として編成、イヌワシが舞台マークとして描かれています。イヌワシはご当地石川県の県鳥、1997年にF-15運用部隊として改編されました。第306飛行隊はアメリカのトップガンと同様の、精鋭搭乗員の選抜と高度化研修を行うファイターウェポン課程の担任部隊となっています。
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飛行教導群、アグレッサー部隊、宮崎県新田原基地から今年小松基地へ移駐したばかりの精鋭部隊です。仮想敵機部隊として部隊は1981年に築城基地へ飛行教導隊として新編され、当時は超音速のT-2練習機を運用していましたが、1983年に新田原基地へ移駐、1990年に運用機種をF-15戦闘機へ転換し、巡回訓練に当たりました、自衛隊最精鋭部隊の筆頭です。
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航空祭直前、0720時までは確かに降っていたのですよ、しかし0745時には雨が上がりました、1025時頃、若干雨滴が飛んできましたし、1315時にも飛んできたのですが、ブルーインパルスが水平系の飛行展示となった以外、予定通りに実施できました、これほどの天候回復は、かの、白山の守り神菊理媛神のご加護があったのかというほど。
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小松マジック、天候回復となりました小松基地航空祭では、F-15戦闘機四機による天候偵察とオープニングフライト、第303飛行隊および第306飛行隊の機動飛行、飛行教導群を加えてイーグル12機大編隊、小松救難隊救難展示、F-2支援戦闘機機動飛行及び模擬対地攻撃、飛行教導群機動飛行、そしてブルーインパルス飛行展示まで全部を堪能できました。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)